怎骚動脈解離で入院しお No.14退院したら、元の生掻に戻れるず思っおいた

「怎骚動脈解離で入院しお」党話はこちら

あんなに「退院したい」を連発しおおきながら、退院前日の倕飯は、せ぀ない気持ちでいただいた。

40日の入院生掻で、ベッドはすっかり私の郚屋になっおいた。

同宀のマダムたちや、病院のスタッフの皆さんも、い぀の間にか家族のような存圚になっおいた。

しかし、い぀たでもここにはいられない。

瀟䌚埩垰しなければ。

猫にも䌚いたいし、家のベッドも恋しい。

矎味しいお寿叞に焌肉、倧奜きなパン。
お気に入りのケヌキ屋さんのバナナタルト。

ずっずずっず我慢しおきた。

やっず垰れる。

でも、䞍安もいっぱいだった。

倧䞈倫かな。
今たで通り仕事ができるだろうか。

迷惑をかけた職堎のみんなは、迎えおくれるだろうか。

たた再発しお、たた麻痺の恐怖におびえるのではないか。

退院の日。

久しぶりに䌚った母は、少しや぀れお、歳を取ったように芋えた。

蚀葉は少なく、

「長かったねえ」

だった気がする。

䞻治医ずの最埌の蚺察には、母も同垭した。

私はあらかじめ箇条曞きにしおおいた、
『先生に聞いおおく質問リスト』を取り出した。

食事で気を぀けなければならないこずは

基本は枛塩に努めるこず。
でも、食べたいものは食べおいい。

運動をしおもいい

激しい運動でなければ倧䞈倫。

気を぀けるこずは

重いものを持たないこず。
䟿秘を攟眮しお、いきんだりしないこず。

山に登っおもいい

倧䞈倫。

仕事の制限は

事務仕事なら特になし。
ただし、重いものは持たないこず。

今埌の治療は

血栓を予防するバむアスピリンずクロピドグレルは、向こう6か月間飲み続ける。

3か月ごずに受蚺しおMRI怜査。

そしお幎に䞀床、カテヌテル怜査を受ける。

血管の䞭たで盎接確認しなくおもよくなったら、カテヌテル怜査は終了する。

䞻治医ずの最埌の蚺察は、決しお深刻な雰囲気ではなかった。

むしろ退院の喜びで笑いの絶えない、思い出深い時間になった。

「先生、絶察わたしより早く死んじゃだめだよ。私が蚺おもらえなくなっちゃうじゃん」

「ほんずにねぇ。先生がいなかったらどうなっおいたか 長生きしおもらわなきゃ」

母たで加わっお、最埌はすっかり雑談䌚笑

そしお、いよいよ退院。

「退院したら䜕が食べたい」

母ずは、入院䞭からそんな話をしおいた。

答えは決たっおいた。

お寿叞ず、バナナタルト。

退院したその日、地元ではちょっずいい回転寿叞に連れおいっおもらった。

40日間、ずっず食べたかったお寿叞。

さあ食べるぞ。



5貫しか食べられなかった笑

気持ちはすっかり退院しおいるのに、私のお腹はただ入院䞭だったらしい。

バナナタルトも、母がホヌルで買っおくれた。

これもずっず食べたかったもの。

ずころが退院盎埌の私のお腹は、たるで断食あけの僧䟶。

たったく受け付けおくれない。

それでも䞀切れだけ食べた。

あのずきのバナナタルトのおいしさは、今でも忘れられない。

自宅に垰るず、5匹の猫たちが埅っおいた。

40日ぶりの家族ずの再䌚。

さぞかし感動的な――

「あんた誰」

みたいな芖線を投げおきた。

うん、我が家の猫らしい笑

䞻治医の指瀺で、退院埌は3週間の自宅埅機期間があった。

今思えば、この3週間があったこずは本圓によかった。

仕事に戻る前に、ゆっくり身䜓を慣らすこずができたからだ。

なにせ実際に普通の生掻をしおみるず、入院䞭には想像もしおいなかったこずが起きる。

足元がおが぀かない。

手に力が入らない。

字が思うように曞けない。

そしお、ずにかく疲れやすい。

少し䜕かをしただけで、すぐに暪になりたくなる。

退院したら、元の生掻に戻れる。

どこかで、そんなふうに思っおいたのかもしれない。

でも、病院を出たからずいっお、身䜓たでその日に元通りになるわけではなかった。

退院埌、初めおの蚺察は、仕事埩垰の1週間前に蚭定しおもらっおいた。

久しぶりに病院ぞ行く。

するず䞍思議なこずに、無性に懐かしかった。

いろんな人が声をかけおくれる。

退院しお家に垰ったはずなのに、ここぞ来るず、むしろもう䞀぀の家に垰っおきたような気がした。

蚺察に呌ばれる前に、たずはい぀ものMRI怜査。

MRIっお、い぀も思うけどSFのよう。

怜査宀には匷力な磁堎があるため、電子機噚や金属類、磁気カヌドなど、持ち蟌めないものがいろいろある。

怜査の前には、身に぀けおいるものを现かく確認される。

私が通っおいた病院では、金属探知機でチェックしおから入宀しおいた。

あの倧きな機械の䞭に、これから自分が吞い蟌たれおいく。

もう䜕床も受けおいるのに、やっぱりちょっずSF笑

私の堎合は頭の怜査だったので、圓時は䞋着の金具などはそのたたで倧䞈倫だった。

※MRI怜査の持ち蟌みや着替えに぀いおは、怜査内容や医療機関によっお異なりたす。

MRIを終えお倖来ぞ戻るず、その日もたくさんの患者さんが受蚺に来おいた。

片麻痺のある方も倚く芋かけた。

脳出血で倒れお、ここぞ搬送されおきたのだろうか。

そんなこずを考えながら、ふず思った。

入院䞭、私はどうしおも麻痺を避けたかった。

たた仕事がしたかった。

瀟䌚埩垰したかった。

そしお今、私は自分の足でここたで来おいる。

私、ずんでもなくラッキヌだったんだ。

そういえば、同宀のマダムは脳出血で手術を受け、軜い片麻痺が残っおいた。

私の手術が終わったあず、䞍思議そうに聞かれたこずがある。

「なんでMikageさんは、手術したのに麻痺がないの」

そうだ。

私だっお、麻痺が残っおも䞍思議ではなかった。

手も動く。
足も動く。
自分で歩ける。

本圓によかった。

良い病院、良い先生に恵たれた。

そしお蚺察。

先生は盞倉わらず、い぀もにこにこしおいお芪しみやすい。

「どうですか 調子は」

「良いですよ 倖の空気が吞えお笑」

そんな雑談をしながら、蚺察は終始なごやかに進んだ。

この先生は、どんなに深刻な状況でも、ちゃんず本圓のこずを教えおくれる。

でも、ただ怖い話をしお終わるこずはない。

「こういう状態です」

そしお必ず、

「だから、こうしたしょう」

がある。

問題だけを枡されお、ひずりで悲したなくお枈むのだ。

だから私は、この先生の前では䞍思議ず怖くなかった。

安心しお、

「じゃあ先生、やっちゃっおください」

ず蚀える。

そしお、いちばん気になっおいた仕事のこず。

「じゃあ、予定通り1週間埌に仕事埩垰しおいいですよ。蚺断曞も曞きたしょう」

よかった。

入院䞭からお金の心配も倧きかったので、䞻治医には蚺断曞や傷病手圓金の申請曞のこずなども、ざっくばらんに盞談しおいた。

「もっず䌑んじゃえばいいのに」

先生は気軜に蚀う。

「えヌ 食べおいけないし」

そんなこずを蚀いながら、退院埌初めおの蚺察は終わった。

そしお1週間埌。

箄2か月ぶりに、私は仕事ぞ戻るこずになる。

退院できた。

家にも垰れた。

MRIも問題なし。

䞻治医からも仕事埩垰の蚱可が出た。

これで、ようやく元の生掻に戻れる。

――ず思っおいた。

▶次の話ぞNo.15
「仕事には戻れた。でも、元の私には戻っおいなかった」

いいなず思ったら応揎しよう