
『ひきこもりからの脱出』第二話① #B-1:コンビニで働き続ける田中さん 〔noteで遊ぶゲームブック〕
【はじめに】
これは選択肢によって物語が変わるゲームブックです。
選択肢を辿っていくと異なるエンディングにたどり着きます。
グッドかバッド、ベストか、いくつかのエンディングが待っています。
君は、ひきこもりから脱出できるか。
ひきこもりに関するネットニュースの後、スマホで見つけた彼女の名前。
海江田要さんについて思い出した。
あの頃は僕にも自信があった。
勉強もスポーツも目立っていた。
かなめさんに告白された時も緊張や戸惑いはなかった。
ただ、あのキレた一件があってから僕は自分が怖くなった。
そして彼女と別れた。
僕とかなめさんが帰っている時にヤンキーに絡まれたのだ。
この時が最初の裏拳である。
事故のニュースを知った時、僕は幼なじみで共通の友人の藤崎にかなめさんの近況を聞こうと思い、彼女がバイトをしているコンビニに行った。
藤崎は唯一喋れる女子だった。
オーナーの弟のベテランアルバイト田中さんに藤崎のことを聞くと「休憩で一時間出て行ったよ」と話した。
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1 コンビニで藤崎を待つ
お客さんの対応を終えると、田中さんが僕をこの店に誘ってきた。

「なあ、ここで働いてみないか?」
突然だった。
「同級生の藤崎さんもいるし」
「いや、突然過ぎますって」
「最近人手不足でさ、バイトはお盆、クリスマス、年末年始って多くのバイトが休むから結局俺が出勤するんだ。台風の日だって閉められないし、なんで兄貴はコンビニなんか始めたんだろう」
「それはコンビニあるあるですね」
「桐谷君は普段何してるの?働かないで暇じゃない?」
確かに毎日何をしようか迷うほどだ。
「もう十年近く働いてないんです。もう社会復帰出来ないなとは思っていて」
「みんな、見た目ほど社会に馴染んでないと思うよ。でも働かないと食えないからさ、みんな何かしら抱えて働いてるんだよ」
自分が情けなくも思えたが、「もう働く精神的な体力がないんです」と正直に告白した。
田中さんは、「ここをリハビリ施設だと思ってもらえばいいよ。ちょっと今日軽く働いてみない?」と誘った。
「何をすればいいですか?」
「深夜のバイトは配送された食材を並べたりだね。僕がいるからわからないことは聞いて」
「あれ??働くことになったんですか?」
「体験入店だよ」
「キャバクラじゃないんだから」
僕は疑問に思っていることを聞いた。
「何故みんな働かなきゃいけないんでしょう」
「生きるためだよ」と田中さんは言った。
「お金のため、食べるためというのはわかるんですが…」
「生きるって自分が自分であり続けることだと思っている」
「なんだかよく分からないけど…」
「とにかくさ、まずは減っている飲み物の補充をして」
気が付けば藤崎が戻って来るまでコンビニを手伝うことにした。
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2.公園へ向かう
「藤崎はいつもどこで休憩してるんですか?」と田中さんに聞いた。
「近所の公園でコーヒー飲みながら煙草吸ってるかな」
「ちょっと行ってみます」

僕は公園に向かった。
なんだろう、この衝動は。
急にあの時、かなめさんと付き合っていた時の気持ちを思い出した。
二人の一番の思い出ってなんだったんだろう。
花火大会に二人で行ったことだろう。
あの時場所取りを早めにしていなかったせいで、花火から遠い川辺になった。
「僕がかき氷を買いに行くよ」と言うと「一緒に行こう」とかなめさんと出店に向かった。
出店に行く途中、僕からかなめさんの手を握った。
かなめさんも握り返した。
僕は手が汗ばんでいた。
彼女の体に触れたのは、それだけでまだ恋愛には幼かった頃の交際だった。
花火の光、煙の匂い、夜風の涼しさがまだ僕の五感に残っている。
今何故あの時に近い気持ちでいるのだろう。
かなめさんが重体。
好きだった人の生死を感じているからかもしれない。
僕の中で一番忘れがたい大事な人だったんだ。
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