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30年越しの挑戦 第1話 「データは一元管理し、Excelは入出力兼用画面として使う」

    はじめに、

    コンピューターとの不本意な出会い

    20代後半、脳外科手術の後遺症で視野が半分欠ける視覚障害になりました。

    それまで現場で設備組み立て指導や工法改善を担当していましたが、職場のOA化に伴い、苦手だったコンピューター業務へ配置転換になりました。

    正直、「マジか。」と思いました。
    それでも新し物好きな性格もあって、レコードサイズのフロッピーディスクを使うオフィスコンピューターを見て、少しだけ興味が湧いたのを覚えています。

    苦手から“やりがい”へ

    新しい業務は、職場の事務作業を見直し、システム化する要件定義でした。

    提出した資料は担当SEに何度も差し戻されました。それでも粘って完成させた、工程・収支管理の仕組みは、同僚に喜ばれました。
    この経験で、コンピューターは「苦手なもの」から「やりがいのある道具」に変わりました

    Excelとの衝撃的な出会い

    Windows PCとExcelが職場に入った頃、デモで回転する3Dグラフよりも衝撃だったのは「相対参照」でした。
    表の構造を変えても式を作り直さなくていい。
    電卓で確認計算しなくていい。

    帰りに書店でExcelの本を読み込み、翌朝会社で試す――そんな日々を何度も繰り返しました。
    Excelはすぐに、仕事に欠かせない道具になりました。

    Web時代と現場の違和感

    40代で営業系部署へ移り、製図版で描いていた手書き図面がCAD化され、インターネットやメールも普及し始めた頃、社外向けWebサイト構築にも関わりました。
    しかし社内を見ると、同じ帳票でも様式がバラバラで、まだ手書き作業も多いままでした。

    そこで、関係帳票はすべてExcelに統一し、基幹案件サイトからWebクエリで基本情報をシートへ取り込みました。
    帳票内の案件名・顧客名・住所などは数式で入力レス化し、社内改善特別賞をいただきました。

    しかし、作成後の案件管理一覧表への転記は、手入力のままでした。
    「データなのに、転記入力が必要なのか。」

    進捗管理では、最新CSV一覧を編集・印刷して回覧し、数日後に戻ってきた手書き情報をWebへ入力するという運用が続いていました。

    「情報を手書きメモするくらいなら、自分で入力しても同じではないか。」これらの疑問が、後の取り組みの出発点になります。

    自作マクロとDB化への挑戦

    この状況を変えるため、自作マクロを作り始めました。
    基幹CSVを自動取得し、Excelで入力する独自管理項目を含めてAccessへ
    DB化。
    基幹データとはバッチ処理で突合せ更新する仕組みを構築しました。

    出社してPCを起動すると、各担当のExcel案件一覧が自動で開く。他部署
    から更新された情報も反映され、対応が必要な項目は警告カラーで表示されます。

    案件番号を右クリックメニューから選択すると、該当案件のWeb画面へ移動し、最新情報を入力できる。
    そんな作業環境を作りました。

    Excelは単なる表ではなく、「業務の入口画面」になりました。

    外注頼りから自作への転換

    誤手配を防ぐため、CAD図面とWeb手配データを照合するExcelチェック
    ツールを外注で作ったことがあります。

    利用開始から1年、同業部署からも使いたいという話が出たとき、外注先から「利用者が増えるなら追加料金」という要求がありました。

    契約上は拒否できましたが、この出来事をきっかけに強く思いました。
    「自分で作れるようにならなければいけない。」
    当時は生成AIもなく、Google検索と書籍を頼りに試行錯誤する日々でした。ここから本格的に、自作マクロへの挑戦が始まります。

    Power Queryとの出会い

    その後、Power Queryを知ったことで、CSV更新の自動化が一気に進みました。

    地方の年配パワー管理者にも紹介すると、それぞれが持っていた管理表で手作業していたCSVの追加・訂正が簡単に更新できるようになり、「クエリは便利だ」と評判になりました。

    社内のSFA情報も、必要な項目を揃えてマージすることで同じ一覧として扱えるようになり、バッチ更新処理もPower Queryが担うようになりました。

    一時はAccessが不要になるところまで進みましたが、現在はさらにレコード単位での最新管理を実現するため、Access側のクエリを中心にした構成へ移行を進めています。

    そして今、ETLという考え方へ

    こうした試行錯誤の中で、帳票Excelとの連携も含めて、一つの考えにたどり着きました。

    「データは一元管理し、Excelは入出力画面として使う。」

    入力されたデータは即座にDBへ反映し、一覧表も帳票類も開けば常に最新情報が表示される。

    帳票内に配置される結合セルデータについても、入出力設定のコード作成を簡略化する。

    この仕組みを汎用的に実現するために考えたのが、私が呼んでいる ETLシート という構想です。

    次回予告

    次の記事では、このETLシートの具体的な設計と、

    • なぜExcelとAccessの組み合わせが今でも強力なのか

    • 既存のExcel管理表や帳票をどうやってDB化するのか

    を、実際の手順を交えて紹介していきます。

    「30年越しの挑戦」シリーズ

      お読みいただき、ありがとうございました。

    本シリーズは、30年間現場で考え続けてきた業務改善の歩みを、4話構成でまとめた作品です。

     
     
    30年Excelを使い、現場業務の中でVBAとAccessを独学。外注に頼らず改善する仕組みづくりを追求してきました。現在は既存Excel+Access+生成AI+VBAを組み合わせ、業務データの一元化と転記手入力レス化を実現する「ETLシート」の実用化を進めています。

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