
品性という言葉を知らない(第4話)連載小説
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クレール山手デンタルオフィス休憩室。
杏奈は近くのカフェで買ったサンドイッチとカフェラテのランチをとりながらスマートフォンを眺める。
休憩室の扉が開いた。
「あー、杏奈さん!おつかれさまです!今日は中で食べてたんですね!私たち新しくできたガレットのお店行ってきたんです。」「杏奈さーん!ここにいたんですね!探したら見つからなくって…次は杏奈さんも一緒に行きましょうね!」
同僚たちが笑顔で声を掛けてくる。
「うん。ありがと。」「今日は中で軽く食べたかったんだ。」
杏奈はそう答えてスマートフォンに視線を戻す。
「男のこと、持ち物のこと、どれもこれもハイスぺ狙ってる割りには自分が低スペだってお分かりなのかな?だからつるんでランチ行くなんて無理。ちゃんと仕事してくださいねー」
Xに投稿する。
こないだのバスコンの時も思ったけど、昔から私って女友達がいない。
いないというより、欲しくないし、もっと言えば必要ない。
ピンとこないんだよね。本音で話せないし、
私のこと妬んでるんだろうなーって子供の頃から感じてる。
だから男友達といたほうが100倍気が楽。
でも高校生ぐらいの頃から感じてる。最初は男女関係なく友達だって思っていたのに、ある日突然告白してくるんだよね。本当に勘弁してほしい。
“女”として見られてるって分かった瞬間に心のシャッター閉じるし、二度と会わない。
だから、今まわりにいるような、たまに高いお店連れてってくれたり、割り切った関係のほうが楽。
そんなことを考えながら、「ふぅ…」とため息をつきながら食後の歯磨きにトイレに立った。
19時。
仕事が終わって家に向かう地下鉄の中。
スマートフォンに通知がついた。
DMだった。
「はじめまして。都内のアパレル勤務のリサです。
いつも投稿見てます。石垣島でSUPヨガするの、ぜひご一緒したいです!」
杏奈の口元がゆるむ。
「よしよし。この子はよさそう!アパレルだから、スタイルも顔もいいねー。
SUPヨガの写真も映えるの間違いないわ!」
リサのプロフィールや投稿されている写真をくまなく見てにんまりする。
「はじめまして。アンナです。メッセージうれしいです!
ぜひ一緒に石垣島行きましょ!たぶん私のほうがお姉さんぽいけど…気にせず仲良くしてください!ため口で話そうね♡」
こんなもんでいいかぁ。送信ボタンを押す。
リアルな友達より全然楽。
SNSで旅行がてら一緒にアクティビティやる子募ったら、
けっこうDMくる。
嫌だったら1回こっきりで遊ばなきゃいいし、
ビジュよければ何度も遊べばいいだけの話。
私の投稿を彩ってくれるから!
それにしてもこないだの子はひどかったー。
写真盛り過ぎてて実物ブスだし、デブだから一緒に撮った写真ひとつもあげれなかった。なんか損した気分だったよね。
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