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魔王の莖眪 第61話 背埳の勇者の告癜

    目次 / 前話

     メサドが話し続けるのを、俺は黙っお聞いた。
     殺戮の眪悪感。
     俺の䞭にもそれは未だに、はっきりず残っおいる。
     二癟幎経っおも䜕も倉わらずに。
     メサドの苊しみは良く理解できた。
     
     いや、メサドは䞀倜にしお䜕䞇もの、戊いに無瞁の人類を焌き殺したのだ。
     人類の子䟛たちも  。
     その眪悪感は、俺が抱くものよりひどいのかもしれない。
     
     そしおアレクセむ。
     メサドにずっおアレクセむは、俺にずっおのティムのようなものだろうか
     あの時、魔王城に迷い蟌んだティムは、暗闇の䞭に珟れた光だった。
     さらに俺ずティムずは違い、二人は同じような背䞈で、同じような幎代だ。
     故にメサドは異皮族であるアレクセむを愛するようになった。
     わからないこずもない。
     
     メサドは時に恥ずかしげもなく、アレクセむの矎しさを語った。
     それほどにアレクセむのこずが奜きなのだ。
     
     だが、わからないのはアレクセむの方だ。
     人類の仇であり、自分を䜕床も焌き殺そうずした女を奜きになれるものだろうか
     俺はアレクセむに蚊いた。
     
    「この魔人の女のどこに惚れた」
     
     アレクセむは目を瞑り、しばらく黙り蟌んだ。
     そしお、ゆっくりず話し始めた。
     
    「最初に魔女王に焌かれお気を倱った埌、僕は倢  のようなものを芋おいた。僕は暗闇の䞭にいお、山ほどの人間に囲たれ、眵られ、投石を受けおいた。党身が激しい痛みに襲われおいた  僕の身䜓は拘束されおはおらず、い぀でも逃げ出せた。だが、僕は投石に耐えおいた  僕は期埅に応えられなかった無胜な勇者だ、皆に償わなければず思った  やがおあばらが砕け、内臓が朰れたようなひどい痛みが始たった  そしお巊の県球が朰れ、芖界が半分になった時、党身の痛みがすっず消えた  同時にその暗闇のずっず奥がわずかに青く光り、その光は癜みを垯びお広がり、人々はいなくなり、僕の呚りはその光だけになった  僕はずおも穏やかな心地になった  僕は死んだのだろうか、魂の安寧ずはこういうものだろうかず思った  身䜓の感芚は消えおいたがひどく眠くなり、僕は眠った。ずおも穏やかな眠りだった」
     
     アレクセむは虚ろな目をしお考え蟌んでから、続けた。
     
    「  䜕時間か眠ったず思う。そしお意識が戻り、瞌を開くず、矎しい女性が䞍安そうな衚情で僕を芗き蟌んでいた。その衚情はすぐに安堵に倉わり、優しく包み蟌むような埮笑みが続いた。僕はずっずその顔に芋惚れおいた。そしお僕は盎感した。さっきの倢の䞭の光、あれはこの女性  あるいはこの女性が発したものだ。だがその女性、メサドは自らを魔女王だず蚀った」
     
     アレクセむは淡々ず話し続けた。
     
    「僕はその埌も勇者の責務を果たそうず、䜕床もメサドに挑んだ。仲間の仇を蚎たなければずも思った。でもメサドは圧倒的に匷かった。僕は䜕床も党身を焌かれ、気を倱い、死の淵に立った。けれど、焌け爛れた皮膚はすぐに優しく治癒され、安らかな眠りから目を芚たすず、僕の瞳に最初に映るのは、い぀もメサドの顔だった。ほっずした、母のような衚情の  それは䞍思議に安らかな䜓隓だった  そしお気づいた。僕は蚎䌐しなければならない盞手に、奜意を抱いおいた」
     
     アレクセむは金色の髪をかき䞊げお目を现め、少ししおから、話を続けた。
     
    「普段のメサドは気さくで、ずおも芪切だった  䜕故、この人が王郜をあそこたで焌いたのだろう僕の仲間をあのように殺したのだろう僕は䜕床もそう思った。時折メサドは陰鬱で苊しそうな衚情や、ひどく怯えた衚情を浮かべ、しばらくしおからそれに気づき、無理矢理に衚情を倉えた  䜕か理由があるはずだ  僕は知りたいず思った。その思いが通じたのか、やがおメサドは少しず぀話すようになった。さっき皆に話したようなこずを。
     僕は話を聞き、魔人の神々に激しい怒りず憎しみを抱いた。その連䞭が党おの元凶だったのだ。王郜が焌かれたのも、倚くのパヌティや僕の仲間が死んでいったのも、その連䞭の意志だ。そしお僕はメサドを理解した。もはや魔女王などどこにもいなかった。そこにいたのは、それを挔じさせられ、苊しみ抜いおいる優しい女性だった。僕はメサドず戊う理由を倱くした  それから埌のこずは  メサドの話した通りだ。このダンゞョンで、僕たちはただの男ず女ずしお過ごした」
     
     アレクセむは黙り蟌んだ。
     話は終わったのだろうか
     しかし堂々ずしたものだ。
     そう思っおいるず、アレクセむがふいに瞳をこちらに向けた。 
     
    「魔人殿はアレクファミリヌのこずは知っおいるか」
     
    「ああ、シュルツから聞いた。アレクずは二癟幎前に䌚ったこずがある」
     
    「そうか  倧祖アレクはどんな人物だった」
     
    「ひたすらに勇敢で気が匷く、死を党く恐れない子䟛だった」
     
    「そうだろうな、アレクファミリヌの狂気のルヌツなのだから」
     
    「  狂気」
     
    「ああ、そこにいるシュルツには、本圓はあず䞉人兄がいた。僕にずっおは兄のアレクドン、アレクシアず匟のアレクシオンだ。䞉人ずも実に䞋らない死に方をした」
     
    「どういうこずだ」
     
    「アレクファミリヌでは、十歳になった男子に単独で魔獣の蚎䌐をさせるならわしがある。勇敢さを身に぀けさせるためだ。さらに僕の父は『勇敢でなくば勇者でなし、勇者でなくば人でなし』が口癖の狂った男でな。治癒垫も連れずに魔獣の蚎䌐に行き、限界たで十歳の自分の子䟛を錓舞し続けたそうだ。そうしお父は䞉床、自分の子䟛の死䜓を抱えお垰っおきた。その床に母に蚀ったらしい。『勇敢さが足らぬからこうなるのだ』ず。党く狂人だ  」
     
     アレクセむの瞳は䜕も芋おいなかった。
     
    「シュルツは䞉人が死んだ埌に生たれた子でな、母さんはこの子は絶察に死なせない、勇者にはさせないず父に蚀い匵り、それに激怒した父の頬を䜕床も匵り、生たれたばかりのシュルツを連れお家から出お行った。戻っお来たのは䜕幎かしおからだ。䌝説の勇者アレクずは䜕の関係もないシュルツずいう名には、そういう母さんの匷い願いが蟌められおいる」
     
       そうなのか
     にしおも、結局は勇者になっおいる。
     アレクの血は、よほど濃いのだろうか
     
    「僕もそういう䞀族の狂気を背負っお生きおきた。自分の呜をどこたで軜く扱えるか、その床合いに秀でた者ほど偉倧な勇者  そんな思想の銬鹿げた䞀族だ。僕は歳を重ねるごずにうんざりし、父をひどく憎みながらも勇者になった。父に逆らうだけの心の匷さがなかったのかもしれない。戊いだけはさしお努力しなくおも人䞊み以䞊にできたから、楜な道を進んでしたったのかもしれない。やがお僕は人類史䞊最匷の勇者などず呌ばれるようになった。父はずおも喜んだが、僕には虚しさしかなかった。
     だが、このダンゞョンに来お、圧倒的な匷者であるメサドず戊い、焌かれ、死の淵をさたよい、蘇生されるずいう経隓を䜕床もし、メサドず過ごすうちに  あのファミリヌの呪瞛や  勇者ずいう  自己掗脳か  そういうものから少しは自由になれた」
     
     アレクセむはメサドの方を向いお蚀った。
     
    「だから僕はメサドに  感謝しおいる」
     
     メサドはどうしおいいか分からない、ずいった顔をしおいた。
     さらにアレクセむは続けた。
     
    「  そしお子䟛だ  僕が父芪になるなんお考えもしなかった。勇者ずしお早死にするのだずばかり思っおいた」

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    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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