
サメ保険|雑サメ。〜勇者の隣で普通に暮らす……多分♯14|第4章 距離を保つこと(たぶんセーフ寄りの編)
――世界はポリゴン。食事はセル画。
リアルなのは自分達だけと思っていたら、転移者と聖女は同じ顔?
勇者達も同じ顔?
サメが来ても皆で復興。
そしてこの世界では、近づきすぎると危ない。――
今朝、自室でくつろいでいると聖女Dからメールが届いた。
「隣国dの勇者様が体調を崩されたそうで、Eがフォローに向かうことになりました。
しばらく留守にするとのことで、寂しいです」
……勇者も不調な日とかあるんだ。
「連絡ありがとう。
いつもいる相手がいないと寂しいよね。
今度針と糸送ります」
シオリは手短に送信した。
トンと短いノックが聞こえた。
開けるとミカルが立っていた。
「相手は確かめてから開けた方がいいぞ」
「ミカルかと思って」
ミカルは一瞬、口を閉じ、
「ごはん食べたら街、な」
とだけ言って食堂の方へ消えていった。
(……服できたんだけど、特になんも言われなかったな)
白い布地の貫頭衣に巻きスカート。
シスターの服を参考に、直線立ちで作った簡単な服。着心地は思ったより良かった。
裁縫なんて家庭科でしかやったことないから、縫い目はぐちゃぐちゃだけど。
完成させるとやり切った感はあった。あと、すっごく守られてる感がある。
やっぱり服って大事なんだなあ。
胸に手を当てて、しみじみと感謝した。
◻︎◻︎
神殿内の食堂。いつものスープ。角切り野菜が入ったコンソメ味。
ツナ缶が入って、旨みが上がってるのが小憎らしい。パンをちぎって浸すのも贅沢に感じる。
「シオリは、いつも美味しそうに食べるよな」
「毎日の楽しみですから!あ、ところで今日用事なんだっけ」
「サメにやられた家屋の修理。シオリの方はまた炊き出しだな」
「そっか。美味しいもの作れるといいね」
◻︎◻︎
街は思ったより、散らかっていた。
解像度もまちまち、平坦で溶けてしまいそうな建物もあれば、やけにクリアな屋根とかが並んでてなんだかトンチンカンだ。
そして道端には木片やレンガらしき残骸。
最近は誤爆は減ったと聞いてたんだけど、炊き出しの前に残骸の片付けから手をつけた方が良いかもしれない。
「今回は割と酷いね」
「サメ大きかったからな」
「あーね」
……今回も炊き出しの具はサメかな。
ぼんやりとメニューを想像してると、しくしくと泣き声?みたいなものが聞こえた。
街の片隅にポリゴンが一体座り込んでいる。
「どうかしましたか?怪我ですか?」
「違うんです。私保険会社の営業で」
立ち上がった彼?もしくは彼女はきっちりとスーツにネクタイを締めていた。
「保険?」
「はい。このパンフレット配ってるんですが、誰も受け取ってくれなくて」
手に取ると白いペラい板が紙の手触りになる。
書かれてる文字は――。
「サメ保険」