
F-35は世界最大級の情シス案件である
アメリカ空軍の基幹戦力であり、西側航空戦力の中核を担うF-35統合打撃戦闘機が、深刻な稼働率低下に直面している。出撃できない。空は飛べても、戦闘はできないなどの問題が起きている。(文字数9,050)

GAO (Government Accountability Office)※が、2026年6月に公表した報告書によれば、F-35全体のミッション可能率、MC Mission Capable)は2021年度の67%から2025年度には44%へ低下した。さらに、フルミッション可能率、FMC(Full Mission Capable)は38%から25%へ低下している。
※GAOとはアメリカ議会監査局(日本における「会計検査院」に相当、連邦政府の資金が適切かつ効率的に使われているかを調査・評価する、米連邦議会直属の独立した行政監視機関で、政策が期待通りの効果を上げているかを検証する「政策評価(業績監査)」に大きな強みを持っている。その厳格な調査姿勢から「議会の番犬(Watchdog of Congress)」とも呼ばれる)
MC (Mission Capable)とは、少なくとも一つの任務を遂行できる状態を指す。例えば、照準ポッド(レーザーレーダー)の不具合で対地爆撃はできないが、空対空戦闘なら問題なく出撃できる状態。
FMC (Full Mission Capable)とは、割り当てられたすべての任務を遂行できる状態を指す。全ての任務・戦闘要件を完全に実行できる状態。空対空戦闘(ドッグファイト)も、空対地攻撃(爆撃)も、全ての電子戦機能も100%完璧に作動する状態。
原因は色々あるが、ソフトウェアの更新滞留問題が大きい。
つまり、F-35は「4機に1機しか飛べない」という話ではない。より正確には、「4機に1機しか、F-35に求められる全任務を完全に遂行できる状態にない」という話である。
ここで連想したのが品川の情シス案件だ。品川港南口の巨大オフィスには大量のPCが存在する。IT業界にいた頃、これらの情シス案件があり、現場エンジニアから絶えず報告は受けていた。
PCは机の上にある。
電源も入る。
メールくらいは使えるかもしれない。
しかし、OS更新が終わっていない。業務アプリのバージョンが古い。VPNが繋がらない。セキュリティパッチが未適用。社内システムの権限設定が終わっていない。資産管理台帳と現物がずれている。ベンダー対応待ちの端末もある。
その場合、「PCは存在する」が、「社員がフル業務できる」とは言えない。今F-35で起きている事は、これに近いのではないか。
米軍の基地を見た訳ではない。
F-35の整備現場を知っている訳でもない。
しかし、GAO報告に並ぶ数字と、ソフトウェア遅延、部品不足、修理デポ不足、ベンダー依存という言葉を見た時、これを単なる軍用機整備の問題としてではなく、巨大情シス案件として読んだ。それは、品川の巨大オフィスでPC更新案件が滞留する構造と、驚くほど似ている。
以前、国際情勢記事で、F-35をF/A-35と呼ぶべきではないか、と書いた。そこでは、F-22とF-35の両方にパイロットとして搭乗したアメリカ空軍クリスティン・ベオ・ウルフ少佐は、英語インタビューの中で、F-35をFighter(戦闘機)と言わず、Attacker(攻撃機)と言っていた。
F-35をF-22の廉価版、あるいは純粋な制空戦闘機として見ると、本質を見誤るからである。F-22は、敵戦闘機を排除し、空を制するための機体である。一方、F-35はそれとは少し違う。もちろん空対空戦闘もできる。しかし、それだけを主任務とする機体ではない。
クリスティン・ベオ・ウルフ少佐が、F-35をFighter(戦闘機)と言わず、Attacker(攻撃機)と言う理由は、ステルス性能を用いて危険な敵基地や防空圏に接近し、対地攻撃任務を行う事が主眼だからだ。F-117ナイトホークやA-10サンダーボルト、AV-8B ハリアー IIの後継機でもあるからだ。
つまりF-35は、単なる戦闘機ではない。空を取るためだけの機体ではなく、敵の防空網、指揮系統、基地、地上目標に対して入り込む、統合打撃プラットフォームである。
ただし、ここにF-35の難しさもある。
F-35には、あまりにも多くの要件が詰め込まれている。制空戦闘、対地攻撃、電子戦、偵察、ステルス、センサー融合、データリンク、同盟国との共同運用。さらに、空軍型、海兵隊型、海軍型という三つの異なる運用形態まで一つの機体ファミリーにまとめようとしている。
これはIT案件として見れば、
かなり危険な要件定義である。
以下の分類は、AIに訊くと間違いとされる分類だが、こちらが正しい分類だ。上段が後継機で下段が引退機だ。
F-35A(空軍地上機)
F-117 ナイトホーク(ステルス機)
A-10サンダーボルト(攻撃機)
F-35B(海兵隊艦載機)
AV-8B ハリアーII(垂直離着陸機)
F-35C(海軍艦載機)
F/A-18A-D レガシーホーネット(空母艦載機)
F/A-18E/F スーパーホーネット(空母艦載機)
F-22ラプターはF-15イーグルの後継機、F-35ライトニングⅡはF-16ファイティング・ファルコンの後継機という解釈は、アメリカ空軍の現役パイロットであるクリスティン・ベオ・ウルフ少佐のインタビュー内容と一致しない。海外販売向きのセールスとしてそう言っていると取るべきだ。
AIも、公式だからという理由で、アメリカのセールス・トークをそのまま信じて採用しているが、現場レベルの運用では異なる事は知った方がいい。そもそもカタログ・スペックを見た時、これは戦闘機か?本当に対空戦闘に耐えられるのか?と疑問を持った。戦闘行動半径が狭過ぎるからだ。
旧版 F-15イーグル:F-16ファルコンファルコン=高級機:普及機
↓
新版 F-22ラプター:F-35ライトニングⅡ=高級機:普及機
上記セールス・トークは、要件を詰め込み過ぎな現状を隠すための言葉だと分かる。これはITではあるあるだ。そのまま信じて買ってはならない。(日本はもう購入済みで、運用しているけど。)
だから、この機体をITシステムの話に置き換えるなら、営業管理も、会計も、在庫管理も、人事も、顧客管理も、海外拠点対応も、セキュリティも、AI分析も、スマートフォン対応も、全て一つの基幹システムに統合して下さい、と言っているようなものだ。馬鹿か?
思想としては分かる。
共通化すれば、開発費を抑えられる。部品も訓練も整備も共通化できる。同盟国も同じ機体を使える。西側全体の航空戦力を一つのプラットフォームに載せる事ができる。
しかし、要件を詰め込みすぎたシステムは、必ず重くなる。
設計が複雑になる。
テストが長くなる。
バグが増える。
更新が遅れる。
現場ごとの例外が増える。
保守が難しくなる。
誰も全体像を把握しきれなくなる。
F-35も、この巨大IT案件に近い問題を抱えているのではないか。
だが、F-35を「アタッカー」と見るだけでも、まだ足りない。
GAO報告に示された稼働率低下を見ると、F-35はもはや航空機単体ではなく、世界各地の基地に分散配置された巨大IT資産として理解する必要がある。
F-35は、空を飛ぶ戦闘機である。
同時に、センサー端末であり、電子戦端末であり、ネットワーク端末であり、ソフトウェア実行環境でもある。だから、機体が存在する事と、戦力として完全に機能する事は別である。
品川の巨大オフィスにPCが何千台も並んでいても、OS更新、業務アプリ、セキュリティパッチ、VPN、権限設定、資産管理、ベンダー対応が終わっていなければ、社員はフル業務できない。
F-35も同じである。
機体は基地にある。
しかし、ソフトウェア更新が滞留している。部品が足りない。整備デポが詰まっている。ベンダー対応を待っている。更新後の検証が終わっていない。基地内の運用部門と整備部門の調整がついていない。その場合、F-35は「存在している」が、「全任務を遂行できる状態」にはならない。
ここに、今回のGAO報告を読むための鍵がある。


F-35の稼働率はどう悪化したのか
GAO報告で示されたF-35全体の稼働率は、次の通りである。

この数字だけを見ると、F-35そのものが失敗作であるかのように見えるかもしれない。しかし、そう単純ではない。
F-35は、単に空を飛び、ミサイルを撃つだけの戦闘機ではない。ステルス性能、高性能センサー、データリンク、電子戦、対空戦闘、対地攻撃、情報収集を統合した、巨大なソフトウェア定義型の戦闘システムである。
従来の戦闘機を「高性能な航空機」と呼ぶなら、F-35は「空を飛ぶ機密IT端末」に近い。だから、機体が基地に存在する事と、F-35としての全能力を発揮できる事は別である。
品川港南口の巨大オフィスで言えば、こうなる。
MCは、「メールだけは使える」「Excelだけは開ける」「一部の業務アプリだけは動く」状態である。FMCは、「メール、会計、顧客DB、VPN、社内システム、セキュリティ、全て問題なく使える」状態である。
F-35のFMCが25%というのは、要するに「机の上にPCはあるが、全業務に使える端末は4台に1台しかない」という状態に近い。
F-35A、F-35B、F-35Cで数字は違う
F-35には大きく三つの派生型がある。
空軍型のF-35A。
短距離離陸・垂直着陸が可能な海兵隊型のF-35B。
空母運用を前提にした海軍型のF-35C。
報道で整理されたGAOの数字を見ると、F-35AのFMC率は28.5%、MC率は38.6%である。FMC率だけ見れば三タイプの中では最も高いが、MC率はかなり低い。
一方、F-35BやF-35Cは、MC率ではF-35Aより高い数字を維持しているが、FMC率はおおむね15%前後に落ちている。
これは、単純に「どの型が優秀か」という話ではない。
むしろ、F-35がいかに複雑な統合システムであるかを示している。
飛べる機体はある。何かしらの任務はできる。しかし、すべての任務をこなせる完全状態にはならない。品川港南口の巨大オフィスで言えば、部署ごとにPCの状態が違うようなものだ。
営業部のPCはメールと顧客管理システムだけは動く。
経理部のPCは会計ソフトは動くがVPNに問題がある。
技術部のPCは高性能だが、開発環境のバージョンが揃っていない。
役員フロアの端末はセキュリティ設定が厳し過ぎて、逆に業務が止まる。
それぞれ「使える」と言えば使える。
しかし、会社全体としては完全な業務状態ではない。
F-35も同じである。


TR-3とBlock 4は、戦闘機のアップデートではなく巨大IT更改である
F-35の問題を考えるうえで重要なのが、TR-3とBlock 4である。
TR-3、Technology Refresh 3は、F-35の処理能力や表示系、センサー処理などを更新するためのハードウェア・ソフトウェア更新である。Block 4は、F-35の能力をさらに拡張する近代化パッケージであり、TR-3はその前提になる。
ここで重要なのは、これは単なる部品交換ではないという事だ。
PCで言えば、古い端末にメモリを増設し、CPUを更新し、OSを入れ替え、業務アプリも新バージョンにし、さらに社内ネットワークとの接続確認を行うようなものである。
普通の会社でも、
これを数千台規模でやれば炎上する。
端末は届いた。
しかし、OSイメージが安定しない。
業務アプリが新OSに対応していない。
セキュリティソフトとの相性が悪い。
部署ごとの業務要件が違う。
現場は「今このPCを止められると困る」と言う。
ベンダーは「契約範囲外です」と言う。
情シスは夜間作業を組む。
それでも、翌朝には一部端末がログインできない。
これが、戦闘機で起きていると考えると分かりやすい。
F-35の場合、ソフトウェア更新の遅れは、単なる快適性の問題ではない。任務能力そのものに直結する。GAO報告では、ソフトウェア遅延により、非ミッション可能な新造機を受け入れた事が即応率低下の要因として挙げられている。
つまり、機体は納入された。
しかし、戦闘機として完全な状態ではない。
訓練には使えるかもしれない。
だが、戦闘任務にはまだ出せない。
これは、まさに「PCは配られたが、業務に入れない」状態である。
スペアパーツ不足と修理デポ不足は、情シスで言えば在庫・保守体制の不足である
もちろん、F-35問題はソフトウェアだけではない。
GAOは、スペアパーツ不足、修理能力の不足、整備拠点であるデポの能力不足、産業基盤の制約、請負業者依存を指摘している。
これは戦闘機の世界では「サステインメント」の問題である。
日本語で言えば、維持・補給・後方支援の問題である。
だが、これも情シスに置き換えられる。
PC本体はある。
しかし、交換用SSDが足りない。
予備バッテリーがない。
保守ベンダーの対応枠が埋まっている。
修理センターが混雑している。
端末管理台帳が正確でない。
どの部署にどの機種が何台あるのか、リアルタイムで分からない。
この状態では、故障端末は戻ってこない。
パッチ未適用端末も放置される。
結果として、会社全体の稼働率は下がる。
F-35でも同じである。
機体の数を増やすだけでは、戦力は増えない。
部品、整備員、修理拠点、ソフトウェア更新、検証環境、ベンダー対応、運用計画が揃って初めて、機体は戦力になる。
F-35は「買えば終わり」の戦闘機ではない。
「買ってから維持し続ける」巨大IT資産である。


問題は、米軍がF-35をITプロジェクトとして見切れているかである
ここからがソリューションである。
F-35の稼働率低下は、スペアパーツ不足やデポ不足だけで説明できる問題ではない。もちろん、それらは重大である。だが、現状の稼働率を上げるためには、もう一つ別の見方が必要になる。
F-35を、基地ごとの情シス案件として見るべきではないか。
品川港南口の巨大オフィスにPCを何千台も展開する場合、必要なのはエンジニアだけではない。現場を回る営業、PM、PMO、情シス、ベンダー調整役が必要になる。
なぜなら、現場は縦割りで動くからである。
情シスは「端末更新はしました」と言う。
ネットワーク担当は「回線は正常です」と言う。
業務部門は「この端末は今使うので止められません」と言う。
ベンダーは「次回対応は来週です」と言う。
購買部門は「発注処理中です」と言う。
管理部門は「台帳上は対応済みです」と言う。
しかし、現場に行ってみると、社員はフル業務できていない。
F-35でも同じ事が起きている可能性がある。
整備部門は、物理整備を行う。
ソフトウェア担当は、更新パッケージを用意する。
運用部門は、訓練計画を守ろうとする。
補給部門は、部品発注を進める。
ロッキード・マーティンなどのベンダーは、契約範囲で対応する。
司令部は、稼働率改善を求める。
だが、誰かが基地単位で全体を握らなければ、FMCは上がらない。
解決策は、基地巡回型のIT営業と、基地ごとの更新PMである
では、現状でF-35の稼働率を上げるには何が必要か。
新しい戦闘機を買う事ではない。
さらに高性能な機能を追加する事でもない。
まず必要なのは、今ある機体をFMCに戻す事である。
そのためには、基地ごとにF-35更新PMを置くべきである。
そのPMは、機体ごとに次の項目を管理する。
現在のソフトウェア状態。
TR-3対応状況。
Block 4関連の更新状況。
部品待ちかどうか。
ベンダー待ちかどうか。
試験飛行待ちかどうか。
運用部門が機体を更新作業に出せるかどうか。
FMC復帰予定日。
責任者。
ボールを持っている部署。
これは戦闘機の整備表というより、IT案件の進捗管理表である。
さらに、基地を横断して見て回る巡回型のIT営業・PMOが必要になる。
この人材の役割は、単に技術作業をする事ではない。現場を歩き、どこで止まっているかを見る事である。
この基地は、
整備員が足りない。
この基地は、
ソフトウェア更新を仕切るPMが弱い。
この基地は、
ベンダーとの調整が止まっている。
この基地は、
部品待ちと言っているが、
実際には承認待ちで止まっている。
この基地は、
運用部門が機体を作業に
出さないため更新が進まない。
この基地は、
更新後の検証フローが詰まっている。
こういう現場の詰まりは、
机上の報告書だけでは見えにくい。
SES営業や
IT営業の仕事は、
本来ここに近い。
現場を見て、
足りない人材を見立てる。
PMが必要なのか、インフラ技術者が必要なのか、構成管理ができる人が必要なのか、ベンダーコントロールができる人が必要なのかを判断する。
そして、人を引っ張ってくる。
止まっているボールを動かす。
部門間交渉をする。
責任者を明確にする。
F-35の稼働率改善にも、これと同じ発想が必要ではないか。
基地ごとのFMC復帰リストを作る
具体的には、全基地で次のようなリストを作るべきである。

これは単なる管理表ではない。
戦力回復表である。
重要なのは、機体ごとに「なぜFMCではないのか」を明確にする事だ。
部品がないのか。
ソフトウェアが古いのか。
更新後の検証が終わっていないのか。
ベンダー待ちなのか。
作業員が足りないのか。
運用部門が機体を出せないのか。
責任者が不明なのか。
原因が分かれば、対処できる。
全部は解決できない。
スペアパーツ不足や修理デポ不足のように、短期ではどうにもならない問題もある。
しかし、全てが物理的制約で止まっている訳ではない筈である。
部門間調整、工程管理、優先順位付け、ベンダー交渉、作業枠確保、人材投入で改善できる機体もある筈だ。
そこを拾うだけでも、基地単位の稼働率は上がる可能性がある。
F-35問題は、現代戦が「情シス化」した事を示している
F-35の問題を見て、「やはり高性能兵器は複雑すぎる」と言うのは簡単である。だが、それだけでは足りない。現代兵器は、すでに巨大ITシステムである。
戦闘機は、機体であると同時に、センサー端末であり、ネットワーク端末であり、電子戦端末であり、ソフトウェア実行環境である。だから、戦闘力は機体性能だけで決まらない。
ソフトウェア更新。
構成管理。
部品在庫。
修理デポ。
ベンダー管理。
現場PM。
基地ごとの運用調整。
同盟国との仕様差。
これらすべてが戦闘力になる。
F-35は、世界最強クラスの戦闘機と言われている。(主な運用目的は攻撃機だけど)だが、世界最強クラスであるがゆえに、世界最強クラスの情シス運用を要求している。ここに問題の本質がある。
F-35は失敗作なのではない。(あるいは失敗作と気が付かれていない。運用重過ぎ)むしろ、現代兵器がどこまで複雑化したかを示す、最先端の事例である。そして、その複雑さに対して、人間の組織、PM、補給、整備、契約、IT運用が追いついていない。こういう事は至る処で起きている。

結論:F-35を飛ばすには、戦闘機整備だけでは足りない
GAO報告が示したF-35の稼働率低下は、単なる軍事ニュースではない。
それは、現代の安全保障が「機械の時代」から「巨大システム運用の時代」へ移った事を示している。
機体はある。
性能も高い。
しかし、ソフトウェアが更新されていなければ、部品が足りなければ、修理デポが詰まっていれば、ベンダー対応が遅れれば、基地内の部門調整ができなければ、その機体はFMCにならない。
品川の巨大オフィスで、PCが机の上にあるだけでは社員が仕事をできないのと同じである。F-35は戦闘機である。だが、それだけではない。
F-35は、世界各地の基地に分散配置された、巨大なIT資産でもある。そして今起きているのは、世界最大級の情シス案件の滞留である。だから、稼働率を上げるためには、整備士だけでは足りない。
基地ごとの更新PM。
基地を巡回するIT営業型の調整役。
機体ごとのFMC復帰リスト。
部品、ソフトウェア、ベンダー、運用部門を横断するPMO。
そして、足りない人材を現場に投入する仕組み。
これが必要になる。
F-35の問題は、「最強戦闘機をどう作るか」ではなく、「最強戦闘機をどう維持するか」という問題である。そして、その答えは意外なほど、品川の巨大オフィスの情シス案件に似ている。
要件を詰め込み過ぎて、システムが重いという問題は、極めて重大で、到る処で発生しており、解決すべき問題だろう。人類はシステムを構築し、あまりに文明を重たくし過ぎた。システム運用が困難だ。
この火を使う事から始めた文明は、運用するには重たくなり過ぎているので、もう別の文明モデルを考えるべきだろう。でないと自重で崩壊する。
次の記事で、別の文明モデルついて取り組みたい。
瑠璃ノ蒼の市場論・技術論・文明論 パート3
前回記事はこちら
瑠璃ノ蒼の市場論・技術論・文明論 パート1
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以上