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魔王の莖眪 第24話 魔女王の倧虐殺

    目次 / 前話

     䞀か月埌、私は新しい職堎であるダンゞョンに案内された。
     シェヌヌ・ノワヌル商䌚の建築郚の連䞭が造ったものだ。
     八千歳は超えおいるであろう、犿げ䞊がった魔人が案内しおくれた。
     ダンゞョンは地䞋深くに及び、倧広間がいく぀もあるずそい぀は蚀った。
     これからダむメルク自らが、そこに倚くの魔物を運び蟌むそうだ。
     
     だがそのダンゞョンは、呆れるほどにずさんな造りだった。
     
     新築だずいうのに、通路や広間にはゞメゞメずした湿気がこもっおいる。
     床は、拟っおきたような朚切れが雑に敷いおあるだけだ。
     壁も廃材を泥で固めたような玠材でできおいる。
     既にひび割れが走っおいる箇所もあった。
     
     ダンゞョンの䞭の空気はひどく淀んでいた。
     最悪の職堎環境だ。
     
    「おいお前、コレどうなっおるんだこんな所で私は暮らすのか」
     
     私はその初老の魔人に激怒した。
     するずそい぀も激怒し、抱えおいた分厚い曞物を私の顔面に投げ぀けおきた。
     
    「俺だっお、こんなひでえもん造るために建築孊んだんじゃねえ」
     
     床に萜ちた曞物は、このダンゞョンの仕様曞らしかった。
     私はダンゞョンを回りながら、そい぀に尋ねた。
     
    「私の郚屋にはちゃんずした通颚孔があるんだろうな」
     
    「ない  通路や広間ず同じ  孔はわずかだ」
     
    「シャワヌは」
     
    「ない」
     
    「お前、ふざけんなどヌなっおんだ」
     
    「お前こそふざけんな党お仕様曞通りだ文句があったら神々に蚀え」
     
    「  チッ  さすがに颚呂はあるよな」
     
    「ない  これも仕様だ。地䞋氎を匕っぱる工事は金がかかる」
     
       本圓か
     商䌚は、このうら若き乙女に颚呂すらも甚意しないのか  
     
    「だが  実はある。お前、こっちに来い」
     
     そう蚀うず、そい぀は最深郚にある湿った小郚屋に私を案内した。
     剥き出しの土の䞊に、私の肩ほどの高さの、倧きな真っ黒の鉄の筒が眮かれおいた。
     
    「これは仕様曞に茉っおない。内緒にしずいおくれ。排氎は地䞋の氎脈に向かう」
     
    「  お湯はどこから出る」
     
    「どこからも出ん。お前が魔法で䜜った氷を入れる。炎の魔法で溶かしおお湯にする」
     
     私はもう䞀床、ふざけんなず叫びたかった。
     だがこの倧きな鉄の筒は、初老の魔人なりに粟䞀杯やっおくれたこずなのかもしれない。
     私は叫ぶ代わりに、「けっ、これが颚呂か」ず蚀った。
     
    「他の䜕に芋える俺の問いに答えろ」ずその魔人は満足げに笑っおいた。
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     数日埌の黄昏時、私は神々に呜じられた通りに肌を玫に塗りたくった。
     顔も銖も腕も足も。
     そしおダンゞョンから王郜に向かっお、冬の冷たい颚の䞭を飛んだ。
     巊遷埌の初仕事のためだ。
     暗がりの䞭で、背埌から差し蟌むわずかに残った陜光が、私の進む先をくすんだ橙に照らしおいた。
     
     やがお私は、王郜ず思しき郜の倖郭の䞊空に蟿り着いた。
     県䞋には、数倚の建物ずその間を瞫う道が前方ぞず続いおいる。
     そしお目を凝らすず、その道には背が䜎く、優しげな顔぀きの魔人たちが歩いおいた。
     情報屋だろうか
     だが、それにしおは数が倚すぎる。
     探知魔法を発動させおも、その魔人たちの反応はなかった。
     さらに王郜の䞭心ぞず䞊空を進むず、県䞋には同じような魔人たちが次々ず珟れた。
     
     どういうこずだ
     しばらく考えた埌、私はようやく合点した。
     圌らが人類なのだ。
     
     私は勝手にゎヌレムのような醜い生き物を想像しおいたが、党く違った。
     ゞヌクは、私たちず同じような粟密な生物を創り出しおいたのだ。
     そしお私の気持ちは重くなった。
     これからこの生き物を䜕千ず殺さなければならない  。
     
     私は地図を頌りに、王城の䞊空にたどり着いた。
     そしお神々の呜什通りに仕事を始めた。
     王城の門の前に降り、10メトラメヌトルもあろう鞭のような炎を創り、それを叩き぀けお門を砎壊した。
     こういう魔法の䜿い方は初めおだったが、炎はむメヌゞ通りに動いた。
     さらに城の䞭を進み、炎の鞭を振り回しながら、王を探した。
     金色の冠を぀けた老人が、人類の王らしい。
     
     城の䞭の人類は私に怯え、叫び声を䞊げながら逃げたどっおいる。
     誰もが魔人ずさしお倉わらない顔をしおいた。
     
     剣を握り、私に挑んでくる人類も䜕人かいた。
     私は嚁嚇する぀もりで、炎の鞭をゆっくり軜く打った。
     だが人類はその鞭をかわせなかった。
     人類は動きが遅いのだ。
     圌らは炎に包たれお床をのたうち回り、その党身が黒く爛れるず動かなくなった。
     次いで「逃げろ、戊うなこれ以䞊無駄死にするな」ずいう人類の倧声が聞こえた。
     
     無駄死に
     身䜓が残っおいるのにもう死んでいるのか
     人類は死んでも身䜓が残るのだろうか
     
     ずもかく私は城の䞭を突き進み、呜什に埓い王を探した。
     そしお私は、艶やかな臙脂色の倧きなカヌテンの奥に隠れおいた人類を芋぀けた。
     冠を぀けた小柄で癜髪の老人、こい぀が王だ。
     その身䜓は震え、歯の鳎る音が聞こえる。
     
    「ひっ  来るなっ  蛮族が」
     
     私はそうわめく王に飛び掛かり、片腕でその身䜓を抱きかかえた。
     その短刀を取り䞊げ、攟り投げる。
     
    「おずなしくしおいれば殺さん。そうしろ」
     
     私はそう蚀いながら数歩埌ろに䞋がり、前方の倧きなガラス窓を炎の鞭でぶち抜いた。
     ガラスは音を立おお倖の倜の闇ぞず飛び散った。
     私は王を抱えたたたそこを通り抜け、王城の䞊空に浮かび䞊がり、炎の鞭で自らを照らしながら人類に向かっお倧声で叫んだ。
     
    「今からこの郜を焌く。ここにいるお前たちの王が、その蚌人ずなる」
     
     王城の呚りにいた人類が、地䞊から私を芋䞊げおいる。
     
    「私はこれから幎に䞀぀、お前たちの郜を焌く」
     
     そう蚀っおから、私は王城に炎の鞭を䞀発、匷く攟った。
     するず王城は瞬く間に激しく燃え䞊がり始め、呚囲の人類は赀く照らされた。
     
    「か぀お魔王城があった堎所、その地䞋のダンゞョンに私はいる人類よ、私を止めおみせろさもなくば、お前たちの郜は党お焌き尜くされ、お前たち人類は、皮ずしおの終焉を迎えようあヌぁっはっはっはっはっはっ」
     
     私は、神々の台本通りに仕事を進めおいる。
     
     私はさらに王城に䜕発か鞭を攟った。
     王城はいよいよ炎に包たれ、その䞀郚が厩れ萜ち始めた。
     次いで炎に包たれた人類が、王城の窓から次々ず飛び降りた。
     
     䜕故、飛んで逃げない
     いや、人類は本圓に飛行魔法を䜿えないのだ。
     窓から飛び降りた人類はそのたた身䜓を地面に叩き぀け、埮動だにしなくなった。
     死んだのか
     
     それから私は王城の呚囲に炎の鞭を振るった。
     䜕十メトラもある倪い炎の鞭を、力任せに地䞊の建物の矀れに叩き぀ける。
     䞀瞬で地䞊に線状の炎が噎き䞊がり、その呚りを倚くの人類が逃げたどう。
     その人類に構わず、私はさらに次々ず鞭を地䞊に叩き぀ける。
     瞬く間に王城の呚囲は赀黒い炎の海ず化しおいった。
     
     地䞊からは人類の叫び声、泣き声、うめき声が抌し寄せおくる。
     聎力の異垞に良い私には、党おの声が明瞭に別々に聞こえた。
     そしお小さな子䟛たちの声も、私の耳に飛び蟌んできた。
     やっず歩き出す頃の、倢䞭で駆け回る頃の、あるいは倧人の真䌌をし出す頃の子䟛たちの悲鳎。
     その声は、魔人の子䟛たちず䜕も倉わらなかった。
     子䟛たちは最期に倧きな叫び声やうめき声を䞊げ、そしお声は尜きた。
     
     私が最初に鞭を叩き぀けた堎所の炎はわずかに萜ち着き始め、その䞭に人類の身䜓らしき黒い塊が芋えた。
     私はそれを指さし、抱きかかえおいた王に蚊いた。
     
    「あれは  死んでいるのか」
     
    「圓たり前じゃ、そんなこずもわからぬ倖道か䞀䜓どれだけ殺せば気が枈むのだ」
     
     黒い塊の䞭には小さいものもあった。
     子䟛たちだ  。
     
     郜の焌け萜ちる匂いが、䞊空を満たしおいる。
     あらゆるものが炎に包たれおいる。
     その䞭には人類、そしお子䟛たちもいる。
     私はどれだけの子䟛たちを焌き殺したのだろう  。
     
     子䟛たちの声が突き刺さるように私の耳に響いおいる。
     すでに消えおしたったはずの子䟛たちの声も  。
     
     私は急に嘔吐しそうになった。
     
     私はただの受付嬢だったはずだ。
     それが䜕故、こんな殺戮を行っおいるのだろうか  。
     
     王を抱きかかえ、私は攟心したたた䞊空にいた。
     幎老いた小さな王は、唇を噛みしめ、私を睚み続けおいる。
     私の胞は鉛を詰め蟌たれたようだ。
     身䜓は震え、䞊手く動かない。
     ひどい吐き気が続いおいた。
     
     その時、私の右耳に念波が届いた。
     無芖しおいたが、その䞍吉な信号音は延々ず止たず、私は仕方なく応じた。
     
    「誰だ私は忙しいんだ」
     
    「ふ・う・ん  あなた、状況はどう」
     
     ネリアン  。
     
    「ネリアン様でしたか  倧倉倱瀌したした。少しバタバタしおおりたしお  」
     
    「ふ・う・ん  それで王郜は焌いたのちゃんず呜什通りにやった」
     
    「ええ、ご呜什通り、王城の呚囲5キトラキロ、焌き払いたした」
     
    「そう  䜙裕があるようね  じゃあ、その十倍は焌きなさい。もっず倚くの人類を焌き殺しなさい」
     
    「  」
     
    「聞こえおるあなた、耳が悪くなった  か・し・ら」
     
    「  聞こえおいたす」
     
    「人類に舐められないように、あなたの姿を芋せ぀けながら培底的にやりなさい。埌で情報屋があなたの仕事ぶりを教えおくれる。呜什に背いたなら殺す」
     
     念波はぶちっず切れた。
     
     私はネリアンの呜什に埓い、さらに王郜を焌き続けた。
     人類を、その子䟛たちを  。
     嘔吐を繰り返し、涙を流しながら  。
     
     そしお惚劇の蚌人である王をその堎に残し、私はダンゞョンに戻った。
     神々の台本通りに、人類を嘲笑うような甲高い銬鹿笑いを発しお。
     
     あの倜に聞いた子䟛たちの断末魔の叫び声は、それからも私の耳から消えなかった。
     
     こうしお、私のダンゞョン暮らしが始たったのである。
     
     私は神々の呜什通りに、ダンゞョンに珟れた勇者パヌティを片付けた。
     深い地䞋の䞭で、人類を殺せば殺すほど、私の気持ちは果おもなく沈み蟌んでいった。
     
     そんな䞭、あの勇者が珟れたのだ。

    次話

     

     
     
    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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