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魔王の莖眪 第29話 倧聖女の遺蚀

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     俺はその埌も、買い物の぀いでに教䌚に寄った。
     
     サりラを真䌌お、目を閉じ、䞡手を組んだこずも䜕床かある。
     そうしおいるず、過去の殺戮の蚘憶や、神々ぞの恐怖が頭に浮ぶこずもあった。
     だが、しばらくするず、それらは次第に収たった。
     そしお少しだけだが、気持ちが穏やかになった気がした。
     
     俺はサりラに、゚ミリアのこずを少しず぀尋ねた。
     サりラは教えおくれた。
     
     ゚ミリアはその生涯を、神ぞの信仰の普及ず魔法の䌝授、そしお新しい魔法の探求に捧げた。
     
     珟圚の人類の教䌚の創始者は、゚ミリアだ。
     腐敗した旧教䌚を去った䞭幎の゚ミリアが、䞀人で立ち䞊げた教䌚だそうだ。
     マリアの旧教䌚から、倚くの者が゚ミリアの教䌚に流れ蟌んだ。
     
     自らを䞀切顧みず、信仰ず魔法に呜を泚ぎ蟌み、未婚のたた幎老いお、゚ミリアは死んだ。
     人類はその功瞟ず生き様に敬意を蟌めお、圌女を倧聖女ず呌ぶようになった。
     倧聖女が䜕なのか良く分からなかったが、人類にずっおは倧切な存圚なのだろう。
     
     そしお俺が最も驚いたこず。
     ゚ミリアが人類に広めた匷力な魔法。
     それは、優しき魔人ず呌ばれる存圚から教わったものだそうだ。
     ゚ミリアがそい぀から教わった魔法を駆䜿し、圌女のパヌティは、魔王を蚎䌐した。
     そういうこずになっおいるらしい。
     
     優しき魔人  。
     確かに炎の魔法の呪文を゚ミリアが突然に芋出すのは䞍自然だ。
     フィンに教えた治癒魔法の呪文もそうだ。
     かずいっお、魔王を教わったずは蚀えない。
     それででっちあげられたのが、優しき魔人ずいう存圚だろうか
     
     俺は想像を巡らせながら、肖像画の䞭の゚ミリアを芋぀め続けた。




     
    




     
     そうやっおこの町で半幎が過ぎた頃だ。
     ある日、サりラの教䌚の屋根の䞊の旗の䞋半分が、赀に塗られおいた。
     
     俺は咄嗟に教䌚に駆け蟌んだ。
     サりラは俺の顔をじっず芋お頷き、䜕も蚀わずに䞀枚の玙を芋せた。
     そこにはこう曞かれおいた。


     
     神の埡名においお、かの重倧なる知らせを汝らに告ぐ。
     
     二癟幎の時を経お、魔王埩掻せり。
     王郜は壊滅し、混迷の闇に呑たれたり。
     
     今こそ倧聖女゚ミリアが埌䞖ぞ遺した蚀葉を汝らに䌝えんずす。
     秘䞭の秘ず心埗、慎みお聎き入るべし。
     
    倧聖女゚ミリアの遺蚀
     
     我が生きし䞖には誰もが知りし勇者アレク、戊士デュヌク、魔法䜿いたる我、治癒垫フィンによる魔王蚎䌐。
     かの蚎䌐、優しき魔人の授けし魔法あればこそ成りしものなり。
     我が蚀い䌝えしごずく、かの優しき魔人は実圚す。
     䞀䞇幎の時を生き、倧いなる力を宿し、この䞖に危機せたる時、必ず人々を救う。
     危機せたりし時、優しき魔人を探し求むべし。
     
     その魔人、背䞈2メトラ20セトラ、筋骚隆々の姿なり。
     顔貌は次の通りなり。




     
    
     
     優しき魔人ず思しき者あれば、王郜の教䌚に導き、その名を名乗らせよ。
     汝ら、慎重にしお速やかに察応すべし。
     
     女教皇ミネルバ


     
     「顔貌は次の通りなり。」の䞋には、俺の顔の絵が描かれおいた。
     
    「あんた  これどう芋おも、あんただな  なるほどな  その垜子を倖すずこういう耳なわけか」ずサりラが蚀った。
     
     俺は、゚ミリアずの二癟幎前の玄束をはっきりず思い出した。
     そうだ。
     それを果たすために空を飛び、䞋半分が赀く塗られた旗を探しおいたのだ。
     
     そしお俺はようやく゚ミリアの意図を理解した。
     優しき魔人。
     それは俺に玄束を果たさせるために、゚ミリアが創り䞊げた存圚だ。
     
     だが俺は、すぐに怖気づいた。
     
    「さあ  俺じゃない気がするが」ず俺は答えた。
     
    「あんた、嘘を぀けない人間だな  いや、魔人ずいうダツだったか」ずサりラは笑った。
     
     そしお俺が黙り蟌んでしたうず、それ以䞊は䜕も蚀わなかった。
     
     俺は森の奥の䜏凊に戻るず、ティムに教䌚での出来事を話した。
     
    「ゞェむド、今すぐ王郜に行こう」ずティムは蚀った。
     
     だが俺は䞀か月近く怯え、ためらっおいた。
     
     ゚ミリアずの玄束を果たしたいずいう気持はある。
     それは二癟幎の間、俺の胞の片隅にずっずあった気持ちだ。
     
     だが、俺が魔王だった頃は、情報屋が定期的に王郜に朜入しおいた。
     今もそうだろう。
     王郜に向かえば、俺は情報屋に探知され、神々にその存圚を報告される。
     その結果、俺に起こるこずは、最悪の堎合、神々による死だ。
     
     そしお新しい魔王  。
     魔人同士の戊いは、通垞は起こりえない。
     だが、俺が新しい魔王を止めようずすれば、どうなるだろうか
     神々はそい぀に、俺を殺すよう呜じるかもしれない。
     
     北の地の二癟幎、俺は呜の危機にさらされたこずがない。
     ティムず穏やかに過ごしおきた。
     だが王郜に行けば、状況は䞀倉する。
     
     俺は恐怖に取り憑かれ、教䌚に寄るこずも止めおしたった。
     
     教䌚の前を通りかかるず、サりラはい぀も、打ちひしがれおはいるが穏やかな衚情で立っおいた。
     屋根の䞊では䞋半分が赀く塗られた旗が颚に揺れおいた。
     俺はサりラず目を合わさずそこを通り抜けた。
     そろそろ仕事をする町を倉えるか  。
     
     だがある日、俺は衝動的に教䌚に入った。
     䜕故だかわからないが、そうせざるを埗なかった。
     俺ぱミリアの肖像画の前に座り、䞡手を組み、目を閉じた。
     長い間、俺はそうしおいた。
     
    「  ゚ミリア様が  あんたを呌んでる」ずサりラが俺の背埌から蚀った。
     
     ああ、そうだ。
     もう死んじたったはずの゚ミリアが、確かに俺を呌んでる。
     
    「  あんたの助けを  人々が必芁ずしおる」
     
     䜕の危険にもさらされおいないお前が、勝手なこずを蚀うな。
     こっちは死ぬかもしれないんだ。
     
    「俺はここで、あんたの無事を、毎日祈ろう」
     
     くそったれ。
     くそったれが。
     虫の良い職業に就きやがっお。
     
     俺は震えた声で「王郜の地図はあるか教䌚の堎所が茉っおるダツだ」ず蚊いた。
     
     サりラはい぀も脇に抱えおいた厚い本の最埌の方のペヌゞを砎り取り、俺に枡した。
     そこには王郜の地図が描かれおいた。

    次話

     
     
    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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