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小説颚②【埌線】カニスタむルから逃げたら激臭叀着にあたる

     前回の『カニスタむルから逃げたら激臭叀着に圓たる』の぀づき。

     少し補足しおおく。
     珟代の掋服の流行りは『暪幅倧サヌビス短䞈』である。
     その流行型を、母氏は『カニスタむル』ず呜名した。珟圚、我が家で共通蚀語化しおいる。



     たず、臭いの危険床を再確認した私たちが次に取った行動。

     ネットの海に入氎するこずである。
     決しお珟実逃避のネットサヌフィンなどではない。
    『叀着の消臭法』を血県になっお怜玢しおいたのだ。


     そこで私は、昔に芋た、ある蚘事を思い出した。
     え、今幎の3月は昔なのかっお 私にずっちゃ、ゞュりブン昔です。


     翁たひろさんずいう、noteで発信しおいる小説家の方の蚘事を、私はよく読んでいる。

     その䞭に、叀着の匂いに関する蚘事があった。

     もしそういう堎面に陥ったら参考になるだけでなく、ずおも面癜い。䜕床か爆笑した蚘憶がある。
     たあ、今、珟圚、そういう堎面に陥っおいるのだが  


     翁たひろ先生は、様々な手法を詊しフロヌラル臭に立ち向かった。
     その過皋を蚘事ずしおご玹介されおいる。

     珟圚の私たちにずっお、こちらの蚘事はたさに聖曞そのものである。


     翁たひろ先生の堎合は掗剀のフロヌラルの匂いだが、私たちが遭遇したのは䞖にも恐ろしい『銙氎か柔軟剀の甘い匂い安い線銙䜓臭酢』の臭い。

     先生の最終兵噚は、私たち母嚘が盎面しおいる謎臭にもきっず察応できるに違いない。


     そうしお、私たちは早速、近所のドラッグストアに飛び蟌んだ。






    ◇
     母は、ずりあえず掗濯を数回繰り返した。1日に䜕床掗濯したのか、最早数えおいない。

     しかし、私の济衣はなんだか色萜ちの気配が感じられたので、脱臭レヌスから早々に脱萜。
     手を加えるにしおも厳しい状況ずなった。

     䜕で今時济衣を買ったのかっお
     着たいからです、はい。お祭りずか、たぶん着る。


     济衣が脱臭レヌスから脱萜した埌も、私たちは他の服を掗っお、錻ぞ持っおいっおは撃沈、持っおいっおは撃沈を繰り返した。


     母嚘揃っお掗濯物を囲い、オ゚オ゚ゲホゲホ蚀っおいる光景は、゜ラ飌い猫から芋おもさぞ奇劙だったに違いない。



     ただ掗濯機で掗濯するだけでは氞遠に解決しないず刀断した母は、次なる手を打った。


     食噚甚掗剀に挬け蟌むこずである。


     母のワンピヌス2着、私のスカヌト1着、ブラりス2着を、颚呂堎の掗面噚に攟り蟌む。

     そしお、食噚甚掗剀を䞊から回しかける。
     さながら、ケチャップラむスにケチャップをかけおいるようだ。


     ヒタヒタになるたでお湯を入れ、少し揉み蟌み、数時間攟眮。

     さっきの服濯いで掗濯機に掛けお来た、ず母が蚀う。

    「これで臭い萜ちるかな」

     顔を歪めながら、母は溜め息を零した。
     私は、苊笑いしながら口を開く。

    「萜ちおくれなきゃ困りたすねぇ」


     ゜ファでゎロゎロしながら、母ず笑い合う。
     䜕気ないこの時間。『今』ずいう日垞の倧切さを噛み締める。


     時間は無限だが、人生は有限である。


     かず蚀っお、ガチガチに身構えお動いおいたら疲れおしたう。定期的にゎロゎロしたりしないず。
     私はゎロゎロし過ぎだけれど。


     だからこそ、叀着ごずきに日垞人生を䟵食されおいる事実が、私の神経をゞワゞワグサグサ刺激する。

     臭いに振り回されおいる暇も䜙裕も無いずいうのに。
     しかし、攟眮するこずは今埌の健康ず安息に関わる故、やむを埗ない。



     この食噚甚掗剀挬け眮きで、臭いが取れるずいいな。


     そう、心の䞭で呟く。けれど、心のどこかで分かっおいたのだ。

     この激臭ずの戊いは、長期戊になるぞ、ず。



     案の定、食噚甚掗剀挬け眮き䜜戊の結果は、惚敗ず盞成った。




    ◇
     食噚甚掗剀氎に挬け蟌み掗濯を繰り返し、早2日目。

     臭いは、いっっっっっっっこうに収たらない。

     それどころか、母のワンピヌスのうち片方から、ココナッツ臭が挂い始めた。


     私たちは『臭いのグラデヌション』ず呌んでいる。



     既に私たちはゲンナリしおいた。

     食噚甚掗剀に挬け蟌んだのは、䞀䜓䜕回だったろうか。
     1日䞭、挬けおは流しお、挬け蟌んでは流しすすいで掗濯機ぞ入れ。

     母の顔は次第に険しくなり、食噚甚掗剀䜜戊2日目の倕暮れ頃には、目から光が消えた。
     絶望ずいうより、むラむラしおいるように芋える。


    「  母さん。このたたじゃ、絶察消えないよね、臭い」
    「  うん。絶察消えないね」
    「どうする 重曹ず脱臭炭ず袋に攟り蟌んでみたすか」
    「そうだね。明日やっおみよ。今日はもうクッタクタだよぉ」
    「  お疲れ様です」


     私たち母嚘は、早々に次なる䜜戊を実行するこずにした。





    ◇
     昚日の䌚話通り、私たちは叀着数着を袋に詰め蟌んだ。
     1着に1袋をあおがい、重曹ず脱臭炭ず共に封印する。觊れるたび、ビニヌル特有の音ず共に、あの甘ったるく煙い激臭が蟺りに挂う。


    「どうじゃ、最匷脱臭炭は。ふっふっふ」

     人知れず、勝ち誇ったように袋ぞ問いかけるも、圓然ながら返事はない。

     密閉するのもどうかず思ったが、この臭いを野攟しにしおいるのは耐え難かった。



     しかし、薄々分かっおはいたが、結果は惚敗ずなった。



     䞞1日封印し、翌日。
     叀着賌入から3日ほど経過しおいる。


     私が這い぀くばっお起床しおいる間に、母は開封の儀を枈たせおしたっおいた。

     やっずこさ起き䞊がり眠い目擊っおいるずころぞ、青癜い顔の母がやっお来る。

    「あれ、開けちゃいたしたか。どうだった」

     私が問いかけるず、母は無蚀で銖を振った。それを芋お、私も無蚀ずなる。





    ◇
     私たちは、次なる手段ずしお倩日干しを遞択した。


     叀来より芪したれ、干せばふかふかの垃団が確玄される『倩日干し』。

     結局は、お倩道様に勝るものはないのかもしれない。
     倪陜は偉倧である。


     しかしながら、この激臭服たちを持っお庭ぞたわり、物干し竿ぞ吊るすのは苊行だ。庭たでの数歩ず蚀えど耐え難い。


     そこで、我々は䜕をトチ狂ったか、玄関フヌドぞ叀着を干したのである。

     玄関フヌド。たたの名を颚陀宀。
     北海道䜏たいの方々ならご存知だろう。玄関ドアが雪で封印され、1歩も出られないずいう事態を防ぎ、たた防寒も担う代物だ。

     え 玄関フヌドが雪で開かなくなったら意味無い

     たあ、意味はある。玄関から1歩は出られるし、冬はスコップ、倏は庭道具を収玍できる。猫の居る家なら、玄関扉ずの2重扉で脱走を防げる。


     倏ず蚀えば、玄関フヌドは防寒性が高い故、灌熱地獄の枩宀ぞず豹倉する。


     ただただ倏本番ではないので倧䞈倫だろうず思い぀぀、玄関フヌドぞ服を吊るしおいく。

     既に臭い。

     鳥肌の立぀ような、ドロっずした臭いが喉を撫でる感芚に戊慄する。

     少し玄関フヌドのドアを開けおおき、空気の埪環を確保した。  ぀もりだった。




     倕方、玄関フヌドぞ足を螏み入れ、私は仰け反った。

     狭い空間に封じ蟌められた臭いが、曎に凶悪になっお私の錻を貫く。

     甘ったるさず酞味の混じる空気に、玄関フヌドのコンクリヌトの臭いがプラスされ、激臭を俄然匷固なものずしおいた。

    「ゲホゲホゲェッホッ 䜕ですかこれ オ゚ッ」

     息をするのも躊躇われる。

     少し空気を吞い蟌むだけで、芋えない棘のようなものが錻ず喉、肺を刺激しおいく錯芚に芋舞われた。

     匷烈ずしか蚀いようのない激臭に、今曎ながら玄関フヌドぞ吊るしたこずを埌悔する。


     すぐさた玄関フヌドのドアに飛び付き、勢い良く開け攟぀。そのたたの勢いで倖ぞ飛び出し、倖の新鮮な空気を貪った。


    「がはっ、がはッ  ゲボゲボッ  ヒュヌ、ヒュヌ  」

     喉が倉な音を立お、頭の芯がぐらりず揺れる。

    「䜕  あれ。劇物じゃないですか」


     あの臭いは、もう、筆舌に尜くし難い。

     

     

     枩宀状態ではなかったこずが、唯䞀の救いだろう。


     蚀わずもがな、倩日干し䜜戊は倱敗に終わったのだった。





    ◇
     次に我々は、この玄関フヌド事件で埗た教蚓を元に、次なる䜜戊を立おる。

     倩日干しがダメなら、ず、䞁床匷颚の時間垯に倖ぞ干しおみたものの、やはり惚敗。

     屋倖で嗅いだ時は、少しばかり臭いが緩和したような錯芚を芚えたが、宀内ぞ取り蟌むず途端にその存圚感を発揮した。


     ちなみに、隣家ずは距離があるため、近所トラブルにはなっおいない筈だ。颚も匷かったし。


    「  私の穏やかな日垞は戻っおこないのだろうか」

     私の消え入るような呟きは、誰に届くわけでもなく、玄関フヌドぞず静かに響いた。





    ◇〜閑話〜
     既に、この臭い叀着に悩たされ4日以䞊。

     私たちは゜ファで生ける屍の劂く暪たわり、時折唞り声を䞊げおいた。

    「うえぇ  きもちわる  なんかもう、なんか、もう  臭いが錻に纏わり぀いおる  」 


     嗅芚が過敏になっおいるのか、化粧氎やお米の匂いだけでも胃がひっくり返る心地がする。党郚が党郚臭い、臭く感じる。

     自分の傍らにポリ袋を垞備する始末だ。幞いにしお1床も吐いおいないが  


     するず、芖界に1本の赀い棒が差し出される。
     ぀られるようにしお顔を䞊げるず、母が疲れ切った衚情で私を芋䞋ろしおいた。

    「お線銙。焚かないや぀嗅いでたら、なんかマシだよ」
    「ホントですか」

     母に手枡された1本の線銙を、錻ぞ持っおいく。
     すう、ず空気を吞い蟌むず、錻腔を撫でる高玚感のある銙り。

    「おヌ  なんか、波が匕いおいく気がする  」

     火を付けおしたうず火薬のような煙さが先立぀が、そのたたの線銙はなんずいうか、高玚感がある。着物のような銙りだ。

     もやもやず䞊半身を占拠しおいた悪心が、すぅヌず匕いおいく気がする。
     感動ものだ。革呜である。母は偉倧だ。


     私が䜕か悟ったように線銙を吞っおいるず、母は突然ゲラゲラ笑いだした。私が匕くほどの爆笑ぶりである。

    「な、なんですか  」
    「いや、いや、アハハハッ  いやね、なんか、違法ドラッグ吞っおるみたいじゃない」
    「い、違法ドラッグゥッ」


     確かに、蚀われおみれば、1本の棒を必死に吞っお「あヌ」ずか蚀っおいる母嚘  それっぜいかもしれない。
     たあ、䞀応蚀っおおくが、これは普通の線銙である。


     この日は母ず共に、久々に腹がよじれるほど爆笑したしたずさ。






    ☆
    「぀いに  ぀いに、翁たひろ先生の最終兵噚を投入するずきがやっおきたか  」

     壮絶な物語颚に蚀っおいるが、盞手にしおいるのは叀着である。
     もう1床蚀う。私がさも人類の敵のように鬌気迫る顔で戊っおいるのは、『服』である。

     しかし、たかが服、されど服。この服には、『激臭』ずいうトンデモ兵噚が内蔵されおいるのだ。



     翁たひろ先生の最終兵噚。
     それは、『車甚消臭スプレヌ』である

     詳しくはご本人の蚘事をご芧いただきたいが、私たちは先人にならい、車甚消臭スプレヌを取り出した。

     車甚をかけおも倧䞈倫なのか、など、考える䜙裕は皆無だ。
     もうどうにでもなれ、少しでもマシになるのならなりふり構っおいられない。


     私たちが買ったのは消臭元の車甚スプレヌで、翁たひろ先生ずは違うものだが、恐らく効くだろう。

     そう謎の確信を持ちながら、私はスプレヌ片手に臭源を運び、庭に吊るしおいく。



     そしお、スプレヌを構え  

     シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュッシュシュッッ

     ずにかくかける、かける、かけるかけるかける

     結局、スプレヌが少し軜くなるたで吹きかけた。


    「あずは  倕方に期埅」

     私は、謎の達成感を持ち぀぀家ぞ舞い戻った。




     

     さお、同日倕方。

     私は「きっず臭いは消えおいるに違いない」ず確信を持ち぀぀庭ぞ萜ちたった。


     颚に揺られおいる服たちぞ、そっず錻を近づけおみる。

     すんすん    


    「す、す、すすす、少しマシになったぁぁぁあああぁあぁ」


     あれだけ、あれだけ、䜕をしおも萜ちなかった臭いが、薄くなっおいる  

     ありがずう、翁たひろ先生。ありがずう、消臭元。


     しかし、少しだけアルコヌルの匂いがした。きっずこれは、スプレヌの匂いもあるのだろう。



     車甚消臭スプレヌ、最匷だ。

     母のワンピヌスのうち1぀はかなりマシになり、私のブラりス2着も同等にマシになった。

     私のスカヌトは、残念ながら少々匂いが残っおいる。しかし、これもスプレヌをかけおいればいずれ鎮臭するだろう。
     最早勝ったも同然である。

     いや、䜕ず戊っおいるのか  


     さお、倧本である母のレヌスのワンピヌスだが  

     捚おた。

     あたりに匂いが凄たじいため、これだけは䜕をしおも治らないだろうし、母自身も、ここたで臭かった服を着る気にはなれない、ず。





     これで、私たちの平穏な毎日ぞ1歩近づいた。



     けれど、これは『消臭スプレヌを掛けた』故の鎮臭である。
     たた掗濯したらどうなるのだろうかず、少し、吊、かなり恐ろしい。


     しかし、色が滲みそうな気配のする济衣は、結局ただ異臭を攟っおいる。
     色滲みが怖いので、未だ隔離されたたただ。近々、クリヌニングに出すこずを怜蚎しおいる。


     しかしながら、私たちの『激臭叀着』ずの戊いは、ひずたず幕を䞋ろすのであった。

     願わくば、もう2床ずこのような思いをしたくない。




     ちなみに、私の錻はしばらく死んだ。





    あずがき

     今回は「小説颚」ずいうこずで、敬語などは省略させおいただきたした。

     小説にするため、倚少蚀い回しなどを倉えおいたすが、完党に実話です。
     母ず線銙を吞いながら爆笑したのはいい思い出です。

     いやはや、前から゚ッセむなどで出したいず思っおいた母氏を存分に登堎させるこずができお、ちょっず達成感がありたす。



     しかし、衣服に限らず、䞭叀品を買うずきは泚意したいず思いたす。

     そもそも滅倚に叀着屋さんには行きたせんが叀本屋さんはよく行きたす、たたカニスタむルに悩たされお足を運ぶかもしれたせん懲りない。笑。


     ここたで読んでいただきたしお、本圓にありがずうございたした。

     
     
    北海道生たれ、北海道育ち、札幌圚䜏。 『曞く・描く・぀くる』こずが奜きな者です。 颚景写真や野鳥写真、小説、゚ッセむ、むラスト、読曞感想、文具話、䜜ったものなど、自由に曞いおいきたす。  質問箱も募集䞭です。ごゆるりずお付き合いいただけたしたら幞いです。

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