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【真説版】正皇戊蚘ゞャスティカむザヌ第37話垞道の倖ぞ

    第3章「歩みだす正矩線」党14話䞭(2538)

    第37話 垞道の倖ぞ

    ▶第3章マガゞン

    理に適った戊術だからこそ、戊線は動かない。

    難攻䞍萜のクロガネフェルを前に、
    カネサダはただひず蚀、垞道を切り捚おる。

    「䞭倮は――俺ずフォルツァだけで十分だ」

    ノァルガルド西郚戊線。

    朝だずいうのに、空はひどく鈍い色をしおいた。

    雲が䜎い。

    その䞋に広がる平野は、幟床も軍勢に螏み荒らされたせいで草もたばらになり、
    ずころどころ黒く焌けた土が剥き出しになっおいる。

    也いた颚が吹くたび、土埃ず火薬の匂いが薄く舞い䞊がり、
    錻の奥ぞざら぀いた感觊を残した。

    その荒れた倧地の先に、クロガネフェル城塞はあった。

    か぀おは皇囜の色を戎いおいたはずの城塞だ。
    だが今、その高い城壁にはノァルガルド垝囜の軍旗が幟぀も翻っおいる。

    黒鉄の城壁。
    切り立った石の防壁。
    颚にはためく旗の圱が、たるで城そのものぞ垝囜の手が食い蟌んでいるかのように芋えた。

    城塞前面には、ノァルガルド兵団が広く陣を敷いおいた。
    塹壕は幟重にも掘られ、そこぞ槍兵たちが身を䌏せおいる。

    砲兵陣地には倧砲がずらりず䞊び、黒く開いた砲口が皇囜軍の偎を静かに睚んでいた。

    歩兵、階銬兵、重装歩兵。

    そのいずれもが、皇囜の兵ずはたるで異なる姿をしおいた。

    獣の耳を持぀者。
    角を戎く者。
    翌を畳む者。
    人の倍はあろうかずいう巚躯を誇る者。

    圌らは寄せ集めではない。

    皮族ごずの䜓栌も、歊具も、戊い方も違う。

    それでも槍の列は乱れず、盟の壁は噛み合い、砲兵陣地の前には
    重装の巚躯が壁のように立っおいた。

    剛囜ノァルガルド。

    それは亜人を埓える垝囜ではない。

    亜人たち自身が、力によっお築き䞊げた囜である。

    皇囜から芋れば、野蛮なる䟵略囜家。

    だが圌らにずっおこの軍旗は、か぀お奪われ続けた者たちが、
    二床ず奪われぬために掲げた誇りそのものだった。

    さらに城塞の前には、浅いながらも広い河川が流れおいる。
    流れそのものは激しくない。
    だが、軍を枡らせるには十分すぎる障害だった。

    氎を螏めば足は鈍る。
    隊列は乱れる。
    盟は䞋がり、槍は揃わず、その䞀瞬を塹壕ず砲兵ず城壁の匓手が喰う。

    守るには易く、攻めるには難い。

    難攻䞍萜ず呌ばれる理由を、クロガネフェルは黙っお瀺しおいた。

    その城塞から玄四キロ埌方。
    䜎い䞘陵地に、皇囜軍の本陣は眮かれおいた。

    高みからは、クロガネフェルの茪郭が芋える。
    河川の鈍い反射も、城壁の向こうでうっすら立぀砲煙も、
    目を凝らせば捉えられる距離だった。

    本陣ずしおは前に出すぎおいる、ず垞なら誰かが蚀っただろう。

    だが今の皇囜軍に、悠長な安党圏を取る䜙裕などない。

    そのさらに埌方には、なお皇囜領たるタテガルド城砊が控えおいる。

    補絊の芁。
    退路の楔。
    最埌の盟。

    クロガネフェルを奪還できねば、
    やがおこのタテガルドすら戊火に呑たれる。
    だからこそ、この戊堎は退けぬのだ。

    本陣では、到着ずほが同時に軍議が開かれた。

    分厚い倩幕の内偎には、戊堎の冷たい匂いがそのたた持ち蟌たれおいる。

    泥の也いた匂い。
    革の匂い。
    埮かに残る血の匂い。

    䞭倮には倧きな垃陣図が広げられ、その呚囲を将軍たちが囲んでいた。

    䞊座に座るのはカネサダ。
    すでに赀い鎧を脱ぎ、陣矜織を矜織っおいる。

    歊装を解いおなお、その身からは少しも戊の圧が抜けおいなかった。
    いや、鎧を脱いだからこそ、県だけが䜙蚈に鋭く芋える。

    その沈黙ひず぀で、倩幕の䞭の誰もが喉の奥を也かしおいた。

    傍らにはティヌダ。

    唇を固く結び、報告が重なるたび、ほんのわずかに眉を顰めおいる。

    さらに埌方にはフォルツァが立っおいた。

    盎立䞍動。
    ただ黙っおいるだけの巚躯。
    それなのに、将軍たちの誰も、その巚䜓を“背景”ずしお芋られなかった。

    あれは控えおいるのではない。
    そこに圚るだけで、別皮の戊力ずしお空間を占めおいるのだ。

    「珟圚、敵はこのように陣を敷いおおりたす」

    将軍のひずりが垃陣図ぞ駒を眮く。

    指先には疲劎が芋えた。
    だが、震えは抌し殺しおいる。
    䞊座に座る男の前で、匱さを芋せるわけにはいかなかった。

    「敵は城塞正面に塹壕線を䞉重に構築。䞭倮に砲兵を集䞭。巊右には重装歩兵ず亜人兵を分散配眮」
    「河川を越えおの正面突砎は、極めお損耗が倧きいず刀断されたす」

    別の将軍が、その暪で別の駒を動かした。

    「故に我が軍は巊右ぞ展開し、敵陣の倖瞁を少しず぀切り取る䜜戊を継続䞭に埡座いたす」
    「珟状、戊線は膠着。敵も決定打を欠いおおりたすが、こちらもたた城塞攻略には至っおおりたせぬ」

    巊翌。

    右翌。

    前衛。

    予備兵。

    砲兵線。

    眮かれおいく駒のひず぀ひず぀は、理に適っおいた。
    理に適っおいるからこそ、動かない。
    戊の理そのものが、ここでは泥のように停滞しおいる。

    どれひず぀ずしお芳しい報告ではなかった。

    ティヌダがわずかに眉を寄せる。

    その動きを芋なくずも、将軍たち自身が最もそれを分かっおいた。

    カネサダは黙したたた垃陣図を芋おいた。
    やがお、口を開く。

    「巊翌ず右翌は、そのたた掻かせ」

    䜎い声だった。

    だが、その䞀蚀だけで倩幕のざわめきは消える。

    「だが䞭倮に兵は芁らん」

    ぎたり、ず空気が止たった。
    将軍たちの目が䞀斉に䞊座ぞ向く。
    カネサダは垃陣図の䞭倮ぞ、無造䜜に指を萜ずした。

    「貎公らは敵城塞の巊右、それぞれに展開しろ」

    「䞭倮は――俺ずフォルツァだけで十分だ」

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    誰かが息を呑んだ。
    最初に声を䞊げたのは、幎嵩の将軍だった。

    「しかし、それではカネサダ様 䞭倮があたりにも薄く――いえ、もはや孀立を」

    圓然の異議だった。

    垞道から倖れすぎおいる。

    䞭倮突砎を、たった二者で担うなど正気の沙汰ではない。

    だが、その蚀葉が終わるより早く。
    かちり、ず也いた音がした。
    フォルツァの目が、薄く光ったのだ。

    ただ、それだけだった。

    それだけだったのに、倩幕の䞭は䞀瞬で静たり返る。

    将軍たちはそれ以䞊、䜕も蚀えなかった。
    戊の流儀を知る者であるほど、この垃陣が異様であるこずは理解できる。

    そしお同時に、自分たちの知る流儀の倖にいるものが、
    この二者なのだずも、肌で悟っおしたった。

    カネサダは、将軍たちの動揺など意に介さない。

    「準備ができ次第、狌煙を䞊げろ」

    「それを合図に、敵陣ぞ切り蟌む」

    将軍たちははっず居䜏たいを正した。

    「は」

    「埡意」

    異論は消えたのではない。
    飲み蟌たれたのだ。

    将軍たちはそれぞれの持ち堎ぞ戻っおいく。
    倩幕の倖では、すでに䌝什の足音ず甲冑の擊れる音が亀錯し始めおいた。

    やがお、広い軍議の倩幕には、カネサダ、ティヌダ、
    フォルツァだけが残る。

    短い静寂。

    その䞭で、カネサダが芖線だけを動かし、フォルツァを芋る。

    「準備はいいな」

    フォルツァは答えない。
    ただ黙っおカネサダを芋返す。

    その双眞は無機質でありながら、
    既にこの先の戊況を芋通しおいるようでもあった。

    ティヌダは袖口ぞ手を滑らせた。
    次の瞬間、挆黒の倧扇――倩日が、その手に収たる。

    その所䜜に、迷いはない。

    カネサダが立ち䞊がる。
    陣矜織の裟が、短く鳎った。

    「参るぞ」

    「はい」

    ティヌダが応える。
    フォルツァは重い䞀歩を螏み出した。

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    䞉人はそのたた倩幕を出る。
    倖には、すでに戊堎の颚が吹いおいた。

    也いた土ず、火薬ず、血の気配を運ぶ颚だ。

    遠く、クロガネフェルの城壁が鈍く光る。

    そこぞ向かう䞉぀の圱を、戊堎の颚が迎えおいた。

    垞道では届かぬ城塞ぞ、垞道の倖にいる者たちが歩き出す。

    がら空きの䞭倮ぞ、勝機ず芋た敵兵が雪厩れ蟌む。

    だが、そこで埅぀のは――䞉぀の圱。

    カネサダが斬り、
    ティヌダがその背を護り、
    フォルツァが戊列を抌し朰す。

    そしお戊堎に、玅き芇王が顕珟する。

    次回【真説版】正皇戊蚘ゞャスティカむザヌ 第38話      
        ――芇王匟功波――

    ◀第36話 第38話▶


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