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オムツ勇者|雑サメ。〜勇者の隣で普通に暮らす……多分♯48|第8章 ときめかない棚活(だいたい未遂編)

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    炊き出し場の娘さん達に誘われて、正しさの女神教の集会に行く。

    街中の教会。白い質素な建物の中に木の椅子がところせましと敷き詰められている。
    時間になると、神父様が話し始めた。

    おお、これが噂の重低音ボイス。
    耳が心地よくて肩の力が抜ける。
    ……まぶたが重い。
    身体が前のめりにガクついて、慌てて姿勢を正す。
    終わり際、1人の男性が手を上げた。
    「入ろうか迷ってるんですけど、葬式とか、いまさら変わるの困るなって思ってて。家族への説明もしづらいし」
    ごもっとも、と素直に思った。ライフスタイル変えたくない人も多いだろう。
    「特に何かを変える必要はありませんよ。本をお持ちいただくだけで」
    「そうなんですか?」
    質問した男性は、気が抜けたような声を出した。
    「ただ、入ってる宗教は?と聞かれたら、正しさの女神教と言ってくだされば」

    神父様はどこまでも優しげに頷いた。


    「はーかっこよかったですね〜」
    「見てるだけで目が癒される〜」
    「耳も癒された〜」
    「見てみて!神父様、率先して椅子とか片付けてる」
    「え、そういう細かいこともやるんだねえ」
    「素敵〜」

    娘さん方の目がハートだった。間違いなくイケメンに違いない。

    そのとき、神父様がこちらにやってきた。
    「Kさん、来てくれたんですね。ありがとうございます」
    Kさんと呼ばれた娘さんは頬を紅潮させる。
    「みなさんもぜひ読んでみてください」
    神父様は続けて、一人一人に本を渡した。
    正しさの女神教の教義の本らしい。
    本を受け取ったシオリは挨拶もそこそこに教会を後にした。

    ◻︎◻︎

    午後。
    神殿の図書館で本を借りた。
    神官Jのおつかいだ。
    司書さんの机にも、正しさの女神教の本が三冊積んである。
    見ないふりをして、Jの部屋に急いだ。

    「よっこいせ」
    雑にドーンと、彼の几帳面な机の上に積み増しする。
    ふと、本の下敷きになった写真が目に入った。
    もちろんJの写真ならスルーだが。

    「ミカルの写真!!!」
    ちっちゃい、昔会った勇者候補生のF君よりちっちゃい。
    可愛いミカルが写っているではないか。
    「それ前任者ですよ」
    神官Jがにっこり微笑んで、奥から1冊のアルバムをシオリに渡した。
    「こちらがミカル様のです」
    「え、あ、そうなんだ。借りていい?」
    「記録用ですが、いいですよ」

    アルバムを片手にミカルの元へ、浮き足立って駆け出した。

    ◻︎◻︎

    「ただの古い写真だろ?何が面白いんだ?」
    「こんなにそっけない人にも、赤ちゃんの頃があったってのがいーじゃん!!! ほら! オムツ付けてる!」
    「赤ん坊で生まれてくるのは、避けられないからな。世話をやかれるのも」
    「やいてもらったんだ」
    気持ち、ニヤニヤしてしまう。
    親はいないって言ってたけど、そういう人はいたのか、と心の中で納得する。
    「もーいーだろ」
    ミカルがアルバムを引っ張った。
    「まだあと一枚」
    古い写真を出す。
    神官Jの机からこっそり持ってきたやつだ。
    「ああ、前任者だな。これも昔の俺。今は関係ないけど」
    「そうなんだ?」
    「それ、Jに返しとけよ。記録用だから」
    写真は後日Jの机にこっそり置いといた。

    昔の勇者より、今のミカルの方が可愛かった。

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    低予算・低体温で回る世界と、爆破でしか更新されない物語。 (雑サメ。連載お休み中。) ログライン『世界の変さより今日の生活』 ・低予算・低体温ファンタジー ・サメは爆破します(重要) ・合わなかったら、そっと閉じてOKです

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