
お願い、迎えに来てね #031 (6-3) じゃんけんの波の音
第1部 諦念編|第6章
Hello, again.
差し出した 手のひらは
神様と ケンカばかり
きみのいない箱に 揺られている
海のないこの街に 満ちては引いていく
じゃんけんの波
せめて 連れていって
緋色(ひいろ)のミルキーウェイ
テン、テン、テン……
終わらない夏が
耳元で 砂のようにこぼれていく
運転手の結琉くんと貴樹くんコンビのトレノ号には女子三人。
瑞來くんと瀬加くんコンビのハチロクは女子二人。
休憩地点ごとに配車じゃんけんをして、乗車メンバーをチェンジするというルールでスタートしたこのドライブ。結琉くんの家を出発してから、螺旋峠を下ってもう平地まで戻って来たというのに、まだ一度もトレノ号に乗っていない。
「グーパーじゃん」
グーは、胡桃ちゃんとわたし。
パーは、知咲と紗良ちゃんと望音ちゃん。
また女子二人組の方だよ。
わざと? そう疑いたくなるくらいジャンケン運に見放されている。
貴樹くんと一緒にいたいのに、貴樹くんのそばにいるのが怖い。
わたしが近くにいたら、どうしても意識してしまうと思うから。
月桜がいても飄々《ひょうひょう》としていたい貴樹くんの邪魔しちゃうと思うから。貴樹くんが嫌がると思うから。同じ車に乗れないくらいでちょうどいい。
地元の瀬波野市に繋がるトリプルワン(国道111号線)は、祝日のせいか少し渋滞している。どこまでも続いている赤いテールランプが綺麗で、このまま幻想的な世界へ連れていってくれそうなほど、ひかり輝いている。
みんな疲れたのか口数が少ない。
もう夏は終わったのに。
ここは海がないから波なんて来ないのに。
テン、テン、テン……
瑞來くんのハチロクからエンドレスリピートで流れている夏映画のサウンドトラック。
音がこぼれ落ちていく、どこまでも透明な、あのイントロが、やけに耳に残る。
神様のせいじゃない、のかな。
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