
川で遊ぼう|雑サメ。〜勇者の隣で普通に暮らす……多分♯28|第6章 上手くいくペアとは(静かにややこしい編)
――今日はサメが来ないらしい。――
シオリは、ミカルと川に行くことになった。
「じゃあ、途中でご飯買ってけばいいね」
「問題ない」
水着の上に洋服を着込み、浮き輪を担ぐ。
タオルだけ、あればいいかな。帰りは歩いて自然に乾く、はず。
待ち合わせ場所に行くと、ミカルは釣竿を持っていた。
「泳がないの?」
「今日は釣りの気分」
「そっか」
二人神殿を出発する。普通に歩いて街に行く。
「どこでお昼買おっか」
「シオリの方が詳しいだろ」
「そっか。じゃあ付いてきて」
石畳を真っ直ぐ歩く。街の大通りを横切って、少し曲がると、石畳が途切れる。
角のない小石が敷かれた通りに出る。ビーチサンダルだと若干歩きにくい。
白い看板に赤い文字。シマシマの可愛いお店。
焼きたてのパンの匂いが香しい。
「パン好きなの選んで」
ミカルが黙ってトングとトレーを取って選び出す。
シオリはカレーパンとメロンパン、小さなウィンナーロールをチョイス。
お代を払って出る。
それぞれ袋をぶら下げてまた歩く。街の出口に着く頃には、砂利道になっていた。
「ここからどれくらいかかるの?」
「20分かな。普通の川は行ったことないから、すまないな」
「いーよ。運動不足だし。あと歩くの好き」
二人てくてく、歩く。
道はだんだん砂利も薄くなり、雑草が所々生える。
「ちょっと歩きにくいね」
「手、引くか?」
「荷物もあるからいいや」
ミカルがちょっと先を歩き、五歩ぐらい遅れてシオリがついてく。
心地よい距離。
歩を進めるたびに雑草の背が高くなり、ほぼほぼ獣道に変わっていく。
木々が視界に入ってきた頃、川に着いた。
「水がきれーい!!!流れ早ーい」
「1週間程雨が降ってないから、ちょっと水が少ないけどな」
「十分だよ。ちょっと浸かれるだけでも」
シオリは服を脱ぎ出す。
「んじゃ俺は向こうで釣ってくるわ」
「あ、溺れそうだったら助けてね!」
ミカルは手だけで返事し、歩いて行った。
念の為浮き輪を装備し、水に身を浸す。
「………ちべたい」
シオリは20分で出た。
河原に上がって簡単にタオルで拭いたあと、服を羽織る。
向こうの方でミカルが竿を上げた。
「釣れた?」
「……小さいな」
近くまで寄ると、指より少し大きいくらいの魚が、ばたばたと跳ねている。
「食べられない?」
「無理だな」
ミカルは迷いなく、川に戻した。
魚は一瞬きらっと光って、流れに消えた。
「残念」
「まあな」
ミカルは餌を川に投げ入れ、針を竿に引っ掛ける。
「あ、やめちゃうの?」
短く頷き、オーブを取り出す。
「あ、それで帰るんだ」
「神殿の座標は記録されてるからな」
「てっきり歩いて帰るのかと思ってた」
「濡れたままだと風邪ひくだろ。まっすぐ帰った方がいい」
シュンっと一瞬で景色が切り替わる。
お風呂浸かって着替えて、暖を取って。
食堂でミカルと一緒にパンを食べた。