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【真説版】正皇戊蚘ゞャスティカむザヌ第26話 鉄塊の戊士

    第3章「歩みだす正矩線」党14話䞭(2538)

    第26話 鉄塊の戊士 

    ▶第3章マガゞン

    拳、刃、銃匟。

    䞉人の呌吞が、初めおひず぀に重なり始める。

    だが、その前に立ちはだかるのは――

    巚倧な盟ず戊斧を携えた、“鉄塊”の戊士。

    怒号ずずもに、包囲の茪が䞀気に狭たった。

    槍の穂先が陜を匟き、剣が抜かれる音が也いた街道ぞ重なる。

    次の瞬間には、前列の゜ヌド兵たちが堰を切ったように
    䞉人ぞ雪厩れ蟌んできた。

    だが、最初に火を噎いたのは圌らではなかった。

    埌方で、カロッツァの銃口がわずかに持ち䞊がる。

    也いた砎裂音。

    それだけだった。

    先頭を駆けおいた兵が、䜕が起きたのかも分からぬたた
    埌方ぞ匟き飛ばされる。

    続けおもう䞀発。

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    槍を構えおいた兵の肩口が抉り飛び、
    そのたた隣の兵を巻き蟌んで地に転がった。

    血ず土が跳ねる。

    それは牜制でも嚁嚇でもない。

    ただ、目の前の敵を最短で排陀するためだけに攟たれた、
    あたりに無機質な銃撃だった。

    その二発で、戊堎の口火は完党に切られた。

    「ふんっ――」

    ナりキが地を蹎る。

    螏み蟌みは䜎く、速い。

    䞀瞬前たで包囲の䞭心にいたはずの姿が、
    次の瞬間にはもう最前列の懐ぞ朜り蟌んでいた。

    「はぁッ」

    打ち蟌たれた掌底が、鎧ごず兵の胎を打ち抜く。

    鈍い衝撃音。

    それは骚の折れる音でも、肉の裂ける音でもない。

    もっず奥――内偎からごっそりず䞭身を揺さぶられたような、
    嫌な響きだった。

    発勁。

    どのような鎧を纏おうずも、その内偎から気を打ち蟌み砎壊する。

    喰らった歩兵の身䜓が、ほずんど足の着いたたた埌方ぞ吹き飛ぶ。

    巻き蟌たれた兵が二人たずめお倒れ、包囲の䞀角が倧きく厩れた。

    ナりキは止たらない。

    暪合いから突き出された槍を手銖で匟き䞊げ、そのたた半身で朜り蟌む。

    肘が鳩尟ぞめり蟌み、膝が顎を砕き、返す拳が喉元を打぀。

    剣も抜かせない。

    悲鳎を䞊げる暇すら䞎えず、前にいた兵たちが次々ず地ぞ厩れおいった。

    その暪を、月光のような気配がすり抜ける。

    リュヌヌだった。

    傷を抱えた足であるこずを忘れさせるほど、
    身のこなしは静かで、鋭い。

    巊手が巊袖から札を抜き攟぀。

    八枚。

    それらは指の間で螊るように翻り、次の瞬間には前方の空間ぞ円を描くように散った。

    札が、止たる。

    いや、止たっお芋えただけだった。

    「月陰流抜刀術――鳳花閃ほうかせん」

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    鞘走る音は、劙に遅れお聞こえた。

    閃いたのは䞀床きり。

    だが、その䞀閃は空䞭に浮いた八枚の札をなぞるように走り、
    前方ぞ螏み蟌んでいた゜ヌド歩兵たちの身䜓をたずめお薙いだ。

    䞀人。

    二人。

    䞉人。

    ほずんど同時に、八人の兵の身䜓ぞ斜めの赀い線が走る。

    そしお、次の瞬間に血が咲いた。

    兵たちは䜕が起きたかも理解できぬ顔のたた膝を぀き、
    剣を取り萜ずし、遅れお地ぞ䌏した。

    技名の通り、花匁が散るように矎しい斬撃だった。

    「囲め 回り蟌め」

    埌方から叫びが飛ぶ。

    ただ数はいる。

    歩兵の隙間を瞫っお階銬兵が前ぞ出る。

    槍を寝かせ、二人の死角を抉るように突っ蟌んできた。

    だが、その矢先。

    再び銃声。

    ナりキの背埌ぞ槍を突き蟌もうずした階銬兵の顔面が、匟けた。

    もう䞀発。

    今床はリュヌヌの偎面を狙っおいた歩兵の胞板が、鎧ごず穿たれる。

    銬が嘶く。

    階手を倱った䞀頭が狂ったように銖を振り、土を蹎散らしながら暪ぞ逃げた。

    その圱ぞ巻き蟌たれた兵が悲鳎を䞊げお転がる。

    カロッツァは䞀歩も動いおいない。

    埌方に立ったたた、ただ銃口だけを静かに巡らせおいた。

    ナりキが前ぞ出れば、その背に迫る刃を撃ち抜く。

    リュヌヌが螏み蟌めば、その足元ぞ忍び寄る兵を撃ち倒す。

    乱戊の䞭で生たれる、䞀瞬の死角。

    そこだけを、たるで最初から分かっおいたかのように朰しおいく。

    それは揎護ずいうより、戊堎そのものを敎理する手぀きだった。

    い぀の間にか、䞉人の呌吞は噛み合っおいた。

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    ナりキが拳で前線を厩す。

    厩れた隙間ぞ、リュヌヌの斬撃が月光のように差し蟌む。

    その二人の届かぬずころを、カロッツァの銃匟が冷たく埋める。

    誰も指瀺はしおいない。

    誰も確認などしおいない。

    それでも、逃げ延びるために幟日も䞊んで進んできた時間が、
    少しず぀䞉人の間にひず぀の型を䜜り始めおいた。

    やがお、街道には膝を぀く゜ヌド兵の姿が目立ち始めた。

    地に刺さる槍。

    折れた剣。

    血に濡れた土。

    䞻を倱った階銬兵の銬が、䜎く䞍安げに嘶き、
    堎の端で蹄を鳎らしおいる。

    その時だった。

    「――埅おぃッ」

    声が萜ちた。

    いや、たるで巚倧な䜕かが戊堎の䞭倮ぞ
    叩き぀けられたような䞀喝だった。

    空気が、止たる。

    残っおいた兵たちが、はっずしお振り向く。

    ナりキも息を切らしたたた、村の入口ぞ目を向けた。

    そこに、男が立っおいた。

    村の柵も、芋匵り台も、その男の前では脇圹にしか芋えない。

    重厚な鎧に包たれた巚躯が、ただそこにあるだけで、
    入口そのものが塞がれたようだった。

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    「我が名は――゜ヌドが八の剣、ガン」

    䜎い声が、鉄の内偎から響くように鳎る。

    「これ以䞊の反抗は蚱さぬ」

    男が、䞀歩螏み出した。

    ずしん、ず。

    靎音ではなかった。

    鉄塊が地を螏んだような、重い衝撃が街道ぞ䌝わる。

    党身を芆う鎧は、歊人のための甲冑ずいうより、
    もはや攻城兵噚の倖殻に近かった。

    幟重にも継ぎ足された鉄板。

    関節ごず守る分厚い装甲。

    その巊腕には、身を半ば隠しおなお䜙るほどの巚倧な盟が据えられおいる。

    傷だらけの衚面には、これたで受け止めおきた刃ず矢の数が、
    そのたた刻み蟌たれおいた。

    さらに右手には、垞人なら持ち䞊げるこずすら
    かなわぬであろう巚倧な戊斧。

    刃は肉厚で、磚かれた鋭利さよりも、
    叩き割るための質量を思わせる。

    振るうずいうより、萜ずすだけで人も骚も砕けそうな代物だった。

    盟ず斧。

    その二぀を備えた巚躯は、戊士ずいうより、
    村の前に新たに築かれたもうひず぀の城壁だった。

    いや――城壁などずいう生易しいものではない。

    あれは、動く鉄塊だ。

    ナりキの喉が、ごくりず鳎る。

    「貎様か」

    䜎く、腹の底を打぀ような声だった。

    「れツを倒したずいう、黒い鎧の小童こわっぱずは」

    ガンの巚䜓が、ゆっくりずこちらを向く。

    その動䜜ひず぀で、堎の空気が目に芋えお沈んだ。

    ナりキたちもたた、自然ずその男の正面ぞ向き盎る。

    兜の奥――顔をほずんど芆い隠した鉄の隙間から、
    二぀の県光が薄く光っおいた。

    生きた人間の目ずいうより、鋌の奥で消え残る炉火のようだった。

    巚躯。

    鋌鉄の鎧。

    巚倧な盟ず戊斧。

    芋れば芋るほど、その男は人ではなく、
    そこぞ立おられた鉄塊のように思えおくる。

    村の入口に立っおいるのではない。

    あの男そのものが、そこを塞ぐ門だった。

    ガンはしばしナりキを芋䞋ろし、
    それから錻で嗀うように息を鳎らした。

    「なんだ  ひ匱な小童こわっぱではないか」

    「このようなものに、あのれツが  」

    䟮蔑ずも、倱望ずも぀かぬ声音だった。

    ナりキの眉がぎくりず動く。

    「だったら、䜕だっおんだよ」

    吐き捚おるように返す。

    だがガンは怒りもしない。

    むしろその反応を埅っおいたかのように、
    重く蚀葉を萜ずした。

    「れツずは、幟重もの戊堎を駆け抜けた仲」

    「貎様が奪ったものは、ただ䞀呜ではない」

    「友の無念――ここで雪がせおもらう」

    その䞀蚀に、堎に残っおいた゜ヌド兵たちがどよめいた。

    ただの远蚎ではない。

    この男にずっおは、明確な敵蚎ちなのだ。

    ナりキは䜕も蚀い返さなかった。

    ただ、黙っお構えを取る。

    足を開き、腰を萜ずす。

    肩の力だけを抜き、拳にだけ芯を通す。

    ゞンラむから叩き蟌たれた䜓術の構えは、
    ただ荒さを残しながらも、もはや玠人のそれではない。

    ガンの兜の奥で、県光がわずかに现たった。

    「ほほう  」

    感心ずも、譊戒ずも぀かぬ短い声。

    「れツを倒した者に、ふさわしい構えだ」

    「ならば――」

    ガンが、ゆっくりず盟ず戊斧を持ち䞊げる。

    「出し惜しみは無しだ」

    巚腕が唞りを䞊げた。

    巊手の倧盟が前ぞ。

    右手の戊斧が肩口ぞ。

    それだけのこずなのに、その姿はたるで村の入口にもう䞀枚、
    巚倧な城壁が築かれたかのようだった。

    しかも次の瞬間、その城壁はさらに異圢を晒す。

    倧盟の先端から、ずるり、ず。

    剣のような鋭い突起が䌞びた。

    鉄ず鉄が噛み合う䞍快な音が鳎る。

    それを芋た゜ヌド兵たちの顔に、明らかな安堵が走った。

    圌らにずっおは芋慣れた構えなのだろう。

    ガンはその倧盟を、そのたた地面ぞ突き立おた。

    どぐん、ず。

    地面が震える。

    突き立おられた盟は、もはや防具ではなかった。

    そこにひず぀の防壁が生えたようだった。

    「この倧盟――厩せるものなら、厩しおみるがいい」

    絶察の自信。

    それは虚勢ではない。

    幟床も受け、幟床も凌ぎ、
    それでも砎られなかった者だけが持぀確信だった。

    先に火蓋を切ったのは、ナりキではなくカロッツァだった。

    銃声が蜟く。

    䞀発。

    二発。

    䞉発。

    垞人なら䞡手で構えるこずすら難しい倧口埄の銃。

    その重い匟䞞が、唞りを䞊げおガンぞ叩き蟌たれる。

    だが。

    硬い金属音が、立お続けに響いただけだった。

    火花が散る。

    煙が流れる。

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    それでも、ガンは埮動だにしない。

    倧盟の衚面に新たな傷が刻たれただけだ。

    鉄壁は䞀歩たりずも揺らがない。

    「そんな豆鉄砲が効くず思うな」

    䟮蔑を含んだ声が、盟の向こうから響く。

    そしお次の瞬間、ガンは倧盟を地面から匕き抜いた。

    重いはずなのに、その動きには淀みがない。

    匕き抜くや吊や、その先端をたっすぐカロッツァぞ向ける。

    同時に、右手の戊斧がぐるりず回る。

    ぶん、ず䜎い颚切り音。

    あの質量が空を切るだけで、呚囲の兵たちが思わず身を匕いた。

    「火噚が䜿えるのは、貎様だけだず思うな」

    ガンの声に、カロッツァの銃口がわずかにぶれた。

    次の瞬間。

    戊斧の柄が、倧盟の䞭倮に走る溝ぞ、が぀りず噛み合った。

    嫌な音だった。

    歊噚を構え盎す音ではない。

    䜕か別の機構が、そこに完成する音だった。

    「――ッ」

    ナりキの背筋を、ぞくりず悪寒が走る。

    盎埌、閃光。

    癜く、灌けるような光が盟の前面から连った。

    画像

    ぀いで、蜟音。

    巚倧な火柱が、咆哮のようにカロッツァ目掛けお吹き荒れる。

    ただの炎ではない。

    爆ぜる熱量そのものが圢を持っお突進しおきたような、
    暎力の奔流だった。

    村の入口の空気が䞀瞬で灌け、土が捲れ、
    巻き䞊がった砂塵が赀く染たる。

    「避けろ」

    ナりキが叫ぶより早く、自らも暪ぞ飛んでいた。

    リュヌヌも地を蹎り、火柱の軌道から身を倖す。

    熱颚が頬を焌き、髪の先を掠める。

    カロッツァもたた、寞前で飛び退いおいた。

    だが完党ではない。

    倖套の裟が火に舐められ、焊げた垃の匂いが立ち䞊る。

    爆ぜた熱ず煙が、街道いっぱいに広がった。

    䞉人の䜍眮が、䞀気にばらける。

    ナりキは巊。

    リュヌヌは埌方。

    カロッツァはさらに右ぞ。

    さきほどたで自然に噛み合っおいた陣圢が、
    たった䞀撃で匕き裂かれおいた。

    煙の向こうで、ガンが倧盟を構え盎す。

    兜の奥で、䞍敵な笑みを浮かべた気配があった。

    「これで――」

    重い声が、熱に歪んだ空気を抌し分ける。

    「貎様らの連携も、厩れたずいうわけだな」

    「ひずりひずり、確実に血祭りに䞊げおやろう」

    ガンの声は䜎く、熱を倱った鉄のようだった。

    再び、あの巚倧な戊斧がぐるりず回り始める。

    重いはずの刃が、たるで自ら颚を生み出す生き物のように唞りを䞊げた。

    あの䞀撃をたずもに受ければ、鎧ごず、骚ごず、
    呜そのものを叩き朰される。

    そう思わせるには十分すぎる質量だった。

    熱に歪んだ空気の向こうで、ガンの巚躯がわずかに前傟する。

    来る。

    そう悟った瞬間、右手の方からカロッツァの冷えた声が飛んだ。

    「ナりキ、着装だ。時は皌ぐ」

    短く、迷いのない指瀺だった。

    䞉人の連携を、䞀撃で打ち厩した鉄塊の戊士。

    その鉄壁を砎るため、 ナりキは再び黒い聖骞を纏う。

    狙うは、ただ䞀点。

    幟床も窮地を打ち砎っおきた正矩の鉄拳。

    だが、その拳は――

    次回【真説版】正皇戊蚘ゞャスティカむザヌ 第27話
        ――通らぬ拳――

    ◀第25話 第27話▶


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