椎骨動脈解離で入院してNo.20|2回目のカテーテル検査
2023年2月14日。
世間はバレンタインだった。
私はというと、2度目のカテーテル検査のために入院していた。
とはいっても、今回は1泊2日の検査入院。
体調が悪いわけでもない。
入院にもすっかり慣れたものだった。
「バレンタインに入院なんて……」
看護師さんや同僚には、少し哀れみの目で見られたけれど、私は全然気にならなかった。
むしろ今回は、ちょっと意気揚々としていた。
主治医から、この検査で経過が順調なら、今後は毎年カテーテル検査をしなくてもいいと言われていたからだ。
これで問題がなければ、しばらくカテーテル検査から解放される。
そんな気持ちで検査へ向かった。
カテーテル「検査」とはいっても、場所は手術をしたときと同じ手術室だ。
今回は、いつも主治医のそばにいる先生がメインでカテーテルを担当してくださるらしい。
それを聞いて、なぜか少し緊張感が増した。
何度来ても、この場所には慣れない。
手術室に入ると、いつも宇宙空間にいるような不思議な感じがする。
検査台へ上がるには、ステップを2歩上がる。
そこから自分の足で、検査台へ。
これが結構高い。
横に立っている先生や看護師さんの、ちょうど肩のあたりの高さに寝ることになる。
まるでエジプトの生贄の祭壇のようだ。
そして私は今回も、自ら祭壇へ上がった。
検査は、案の定問題なく終わった。
何人もの先生たちが、
「お疲れさま」
「何ともなくてよかったね」
と声を掛けてくれた。
この脳外科では、2階の半分と3階の全フロアが病室になっている。
前回のカテーテル検査入院では2階病棟だった。
今回は3階。
どうも私は2階が苦手だ。
なんとなく暗く感じる。
それに比べて3階は、ずいぶん明るい。
今回も「また来たの?」と、いろいろな職種の人たちが話しかけてくれた。
もちろん、掃除のおじさんも。
何度も入院するのは決してうれしいことではない。
でも、知っている顔があるだけで、病院という場所はずいぶん安心できる場所になる。
主治医もちゃんと病室まで足を運んで、声を掛けてくれる。
忙しいのに、わざわざ病室まで来てくれる。
患者にとっては、それがとてもありがたい。
尊い。
前回のカテーテル検査では、造影剤のアレルギーで、検査後にグルグルとひどいめまいに襲われた。
今回はその対策として、ステロイドを点滴しながら検査を受けた。
そのおかげか、検査後もまったく症状が出なかった。
先生から検査結果の説明も受けた。
……はずなのだけれど。
楽しい雑談ばかりしていたせいで、肝心の説明の内容をほとんど覚えていない。
たしか、
「これで今後、何もなければカテーテル検査のために入院しなくても大丈夫」
そんな話だったと思う。
とにかく問題なし。
それだけは、ちゃんと覚えている。
こうして、私のバレンタインは終わった。
チョコレートもなければ、ロマンチックな出来事もない。
でも、
「また来年もカテーテル検査」
ではなくなった。
私にとっては、チョコレートよりずっとうれしいバレンタインだった。
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