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【連茉小説】ダッチン ~日本の寄付を文化に倉える男~ ≪11≫



11 2013幎11月 足立雅暹 27æ­³

やっずの思いで、アパヌトに蟿たどり着いた。

玄関を開け、キッチンを兌ねた廊䞋に厩れ萜ちる。
郚屋が1階で良かった。

廊䞋に座ったたた、スニヌカヌを脱ぐ。
右ヒザが痛く、ただ靎を脱ぐだけなのに、メッチャ時間がかかる。

尻を床に぀いたたた右足を浮かせ、䞡手ず巊足で埌ろ向きに進んだ。
郚屋のドアを開ける。

ガガッ

「か぀お、ゎメン。腹枛ったよな」

か぀おがゲヌゞの䞭で、もう䞀床跳ねた。オレの声に応じたのだろう。
たずは䜕より、か぀おに゚サをあげなきゃ  。

ゲヌゞたでの移動の途䞭で、箱買いしおあったミネラルりォヌタヌのペットボトルを、1本取り出した。
ペットボトルを逆さにセットする絊氎噚の氎は、空だった。

か぀おの動きを芋るず、元気はありそうだ。
党身ず衚情ずを目いっぱい䜿っお、オレに空腹を蚎えおいる。

ペットボトルを亀換した。
か぀おは、すぐ受け皿に近寄り、氎を舐めた。心からゎメンず思った。

チモシヌずペレットの袋を匕き寄せようず、オレは䞊半身を倒し、巊手を目いっぱい䌞ばす。

そのずき、か぀おず目が合った。

か぀おの顔には、「遅すぎ」ず曞いおある。
「ゎメン」ず、声を出しお謝った。

ゲヌゞの䞭の噚を2぀取り出し、それぞれに゚サを補充する。
たずは、チモシヌの噚だけ、ゲヌゞ内の定䜍眮に戻した。

か぀おは、元気にチモシヌを食べおいる。

オレは改めお、「3日も垰らずゎメン」ず蚀っお頭を䞋げた。
か぀おは、チモシヌに集䞭したたたで、オレに顔を向けない。
もう少ししたらペレットも入れるからな、ず心の䞭で呟く。

「こんな時間じゃ、もう、朝ゎハンじゃなくお、昌ゎハンじゃないか」ず、か぀おの文句が聞こえた気がした。

か぀おは、盞倉わらずコッチに顔を向けない。
もしかしお、怒っおいるのかな  そりゃそうだよな  。

オレは、ゲヌゞのたえで仰向けに寝転んだ。
さっき、康平から折返しの電話があり、そのおかげで昚倜のこずを、だいたいは把握できた。

オレは䜕故、あの先茩に絡んだのだろうか
  わからない。
絡んだ蚘憶もない。

面癜くないずか、気に入らないず思っおいたような、そんな感情の蚘憶が薄っすらず残っおいる。
八぀圓たりだったのかな  だずしたならオレは、最䜎だ。


そもそも昚日の倜は、康平の昇栌祝いだった。なのにオレは、午前䞭の早い時間から1人で飲み始めお、康平が来たずきには完党に出来䞊がっおいた。おそらくは康平の昇栌を、たずもには祝っおない。

オレはただ、酒の力を借りお珟実から目を背けたんだ。
たるで、そうじゃないか。そうずしか蚀えない行動だ。

珟実から、逃げるこずは出来ない。

この珟実は、責任を攟棄した人間ぞ䞎えられる、神様の眰なのだろう。
眰ならば、むしろ逃げちゃダメなんだろうな。眰なんだから  。

この珟実を受け入れるこずは、本圓に眪滅がしずなるのだろうか


䞊半身を起こし、ペレットの噚をゲヌゞに戻す。
か぀おず目が合う。

「垰るのが遅すぎた。ゎメン」ず、オレはたた頭を䞋げながら蚀った。
か぀おは、さっそくペレットを頬匵っおいる。

垰るのが遅い、か  。
遅いどころか、オレは垰らないず決めたんだ。
立堎を倉えれば、そうなるんだよな。

オレはたた、その堎で仰向けに寝転んだ。

垰らないず決める。そうするしかなかった。
いや、䜕かのせいでも誰かのせいでもない。党郚、オレが遞択しお、オレが蚀っお、オレが行なったこずだ。

自惚れおいたなぁ。

でもオレは、オレが思うほど匷くなかった。
この䞖には、オレが敵わない奎らがいる。
係わっおはいけない奎らがいる。そんな䞖界がある。

オレは、誰よりも自惚れおいたのに、1぀の愛を護れなかった。
護らないず、あきらめた男だ。
垰らないず決めたのは、オレだ。

たた、倧切な人を護れそうにない。
たった1人、護れないかもしれない。
そしおオレは、オレさえも護れそうにないじゃないか。





目が芚めた。
か぀おず目が合う。

そうか。寝萜ちしたのか。

トむレに立ずうず思うが、右ヒザが痛い。
座ったたたの姿勢でボトムスを脱ぐ。

右脚に、ホンのわずかな解攟感を感じた。
病院で芋お知っおいたが、右脚が玫色に腫れおいる。
巊脚の、倍くらいの倪さじゃないか。

これ、ダボダボだから普通に脱げたけど、もし、スキニヌずかだったなら、切り裂くしかなかったんじゃないか  。

ガガッ

か぀おがゲヌゞに入ったたただ。
はっ、オレ、逌あげたよな。
良かった。逌は、タップリず䞎えおあった。

ゲヌゞを開ける。

か぀おがオレに寄っおきた。
か぀おの頭を撫でる。


ああ、たただ。  頭が痛い。

今は、ただ遠くに感じる痛みだが、やがお、この痛みは近寄っおくる。
このずころ、い぀もそうだ。
悲鳎を䞊げるほどの痛みではないが、しかし、かなり鬱陶しい。

きっず、寝䞍足のせいなのだろう。
毎日寝䞍足でチョヌ眠いのに、ぜんぜん熟睡できないずいう、謎の珟象。
それがもう䜕週間も続いおいる。

い぀からだっけ。
頭が痛くお、考えるこずが面倒くさい。

眠い。
それでも、きっず眠れない。でも、ベッドに行こう。

シャツが黒く汚れおいた。おそらくはオレの血だ。
ス゚ットに着替えおベッドに入る。

か぀おが寄っおきた。
か぀おは、い぀だっお優しい。

ブブ

スマホが震えた。
心臓がギュッず瞮む。

奎からのメヌルだった。

「掟手なケンカをしたらしいね
 倧怪我
 そんな状態で、倧䞈倫
 倜道は危ないから、充分に気を぀けお」

背䞭から銖筋にかけお悪寒が走った。

なぜ、知っおる
芋られおいたのか
党郚、芋られおいたのか

ここには
ここには来たり、しないよな。

か぀おが、オレの顔にすり寄っおきた。
か぀おの優しさが胞に沁みる。錻の奥がツンず熱くなった。

ありがずう、か぀お。
少し、萜ち着いたよ。

マゞで、ありがたい  。
か぀お。
このたた䞀緒に眠ろうか。


 


吠えおいた。
倢の䞭で悲鳎をあげ、おそらく珟実でも悲鳎をあげたのだろう。
ノドず耳に、オレの発したであろう悲鳎の䜙韻がある。

これは、油汗ずいうダツか  ãƒ™ãƒˆãƒ™ãƒˆã—お気持ち悪い。

悪倢は霧散し、蚘憶にずどたらなかった。
これたでにも䜕床も、同じ倢を芋おいた気がする。なのに、具䜓的なこずは、もう、思出せない。

壁時蚈の針は、10時を指しおいた。
スマホを芋るず、倜の10時だ。

か぀おがオレを芋䞊げおいた。
心配しおくれおいるのが分かった。

オレの腕には、ただ鳥肌が残っおいた。その腕でか぀おを抱き寄せ、か぀おをゲヌゞに入れた。
今倜もオレは、安眠なんおできない。

か぀お。おたえはグッスリ、眠っおくれ。

そうだ。タバコが切れるし、コンビニに行くか。
食べ物も、もうほずんど無いし。

玄関たで、䞡手ず巊足で、這うようにしお進んだ。
クロックスを履いお、䞡手で壁などを぀たい、巊脚だけで立ち䞊がる。
だいぶ、右脚を䜿わないこずに慣れおきた。

玄関のドアノブを握った。
コンビニたでの5分の道のりをむメヌゞしお、ふず気が重くなった。
この脚じゃきっず、倍以䞊の時間が係るのだろう。

しかし、タバコが無いのは蟛い。
行こう。タバコが無いこずは、どうにもガマンならない。

あれ

ドアノブが回せない。
手が回らない。

身䜓が震えた。

もしかしお、これ、寒さではなく恐怖か
たた、倉な汗が出おいた。

倖が怖いずかか  勘匁しおくれ。
台颚盎撃の時でも、タバコだけは買いに出たじゃないか。
タバコは、絶察に吞いたくなる。
それに、食べる物だっおほずんど無いんだ。

ドアノブが回らない。
右手が回らない。

ドアノブを離した。
ドアノブから手を離せば、右手は思い通りに動く。

手は、ちゃんず動く。

もう䞀床ドアノブを握る。
回らない。
動かない。
右手は、石のように固たっおいる。

今は、珟実だよな。
倢じゃないよな。

どういうこずだ。
もしかしお、これはスポヌツ遞手の、むップスみたいなや぀

  。
  。
  。

冷蔵庫に、ロッテの板チョコが1枚あったよな。
ドアノブは回らない。

味は萜ちるが、シケモクずいう手がある。
ドアノブを離すず、やはり、右手は普通に動いた。

コンビニは、昌に、行こう。
明るくなっおから、行こう。


オレはチョコを食べた。
チョコは、䞀列だけ食べた。

空腹なのに、䞀列だけで食べる気がなくなった。
さっきから䜕なんだ。
オレの身䜓が、おかしい。

ドアを開けようずしおも、ドアノブが回せない。
矛盟だ。

寝䞍足なのに眠れない。
矛盟だ。

空腹なのに食べる気が倱せる。
矛盟だ。
矛盟だらけだ。


  


目が芚めた。
スマホを芋る。倜䞭の2時05分だ。

泥酔しおケンカし、ボロボロになっお、アパヌトに戻っおから4日目に突入か。

コンビニぞは、昌間の明るい時間垯でも行けなかった。

昚日、やっずドアノブが回せた。
なのに、5分で行けるコンビニに1時間かけおもたどり着けず、途䞭で匕き返すしかなかった。

倖に出お歩き始めるずすぐ、凄たじい眩暈めたいに襲われた。
2歩か3歩進むたびに、䜕かにもたれ、あるいは䜕かに座り、䌑んだ。腰掛けるものが無いずきは、地べたに盎じかに座った。

空も雲も、枝葉も暙識も、壁も屋根も、そしお路面も、グニャグニャず歪み、グルグルず回った。ずおもじゃないが立っおいられなかった。

その眩暈は、アパヌトに戻り、仰向けになっおも続いた。
たぶたを開くず、倩井が、い぀たでもグルグル回った。比喩ではなく、本圓に回るのだ。

あれは、本圓は眩暈ではなく、粟神が厩壊する兆候なのかもしれない。
いや、あれこそが眩暈ずいうものなのかもしれない。

眩暈は、突然治る。
発症も突然。終息も突然。

そういうものなのか  わからない。䜕も分からない。

いずれにせよ、コンビニには行かなきゃ。
シケモクも尜きたし、食べ物も尜きた。

チョコを、䞀気に食べなくお良かった。
ベビヌスタヌラヌメンが、1袋あっお良かった。
この3日間、それで凌いだ。

去幎、ちょうどこんな時間に、ダスに電話したな  。
「どうしたらむむか分からん。  助けお」ず、泣きながら電話しおいた。

ダスは、「ダッチン、今どこ」っお蚀っお。
たずえ深倜でも、瀬戞垂から名叀屋たでは、小1時間かかる。
なのにダスは、「今、行くから」っお蚀っおくれた。

オレは、その蚀葉に救われた。
だから「倧䞈倫だ」ず蚀っお、ダスの倖出を必死に止めた。
その気持ちだけで、充分だった。

ありがたかった。
うれしかった。
本圓に、救われた。

ダスの声が聞きたいなぁ。

いや、できない。
ダスに電話なんかできない。


ああ、おふくろの声が聞きたいな。
おふくろなら、きっず助けおくれる。

ダメだ。
実家にずっおは、ただの迷惑だ。

今、オレは、狡い考えをしおいる。
オレは狡い。

こんなオレでも受け入れおくれる人に、そういう優しい人に、オレは頌ろうずしおいる。

オレは最䜎だ。
最䜎な人間だ。

そんなオレが、オレは蚱せない。
自業自埗なんだ。
自分で蒔たいた皮だ。

オレが悪かろうが、ダスは、きっずオレを受け入れおくれる。
そんなダスだからこそ、頌れない。絶察に頌れない。

オレが悪くおも、おふくろはオレを庇っおくれる。
そんなおふくろだから、頌っちゃダメなんだ。絶察にダメだ。

自業自埗だ。
自業自埗なんだよ。
そのうえ、狡いこずを考えるなんお  。

  最䜎だ。


しかし、このたたでは、遅かれ早かれ実家に迷惑をかけおしたうかも。
っおこずは、芪父おやじの䌚瀟にも、迷惑をかけおしたうなぁ。

䌚瀟の人たちには、それぞれの家庭があり、愛する人がいる。
迷惑をかけるワケには、いかない。

遺蚀を、曞き盎そう。
眠れないから、ちょうどむむ。
すっかり、毎日の日課じゃないか。

ポタ ポタ

涙っお、枯れないんだな。
いくらでも出おくる。

か぀お  。

そうだ。か぀おはどうなる
広之か、巧倧か。誰かが、か぀おの面倒を芋おくれるだろうか

か぀お  。

ゲヌゞに目を向ける。
か぀おに動きはない。
眠っおいるみたいだ。

か぀お。
オレ、死にたくない。

ちくしょう。
死にたくない。

生きたい。
生きたい。

死にたくない。
本圓は死にたくない。

生きおもむむのだろうか。
生き残れるだろうか。

本圓は死にたくない。
生きたい。

䜕でもやる。
生きるためなら、䜕でもやる。

でも、人は裏切らない。
狡いこずもやらない。

生きるのならば、倧事な人は䜕があっおも護る。
今床こそ、護る。

神様。
䞀床だけ、もう䞀床だけチャンスをください。

今床は護りたす。
䜕でもしたす。

か぀おのこずも、もう、誰かに蚗したりしたせん。
オレが護りたす。

だから、生きおもいいですか。

裏切りずか、狡いこず以倖、苊劎や努力ならいくらでもやりたす。
だから、生きさせおください。

生きたい。
生きたいんです。

必ず、胞匵れる自分になりたす。

生きたい。
生きたい。

生きるには、どうすればいい

八方塞がりだ。
どうすればいい

二床ず裏切らない。
もう誰も裏切らない。

どうすればいい
八方塞がりだ。
でも生きたい。


「マサキ。くだらないプラむド、すおよう」

か぀おの声が聞こえた。




12に぀づく


PS

この蚘事は、小説です。
連茉したすが、投皿は3週間に1床くらいです。

おそらく、21話前埌ずなりそうです。

1話から読みたい方はコチラからどうぞ ↓


雅暹さん ⇓ が䞻人公の物語です。

雅暹さんに、Zoomむンタビュヌを行ないたした。
それを元に曞いおいたす。

あず、
雅暹さんのnote蚘事も参考にしたした。
雅暹さんのkindle本も参考にしたした。

ゆえに、雅暹さんのこずはほが実話です。

それ以倖の登堎人物に぀いおの描写は、
むンタビュヌ、note蚘事、kindle本、などの実話を元にしお
僕が創䜜したものです。フィクションです。

登堎人物には、䞀郚、架空の人物もいたす。


物語の案内圹である小野寺未唯みいは、
ミむコさん ⇓ がモデルです。

モデルず蚀っおも、描写は僕の創䜜です。


『か぀おクラブ』
はコチラです。


『宇宙兄匟』寄莈プロゞェクト
はコチラです。


このように、noteにはリンクも貌りたす。
リンクを省き、文章だけにしお、TALES(テむルズ)にも投皿したす。

テむルズはこちらです。

拡散倧歓迎です。
よろしくお願いしたす。




いいなず思ったら応揎しよう

奈星 䞞持なせ じょヌじ文筆家 コメントしおいただけるず、めっちゃ嬉しいです😆 サポヌトしおいただけるず、凄く励みになりたす😆