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【真説版】正皇戊蚘ゞャスティカむザヌ第25話 新たな支配の牙

    第3章「歩みだす正矩線」党14話䞭(2538)

    第25話 新たな支配の牙 第3章開始

    ▶第3章マガゞン

    䞉人になった旅路。

    远手を避け、裏街道を進むナりキたち。

    軜口を亀わしながら進む道には、 束の間の穏やかな時間が流れおいた。

    だが、その先にあった小さな村は、 すでに別の姿ぞ倉わっおいた。

    閉ざされた戞。
    怯える人々。
    そしお、村を取り囲む゜ヌド兵。

    新たな支配は、 聖郜の倖ぞも牙を䌞ばし始めおいた。

    祠の遺跡を脱しおから、すでに幟日かが過ぎおいた。

    その間に、䞉人は幟぀もの小村を抜け、名も知らぬ宿堎を枡り、
    远手の目を避けるようにしお道なき道を蟿っおきた。

    革呜祭からも、もうそれなりの時が経っおいる。

    だが、皇囜の空気が倉わったずいう実感は、街道筋に挂う人々の目぀きや、道端で亀わされる小さな噂話の端々に、嫌でも滲んでいた。

    ゆえに䞉人は、衚街道を避けおいた。

    遞んだのは、草朚の間を瞫うように䌞びる裏街道。
    荷銬車も旅商人もほずんど通らぬ、现く荒れた道だった。

    陜は高く、也いた颚が土の匂いを運んでくる。

    銬の蹄が土を螏みしめるたび、ぱさり、ぱさりず小さな音が続いた。

    急いではいない。

    いや、急げないず蚀うべきか。
    銬は早駆けではなく、歩くほどの速床で進んでいた。

    理由は単玔だった。

    銬が二頭しかないのだ。

    旅の途䞭で立ち寄った銬宿に残っおいた貞し銬は、運悪く二頭だけ。
    䞉人で進む以䞊、どうしたっお䞀頭は盞乗りにするしかなかった。

    そしお、その結果が今の構図だった。

    先を行く䞀頭には、カロッツァがひずりで跚っおいる。
    あの巚䜓を誰かず同乗させるなど、冗談にもならなかった。

    銬が朰れる。

    必然、残る䞀頭にナりキずリュヌヌが乗るこずずなった。
    ナりキが前で手綱を握り、その埌ろにリュヌヌが乗る。

    狭くはない。

    だが、広くもない。

    銬の歩みに合わせお身䜓が揺れるたび、
    背ず背では枈たぬ距離の近さが吊応なく意識に入っおくる。

    土埃ず陜射しに晒された旅の最䞭だずいうのに、
    その劙な近さだけが、劙に生々しかった。

    リュヌヌが、背埌から䞍満げに口を開く。

    「だからあたしが手綱を取るっお蚀っおるのに」

    すぐ前から、ナりキが錻を鳎らした。

    「うるせヌな。黙っお揺られおろ、舌噛むぞ」

    ぞんざいな蚀い方だった。
    だが本気で突き攟しおいるわけではないのは、声の端に滲む固さで分かる。

    ザむルずの戊いで受けた傷は、ただ完党には癒えおいない。

    特にリュヌヌの足は、歩けぬほどではなくなったずはいえ、
    長く負担をかければ痛みがぶり返す。

    だからこそナりキは、手綱を枡さなかった。
    それを、リュヌヌも分かっおいる。

    分かっおいるからこそ、なおさら玠盎には匕き䞋がれないのだろう。
    少しだけ呆れたように、けれどどこか声音を和らげお蚀う。

    「気遣いなんお芁らないのよ あたしは倧䞈倫なんだから  
     ほら、お姉さんが代わっおあげるから、手綱をよこしなさい」

    ナりキは眉をひそめ、肩越しに半ば睚むような顔をした。

    「だからお姉さんぶるのやめろっおの。䞀個しか違わねヌだろ」

    「䞀個違えば十分でしょう」

    「どこがだよ」

    すぐさた返る応酬は、もはや癖のようなものだった。
    そのやり取りを、少し離れた前方からカロッツァが
    振り返りもせず聞いおいる。

    やがお、無機質な声音でぜ぀りず蚀った。

    「月の倧アルカナは、正矩の埓者のはずだが  お前たちは、そうは芋えんな」

    ナりキずリュヌヌの間に、䞀拍だけ劙な間が萜ちる。

    先に口を開いたのはリュヌヌだった。

    「ええ、そうよ。あたしはゞンラむ様の埓者で、ナりキの埓者じゃないわ」

    その蚀い方は、劙にきっぱりしおいた。
    意地なのか、照れ隠しなのか、あるいはその䞡方か。

    ナりキはすぐさた錻で笑う。

    「ぞ 蚀っおろ」

    匷がり半分、拗ねたような響き半分。

    あたりに子䟛っぜい返しに、リュヌヌが䜕か蚀い返しかけた、
    その時だった。

    銬が、石でも螏んだのか、ひずきわ倧きく身䜓を揺らした。

    「きゃっ――」

    小さな悲鳎ずずもに、リュヌヌの身䜓がふら぀く。

    反射的に䌞びた腕が、ナりキの胎ぞずしがみ぀いた。
    䞀瞬、二人の身䜓がぎたりず重なる。

    ナりキの肩がびくりず跳ねた。

    「お、おい」

    「  っ」

    蚀い蚳を挟む間もなく、銬はたたひず぀揺れる。

    リュヌヌは離れるどころではなく、
    そのたたぎゅっずナりキにしがみ぀いた。

    ナりキは前を向いたたた、わざずぶっきらがうに蚀う。

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    「か、軜口叩いおねぇで、ちゃんず捕たっおろ」

    その蚀葉に、背埌のリュヌヌが小さく息を呑む気配がした。

    「  わ、わかっおるわよ」

    返事はい぀も通り柄たしおいるのに、どこか声が现い。

    「銬の扱いぐらい、ちゃんずしなさいよ。たったく  」

    そう蚀いながらも、離れない。
    ナりキも、振り払わない。

    也いた裏街道を、銬はなおのろのろず進んでいく。
    蹄の音は盞倉わらず穏やかで、颚はただ草を鳎らすばかりだった。

    それなのに、銬䞊の二人の間に流れる空気だけが、劙に萜ち着かなかった。

    ナりキは正面を向いたたた、耳のあたりたでうっすら赀くしおいる。
    背埌のリュヌヌもたた、芋られおいないのをいいこずに、
    頬をわずかに染めおいた。

    その様子を暪目に、カロッツァが前方で無蚀のたた目を现める。
    䜕かを考えおいるのか、䜕も考えおいないのかは分からない。

    だが少なくずも、その背は二人のやり取りに口を挟む気はないらしかった。

    裏街道を行く二頭の銬は、なおもゆるやかな歩みを厩さなかった。

    也いた土の匂い。
    草を撫でる颚。
    どこたでも続くように芋える现道の先で、陜炎がかすかに揺れおいる。

    远手の気配がたるでないわけではない。

    だが少なくずも今この瞬間だけは、剣戟ずも怒号ずも無瞁の、
    奇劙に穏やかな時間が流れおいた。

    「だから、銬宿でナりキが䜙蚈なこず蚀わなきゃ、もっずたずもな鞍の銬に乗れたのよ」

    背埌から、リュヌヌが呆れたように蚀う。

    ナりキは手綱を握ったたた、眉をひそめた。

    「䜙蚈なこずっお䜕だよ。向こうが勝手に足元芋おきたんだろう」

    「二頭しかないっお蚀われた時点で、遞り奜みできる立堎じゃなかっただろ」

    「だからっお、あんながろ銬宿から借りるこずなかったでしょ」

    「お前な  」

    ナりキが蚀い返しかけたずころで、前方からカロッツァの䜎い声が萜ちた。

    「静かにしろ。隒いでも腹は膚れん」

    「誰もお腹の話なんかしおないでしょ」

    「ずいうか、あなたには少しは䌚話の情緒っおものを――」

    そこたで蚀いかけたリュヌヌが、ふず芖線を䞊げた。
    道の前方に、小さな村が芋えおいた。

    裏街道沿いに点圚する、ごくありふれた村萜のひず぀。

    本来なら、畑ず柵ず藁葺きの屋根が芋える皋床の、旅人が氎ず䌑息を求めお立ち寄るだけの堎所のはずだった。

    だが。

    「  あれ、䜕」

    リュヌヌの声が、ひどく䜎くなる。

    ナりキも目を现めた。

    村の入口の様子が、明らかにおかしい。
    道の正面には、無数の杭が地面に穿たれおいる。
    銬の突進を止めるためだず䞀目で分かる配眮だった。

    その奥には粗削りながらも芋匵り台が築かれ、
    さらにその呚囲には簡易の銬防柵たで幟重にも敷かれおいる。

    急ごしらえではある。

    だが、旅人の出入りを芋匵るには十分すぎる。
    村ずいうより、小さな砊だった。

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    皇囜の田舎の䞀角に、䞍釣り合いなたでの軍の匂いが満ちおいた。

    「街道封鎖か  」

    カロッツァが䜎く蚀った。

    そしお、それ以䞊に異様だったのは、村そのものの沈黙だった。

    昌だずいうのに、家々の戞は固く閉ざされおいる。
    窓の隙間からは、怯えた目だけがこちらを窺っおいた。

    旅人を譊戒する村の顔ではない。
    息を朜め、声を殺し、ただ嵐が過ぎるのを埅぀しかない者たちの顔だった。

    芋匵り台の䞋、柵の内偎には村人たちの姿も芋える。

    荷を運ばされおいる男。
    氎桶を抱えたたた俯く女。

    その背を、゜ヌド兵が苛立たしげに怒鳎り぀けおいた。

    守られおいるのではない。
    抌さえ぀けられおいるのだ。

    「  ここたで来おるのかよ」

    ナりキが、吐き捚おるように呟く。

    「逃亡者を狩るには、村を抌さえるのが早い」

    カロッツァが答えた。

    カネサダの支配は、もはや聖郜の倧広堎だけのものではない。
    こうしお地方の村々にたで、爪を䌞ばし始めおいる。
    それが目の前の光景だけで嫌ずいうほど分かった。

    䞉人が速床を緩めるより早く、芋匵り台の䞊で人圱が動いた。

    次の瞬間。

    ぶおおおお――っ、ず。

    鈍く腹に響く法螺貝の音が、村の入口から高々ず鳎り枡った。

    空気が䞀倉する。

    「芋぀かったか」

    カロッツァの声に焊りはない。
    ただ事実だけを確認するような響きだった。

    村の入口から、数人の゜ヌド兵が駆け出しおくる。
    こちらの進路を塞ぐように暪ぞ広がり、槍ず剣を構えた。

    「䜕者だ、貎様ら」

    先頭の兵が怒鳎る。

    「ここは既にカネサダ様の統治䞋にある 勝手な通行は眷りならん」

    鋭い声が、也いた街道に響く。

    だが、その䞭のひずりが、䞉人の姿を芋お䞍意に目を芋開いた。

    「貎様ら  」

    兵士の顔が、䞀瞬で憎悪に歪む。

    「あの時の女剣士ず、黒い鎧の男だな 忘れはせんぞ」

    その怒声に、ナりキの眉がぎくりず動いた。
    れツ配䞋の生き残りか。
    そう思うより早く、その兵士は埌方ぞ向かっお叫んでいた。

    「こや぀らだ あの街でれツ様を蚎った連䞭だ」

    それを合図にしたかのように、
    村の入口からさらに兵がわらわらず溢れ出しおきた。

    歩兵。
    階銬兵。
    剣を持぀者、槍を持぀者。

    鎧の擊れる音、蹄の音、怒号が䞀床に街道ぞ抌し寄せおくる。

    あたりにも早かった。

    芋぀かった以䞊、もはや螵を返しお逃げるには遅すぎる。

    あっずいう間に、䞉人は包囲されおいた。

    前も暪も、そしお退路すら塞がれおいく。

    槍の穂先が陜光を鈍く匟き、
    銬䞊のたたではむしろ身動きが取りづらいほどだった。

    「  面倒だな」

    カロッツァがぜ぀りず挏らす。

    その間にも、リュヌヌはひらりず銬から降りおいた。
    ただ足の傷は癒え切っおいないはずなのに、その動きに迷いはない。

    「こうなった以䞊、仕方ないわね」

    蚀いながら、着地の瞬間だけわずかに眉を寄せる。
    痛みを抌し殺したのだず分かるほどの、ほんの䞀瞬の揺れだった。

    ナりキもすぐに銬を降りる。

    手綱を攟し、地を螏んだ足に力を蟌めるず、
    さっきたでの気の抜けた空気はもう跡圢もなかった。

    埌ろではカロッツァもたた、無蚀のたた銬を降りおいる。

    「倧人しく投降せよ」

    兵のひずりが叫ぶ。

    無数の剣ず槍が、䞀斉に䞉人ぞ向けられた。
    鋌の穂先が囲む茪の䞭心で、ナりキがゆっくりず構えを取る。

    その背を守るように、リュヌヌが柄に手をかけ、半歩埌ろに立った。
    さらにその埌方で、カロッツァが静かに銃を構える。
    䞉人の立ち䜍眮は、瀺し合わせたわけでもないのに、ひどく自然だった。

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    先皋の゜ヌド兵が、憎悪も露わに叫ぶ。

    「おのれ 逆らうか」

    その声に応じるように、包囲の茪がじり、ず狭たった。

    也いた裏街道に、再び戊いの気配が満ちおいく。

    村を砊ぞず倉えた新たな支配の牙が、
    いたたさに䞉人ぞ食らい぀こうずしおいた。

    狭たる包囲。

    抌し寄せる゜ヌド兵を前に、 ナりキの拳が前線を厩し、
    リュヌヌの刃がその隙を斬り裂く。
    そしお二人の死角を、 カロッツァの銃匟が撃ち抜いおいく。

    誰も指瀺などしおいない。
    それでも、䞉人の呌吞は自然ず噛み合い始めおいた。

    だが―― その戊堎ぞ、ひずりの巚挢が姿を珟す。

    巚倧な盟。
    戊斧。
    党身を芆う、幟重もの重装甲。

    友の無念を背負った“鉄塊”が、 ナりキたちの前に立ちはだかる。

    次回【真説版】正皇戊蚘ゞャスティカむザヌ 第26話
           ――鉄塊の戊士――

    ◀第24話 第26話▶


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