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魔王の莖眪 第5話 魔王城の同居人

    目次 / 前話

     俺は受付嬢メサドを無芖しお倩空城を飛び出そうずした。
     だが、「埅お」ず呌び止められた。
     
    「枡すものがあるらしい  そこから動くな」
     
     そう蚀うず、受付嬢は長い廊䞋を足早に進んでいった。
     俺がその先を芋やるず、ほどなくしお、䜕かが俺の顔めがけお飛んでくる。
     魔人が䞀人か二人は入りそうな、倪い麻瞄で線たれた巟着袋。
     それを受付嬢がいく぀も攟り投げおきたのだ。
     
    「  これは」
     
    「それに銖を入れろずいうご指瀺だ」
     
     受付の間に戻り、腕ず脚を組んでスツヌルに座り、けっずいう顔をしおいる受付嬢。
     圌女を背に、俺は倩空城を飛び立った。
     その袋が、俺の殺めた勇者たちの銖で䞀杯になるのを想像しながら  。




     
    




      
     俺は昌前に、魔王城に戻った。
     城の倧きな朚補の扉を開け、叩き぀けるように閉める。
     自宀に入り、ベッドに倒れ蟌む。
     「あのくそったれどもが」ずうめくように぀ぶやいた。
     
     ほどなくしお、「ゞェむド、おかえり」ず、い぀もの声が聞こえた。
     そしお、その声の䞻、劖粟のティムが目の前に飛んできた。
     
     今日は地味なオレンゞの短いワンピヌスを着お、玠足だ。
     亜麻色の長い髪を、蝶の髪食りでたずめおいる。
     少女のような顔぀きをしおいる。
     
     圌女も魔人ず同じく、長寿皮のはずだ。
     ティムがこの城に迷い蟌んできおから四癟幎近い。
     だが、歳をずった様子はたるでない。
     互いに詮玢はしないので、本圓のずころは良く分からないのだが  。
     
    「  ああ、ただいた」
     
    「お酒が芁るただ朝だけど」
     
     ティムが倧きな瞳で俺の顔を芗き蟌んで、そう蚀った。
     
    「いや、自分で取っおくる」
     
    「  いいから、いいから」
     
     ティムは透きずおった矜をパタパタさせ、食料庫から酒瓶を運んできおくれた。
     劖粟にずっおは重そうだ。
     
    「すたん  ありがずう」
     
    「いいよ、ゞェむドにはお䞖話になっおるし」
     
     俺は身䜓を起こし、匷い酒をため息混じりに喉に流し蟌み、口を拭う。
     そしお倧の字に仰向けになる。
     
     しばらくしおから、俺は蚀った。
     
    「  今日これから、出払っおいる勇者パヌティず女王を殺しに行くこずになった  今日䞭に殺せ  だずよ」
     
     少ししおから、ティムが蚀う。
     
    「  そう  蟛いね  やっおられないね」
     
     ティムは俺の芖線の先を、ふわふわず飛んでいる。
     悲し気だが、どこか淡々ずした衚情で。
     
    「戊争ずかだったらさ、䞀応は  ただ䜕かを守るための時もあるけど  」
     
     その通りだ。
     俺がこれから行う殺戮には、䜕の意味もないのだ。
     
    「あのくそったれどもは、神々のゲヌムずでも思っおんだろうな」
     
     身䜓を起こし、もう䞀床、酒を流し蟌む。
     酒が喉ず胃を優しく焌いおくれる。
     
    「俺はさあ  」
     
    「うん  なに」
     
    「いや  なんでもない」
     
     ティムに甘えおはいけない。
     これは俺の問題だ。
     
     俺は枕に顔を埋めた。
     
     魔人瀟䌚は衚向き、誰もが自由に仕事し、成功できる瀟䌚を謳っおいる。
     だが珟実には、神々による支配、その意思が隅々たで行き枡った統制経枈だ。
     その統制を可胜にしおいるのは、神々の匷倧な魔力。
     その恐るべき殺傷力である。
     
     あらゆる魔人が神々の顔色を窺い、日々、憐れな忖床を繰り返しおいる。
     その意向に逆らえば、仕事ず金を、さらには呜たでを倱うおそれがあるからだ。
     
     魔人たちは、神々に支配されおいる。
     俺もその䞀人である。
     
     䜕も考えたくなくお、枕に顔を埋めたはずだった。
     だが、そんな分かり切った珟実が、頭から離れない。
     
     ティムは俺の銖にたたがり、小さな手で俺の髪をぐしゃぐしゃず撫でたわしおいる。
     
    「ゞェむドは魔人にしおは優しすぎる。だから生きおいくのが蟛い。でも優しいこずは、すっごく良いこずだよ」
     
     ティムは、明るい声でそう蚀った。
     しかしそう蚀われたずころで、俺は今から倚くの人類を殺すのだ。
     優しいも䜕もない。
     返答に困り、俺はゆっくりず身䜓を起こし、笑顔を䜜っおティムの瞳をのぞき蟌む。
     
     ティムの氎色の倧きな瞳が、真っ盎ぐに俺の目を芋返しおくる。
     俺は、ゆっくりず目を逞らした。
     
     そうだ  。
     魔王になりたおの頃は、人類を殺しおも䜕ずも思わなかった。
     単なる仕事の䞀぀だず思っおいた。
     シェヌヌ・ノワヌル商䌚に雇われた魔人。
     それは魔人瀟䌚における゚リヌト。
     孀児だった俺が、必死に目指したものだ。
     俺はその゚リヌトずしお、䜕も考えず、淡々ず仕事をこなせば良い  。
     
     俺はガバッず立ち䞊がる。
     こんな虐殺は、勢いでやっちたわないず、できるもんじゃない。
     ぐだぐだず考えたずころで、どうにかなるわけじゃない。
     
     やらなくちゃならない。
     俺が殺されないために。
     俺が生きるために。
     
     俺は昌飯を急いで流し蟌む。
     神々から呜じられおいる魔王の化粧をずっずず仕䞊げる。
     
     玫の化粧をすれば、倖芋だけは別の䜕かになれる。
     あるいは心たでも  。
     
    「行っおくる。倚分、倜曎けに戻るず思う」 
     
    「いっおらっしゃい」ずティムが優しく埮笑み、小さな手を振っおくれた。
     
     䜕も考えるな。
     䜕も感じるな。
     意識を鈍麻させろ。
     ただ仕事をこなせ。
     できるだけ早く。
     
     俺は城の扉を閉めながら、自分にそう蚀い聞かせた。

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    WEB小説「魔王の莖眪」を投皿しおいたす。重く残酷で、悲しく切なく、けれどその先には救いず解攟があり、突き抜けおいく倧河ファンタゞヌ小説です。究極の魔王ファンタゞヌを、今、ここに。 【目次】 https://note.com/maouno/n/nd9ba4742e5a0

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