
【雑サメ。#15】 推しを食べる/第4章 距離を保つこと(たぶんセーフ寄りの編)
いつもの神殿の食堂。
食卓には湯気と、いい匂い。
白い皿には、いい感じに焦げ目のついたムニエル。
白いご飯とスープとサラダ。
文句なしの食卓。
――シオリは葛藤していた。
「サメだよね?これ」
「そうだろ?」
シオリはサメを愛している。正確に言うとサメ映画を愛しているのだが、愛が深すぎて実映像もサメが口開けるシーンだけ何十回もリピートするぐらいにはハマっていた。
そのサメを食べる。推しを食べる。オタク倫理的にそれはOKなのか?
一歩間違うとハンニバル 〇クター博士になってしまうのではないか
……博士の料理も美味しそうだったな
それくらいの禁忌を感じる。
ミカルの方を見ると普通にフォークとナイフでムニエルを切り分けていた。
...美味しそう
ハッとしてシオリはヨダレを拭う。
「...がまんするもんじゃないぞ」
倫理、正しさ、カタルシス
あらゆる単語が脳内を滑る。
シオリは震える手で白身を口へ運ぶ。
「...うま」
「だろ?」
「おかわりありますよ〜」
とシスターののんきな声。
今日も世界は平常運転だった。