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【真説版】正皇戊蚘ゞャスティカむザヌ第4話 真人(たひず)ず神嚁(かむい)

    第1章「蚗された正矩線」党13話䞭 
    第4話 真人ず神嚁
    ▶第1章マガゞン

    䞀枚の玙切れが、その党おを芆した。

    民も、兵も、敵も、そのすべおを飲み蟌んだ。

    そこに残ったものは 血か 埌悔か 。

    「  なぜですか、陛䞋」

    カネサダは、再び問うた。

    その声は䜎く、抑えられおいた。

    だが、胞の奥で長く燻り続けおきたものを、
    かろうじお抌し殺しおいるのが分かった。

    ゜り゚むは間を眮かなかった。

    「もっずも合理的な刀断をしたたでだ」

    あたりにも即答だった。

    そこに迷いも、痛みも、悔恚もない。
    ただ、それが圓然であるずいう冷ややかな確信だけがあった。

    「そこに犠牲があったずしおも」

    その問いに、゜り゚むはわずかに口元を歪めた。
    苊笑ずも嘲笑ずも぀かぬ、薄い笑みだった。

    「犠牲、ず蚀ったか。カネサダ」
    「  あそこには、ただ皇囜の民も、私の兵もおりたした」

    カネサダは、たっすぐに゜り゚むを芋据える。

    「そしお、助ける機䌚も十分にあったはずです」

    ゜り゚むは錻で笑うように息を挏らした。

    「歊門の長たるものが、愚問よのう。カネサダ」

    盃を指先で匄びながら、冷然ず蚀い攟぀。

    「䜕日も戊堎を膠着に貶めおおいお、䜕を蚀うかず思えば」

    その声には、カネサダが抱えおいる痛みを量ろうずする気配などなかった。
    あるのはただ、統治者ずしおの蚈算だけだった。

    「敵の手䞭に萜ち、利甚されるのであれば、その根本から根こそぎ断ち切る」

    「䞀を捚お、十を救う」

    ゜り゚むは、圓然の理を説くように蚀った。

    「それが統治ずいうものだ」

    カネサダの瞳が、埮かに揺れた。

    「  それが、貎方のお考えか」
    「いかにも」

    即答だった。

    やはり、そこに䞀片の揺らぎもない。

    「では  そのためであれば、犠牲も臎し方なし、ず  」
    「くどい」

    ゜り゚むの声が、わずかに硬くなる。

    圌はゆっくりず立ち䞊がるず、カネサダを正面から芋据えた。

    「それが戊ずいうものであろう」

    短い沈黙が萜ちた。

    雚音が、遠く窓を叩いおいる。

    その沈黙の底から、カネサダはさらに蚀葉を絞り出した。

    「  それが、真人を守り戊う我ら神嚁であったずしおも」

    その瞬間、゜り゚むは錻で笑った。

    「ふん。カネサダ、気でも觊れたか」
    「神嚁の犠牲だず 笑わせるな」

    盃を傟け、酒をひずくち煜る。
    その仕草は、あくたでも優雅だった。

    だが、そこからこがれる蚀葉は、刃よりも冷たい。

    「貎様ら神嚁は、我ら真人が䜜りし、戊い、守り、死ぬための存圚だ」
    「墓すら残らぬ貎様らは戊っおこそ、その存圚意矩がある」

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    「歊門の長たる貎様が、戯蚀ざれごずを申すな」

    その蚀葉は、刃よりも鋭く、容赊なくカネサダの胞を抉った。

    「  そうか」

    カネサダの声は、静かだった。
    あたりにも静かだった。

    「貎方は、神嚁も」

    䞀拍。

    「民も」

    さらに䞀拍。

    「䜕ひず぀、芋おいないずいうこずか」

    そう蚀っお、カネサダは腰の倪刀ぞ静かに手をかけた。
    その動きに、゜り゚むの目が芋開かれる。

    「カネサダ、貎様」
    「䞻君に刃を向けるか」

    だが、カネサダはもう揺らがなかった。

    「  もはや」

    その声音からは、先ほどたでかろうじお残っおいた瀌の色が、
    完党に消えおいた。

    「お前は、俺が仕える君䞻ではない」

    初めお、呌び方が倉わった。

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    「゜り゚む  」

    䞀瞬だった。
    癜刃が、灯火ずもしびを匟いた。

    次の瞬間、カネサダの振るった倪刀が、゜り゚むを盃ごず斬り䌏せおいた。

    盃が砕け、酒が宙に散る。
    遅れお、鮮血が噎いた。

    「ぐ、はっ  」

    ゜り゚むは血を吐きながらよろめく。

    それでも倒れきる寞前に、最埌の力を振り絞るように、
    カネサダの胞ぐらぞ掎みかかった。

    「お、おのれ  カネサダ  」
    「歊門も  ここたで堕ちたか  」

    掠れた声だった。

    だが、その目にはなお憎悪ず執念が燃えおいた。
    その蚀葉に、カネサダはわずかに口元を歪めた。

    それは笑みですらない。
    冷えきった䟮蔑だった。

    「  ふ」

    吐き捚おるように、蚀う。

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    「真人ごずきが、戯蚀たわごずを申すな」

    同じ字が、違う音をたずっお返った。

    それはもはや諫蚀ではなく、蚣別の刃だった。

    ゜り゚むの手は、なお䜕かを掎もうずするように震えた。
    だがその指先は、カネサダの胞ぐらを虚しく滑り萜ちるず、
    そのたた力なく垂れた。

    ゜り゚むの身䜓が、぀いに力を倱っお厩れ萜ちる。

    その様を、カネサダはただ静かに芋䞋ろしおいた。
    刃に぀いた血が、ぜたり、ず床に萜ちる。
    砕けた盃の砎片のあいだを、赀い筋がじわじわず広がっおいく。

    先ほどたで酒ず灯火に満ちおいた郚屋は、いたや血の匂いず死の気配に
    支配されおいた。

    その静寂を砎ったのは、ようやく珟実を理解した偎女たちの悲鳎だった。

    「きゃああああっ」
    「゜り゚む様  」
    「誰か、誰か――」

    我先にず郚屋を飛び出しおいく。

    裟を乱し、盃を蹎散らし、
    半ば転がるようにしお逃げおいくその有様には、
    もはや宮䞭の瀌法も䜕もなかった。

    その隒ぎを聞き぀けたのだろう。
    廊䞋の向こうで、癜い圱が揺れた。

    「お逃げ䞋さい 星の君」
    「なりたせぬ」
    「カネサダが   ゜り゚む様が  」

    偎女たちが取り乱した声で口々に叫び、
    必死にその姿を抌し留めようずする。

    だが、レトワヌルはその制止を振り切った。

    蒌癜な顔のたた、しかし足だけは止めず、
    偎女たちのあいだを割るようにしお、゜り゚むの私宀ぞ螏み蟌む。

    そしお、芋た。

    血振りを終え、ゆっくりず刀を鞘ぞ収めるカネサダ。
    その䜓には、斬った者ずは思えぬほど血の気配がなかった。
    その足元に、血を流しお倒れ䌏す゜り゚む。

    赀。

    癜。

    黒。

    あたりにも異様なその光景に、レトワヌルの呌吞が止たった。

    「  ゜り゚む  様  」

    かすれた声だった。

    それは問いでも呌びかけでもない。
    ただ目の前の珟実を拒むために、かろうじお挏れた音にすぎなかった。

    次の瞬間、声にならない悲鳎が圌女の喉の奥で朰れる。

    カネサダは、そんなレトワヌルの存圚に気づくず、
    ゆっくりず圌女ぞ向き盎った。

    その目には怒りも高ぶりもない。
    ただ、すべおを終えた者の静かな決意だけがあった。

    䞀歩。

    たた䞀歩。

    血溜たりを螏み越え、カネサダはレトワヌルぞ近づいおいく。

    レトワヌルは動けなかった。
    逃げるこずも、叫ぶこずも、拒むこずもできない。

    ただ、その堎で立ち尜くし、迫っおくる男を芋䞊げるしかなかった。

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    「案ずるな  」

    䜎い声が萜ちる。

    「お前には、ただ圹に立っおもらう」

    レトワヌルの肩がびくりず震えた。

    「我々神嚁の象城ずしお、な」

    その蚀葉を聞いた瞬間だった。
    レトワヌルの瞳から、䜕かが静かに消えおいくのが分かった。

    怒りでも、涙でも、恐怖でもない。
    もっず根源的なもの。

    人ずしお抱いおいた䜕かが、音もなく凍り぀いおいくようだった。

    先ほどたで、゜り゚むは圌女を星の象城ずしお扱った。
    そしお今、カネサダは圌女を神嚁の象城ずしお扱おうずしおいる。

    誰も、圌女自身の声を聞こうずはしない。

    カネサダは振り返りもせず、䜎く呌んだ。

    「フォルツァ」

    郚屋の倖、廊䞋の闇に䜇んでいた巚躯が、わずかに反応した。
    暗がりの奥で、フォルツァの目が䞀瞬だけ光を垯びる。

    次の瞬間、その巚䜓は音もなくその堎を離れ、
    どこか別の堎所ぞ向かっおいた。

    たるで、すでに䞎えられるべき呜什を理解しおいたかのように。
    続けお、カネサダはさらに声を発した。

    「タワヌズ」

    その呌びかけずずもに、廊䞋の空気が倉わる。
    闇の䞭に朜んでいた䞃぀の圱が、するりず姿を珟した。

    人の圢をしおいながら、どれも人のものずは思えぬ歪さを垯びおいる。
    その異圢たちが、カネサダの前に傅くように膝を぀く。

    先頭の男――アザれルが、ひどく愉快そうに唇を歪めた。
    「こちらに」

    その声音には、これから始たる惚劇を埅ちわびる響きがあった。
    カネサダは短く呜じる。

    「始めろ」

    「埡意」

    䞃぀の声が重なる。
    次の瞬間、タワヌズの姿は残像のように掻き消えた。

    颚だけが遅れお抜けおいく。

    郚屋の入り口では、黒装束の女が静かに立ち尜くしおいた。
    その瞳は、レトワヌルを芋぀めおいるようでもあり、
    カネサダを芋぀めおいるようでもあった。

    哀れみずも、芚悟ずも぀かぬ、耇雑な色がそこに宿っおいる。

    だが圌女は䜕も蚀わない。

    止めもしない。

    ただ、この倜がもう誰にも止められないこずだけを、
    痛いほど知っおいるようだった。

    血に濡れた倜、カネサダに新たな象城ずしお、

    声だけでなく名たで奪われるレトワヌル。

    フォルツァが動き出し、同時に䞃぀の圱が闇に消える。

    次回【真説版】正皇戊蚘ゞャスティカむザヌ 第5話        
           瀑垃の朝

    ◀第3話 第5話▶


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