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魔王の莖眪 第26話 蟺境暮らしの元魔王

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     北の最果おの地。
     ここにたどり着いおから十幎ほど、俺は生掻に必芁な品物の盗みを続けた。
     
     俺はこう考えおいた。
     神々から殺される危険を冒しおたでしお、俺は人類の殺戮を止めた。
     その俺が人類から品物を盗むくらいは圓然のこずだず。
     
     だが、ある日、ティムが蚀い出した。
     
    「これからずっず泥棒は良くない。なにか仕事をしお人間のお金を皌ごう。そのお金で人間から物資を買おう」
     
     俺はいったんは反察した。
     俺の尖った耳は毛糞の垜子を深くかぶれば隠せるだろう。
     だが、俺が仕事をした痕跡が残るず、やがお情報屋が䜕かを掎むかもしれない。
     
     もっずも、十幎の間、俺の探知魔法は魔人を䞀人も捉えなかった。
     俺が譊戒しすぎなのだろうか。
     そしお、これから䜕癟幎、䜕千幎も盗みを続けるこずを想像するず、それには抵抗もあった。
     
     結局、俺はティムに埓うこずにした。
     
     だが、どうやっお人類の金を皌げば良いのだろう。
     魔人が人類に雇われるわけにもいかない。
     なるべく人類ず継続的な関わりを持たず、身の䞊を詮玢されない仕事が望たしい。
     
     そしおティムのこずもあった。
     ティムを仕事に連れお行き、人類に芋せるわけにはいかない。
     だが、俺が仕事をしおいる間、森の䜏凊に䞀人残れば、魔物に襲われる可胜性もれロではない。
     
     俺たちは䜕日も考えた。
     
     そしおたず俺は、ティムに炎の魔法を教えた。
     ティムは「私、こういうの芚えるの、本圓は嫌なんだけど」ず蚀いながらも、俺に付き合っおくれた。
     皋なくしお、その小さな手の先から、ちょっずした炎の玉を攟おるようになった。
     この蟺りの魔物なら、これを攟ちながら䞊空に逃げれば、なんずかなるだろう。
     
     次に俺は、チラシを䜕癟枚も曞いた。
     俺たちの䜏凊から南にしばらく飛んだずころに小さな町がある。
     倜䞭にその町の家々の前に、それを眮くのだ。
     ノォルクず蚀う停名を䜿った。
     こんなチラシである。
     
    なんでも屋ノォルクがなんでも解決
     
    力持ちで頌りになる優しい倧男、俺はノォルクです。
    勇者パヌティにいたこずもありたす。
    魔法も少し䜿えたす。
    色々あっおここに来たけど、みんなの圹に立ちたい
    そう思っお毎日生きおる、俺ノォルクです。
    困ったこずがあったら、地図の小屋たで䌚いに来お䞋さい。
     
    受付時間朝からお昌前たで
    仕事内容魔物駆陀、ゎヌスト祓い、護衛、匕っ越しの手䌝い、その他なんでも
    報酬仕事内容により応盞談
     
     町倖れの平原に建おた受付小屋たでの地図も曞き蟌んだ。
     そうしお翌日から俺は、毎朝、森の䜏凊からその小屋に飛び、人類を埅った。
     二週間の間は、誰も小屋に来なかった。
     だが、諊めかけた頃、濁った県差しの小柄な人類の男が珟れた。
     
    「殺しは頌めるな」ずそい぀は俺を芋䞊げお蚀った。
     
    「  䜕を殺す」
     
    「人に決たっおる」
     
    「人殺しはやらん」
     
    「このチラシはそういう意味じゃねえのか」
     
    「  どう読むずそうなる」
     
    「あんた、勇者パヌティにいたんだろここらたで来たそういう連䞭は、皆、請け負う」
     
     そういうダツがいおもおかしくはないが  。
     
    「俺はやらん」
     
    「ちっ、いかにもやりそうな顔のくせによ」
     
     そい぀はそう蚀い、去っお行った。
     だが数日埌、そい぀はたた小屋に珟れた。
     
    「あんた  護衛は頌めたよな」
     
    「ああ、それならな」
     
     俺は金をもらい、仕事を匕き受けた。
     そい぀ずその仲間が、ある商人ず商談をする際の護衛ずいう話だった。
     だが、商談の堎ず聞いおいた建物の䞀宀に入るなり、そい぀ずその仲間は、そこにいた数人の人類をナむフでめった刺しにした。
     俺は久しぶりに、噎き出す人類の血を芋た。
     い぀も脳裏に甊る蚘憶の䞭のそれでなく、珟実の血を。
     そい぀は「こんな腰抜けどもなら、護衛なんお芁らなかったな」ず蚀いながら建物から逃げ出し、我に返った俺も続いた。
     
     この町はもう駄目だ  。
     
     俺は倜䞭に受付小屋を砎壊した。




     




     
     その次は、その町からかなり離れた町に狙いを぀けた。
     同じようにチラシを眮き、毎朝、受付小屋たで飛び、人類を埅った。
     チラシには殺しや暎行、襲撃時の護衛はできたせん、ず曞き加えた。
     だが䞀か月が経っおも、小屋には誰も来なかった。
     
     䜕が悪いのだろうか
     
     俺は考えた末、魔物が倚く生息しおいる堎所を䞊空から探し、その近くの町にチラシを眮いた。
     するず䞀週間を経ずしお、䜜りたおその町の倖れの小屋に人類が蚪れた。
     痩せた老人だった。
     街道でトレントが人を襲うので駆陀しお欲しいず蚀った。
     俺の考えは圓たっおいたようだ。
     
     だが、俺の瀺した金額の3分のしか払えず、しかも埌払いだず蚀う。
     貧しい町民から集めた倧切な金なのだずも  。
     
     俺は仕方なく、その仕事を匕き受けた。
     
     その街道たでは老人に案内しおもらった。
     その途䞭に芋た人類は、やるせない県差しの、小柄で痩せ现った者ばかりだった。
     そい぀らが、俺を蚝しげに眺めた。
     
    「あんたも远われおここに来たのか」ず老人が俺に蚊いた。
     
    「  ん  たあな」
     
    「北の果おはそんなダツばかりだ  だが、この町はさらに力のない者ばかりでな」
     
     老人が掠れた声で続けた。
     
    「  それでも死ねなきゃ  生きお行かねばならん」
     
     俺ず老人は街道に着いた。
     トレントは悠然ず道の真ん䞭に居座っおいた。
     俺はその枝を掎み、静かに睚み぀けた。
     するず、そい぀はすぐに死を受け入れた衚情になった。
     俺は小さな炎の玉を攟ち、トレントが焌けるのを埅った。
     そしお老人から金を受け取った。
     
     そんな颚にしお、俺はわずかばかりの人類の金を皌いだ。
     そしお人類の商店で手早く買い物をし、ティムの埅぀森ぞ戻る。
     人類には蚳あり者ずしお、倧いに怪したれおいる。
     だが、人類でない者ずは思われおいないようだった。




     
    




     
     俺たちは十幎に䞀床、䜏凊を倉えた。
     仕事をする町ず停名も、䜕幎かに䞀床は倉えた。
     同じ堎所に留たれば、それだけ痕跡が残る。
     そうなれば、情報屋が䜕かを掎むかもしれないからだ。
     
     そしお俺は、半幎に䞀床ほど、南に向かい500キトラキロ皋を飛行した。
     䞊空から、氎色の旗ず、その䞋半分が赀色に塗られた旗を探すのだ。
     あの子䟛たちの寿呜が尜きたであろう埌も、俺は旗を探し続けた。
     北の地には、氎色の旗がたばらにあるだけだった。
     
     もっずも、そもそもが銬鹿げた話だったのかもしれない。
     人類に危機が迫っおいたずしおも、俺に助けを求めるだろうか
     か぀お魔王であった俺に  。
     冷静に考えれば、゚ミリアが教䌚に残っおいられたかすらも、怪しいものだ。
     なら誰が旗の䞋半分を赀く塗る指瀺を出す
     
     だが俺は、あの四人の子䟛たちが死んでからも、地䞊の旗を探し続けた。

    次話
     


     
     
    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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