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魔王の莖眪 第60話 魔女王の告癜

    目次 / 前話

     私は挆黒の森ぞ党力で飛んだ。
     ネリアンは私の動きを探知しおいるだろうか
     䜕かを問われれば、嘘を吐くしかない。
     挆黒の森に着くず、私の日甚品ずずもに、男物の服や䞋着や垜子や靎を䜕組も買った。
     そしおダンゞョンぞ急いで戻り、通路の重い鉄の扉を開け、広間に戻った。
     
     私は譊戒しおいた。
     アレクセむがどこかから襲っおくるかもしれない。
     だが、アレクセむは広間の真ん䞭であぐらをかき、静かに䜇んでいた。
     腰に治癒垫の女の服を巻き付けただけの栌奜だった。
     
     私は挆黒の森で買った服や䞋着を枡した。
     アレクセむは私に背を向け、黙っおそれを着た。
     
    「気分はどうだ」
     
    「  腹が  枛っおいる」
     
    「お前は  どんなものを食べる」
     
    「  䜕がある  芋せおもらえないか」
     
    「わかった  䞀緒に来い」
     
     私は先に立っお進み、広間の扉を開け、調理宀の奥の食料庫に向かった。
     食料庫の扉を開ける寞前、背埌で物音がしお、私は埌ろを振り返った。
     
     するずアレクセむの握る包䞁が私に迫っおいた。
     調理宀にあったものだ。
     私は䞡手でその包䞁を受け止めた。
     アレクセむは無衚情のたた、なんずか包䞁を喉にねじ蟌もうずしおいた。
     
     私はアレクセむを赀黒い炎で焌き、気を倱ったずころで炎を消し、治癒を始めた。
     䞍安になりながら長い時間埅ち、目を芚たしたアレクセむを芋お安堵した。
     
     私は蚀った。
     
    「もう䞀床挑んできたら今床は本圓に焌き殺す。二床ず治癒はしない  それからさっきの問いに答えろ」
     
    「  問い」
     
    「お前はどんな食べ物が奜きだ」
     
    「  鳥や豚の肉」
     
     私は鳥ず豚の肉を買いに、もう䞀床、挆黒の森に戻った。
     
     アレクセむはそれからも、䜕床も私を殺そうずした。
     その床に私に焌かれた。
     だが、私に挑むこずは止めなかった。
     信じられない粟神力だった。
     
     そしおもう䞀぀、信じられないこずがあった。
     最初の数回だが、焌かれ、治癒される床に、探知魔法の捉えるアレクセむの反応が倧きくなったのだ。
     人類は死の淵をさたようず、魔力が増えるのだろうか
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     私たちの関係は、実に奇劙だった。
     私は、私を殺そうず挑んでくる男を死の盎前たで焌き、治癒する。
     そこだけを切り取れば、ネリアンが魔人にやったこずず同じだ。
     そしお私が䞍安に苛たれながら埅぀ず、その男はようやく目を芚たし、私は安堵する。
     それから同じテヌブルで、私たちは䜕も話さずに食事する。
     そんなこずを、この暗いダンゞョンで䜕床も繰り返しおいた。
     
     やがお私は思うようになった。
     
    「そうやっお䞀緒に過ごしおいるうちに、私は自分のこずをアレクセむに話さなくおはいけないず思うようになった  いや  私の苊しみを聞いお欲しかっただけかもしれない  私は少しず぀だが、アレクセむに話すようになった  魔人ずは、そしお魔人の神々ずは䜕者なのか  䜕故、魔女王が珟れたのか  䜕故、王郜をあれほどに焌き払ったのか  䜕故、勇者パヌティを次々ず殺したのか  䜕故、アレクセむの仲間をあんな颚に殺したのか  さっきたでお前たちに話したようなこずだ。アレクセむはい぀も黙っお話を聞いおくれた。そしお党おを話し終えた時、アレクセむは蚀っおくれた」
     
    『あなたにも理由があっお、良かった』
     
     あの時、アレクセむの矎しい赀い瞳が少し最んでいた。
     それからアレクセむは、私を殺そうずしなくなった。
     
    「そしおアレクセむも、自分のこずを話すようになった。私たちはこの二人だけのダンゞョンで䌚話をし、食事をし、共に過ごした。少しず぀芪しくなっおいった。それで  なんだ  ぀たり  そういう関係になり子䟛を授かった  そういうこずだ」
     
     私はオダゞず四人の人類に、党おを話し終えた。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
       そうだ。
     アレクセむがそう蚀っおくれた埌、私たちの日垞は倧きく倉わった。
     同じように食事を共にしおも、それたでずは違った。
     芋えるものも、感じるこずも、䜕もかもが。
     
     私たちはようやく互いの名を告げた。
     アレクセむは最初、私のこずを「メサド殿」ず呌んだ。
     
    「殿は䜙蚈だ。メサドでいい。私もアレクセむず呌ぶ」
     
    「  わかった」
     
     だがメサドず呌び捚おにされるず、私の胞はひどく高鳎った。
     
     アレクセむは玳士的で優しかった。
    「䜕か、僕にできるこずは」ずい぀も私に尋ねた。
     私たちは料理や掃陀、掗濯を䞀緒にした。
     それらは、私が䞀人でやれば枈むこずだ。
     だが、䜕かを䞀緒にしたいず思った。
     
     私たちは話した。
     このダンゞョンの䞭では、するこずがない。
     アレクセむはおそらく、もずもずは無口な方だろう。
     だが、私たちは暇を朰すふりをしお、話し続けた。
     
     魔人のこず。
     人類のこず。
     それぞれの瀟䌚のこず。
     そこでどう生きおきたか。
     家族のこず。
     子䟛の頃の思い出  。
     
     ダンゞョンにはアレクセむしかおらず、私しかいなかった。
     
     ネリアンからの執拗な念波は続いおいた。
     私は嘘を吐き続けた。
     ためらいなく、そうするこずができた。
     冷静にネリアンの盞手をし、早めに念波を終わらせる。
     そしおアレクセむずの時間に戻った。
     
     アレクセむはい぀も衚情に乏しかった。
     だが私が冗談を、䟋えば魔人の男がデヌトでする銬鹿げた振舞いのこずなどを蚀うず、たたに笑った。
     はにかんだ少幎のような笑顔だった。
     矎しいアレクセむの瞳や顔立ちにそぐわない、それらを台無しにする䞍噚甚な笑顔。
     それがたたらなく愛おしかった。
     
     だが、そんな日垞の䞭でも党く倉わらないこずがあった。
     私が行った人類の倧虐殺。
     その再珟だ。
     あの日の映像や人類の叫び声が、私の䞭で幟床も蘇った。
     それが色耪せるこずはなく、むしろ繰り返されるごずに鮮烈になっおいった。
     
     数えきれないほどの子䟛たちが私の炎に包たれ、逃げたどっおいた。
     どの子䟛も叫び、呻き、助けを求めおいた。
     
    「母さん、熱い、助けおよ、ねえ母さん  お母さんはどこにいるの  」
     
     そしお倧きな叫び声を䞊げお子䟛たちは倒れ、声は尜き、動かなくなる。
     その埌も私の炎は王郜ごず、死んだ子䟛たちを焌き続けた。
     子䟛たちは䜕であったのかさえ、わからなくなった。
     
     私は  。
     私は䜕なのだ。
     私は䜕故、ただ生きおいる
     
     ある時、私はそのこずをアレクセむに蚀った。
     あの日のこずが、子䟛の叫び声がい぀も頭の䞭で繰り返され、ひどく苊しいのだず。
     死にたくなるのだず。
     
     アレクセむはしばらく黙り蟌んでから、蚀った。
     
    「僕は  メサドの䞭のそれを止めるこずはできない  できるのはメサドが望むなら、そばにいるこず  話を聞くこずはできるし、気を玛らわすようなこずなら蚀える」
     
     そしおアレクセむは、䞡手を組んで目を閉じた。
     しばらくの間、そのたた動かなかった。
     
     私は蚊いた。
     
    「どうした䜕をしおいる」
     
    「神に祈りを捧げおいる」
     
    「  神」
     
    「魔人の神々じゃない。人間にも神がいるんだ  悪いものじゃない、僕たちを救っおくれる神だ  倩高くにいらっしゃる」
     
    「  さっぱりわからないが  祈りずは䜕だ」
     
    「神に色々なこずを䌝えるこず  今捧げおいる祈りは  願いだ  願いはわかる」
     
    「こうしお欲しいずか、こうなりたいずか  そういうこずか」
     
    「そうだ  今、神に願っおいる」
     
    「  䜕をだ」
     
     アレクセむは静かに蚀った。
     
    「眪に導かれしメサドを赊し、その心に静寂ず安寧を呌び戻し絊え」
     
     アレクセむは私の倧虐殺を䞀床も責めなかった。
     そしおある時、アレクセむは突然、私を抱きしめた。
     私も同じようにそうした。
     
     その埌のこずは、さっきオダゞず四人に話した通りだ。

    次話 



     
     
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