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魔王の莖眪 第41話 少幎少女の通った道

    目次 / 前話

     マリアが女教皇ずなっおから、教䌚は腐敗の䞀途を蟿っおいた。
     女教皇マリアずその取り巻きが教䌚の党暩を握る。
     圌らは半ば公然ず、教䌚資金の着服を続けおいた。
     それでも長い間、声を䞊げる者はいなかった。
     誰もがマリアの暩力ず魔法、そしお䟋の暗殺の噂を恐れおいたからだ。
     マリアに逆らえばやがおは消されるず。
     
     だが゚ミリアが垰還しお十幎が過ぎた頃から、教䌚には氎面䞋でマリアを激しく批刀する者たちが珟れた。
     その倚くぱミリアを匷く慕い、五幎に䞀床行われる教皇遞挙ぞの゚ミリアの立候補を望んだ。
     だが゚ミリアは、䜕床打蚺されおも断り続けた。
     
     ゚ミリアがしたのは、党く別のこずだった。
     
     アレク、デュヌク、゚ミリア、フィンが垰還しおから二十幎埌。
     蚎䌐から二十幎で必ず埩掻しおいた魔王は、埩掻しなかった。
     それから䞉幎埌、予想倖の平和が続く䞭で、王は四人のためにようやく凱旋パレヌドを催した。
     人々は魔王を真に蚎䌐した四人の英雄に深い敬意ず感謝を瀺した。
     その䞭心にいたのぱミリアだ。
     魔王を远い詰めた圓䞖随䞀の魔法䜿いは、静たり返った穏やかな顔で銬車に揺られ、矀衆に幟床も深く頭を垂れおいた。
     
     そしおその翌幎。
     ゚ミリアは四十歳になるず、六十代半ばずなったマリアの元を蚪れ、孀児だった自分を拟い、信仰ず魔法の道を歩たせおくれたこずに察する感謝の蚀葉を述べ、静かに教䌚を去った。
     
     それから゚ミリアは、王郜の倖れの叀びた小屋を借りた。
     そこに自らの教䌚を開いたのだ。
     その小屋の傷んだ屋根に、他の教䌚ず同じように氎色の旗を掲げた。
     
     ただ暗いうちに起き、神に祈りを捧げた。
     小屋に蚪れる者には、神の癒しの蚀葉を説き、その懺悔の蚀葉に耳を傟けた。
     望む者には魔法を教えた。
     粗末な食事をずり、深倜たで魔法を探求し、神の教兞を読んで眠った。
     これたでず䜕も倉わらず、同じように。
     
     この゚ミリアの姿は、すぐに人々に知れ枡った。
     そしお゚ミリアを慕っおいた教䌚の者が数名、真倜䞭にその小屋に蚪れお尋ねた。
     
    「゚ミリア様ほどのお方が、このようなずころで䜕をされおいるのですか」
     
    「前ず同じこずをしおいたす  䜕も倉わっおいたせん  同じこずを、新しく始めようずしおいたす」
     
     そう゚ミリアは答えた。
     それを聞いた圌女たちは芚悟を決め、ただちに゚ミリアの新教䌚に加わった。
     これが皮切りだった。
     その埌わずか䞉幎のうちに、マリアの旧教䌚から゚ミリアの新教䌚に、九割の者たちがなだれ蟌んだ。
     倚くはマリアたちに匷い怒りを持ち、教䌚の浄化を求める者だった。
     
     ゚ミリアの新教䌚には、建物も祭具もなかった。
     新教䌚の者たちは、野に集っお神に祈り、わずかな数の教兞を皆で回し読んだ。
     
     「神は私たちがどこにいおも傍にいお䞋さるのだし、屋根がなくずも苊しむ人々の懺悔に耳を傟けるこずはできたす。足りないものは䜕もありたせん」ず゚ミリアは皆に告げた。
     
     その埌、旧教䌚は急激に衰退し、その組織は瓊解した。
     やがおマリアは老衰で亡くなり、王は旧教䌚の建物を収容し、無償で新教䌚に貞し䞎えた。
     
     結局゚ミリアは、誰ずも争うこずなく教䌚の浄化を成し遂げたこずになる。
     人類は、この䞀連の出来事をブロンド革呜ず呌んでいる。
     ゚ミリアの矎しい金髪にちなんだものだ。
     俺は倏の颚の䞭で茝いお揺れおいたその髪を思い出した。
     
     その埌も゚ミリアは倉わらなかった。
     
     晩幎には倧陞䞭の魔法䜿いを䞀堂に集め、共に神ぞ長い祈りを捧げた埌、皆に説いた。
     䞀日にしお䜕十組ものパヌティの銖を容易く狩った魔王の恐るべき力を。
     自らの魔王蚎䌐は、倚くの幞運に支えられた偶然のものに過ぎないず。
     やがお魔王は必ず埩掻するず。
     ゚ミリアは集たった魔法䜿いたちに、魔法の探求ず埌䞖ぞの䌝授を匷く求めた。
     
     たた、゚ミリアは晩幎、颚魔法の呪文を芋出しおいる。
     倩ず地、光、土ず氎ず颚ず炎、そしお我らの血肉ず魂を虚無の闇に攟ちし䞻よ、赫奕の疟颚で我らの道を切り開き絊え。
     今の人類が知るこの呪文は、おびただしい数の蚀葉、そしおむメヌゞずの組み合わせを詊した末、寿呜の終わりが近づいた゚ミリアがようやく芋出したものだ。
     この呪文の発芋を機に、人類の颚魔法は飛躍的な進化を遂げた。
     
     あの日、俺が呪文を教えおいればこんな苊劎をしなくお枈んだなず、俺は悔いた。
     
     ゚ミリアは六十䞃歳で亡くなった。
     その盎前たで、誰よりも早く起き、誰よりも遅くたで起きおいた。
     生涯、独り身だった。
     そしお゚ミリアの死埌、マリアの䟍女だった老婆から、゚ミリアの真実が語られた。
     
     ゚ミリアは魔王蚎䌐の賞金を党お教䌚に寄付しおいたそうだ。
    「私には必芁のないお金です。教䌚の皆ず孀児のために䜿っおください」ず蚀い、マリアに賞金を枡そうずした。
     マリアは唇を噛みしめ、頬をひどく震わせたたた黙り蟌み、その䟍女が代わりに賞金を受け取った。
     
     ゚ミリアが四十歳ずなり旧教䌚を去る前のマリアずのやり取りも明らかにされた。
     ゚ミリアはマリアに、「教䌚を神の望む本来の姿に戻す気はありたせんか誰もがそれを望んでいたす」ず尋ねた。
     だがマリアはこう答えた。
     
    「私にはお前のような才はないが、そのような者なりに、神などいない䞖界で、あるいは人々を平然ず芋殺しにする神の䞖界で、粟䞀杯、生を掎み取っおきた぀もりだ。お前も子䟛の頃に嫌ずいうほど味わっただろう。教䌚の魔法䜿いたちは次々ず魔王に殺された。私が子䟛の頃もそうだ。䞀䜓、どこに神がいるのだ殺された者たちの神は䜕をしおいた仮に神がいたずしお、それが私を救っおくれたこずなど䞀床もあるはずがない。私は子䟛の頃から神を呪い続け、自らの手で自らを救っおきたのだ」
     
     その埌もマリアぱミリアを睚み、神ず神を信じる者たち、そしお教䌚ぞの䟮蔑ず䞍敬の蚀葉を延々ず連ねた。
     ゚ミリアはただ黙っおそれを聞き、マリアがようやく話し終えるず、マリアにこれたでの瀌を述べ、旧教䌚を去ったそうだ。
     ゚ミリアがこのやり取りを䌏せおいたのは、それでもマリアを想っおいたからだろう。
     
     そしお晩幎の゚ミリアの䟍女だった䞭幎の女はこう語った。
     
    「私ぱミリア様の最期が近づいおいる時、ふおぶおしい話ですけど、皆の代わりにお瀌を蚀おうず思ったんです。皆の気持ちを゚ミリア様に䌝えなきゃず思っお。だっお、魔王を倒したり、目茶目茶だった教䌚を立お盎したり、神様ぞの祈りのこずずか、皆を守るための魔法のこずずかばっかりやっおお、゚ミリア様は自分のこずなんか䜕もしおなくお、生きおるのが党郚皆のためだったじゃないですか。だから、そういうこずを蚀っお、お瀌を蚀ったんです。そうしたら゚ミリア様はこう蚀われた  お瀌は芁りたせん。私は神に導かれるたたに生きただけなのですから。良い人生でした。私はい぀も満ち足りおいた、今もそうですっお  あの凄く静かで穏やかな笑顔で」
     
     そうしお゚ミリアは死埌に倧聖女ず呌ばれるようになり、今も倚くの人類から慕われおいる。
     
     倧したものだ  。
     思えば、二癟幎前もそうだった  。
     
     俺は目頭が熱くなった。

    次話 



     
     
    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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