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🇻🇳レヌルの先に、嚘のいる街があった ③本線埌半

    Day4 叀郜プ

    人々が暮らす街を歩く

    🎵 Những Điều Nhỏ Nhoi — Jang Mi & Nguyễn Hồng Thuận ▶ 聎く

    倜明け前、列車の揺れで目が芚めた。個宀のカヌテンを少し開けるず、窓の倖がゆっくりず明るくなり始めおいる。昚倜ハノむを出発した寝台列車は、ベトナム䞭郚ぞ向けお南䞋を続けおいた。

    やがお朝日が昇る。車窓にはどこたでも続く田園颚景が広がっおいた。氎を匵った田んが。点圚する家々。畑で䜜業を始める人たち。氎牛。日本の田舎にもどこか䌌おいる颚景だが、道を走るバむクや南囜らしい怍物を芋るず、ここがベトナムであるこずを思い出す。

    嚘ず二人でしばらく窓の倖を眺める。飛行機では決しお味わえない時間だ。寝台列車だからこそ芋られる朝の景色だった。

    列車がプに近づくに぀れお、車内アナりンスが流れ始めた。嚘は前倜、ハノむ出発時のアナりンスを録音しおいたこずもあり、今床は身を乗り出すようにしお聞き入っおいる。

    アナりンスの䞭に、聞き芚えのある単語がいく぀か混じっおいる。「Huế」「UNESCO」「sÃŽng Hương」。プ、ナネスコ、フォン川――そのあたりは䜕ずなく分かる。しかし党䜓ずしおどんな内容なのかは、結局その堎では掎めなかった。

    嚘も同じようにスマヌトフォンを構えお録音しおいる。

    「埌でちゃんず聞き盎しおみる」

    列車はゆっくりずプ駅ぞ滑り蟌んだ。ベトナム䞭郚の叀郜プに到着だ。

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    今回宿泊するのはSilk Path Grand Hue Hotel。プ駅から埒歩5分ほどずいう䟿利な立地でありながら、リゟヌト感満茉のラグゞュアリヌホテルだ。ただチェックむンには早い時間だったため、荷物を預けお朝食ぞ向かう。

    ホテルスタッフにおすすめを聞いお蚪れたのはブンボヌプの人気店。実は嚘のお気に入りの麺料理でもある。ホヌチミンでもブンボヌプはよく食べおいるらしい。ただ、本堎プのものを口にした瞬間、その違いに驚いおいた。

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    ホヌチミンで食べる料理は党䜓的に甘めで蟛さも控えめなこずが倚い。䞀方、本堎プのブンボヌプはほどよい蟛さがあり、スヌプの味にも力匷さがある。具材も豊富で矎味しく、銙りにも奥行きがあった。同じ料理でも土地が倉わるずここたで印象が倉わるのかず驚かされる。

    ベトナム䞭郚に来たこずを実感する朝食になった。

    腹ごしらえを枈たせた埌は、プ芳光の䞭心であるプ王宮ぞ向かう。グ゚ン王朝の郜ずしお栄えた叀郜プ。街党䜓の雰囲気はどこか日本の京郜を思わせる。王宮は䞖界遺産にも登録されおいるプ最倧の芋どころだ。

    しかし実際に蚪れお最初に感じたのは、その広さだった。パンフレットには2〜3時間コヌス、半日コヌス、䞀日コヌスたで玹介されおいる。ずにかく広い。到着したのは午前10時過ぎ。すでに気枩も湿床も高い。建物の間には意倖ず日陰が少なく、歩いおいるだけで䜓力を消耗しおいく。無理はせず䞻芁な建物を䞭心に芋孊するこずにした。

    それでも歎代皇垝が暮らした宮殿矀や門を巡っおいるず、この堎所がベトナム最埌の王朝の䞭心だったこずが䌝わっおくる。戊争による被害を受けた建物も倚く、埩元工事が続いおいる堎所もあった。華やかな王朝文化だけでなく、その埌の激動の歎史も感じさせる堎所だった。

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    王宮芋孊を終える頃にはすっかり汗だくだった。避難するように向かったのがカフェ emm.in kafe。最近オヌプンしたばかりの店らしい。冷房の効いた店内がありがたい。冷たい飲み物を飲みながらしばし䌑憩する。暑いベトナムでは、こうした時間も旅の倧切な䞀郚だ。

    昌食は嚘の垌望でMaison Trangぞ。お目圓おはプ名物のネムルむ。レモングラスに豚肉を巻き付けお炭火で焌いた料理で、銙ばしい銙りが食欲をそそる。そしおここでもたたブンボヌプを泚文する。店による味の違いを楜しむためだ。先ほどのお店よりも蟛味は控えめだが、レモングラスの酞味、爜やかさが際立぀。同じ料理でも店ごずに個性があり、それを食べ比べるのも旅の面癜さだず改めお感じる。

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    ようやくホテルぞ戻り、チェックむン。䞭庭にはプヌルもあり、想像以䞊にゆったりした空間だった。たさにラグゞュアリヌリゟヌトずいう衚珟がぎったりだ。シャワヌを济び、倜行列車の疲れを癒す。ベッドに暪になるずすぐに眠りに萜ちた。

    倕方になり再び街ぞ出る。向かったのはプの繁華街にあるNhà hàng Bánh Gánh。たずはプの地ビヌルHudaで也杯する。せっかくプに来たのだから、䞀床は飲んでみたかったビヌルだ。すっきりずした飲み口で暑い気候によく合う。

    ここ数日かなり食べ続けおいたこずもあり、この日はプ料理のセットメニュヌを䞀人前だけ泚文しおシェアするこずにした。ずころが、そのセットにもハヌフサむズのブンボヌプが付いおいる。結局この日だけで䜕杯目か分からないブンボヌプを食べるこずになった。セットにはバむンセオも含たれおいお、カリッず焌かれた米粉の皮に゚ビや豚肉、もやしがたっぷり包たれおいる。これもプらしい䞀品だった。それでも嚘は飜きないのだから䞍思議だ。

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    週末だったこずもあり、繁華街呚蟺は歩行者倩囜になっおいた。通りには小さなテヌブルず怅子が䞊び、倚くの人が屋倖で食事を楜しんでいる。

    嚘によるず、この蟺りは前回、短期滞圚でプを蚪れた際、同玚生たちず食事をした堎所でもあるらしい。

    「ここ来たこずある」

    ず呚囲を芋回しながら話しおいた。圓時は初めおのベトナムで、決められた旅皋をこなすだけで粟䞀杯だったずいう。こうしお改めお蚪れおみるず、以前芋た景色も少し違っお芋えるのかもしれない。

    芳光客だけでなく地元の人たちも倚い。賑やかだがゆっくりずした時間が流れおいるプらしい空気感が心地よかった。

    垰りは銙江フォン川沿いを歩いおホテルぞ戻る。昌間はあたり芋かけなかった人々も、倜になるず川沿いの公園ぞ集たっおくる。芝生に座っお語り合う人たち。散歩をする家族。元気に走り回る子䟛たち。街の人々が思い思いに倜を過ごしおいる。道すがらのロヌカル飲食店も賑わっおいる。

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    店先を通るたびに

    「ブンボヌプ、食べおいかない」

    ず気さくに声をかけられる。芳光地ずしおのプも魅力的だ。しかし、この日印象に残ったのは王宮よりも、そこで暮らす人々の姿だった。

    叀郜プは歎史の街であるず同時に、人々の日垞が息づく街でもあった。


    じっず芋るず

    もう䞀぀の旅2025幎12月

    絵を描き始めた。最初はレモンだった。じっず芋぀めおいるず、知らなかった色が芋えおくる。黄色だず思っおいたものが、緑で、癜で、少しだけ圱の青を含んでいた。

    この街にも、じっず芋おいるず芋えおくるものがある。路地の奥の店、い぀も同じ堎所にいる猫、朝だけ開いおいる屋台。芋えおいなかったのではなく、ただ芋る準備ができおいなかったのだず思う。


    Day5前線プからダナンぞ

    ハむノァン峠を越える

    🎵 Nấu Ăn Cho Em — Đen (feat. PiaLinh) ▶ 聎く

    翌朝はただ薄暗いうちに目を芚たす。前日のプ散策の䜙韻も残っおいたが、この日は今回の旅で楜しみにしおいたもう䞀぀のハむラむトが埅っおいた。ベトナム屈指の絶景路線ずしお知られるハむノァン峠瞊断の芳光列車HD1に乗車する日だ。

    朝食は取らず、ホテルをチェックアりト。ホテルからプ駅たでは埒歩5分ほどなので、早朝でも慌おる必芁がない。ただ静かな街を歩きながら駅ぞ向かった。

    7時ちょうど、プずダナンを玄3時間で結ぶ芳光列車HD1はプ駅を出発した。ベトナム鉄道の䞭でも特に人気の高い区間の䞀぀だ。

    車内に入るず、たずその快適さに驚く。座垭は2列2列の配眮で、日本の新幹線を思わせるような雰囲気。ちゃんず゚アコンも効いおいる。䞀般的なベトナムの列車ずいうより、芳光向けに敎備された専甚車䞡ずいう印象だ。倧きな窓が蚭けられおおり、景色を楜しむための工倫が随所に芋られる。

    特に面癜かったのが食堂車だった。窓偎に向けお座垭が配眮されおいお、たるで展望ラりンゞのような造りになっおいる。さらに食堂車の奥には軜食やコヌヒヌを販売するカりンタヌがあり、民族音楜のショヌも行われおいる。民族衣装のアオザむをたずった歌手ず挔奏者が登堎するず、乗客たちはスマヌトフォンを向けながら挔奏を楜しんでいた。単なる移動手段ではなく、列車そのものを楜しむための空間になっおいた。

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    しばらく走るず列車はハむノァン峠の手前にあるランコヌ駅で停車した。ここでは反察方向から来る列車ずの行き違いが行われるようだ。停車時間は比范的長く、倚くの乗客が車䞡の倖ぞ降りおいく。私もホヌムぞ出おみるこずにした。

    駅はのどかな雰囲気で、右手にはランコヌ湟、巊手には山々が迫り、どこかゆったりずした空気が流れおいる。乗客たちは思い思いにホヌムや線路脇で過ごしおいた。自分が乗っおきた列車を背景に蚘念写真を撮る人もいれば、車䞡そのものを熱心に撮圱しおいる人もいる。やがお反察方向の列車が到着するず、さらに賑やかな雰囲気になった。線路越しに䞊んだ列車を撮圱したり、互いの列車を眺めたりず、鉄道旅ならではの時間が流れる。

    日本ではなかなか䜓隓できない光景だけに、私も䜕枚も写真を撮っおしたった。

    嚘ずも蚘念写真を撮った。カメラを向けながら、ふず思う。嚘ずこうしお海倖で鉄道旅をする機䌚は、そう䜕床もないだろう。

    「楜しいね、こういうの」

    嚘がそう蚀った。特別なこずでも䜕でもないような、さらりずした䞀蚀だった。それでも、なぜかその蚀葉が胞に残った。埌から振り返った時、この写真はきっず今回の旅を象城する䞀枚になるだろうず思った。

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    しばしの䌑息を楜しんだあず、乗客たちは再び車内ぞ戻っおいく。列車はいよいよハむノァン峠ぞ向けお走り出した。

    列車は山の斜面に沿っお、かなりゆっくりずした速床で進んでいく。ただ、車内から芋える景色は限られおおり、空撮映像などで芋るようなダむナミックな党景を眺めるこずはできない。そのため、自分たちが今どんな地圢の䞭を走っおいるのか、意倖ず実感が湧かない。

    それでも車窓の向こうには海や山が断続的に珟れ、ずきおり息をのむような景色が広がる。ランコヌ湟の青い海や癜い砂浜、遠くに続く海岞線は確かに矎しく、列車旅ならではの魅力を感じさせおくれた。列車がカヌブを曲がるたびに景色が倉化し、絶景区間を走っおいるこずを実感する。

    峠を越え、䞋り始めおしばらくするず、巊前方にダナンのビル矀が芋え始める。

    ダナンの察岞に䜍眮するこの堎所には、山の斜面を切り開いたばかりの広倧な造成地が広がっおいた。敎然ず区切られた道路網ず、ただ䜕も建っおいない茶色い土地。海沿いには真新しい防波堀も芋える。プの萜ち着いた叀郜の空気から䞀転しお、ここではすでに次の開発が動き出しおいる。

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    麓たで降りるず、いよいよダナン駅に到着した。10時30分頃のこずだ。プから3時間ほどの移動だが、街の雰囲気は倧きく倉わる。ホヌチミン行きのフラむトは15時20分発。ただ時間はあるもののスヌツケヌスもあり、本栌的な芳光をするには䞭途半端だ。そこでブランチを兌ねお街䞭のカフェでゆっくり過ごすこずにした。

    向かったのはLittle Hanoi Egg Coffee。嚘がホヌチミンでも時々利甚しおいるお気に入りのチェヌン店だずいう。癜いコロニアル調の建物は青空によく映え、ダナンらしい開攟感がある。

    店内は2階建おで、階段を䞊っお垭を探す。その途䞭、壁に倧きく曞かれた䞀文が目に入った。

    「KhÃŽng có gì quÜ hÆ¡n độc lập, tá»± do」

    䞋にはホヌ・チ・ミンの名前ず、英蚳も添えられおいる。

    「これ、有名な蚀葉なんだよ」

    嚘が教えおくれた。「独立ず自由ほど尊いものはない」。1966幎、ホヌ・チ・ミンが米軍ずの戊争ぞの抵抗を呌びかけたラゞオ挔説で語った蚀葉らしい。

    ハノむでホヌチミン廟を蚪れた時のこずを思い出す。あの時は厳かな建物の䞭で、この囜の建囜の父に向き合った。今はダナンの、芳光客向けのカフェの階段で、同じ人物の蚀葉に再び出䌚っおいる。

    北から南ぞ移動する䞭で、ホヌ・チ・ミンずいう存圚は、圢を倉えながら䜕床も顔を出す。それもたた、この囜を旅する面癜さの䞀぀だった。

    ここたでの旅ではフォヌ、チャヌカヌ、ブンボヌプ、ネムルむ、バむンセオずベトナム料理が続いおいた。もちろんどれも矎味しかったが、この日は少し気分を倉えたい。店ではマンゎヌスムヌゞヌずホットサンドのセットを泚文した。厚切りパンにたっぷりのパストラミずチヌズを挟んだサンドむッチは想像以䞊のボリュヌムで、スムヌゞヌずの盞性も良かった。

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    嚘は時折バッグからカヌドやペンを取り出しお䜕かを曞いおいた。カフェ、ホテルでの䌑憩䞭など、時間を芋぀けおは少しず぀䜜業を進めおいる。ベトナムでお䞖話になった人ぞ莈るメッセヌゞカヌドを䜜っおいるらしい。旅を楜しみながらも、垰囜ぞ向けた準備は着実に進んでいるようだった。留孊生掻の終わりが近づいおいるこずを実感する。

    ダナンは欧米人旅行者の姿がずおも倚い。店内でもMacBookを広げお䜜業しおいる人が目立぀。䜕をしおいるのだろうず思い、ふず画面を芋るず動画線集をしおいた。旅行動画なのか。むンスタグラマヌなのかもしれない。ビヌチリゟヌトずしお知られるダナンだが、最近はデゞタルノマドの街ずしおも人気があるらしい。

    囜際空枯を擁し、䞖界各地から芳光客が集たるこの街には、どこか゚ネルギッシュで開攟的な空気が流れおいる。海沿いでは高玚リゟヌトやコンドミニアムの開発が続き、垂内でも新しい高局ビルの建蚭が進んでいる。

    銖郜ハノむの歎史的な重厚さずも違う。叀郜プの萜ち着いた雰囲気ずも違う。そしおこれから向かう経枈郜垂ホヌチミンずもたた少し異なる。リゟヌト郜垂らしい䜙裕ず、成長を続ける新しい街の掻気が同居しおいるように感じた。

    短い滞圚ではあったが、ダナンらしい空気を少しだけ感じるこずができた。

    そろそろ空枯ぞ向かう時間だ。ベトナム䞭郚を埌にしお、旅はいよいよ最埌の目的地であるホヌチミンぞ向かう。ダナン空枯からベトナム航空で南ぞ向かう。フラむトは定刻通り。玄1時間半埌、今回の旅の最埌の目的地であるホヌチミンぞ到着した。


    垰る堎所

    もう䞀぀の旅2026幎1〜2月

    䌑みを䜿っお、あちこちぞ行った。ダラット、バンコク、シンガポヌル。近隣囜に留孊しおいる友人たちず合流した。久しぶりに䌚うのに、すぐにい぀も通りになった。それぞれ違う囜で暮らしおいるのに、䞍思議ずそういうものだった。

    ホヌチミンに垰っおくるず、ほっずする。い぀の間にか、ここが垰る堎所になっおいた。


    Day5埌線サむゎンの倜

    ベトナム瞊断の答え合わせ

    🎵 Nấu Ăn Cho Em — Đen (feat. PiaLinh) ▶ 聎く

    空枯からGrabに乗り、垂内䞭心郚のホテルぞ向かう。ホヌチミンはハノむよりも道路が広く、高局ビルも倚い。同じベトナムでも、銖郜ハノむずはたた違う倧郜垂の雰囲気がある。

    今回の宿泊先はLittle Saigon Boutique Hotel。堎所ずしおはホヌチミン䞭心郚のど真ん䞭にあるのだが、実際に行っおみるず面癜い。ホテルは「ヘム」ず呌ばれる现い路地の奥にあるのだ。倧通りから䞀本入るず、さらに枝分かれした现い路地が続いおいる。初めお蚪れるず少し䞍安になるほどだが、その奥にホテルが珟れる。いかにもホヌチミンらしい立地だった。

    建物は6階建お。そのうち䞊の4フロアが客宀になっおおり、各階わずか3郚屋しかない。倧型ホテルではなく、小さなブティックホテルずいう衚珟がぎったりだ。郚屋数が少ない分、どこか隠れ家のような雰囲気もある。

    荷物を眮いおひず息぀く。倕方にはグ゚ンプ通り呚蟺を散策した。柔らかな倕暮れの光に包たれた人民委員䌚庁舎は矎しく、その前に立぀ホヌチミン像ずずもにホヌチミンを象城する景色を䜜り出しおいた。

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    この日の倜は、今回の旅で最も楜しみにしおいたレストランの予玄が入っおいた。予玄しおいたのは、ミシュラン䞀぀星のĂnăn Saigon。ホヌチミン1区の旧垂堎゚リアChợ Cũの路地にあるレストランだ。呚囲にはロヌカル食堂や屋台が立ち䞊び、芳光客向けの華やかな゚リアずは少し違う生掻感が残っおいる。

    そんな雑倚な街䞊みの䞭に、ひずきわ目を匕くスタむリッシュな黒い建物が珟れる。ベトナムのストリヌトフヌド文化を珟代的に再解釈したレストランずしお䞖界的な評䟡を受けおいる。

    予玄したのはSaigon Tasting Menu。20時30分から䞀斉スタヌトで、時間になるず他のゲストも次々ず垭に着いおいく。私はワむンペアリングを遞択。嚘はノンアルコヌルペアリングを遞んだ。

    店内は掻気がありながらも皋よい緊匵感が挂う。いわゆる栌匏匵った高玚店ずいうより、珟代的で゚ネルギッシュな空気を感じる。ドレスコヌドもない。

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    たず運ばれおきたのはベトナム囜旗をモチヌフにしたアミュヌズ。遊び心のある挔出だが、味は驚くほど繊现だった。

    特に印象に残ったのは、これたで旅の䞭で実際に食べおきた料理が、Ananでたったく新しい圢になっお再登堎したこずだった。

    Le Petit Banh Mìは、゚アリヌな食感の小さなバゲットにりニのパテを詰め、それを和牛で巻き、ピクルスを添えお仕䞊げた䞀皿。数日前にハノむで食べたバむンミヌが、たったく別の料理ずしお衚珟されおいる。

    そしお、BÚN CHẢ BOURDAIN。䞀口サむズに再構成されたブンチャヌの芁玠をすべお口に入れ、その瞬間にIPAビヌルのショットを流し蟌む。わずか数秒の䜓隓に、嚘は思わず笑い声をあげた。

    「こんな食べ方があるんだね」

    次に、HÀ NỘI TURMERIC FISH。嚘は少し考えおから蚀った。

    「あ、これ、ハノむで食べたチャヌカヌだ。
    でも、こうなるんだ」

    驚きずいうより、発芋を噛み締めおいるような衚情だった。ハノむ名物のチャヌカヌをフレンチの手法で再構築した料理。぀い先日、Cha Ca Thăng Longで食べたあの料理が、掗緎された䞀皿ずなっお目の前に珟れる。

    幌い頃から食べるこずが奜きで、味にはなかなかうるさい。そんな嚘が料理が運ばれおくるたびに、

    「すごい」
    「そう来るんだ」
    「こんな料理になるんだ」

    ず䜕床も口にしおいた。単玔に高玚だから感心しおいるのではない。元になった料理を知っおいるからこそ、その発想や技術の面癜さが䌝わるのだ。

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    もし旅の最初にĂnănを蚪れおいたら、きっず「矎味しいモダンベトナム料理」で終わっおいただろう。しかし今回は違う。

    留孊䞭にいろんなベトナム料理を食べおきた。ハノむではチャヌカヌを食べた。プでブンボヌプやネムルむを味わった。ホヌチミンの料理は党䜓的に甘みが匷く蟛さも控えめだったが、本堎プで食べたブンボヌプはしっかりずした蟛味があり、その土地ごずの味の違いも䜓感した。北から南ぞ移動しながらベトナムの食文化に觊れおきた。

    だからこそ、䞀皿ごずに「あの料理だ」「こう解釈したのか」ずいう発芋がある。

    Ănănでの食事は、たさにベトナム瞊断の旅の答え合わせだった。数日かけお芋おきた景色や食文化が、䞀぀のコヌス料理の䞭で再び぀ながっおいく。

    それは単なる高玚レストランでの食事ではなく、この旅党䜓を振り返る特別な䜓隓だった。

    食事を終える頃には、すっかり倜も曎けおいた。店を出るず、ホヌチミンの倜はただ賑やかだった。それぞれ垰路に぀く。私は宿泊先のホテルぞ。嚘は自分のステむ先ぞ垰る。

    数日間䞀緒に旅をしおきたが、ここは嚘にずっお暮らしおいる街だ。同じホヌチミンにいながら垰る堎所が違うこずが、少し䞍思議に感じられた。それず同時に、この街で嚘が自分の生掻を築いおいるこずも改めお実感する。


    味ずずもに

    もう䞀぀の旅2025幎9月〜2026幎5月

    この9ヶ月で、本圓にいろんなものを食べた。フォヌ、バむンミヌ、ブンボヌプ、バむンクオン、フヌティり。屋台で、食堂で、友人の家で、倧家さんず䞀緒に、誰かの誕生日に。

    ホヌチミンの料理は甘めで、プに行ったら蟛さに驚いた。同じ囜なのに、街が倉わるず味が倉わる。旅に出るたびに、たた違う料理に出䌚った。

    食べるこずは、その堎所にいるこずだず思う。䞀緒に食べた人のこずは、料理の味ずずもに残っおいる。


    Day6 ホヌチミン

    留孊生の日垞を歩く

    🎵 Mặt Trời Cá»§a Em — Phương Ly (feat. JustaTee) ▶ 聎く

    ホヌチミン滞圚2日目。この日は芳光名所を巡るずいうより、嚘が留孊生掻を送る街を案内しおもらう䞀日になった。

    埅ち合わせ堎所は、ホヌチミンのアむコンずも蚀えるタンディン教䌚。鮮やかなピンク色の倖芳で知られる教䌚だ。嚘のステむ先からは埒歩圏内ずのこずで、朝はここで埅ち合わせるこずにした。芳光客にずっおは有名な芳光地だが、嚘にずっおは日垞の颚景の䞀郚でもある。

    この日は雲の流れる青空が広がり、淡いピンク色の建物がより䞀局矎しく映えおいた。ホヌチミンらしい匷い日差しの䞋で芋䞊げる教䌚は、写真で芋る以䞊に存圚感があった。

    たずは朝食ぞ向かう。二人ずもただ朝食を取っおいなかった。向かったのは近くのBanh Mì 362。ホヌチミンでは有名なチェヌン店の䞀぀だ。

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    実は嚘に聞くず、普段お気に入りなのはもっずロヌカルな店だずいう。ステむ先の近くにある小さな店で、䟡栌は日本円にするず120円ほど。授業ぞ向かう前や小腹が空いた時によく利甚しおいるらしい。

    「あのお店のバむンミヌが、今たでベトナムで食べた䞭で䞀番奜きなんだよね」

    有名店でもなければ、ガむドブックに茉るような店でもない。けれど、留孊生がそう蚀うのだから説埗力がある。その店を芋るのは翌日になるのだが、その蚀葉が劙に印象に残った。

    ただ、この日は朝からかなり暑かった。そこで今回ぱアコンの効いた店内でゆっくり食べられるBanh Mì 362を遞んだ。

    旅行者ずしお蚪れおいるず、どうしおも有名店や評䟡の高い店に目が向きがちだ。しかし実際に珟地で暮らしおいる人たちは、味だけではなく䟡栌や立地、そしお゚アコンの有無たで含めお店を遞んでいる。そんな圓たり前の日垞が少し面癜かった。

    朝食を終えおも、この日は特に決たった予定を入れおいなかった。ホヌチミンには有名な芳光地も倚いが、この日は芳光よりも嚘の生掻圏を芋おみたいずいう気持ちの方が匷かった。

    「倧孊もすぐ近くだよ」

    嚘がそう蚀うので、せっかくだから行っおみるこずにした。蚪れたのは、嚘が通う人文科孊系孊郚のキャンパスだった。芳光客が蚪れるような堎所ではない。ごく普通の倧孊のキャンパスだ。それでも今回の旅の䞭では、ずおも意味のある堎所だった。ここが嚘の留孊生掻の䞭心なのだから。

    キャンパスの入口たで来るず、倧孊の看板がある。

    「そういえば、
    ここで写真撮ったこずないんだよね」

    嚘が䜕気なくそう蚀った。毎日のように通っおいる堎所だからこそ、逆に蚘念写真を撮る機䌚がなかったのだろう。せっかくなので看板の前で写真を撮るこずにした。

    青い看板の前に立぀嚘の姿は、䜕気ない䞀枚でありながら、留孊生掻そのものを象城するようにも芋えた。留孊䞭の嚘にずっおは日垞の䞀コマ。しかし芪ずしお芋るず、その䞀枚には特別な意味がある。

    数か月前たで日本で生掻しおいた嚘が、今はベトナムの倧孊に通っおいる。圓たり前のようにキャンパスを歩き、授業を受け、友人たちず過ごしおいる。その珟実を目の前で芋お、改めお留孊ずいう経隓の倧きさを感じた。

    倧孊を案内しおもらう途䞭、孊生食堂にも立ち寄った。高い倩井に倧型のファンが回る開攟的な空間には、倚くの孊生たちが集たっおいた。昌食を食べる孊生、友人ず談笑する孊生、ノヌトパ゜コンを開いお課題に取り組む孊生。芳光地では芋るこずのできない、ごく普通の倧孊生掻の颚景だった。

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    倧孊から䞭心郚ぞ向かう途䞭、亀差点を枡りながらふず気づいた。クラクションをうるさいず思わなくなっおいた。怒りの音だず思っおいたが、ここでは違う。ただ、そういうものなのだず、い぀の間にか䜓が知っおいた。

    䞭心郚ぞ向かいながら、ショッピングモヌルぞ立ち寄る。そこには日本でもお銎染みの束屋があった。ホヌチミンで芋る束屋は少し䞍思議な光景だった。

    嚘にずっおは留孊生掻の䞭で䜕床も利甚した銎染みの店らしい。日本食が恋しくなった時や、手軜に食事を枈たせたい時によく来おいたずいう。旅行者ずしおはロヌカルフヌドばかりに目が向くが、実際に珟地で暮らす留孊生にずっおは、こうした店も日垞を支える倧切な存圚なのだろう。

    この旅では、Grabの手配やカフェ代、ロヌカル飲食店での支払いの倚くを嚘が担圓しおいた。ベトナムではQR決枈が広く普及しおおり、嚘は珟地銀行のアプリを䜿っお圓たり前のように支払いを枈たせおいく。䞀方で、航空刞やホテル代、列車代、少し莅沢なレストランや土産代などは私が負担しおいた。

    旅の費甚は芪が支払い、日垞の費甚は嚘が支払う。そんな圹割分担が、い぀の間にか自然に出来䞊がっおいた。

    Grabを呌び、カフェ代を払い、ロヌカル食堂で䌚蚈を枈たせる嚘の姿を芋おいるず、留孊生ずしおこの街で暮らしおいるのだずいうこずを改めお実感する。日本では私が嚘を連れお歩いおいたはずなのに、この街ではむしろ私の方が案内されおいた。

    途䞭、サむゎン䞭倮郵䟿局に立ち寄り、ホヌチミン歌劇堎の前を通る。フランス統治時代に建おられた優雅な建物は、近代的な高局ビルに囲たれながらも独特の存圚感を攟っおいる。

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    そのたた雑貚店や土産店を芗きながら街歩きを続ける。ホヌチミンにはベトナム人デザむナヌによる雑貚やアパレル、ハンドメむド商品を扱う店が数倚くある。店ごずに扱う商品も異なるため、぀い足を止めおしたう。嚘も気になる店があるず自然に入っおいく。

    ロヌカルデザむナヌによるポストカヌドやむラスト、カラフルな雑貚、ベトナムらしいモチヌフを珟代的にデザむンした商品など、芳光地のお土産ずは少し違う魅力がある。今のホヌチミンの若いクリ゚むタヌたちの感性を感じられる店が倚く、芋おいるだけでも楜しかった。

    気になる店を芋぀けおは立ち寄り、たた歩く。特に急ぐ予定もない。そんなゆったりした時間も、この日の心地良さの䞀郚だった。

    昌が近づくに぀れお気枩はどんどん䞊がっおいく。そこでホテル近くのヘムにあるカフェNaii Specialty Coffeeぞ入っおみるこずにした。堎所はホテルの隣だが、嚘もこの蟺りたでは来たこずがないずいう。

    店はヘムの奥にひっそりず䜇んでいた。深いグリヌンの倖芳が印象的で、怍物に囲たれた入口はたるで隠れ家のようだ。店内は予想以䞊におしゃれだった。冷房が効いた空間はたさにオアシス。窓際の垭で飲み物を頌み、䞀息぀く。

    店内には日本人芳光客らしき女性二人組の姿も芋えた。ガむドブックに茉っおいる有名店ずいうより、少し探しおたどり着くような雰囲気の店だ。こういう堎所にも自然ず日本人が来るのだなず思う。

    しばらく暮らしおいおも、䞀本路地を入ればただ知らない店がある。そのくらいベトナムのカフェ文化は奥が深い。旅行者の私も留孊生の嚘も、同じように新しい堎所を発芋しおいるのが少し面癜かった。

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    暑さもあっお、いったんホテルぞ戻っお䌑憩するこずにした。嚘は郚屋に入るず、さっそく䜜業を始めた。旅の途䞭も、列車の䞭やカフェ、ホテルのロビヌなど、空いた時間があればメッセヌゞカヌド䜜りを進めおいた。日本の倧孊でもお䞖話になった先生、そしおホヌチミンの倧孊でお䞖話になった先生ぞ感謝の気持ちを䌝えるためのものだずいう。

    垰囜たで残された時間は倚くない。旅の途䞭でも時間を芋぀けおは少しず぀描き進めおいた。

    嚘は以前から絵を描くこずが奜きだ。ベトナムに来おからも珟地の絵画教宀ぞ通ったり、ベトナムの䌝統的な絹絵を孊んだりしおいたずいう。実は今回の旅の目的の䞀぀が、それらの䜜品を日本ぞ持ち垰るこずだった。垰囜時の荷物を枛らせるように、先に私が持ち垰る。スヌツケヌスの䞭身は単なる荷物ではない。留孊生掻の䞭で積み重ねおきた時間や経隓そのものだ。

    郚屋でのんびり過ごしおいるず、突然激しい雚音が聞こえおきた。ホヌチミンらしいスコヌルだ。宿泊しおいたホテル の郚屋には窓がない。そのため倖の様子は芋えないのだが、雚音だけでどれほど激しく降っおいるのかが分かる。

    屋根や路地を叩く雚の音が䞀気に倧きくなり、たるでバケツをひっくり返したような勢いだ。぀い先ほどたで匷い日差しが照り぀けおいたこずが信じられない。これも南囜らしい颚景なのだろう。

    激しいスコヌルもい぀の間にか䞊がっおいた。

    倜は嚘お気に入りの店ぞ向かう。留孊䞭、日本から遊びに来た友人や珟地で知り合った留孊仲間ずもよく利甚しおいるずいうPizza 4P'sだ。到着するず入口呚蟺は倚くの人でごった返しおいた。受付で確認するず埅ち時間は玄1時間。

    そこで埅ち時間を利甚しおベンタむン垂堎を散策するこずにした。垂堎の䞭を歩きながら、出発前から頌たれおいたお土産も賌入する。通路には食品や衣類、雑貚、土産物が所狭しず䞊び、芳光客ず地元客が入り混じる独特の熱気に包たれおいた。

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    買い物を終える頃にはちょうど良い時間になっおいた。再びPizza 4P'sぞ戻る。

    案内された垭を芋お、思わず顔を芋合わせた。通されたのはピザ窯の目の前にあるカりンタヌ垭だった。結果的には、この垭が倧圓たりだった。目の前には倧きな薪窯があり、生地を䌞ばし、具材を乗せ、焌き䞊げる職人たちの䜜業を間近で芋るこずができる。たるでラむブキッチンを鑑賞しおいるような臚堎感だ。

    たずはビヌルで也杯。料理はハヌフハヌフのピザを2枚泚文した。店内は満垭だったため提䟛たで少し時間がかかるずのこずだったが、埅たせお申し蚳ないず、無料でスむカゞュヌスやピザ生地を䜿った軜いお぀たみが運ばれおきた。やがお䞀枚目のピザが到着する。そしお食べ終える頃を芋蚈らったように二枚目が運ばれおくる。料理の矎味しさはもちろんだが、こうしたサヌビスの質の高さも印象に残った。

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    䞀時間埅ちず聞いた時は長いず思ったが、実際に食事を終える頃には人気の理由がよく分かっおいた。

    食事を終える頃には、ただ倜は十分に残っおいた。嚘にはもう䞀぀行きたい堎所があった。沢朚耕倪郎の本に出おくるバヌだ。

    「ホヌチミンに着いたら行こう」

    そう話しおいた堎所が、ホテルマゞェスティック最䞊階のルヌフトップバヌ、M Bar - Hotel Majestic Saigonだった。

    実はこのバヌ、嚘にずっおは初めおの堎所ではない。留孊䞭、倧孊の先生がホヌチミンを蚪れた際、孊生たちず䞀緒に䞀床蚪れたこずがあるずいう。ただその時は閉店間際で、コヌヒヌを飲んで倜景を少し眺めただけの、ごく短い時間だったらしい。圓時はこの本の存圚も知らず、倧家さんから「クラシックなホテルだから行っおみるずいいよ」ず聞いおいただけだった。

    それが今、本を通じお再びこの堎所が意味を持぀こずになった。

    サむゎン川沿いに建぀ホテルマゞェスティック。゚レベヌタヌで䞊階ぞ䞊がるず、県䞋にはラむトアップされたサむゎン川ずホヌチミンの倜景が広がっおいた。サむゎン川に架かる橋や察岞の高局ビル矀が色ずりどりの光を映し出し、氎面には無数の光が揺れおいる。ホヌチミンの急速な発展を象城するような景色だった。

    嚘が泚文したのは、䜜䞭に出おくるカクテル「Miss Saigon」。私はシグネチャヌカクテル「Majestic 1925」。ポップにアレンゞされたFly me to the moonが生バンドの挔奏で流れる。心地よい音楜がバヌ党䜓を包み蟌む。

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    私たちはリバヌサむドのカりンタヌ垭に腰掛け、川を行き亀う船の灯りや察岞の倜景を眺めながらグラスを傟けた。旅行䞭は䞀緒に芳光する時間が倚かったが、この倜は留孊生掻の話をゆっくり聞くこずができた。

    「前に来た時は、
    こんなにゆっくり芋おなかったんだよね」

    嚘がそう蚀っお、倜景を眺め盎した。同じ堎所なのに、今は党く違う堎所に芋えおいるようだった。

    もっずも、M Barのような堎所は、留孊䞭の嚘が普段蚪れる䞖界ではない。同䞖代の友人同士で来るには少し倧人びおいお、䞀人で蚪れるには敷居も高い。だからこそ、『䞀号線を北䞊せよ』で興味を持ったこの堎所に、こうしお連れお来れたこず自䜓が特別な倜だったのかもしれない。

    しばらく倜景を眺めながら過ごした埌、それぞれ垰路に就く。嚘は自分のステむ先ぞ。私はホテルぞ。同じホヌチミンにいながら、垰る堎所が違う。それが少し䞍思議で、そしお留孊先を蚪ねる旅らしくもあった。

    この日のテヌマは芳光ではなかった。留孊生ずしお暮らす嚘の日垞を少しだけ芗かせおもらうこず。倧孊、街䞊み、お気に入りの店、そしお友人たちずの思い出の堎所。

    ホヌチミンずいう街を通しお、嚘がこの数か月で築いおきた䞖界を芋るこずができた䞀日だった。


    私の街

    もう䞀぀の旅2026幎5月

    父に街を案内した。毎日通っおいる道、い぀ものカフェ、お気に入りのバむンミヌ店。自分にずっお圓たり前の景色を、父ず䞀緒に歩いた。

    知らない街だった堎所が、い぀の間にか案内できる街になっおいた。


    Day7 嚘の郚屋ぞ

    ベトナムのママに䌚う

    🎵 Gác Lại Âu Lo — Da LAB (feat. Miu Lê) ▶ 聎く

    ホヌチミン最終日。垰囜䟿は倜なので、午前䞭は䞀人で街を歩くこずにした。これたで気になっおいた店をいく぀か回り、昚日目星を付けおいたお土産を賌入する。旅先での買い物は、その土地ずの最埌の察話のようなものだ。

    数日前に到着した時には雑然ずしお芋えたホヌチミンの街䞊みも、今では少し銎染みのある景色になっおいた。

    昌前にホテルをチェックアりトする。スヌツケヌスを持っお向かったのは嚘のステむ先だ。ホヌチミン1区のヘムの䞭にある。倧通りから䞀本入るだけで雰囲気が倉わる。䞡脇には䜏宅が䞊び、怍朚鉢が眮かれた玄関先にはバむクが停められおいる。頭䞊には無数の電線が匵り巡らされ、どこからずなく人々の生掻音が聞こえおくる。

    芳光客の姿はほずんどない。そこには完党に地元の暮らしがあった。

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    しばらく歩くず、倧家さん倫劻が出迎えおくれた。二人ずも私より2〜3歳ほど幎䞊だろうか。日本語は通じない。䌚話は嚘が通蚳をしおくれる。ただ、䞍思議なこずに、蚀葉がすべお分からなくおも䜕ずなく䌝わる。こちらの話を理解しおいるこずも分かるし、向こうの蚀いたいこずも雰囲気で䌝わっおくる。

    そしおもう䞀぀驚いたのは嚘のベトナム語だった。倧家さん倫劻の話を自然に聞き取り、日本語ぞ蚳しおくれる。こちらの話もベトナム語で䌝えおくれる。数か月前たで日本で生掻しおいた嚘が、今では異囜の地で圓たり前のように䌚話をしおいる。その姿を芋おいるず、この9ヶ月間の留孊生掻の積み重ねを実感せずにはいられなかった。

    話をしおいるうちに、私は冗談半分に

    「ベトナムのママですね」

    ず声をかけた。するず倧家さんは笑いながら、

    「そうよ。私はベトナムのママなのよ〜」

    ず答えた。その蚀葉が劙に印象に残った。実際、芪元を離れお暮らす嚘を支えおくれた存圚なのだ。倧家さん倫劻の枩かさを芋おいるず、その蚀葉に違和感はなかった。

    荷物だけを眮かせおもらい、そのたた昌食ぞ向かう。蚪れたのはBanh Cuốn Hồng Hạnh。24時間営業の店だ。倧孊の先生からも、倧家さんも奜きな店で、嚘自身も留孊䞭に最も利甚した店の䞀぀だずいう。

    店は決しお芳光客向けではない。ステンレスのテヌブルが䞊び、客垭のすぐ暪ではスタッフが忙しく調理を続けおいる。冷房もない半屋倖の空間だが、ひっきりなしに客がやっお来る。こういう店こそ、留孊生の日垞を支えおいた堎所なのだろう。

    この日はフヌティり・ナンノァンHá»§ Tiếu Nam Vangを泚文した。ホヌチミンらしい南郚の麺料理で、透明感のある優しいスヌプに海老や豚肉が入っおいる汁あり麺ず、甘蟛いタレを絡めお食べる混ぜ麺がある。ハノむはフォヌ、ホヌチミンはフヌティり。芳光客ずしお芋おいたベトナムず、生掻者ずしお芋おいるベトナム。その違いを改めお感じた昌食だった。

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    昌食を終えた埌は、嚘ず戊争蚌跡博物通ぞ向かった。入口前には倚くの芳光客が集たり、ベトナム囜旗が颚に揺れおいる。街には南郚解攟蚘念日ずメヌデヌの名残なのだろうか、囜旗や共産党旗もただ数倚く掲げられおいた。

    展瀺内容は重い。ベトナム戊争が残した傷跡が生々しく䌝わっおくる。通内を芋孊しながら、自然ず歎史の話になった。統䞀䌚堂ぞ戊車が突入する有名な写真も展瀺されおいる。

    私たちの䞖代は、それを「サむゎン陥萜」ず習った。ずころが嚘は蚀う。

    「でも、なんで陥萜なの」

    展瀺を芋ながら、その蚀葉が少し頭に残った。

    通内には「Back to the Stone Age」ずいう蚀葉もあった。どこかで聞いたこずのある衚珟だず思ったが、その時は深く考えなかった。

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    博物通を埌にする。倖ではGrabが行き亀い、人々はカフェで過ごしおいる。展瀺の䞭で芋た戊争ず、目の前にある日垞。その距離の近さが、少し䞍思議だった。

    今床は嚘のステむ先呚蟺を改めお歩いおみるこずにした。ここは嚘が9ヶ月間暮らしおきた生掻圏そのものだ。

    途䞭、嚘が普段利甚しおいたバむンミヌ店を芋せおくれた。嚘が「今たで食べた䞭で䞀番矎味しい」ず蚀っおいた店だ。道路沿いにある小さな店で、朝になるず地元の人たちが次々ず立ち寄っおは買っおいくらしい。芳光客向けの有名店ではない。けれど授業ぞ向かう前や小腹が空いた時によく利甚しおいたず聞くず、この店もたた嚘の留孊生掻を支えおいた倧切な堎所なのだず感じた。

    さらに少し歩くず、本や雑貚を扱う小さなカフェがあった。朚補の本棚が䞊び、静かな空気が流れおいる。ステむ先からすぐ近くにある店だが、嚘も結局䞀床も入る機䌚がなかったずいう。

    「ずっず気になっおいたんだけどね」

    そう蚀いながら店内を眺めおいた。9ヶ月暮らしおいおも、ただ知らない店や行けなかった堎所が残っおいる。留孊生掻が終わろうずしおいる今も、この街には新しい発芋が残されおいるのだ。

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    さらに歩いおいるず、日本人旅行者の間で評刀だずいうSpaもあった。入口には日本語の案内が掲げられおいる。芳光客向けの繁華街ではなく、地元の人々が暮らすヘムの䞭にある店だ。嚘はSpaにはあたり興味がなく利甚したこずはないらしいが、私は旅の疲れを癒やすために立ち寄っおみるこずにした。スタッフも日本人客に慣れおいるようで、安心しお利甚できる。数日間のベトナム瞊断旅行で溜たった疲れが少し軜くなった気がした。

    こうしお芋るず、同じ街に暮らしおいおも、人によっお利甚する店や行動範囲はずいぶん違う。私が旅行者ずしお芋おいるホヌチミンず、嚘が留孊生ずしお暮らしおいるホヌチミンは、少しず぀重なりながらも別の顔を持っおいるのだず感じた。

    ステむ先の近く、24時間営業のよく行くロヌカル店で倕食を枈たせた埌、再びステむ先ぞ戻る。ここで初めお嚘の郚屋を芋せおもらうこずになった。

    階段を䞊がり、郚屋ぞ入る。写真では芋おいたが、想像しおいたよりずっず広く、明るい。䞡偎の壁にはニッチが蚭けられおいお、ベトナムらしいアクセントカラヌが䜿われおいる。どこか枩かみのある空間だった。

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    さらに印象的だったのは、郚屋の䞭にある生掻甚品だった。炊飯噚。調理噚具。食噚。収玍甚品。その倚くが、この郚屋に以前䜏んでいた先茩たちから匕き継がれたものだずいう。実はこの郚屋には代々同じ倧孊の先茩たちが䜏んできた。垰囜する時に生掻甚品を埌茩ぞ残し、次の留孊生が䜿う。そんな流れが䜕幎も続いおいるらしい。

    単なる賃貞の䞀宀ではない。日本から来た留孊生たちの歎史が積み重なった堎所だった。

    さらに目に留たったのは、ニッチに積たれた䜕冊かの文庫本だった。嚘が日本から持っおきた本だずいう。実は今回の旅でも、「新しい本を䜕冊か持っおきおほしい」ず頌たれおいた。

    聞けば、日本の倧孊で知り合ったベトナム人の元亀換留孊生が、今はベトナムで働いおおり、その友人に枡す予定なのだずいう。嚘によるず、ベトナムでは日本語の本は簡単には手に入らないらしい。そのため、日本から持っおきた本を友人同士で貞し借りするこずもあるずいう。

    留孊䞭に読んだ本、友人ぞ枡す本、そしお誰かから譲り受けた本。炊飯噚や調理噚具ず同じように、それらの本にも人から人ぞ受け継がれおいく物語があるように思えた。

    䞀方で、留孊䞭に描いた絹絵や䜜品は、すでに日本ぞ持ち垰るためスヌツケヌスに梱包されおいた。今回の旅のきっかけにもなった荷物だ。

    ニッチに積たれた文庫本ず、垰囜の準備を終えた䜜品たち。その䞡方を眺めながら、私はしばらく䜕も蚀えなかった。

    この郚屋に嚘がいたのだず、ようやく実感する。写真や連絡では䌝わらない、ここで暮らした時間の重さのようなものが、郚屋の空気の䞭にあった。芳光地を䜕か所巡っおも感じなかったものが、この小さな䞀宀には詰たっおいた。

    ただ留孊生掻は続いおいるはずなのに、その光景からは、もう終わりが近いこずが䌝わっおきた。

    そういえば、私の垰囜日が近づくに぀れお、嚘は時折こんなこずを口にしおいた。

    「私がベトナムで過ごすのも、あず○日なんだよね」

    日本ぞ垰るのは楜しみらしい。家族や友人ずも再䌚できる。ただ、その䞀方で垰囜埌には就職掻動も埅っおいる。留孊のため卒業は䞀幎遅れるこずになるが、旅の途䞭でも同孊幎の友人たちの就職掻動や遞考面接の話を話しおいた。列車の䞭や食事の時間にも、自然ずそんな話題になるこずがあった。

    ベトナムでの日垞が終わろうずしおいる䞀方で、次の生掻も少しず぀始たろうずしおいる。その蚀葉を聞いおいるず、留孊生掻の終わりだけではなく、孊生生掻そのものが䞀぀の節目に近づいおいるこずを感じた。

    倜になる。そろそろ空枯ぞ向かう時間だ。

    倧孊。倧家さん倫劻。受け継がれおきた生掻甚品。本を通じお぀ながった友人たち。描き続けおきた䜜品。そこにはガむドブックには茉らない留孊生掻が詰たっおいた。

    最埌に芋たのは芳光地ではなく、ホヌチミン䞭心郚のヘムの奥にある䞀宀だった。


    垰囜の前に

    もう䞀぀の旅2026幎5月

    父が郚屋に来た。自分では圓たり前になっおいたものを、父は䞀぀䞀぀芋おいた。炊飯噚、本、絵。この郚屋に積み重なっおきた時間を、初めお誰かず䞀緒に芋た気がした。

    睡蓮の絵は、ただ完成しおいない。この郚屋を出る前に、完成させる。


    ゚ピロヌグ

    🎵 Nàng ThÆ¡ — Hoàng DÅ©ng ▶ 聎く

    ベトナム瞊断の旅を終えお垰囜した。ハノむの旧垂街を歩き、倜行列車で䞭郚ぞ向かい、プやダナンを経おホヌチミンたで南䞋した。矎しい景色も、矎味しい料理も数え切れないほどあった。

    けれど、今振り返っお最も印象に残っおいるのは芳光地ではない。ホヌチミン䞭心郚のヘムの奥にある小さな䞀宀だ。そこには倧孊があり、倧家さん倫劻がいお、120円のバむンミヌ店があった。そしお、受け継がれおきた生掻甚品や本に囲たれながら暮らす嚘の日垞があった。

    私が芋おいたのは留孊生掻のほんの数日間に過ぎない。それでも、その短い時間の䞭で、嚘がこの留孊で築いおきた䞖界の䞀端を芋るこずができたように思う。

    私は䞀足先に日本ぞ垰囜した。嚘はこの埌、ラオスぞ向かい、再びホヌチミンぞ戻っおからカンボゞアでアンコヌルワットを蚪れ、ハノむを経由しお垰囜する予定だずいう。ただしばらくベトナムずその呚蟺で過ごすこずになる。

    垰囜しおから、旅の写真や動画を芋返す時間があった。その䞭に、あの倜行列車の出発時に録画した、車窓ずハノむ駅のアナりンスの映像があった。

    嚘はあの時、内容をほずんど理解しおいたようだったが、私に逐䞀蚳しおくれおいたわけではない。

    Hà Nội là trung tâm chính trị, kinh tế, văn hóa và du lịch cá»§a cả nước, một đặc trưng những nét tương biểu cá»§a văn hóa Việt Nam. Hà Nội đã được UNESCO trao tặng danh hiệu Thành phố vì Hòa Bình. Đối với đoạn sắp ra ga Hàng Cỏ xưa, ga Hà Nội ngày nay là đầu mối giao thÃŽng cá»§a các tuyến đường sắt quốc gia. Ngày đêm đưa đón quÜ khách và chuyên chở hàng hóa đến mọi miền cá»§a đất nước.

    Chào Hà Nội, tạm biệt Hà Nội.

    ハノむはベトナム党土の政治・経枈・文化・芳光の䞭心であり、ベトナム文化を象城する特城を持぀郜垂です。ハノむはUNESCOより『平和郜垂』の称号を授䞎されおいたす。か぀おハンコヌ駅ず呌ばれ、珟圚ハノむ駅ずしお知られるこの駅は、囜内各鉄道路線の亀通の芁衝です。昌倜を問わず、お客様をお迎えし、党囜各地ぞ人ず物資を運び続けおいたす。

    さようなら、ハノむ。たたい぀か、ハノむ。

    「Chào Hà Nội, tạm biệt Hà Nội」――ハノむぞの挚拶ず、ハノむぞの別れ。その堎で聞いた時には気付かなかった、詩的な䞀文だった。

    続けお、プに近づく頃に録画したアナりンスも文字にしおみる。

    Kính thưa quÜ khách! Đoàn tàu chúng ta đang về với Huế, cố đÎ cá»§a tỉnh Thừa Thiên Huế. Huế là nÆ¡i có nhiều di sản văn hoá, quần thể các di tích Cố đÎ Huế đã được UNESCO cÃŽng nhận là di sản văn hoá thế giới. Nhã nhạc cung đình Huế cÅ©ng được UNESCO cÃŽng nhận là di sản văn hoá phi vật thể cá»§a thế giới. Đặc biệt đến với Huế, quÜ khách sẜ được nghe điệu hò trên dòng sÃŽng Hương thÆ¡ mộng. Huế được coi là thành phố cá»§a Festival văn hoá du lịch. Huế là một vùng đất cá»§a các vị vua, nên đặc sản tại Huế có phần cầu kỳ và tinh tế. QuÜ khách có thể thưởng thức, chọn lá»±a món quà Ü nghÄ©a cho bạn bÚ, đồng nghiệp và người thân một cách dễ dàng khi qua vùng đất này. MÚ xá»­ng, hạt sen, trà cung đình, rượu Minh Mạng, nón bài thÆ¡.

    お客様、私どもの列車はプ、トゥアティ゚ン・プ省の叀郜ぞず向かっおおりたす。プは倚くの文化遺産を有する地であり、プ叀郜の建築矀はUNESCOより䞖界文化遺産ずしお認定されおいたす。プ宮廷雅楜もUNESCOより無圢文化遺産ずしお認定されおいたす。プぞお越しの際は、詩情あふれるフォン川の䞊で舟歌をお聞きになれるこずでしょう。プは文化芳光フェスティバルの街ずも称されおいたす。プは歎代の王たちの地であり、そのためプの名産品はやや手の蟌んだ、繊现なものが倚うございたす。ご友人、同僚、ご家族ぞの心のこもったお土産を、この地でお遞びいただけたす。メヌシュン、蓮の実、宮廷茶、ミンマン酒、バむトヌ笠。

    そしおホヌチミン出発のアナりンスは、わからないたただ。サむゎン駅のホヌムに立぀機䌚は、今回の旅にはなかった。ハノむからは列車で、プぞも列車で向かった。しかしホヌチミンぞはダナンから飛行機で入り、垰囜も空路だった。

    「ホヌチミンは 経枈郜垂っお蚀うのかな」

    旅の途䞭、嚘はそう蚀っおいた。その答えを確かめないたた、嚘は暮らした街を䞀床離れた。

    でも考えおみれば、それでよかったのかもしれない。アナりンスで街を知る必芁がないくらい、嚘はすでにその街を知っおいたのだから。ハノむずプでは芳光客ずしお、埌から蚀葉の意味を確かめながら街を知った。けれどホヌチミンは、最初から生掻者ずしお知っおいる街だった。

    倧家さん倫劻が埅぀あの郚屋も、毎朝立ち寄っおいたバむンミヌ店も、倧孊のキャンパスも、嚘の日垞ではなくなった。日本ぞ垰れば、就職掻動も始たる。ベトナムでの日垞は終わりを迎えた。

    嚘は先日、無事に垰囜した。荷物を敎理しながら聞くず、沢朚耕倪郎の本は、ホヌチミンの郚屋に眮いおきたずいう。ハノむで読み始め、M Barぞ足を運ぶきっかけになったその本は、炊飯噚や調理噚具ず同じように、次に郚屋に䜏む誰かぞず匕き継がれるこずになった。ベトナムの生掻に慣れ、この囜のこずが少しず぀分かっおきた頃に、その本が次の誰かを旅ぞ誘うかもしれない。

    垰囜埌に知ったこずがもう䞀぀ある。私が先に日本ぞ戻った埌、嚘は絵を䞀枚完成させた。留孊䞭に通った絵画教宀で孊んだ、睡蓮を描いた油圩画だ。その絵は、日本ぞは持ち垰らなかった。倧家さんに「䞀幎埌に取りに来る」ず玄束しお、暮らした郚屋に残しおきたずいう。入居した日、その壁に倧家さんの絵が掛かっおいた郚屋に、今床は嚘の絵が残された。

    画像

    本は次の誰かぞ。絵は、郚屋に残したたた。そしおその絵が、嚘をもう䞀床あの街ぞ連れ戻す理由になる。それぞれが違う圢で、あの郚屋に物語を残しおいった。

    次にこの郚屋に䜏む誰かも、きっず䜕かを受け継いで、たた䜕かを残しおいくのだろう。そうやっおあの小さな郚屋は、日本から来た留孊生たちの時間を、静かに積み重ねおいく。


    ここたで読んでくださり、ありがずうございたした。

    各日に添えた音楜の遞曲理由や、執筆の背景に぀いおは「制䜜ノヌト」にたずめおいたす。よろしければそちらもご芧ください。

    もしこの゚ッセむを楜しんでいただけたなら、サポヌトいただけるず嬉しいです。


    この䜜品は党4蚘事で構成されおいたす。
    『レヌルの先に、嚘のいる街があった』
    ①たえがき
    ②本線前半
    ③本線埌半
    ④制䜜ノヌト
    各蚘事のURLは投皿埌に远蚘したす

     
     

    marktk

     
     
    旅ず食を䞭心に、日々の蚘録を綎っおいたす。写真を撮り、文章を曞くこずが奜きです。䜕気ない颚景や小さな発芋を倧切にしおいたす。

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