
【もしもミュージア厶】#15 第4回企画展『ミライの桃太郎』(後編)
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キララの構造色
列ができているアトラクションがあった。入口に、円球状の乗り物とキャラクター三体が描かれていた。
『アドベンャー・モモランド』
どうやら、不思議な乗り物に乗って、未来を体験するアトラクションらしい。
しばらく待った後、ジンと両親は球を半分に切ったような丸い乗り物に案内された。
「自動的に動き出します。安全バーにつかまり、周りに見える景色をお楽しみください」
係の人が案内すると、辺り一面が真っ暗になった。壁面のスクリーンに、鳥のキャラクターが飛んでやってきて、ほの暗い青紫のライトがついた。
『これから、未来都市モモランドをキララが案内しちゃうよ!』
アナウンスが始まると、乗り物は自動的に動き出した。壁面を一周すると、床や壁、天井に描かれた壁画が、青白く輝くいていることに気づいた。周りの人たちも歓声をあげた。
『ふふ、みんなが来るから頑張って描いたの。特別な光をあてると、見えないものが見えるの』
(ブラックライトだ)
ジンは思い出した。去年の夏休み、教材屋から父親が買ってきた小さなライトで、色々なものに光を当てて遊んだのを思い出した。
『こっちにおいで』
キララの声が止まると、ジンたちの乗った乗り物は、隣の部屋へ移動した。チョウや甲虫、大きな鳥の模型があり、怖がる子どももいた。中央には、玉虫色の乗り物の模型や大きなプリズムがいくつも輝き、壁面には青いチョウの羽根のような真っ青な服が吊るされていた。
『チョウやコガネムシの“光の反射を利用して、輝く仕組み”から、こんなすてきな乗り物やドレスが生まれたの。いつか、未来のショーで会いましょう』
ジンは、昆虫図鑑に書いてあったのを思い出した。
(虫や鳥の中には、光の反射を利用して羽根や身体を発色させるものがいます。『構造色』と呼ばれ、その仕組みは車のボディや服に応用されています)
モモランドの描いた未来の技術は、ジンの世界では当たり前になっていた。
「こんな本格的な展示だったんだ⋯⋯小さい時は気づかなかった」
両親は顔を見合わせて驚いていた。
「もったいなかったな。ちゃんと見ていればよかった」
未来の街
やがて、ジンたちを乗せた乗り物は、最後の部屋にたどり着いた。
乗り物が止まると、大型スクリーンに古めかしいCGが浮かび上がった。未来の街をイメージしたものらしい。
『さあ、これから未来の街を空中ドライブしよう!』
明るい声が止むと同時に、画面のアニメーションが動き始め、それに合わせて乗り物も動き出した。ビルを避けて急ブレーキを踏んだり、急上昇したりするたびに、車体に衝撃や振動が走った。
アナウンスによると、未来の街では車が空中を自由に飛び回り、テレビ電話で遠くの人と通話ができるらしい。
昔の最新技術が映し出す未来都市は、底抜けに明るくて、少し安っぽくて、どこか古めかしかった。
出口を抜けると、母親が笑った。
「最新のアトラクションだったはずなのに」
「子どもの時は、これが面白かったんだよ」
父親は、少しむきになって言い返した。
「じゃあ、そろそろ帰るか」
三人は、出口に歩き出した。門の前に、タッチパネルがあった。
『アンケートにお答えください。①から③のどれがいいですか
①門を出ると、ここの記憶が消えます
②残って働くことができますが、向こうの世界の記憶から消えます
③再来場パス(三回まで使用可)を発行できますが、大事なものが一つ犠牲になります』
閉館時間
「コスモだよ!モモランドの。うわ、懐かしいな」
父親は、道の駅の前に建っている像を、ぽん、と叩いた。母親もモモランドのテーマソングを口ずさんだ。
「コスモ、ギャラック、キララと一緒に」
(未来発見!モモランド)
ジンも続きを小声で歌った。腕には、夜空のような濃紺のバングルが輝いていた。
(エピローグに続く)
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