
新婚旅行で「にがり」を買った(その後):ダイヤソルト株式会社②~西海市崎戸町百話#60
第六十話 新婚旅行で「にがり」を買った(その後)
2004年11月。新婚旅行で長崎を巡る中、初めて崎戸を訪れた。
旅行から帰れば、会社へ土産を持っていかなければならない。
何を買おうか迷った。せっかく崎戸まで来たのだから、崎戸らしいものがいい。
そこで私が選んだのが、「にがり」だった。
なぜ、「にがり」だったのか、今となってはよく覚えていない。
崎戸では塩を作っているから、その関係で売られていたのだと思う。
問題は、私が「にがり」とは何なのかをよく分かっていなかったことだ。
会社へ持って行って配ったが、反応も、あまり良くなかった。
考えてみれば当然である。
新婚旅行の土産に「にがり」を渡されても、もらった方も困る。
あれから20年余り。
今回、崎戸について百話を書き始め、ダイヤソルトのことを調べていて、あの「にがり」を思い出した。
にがりとは、海水から塩を取り出したあとに残る液体である。
塩化マグネシウムなどを含み、豆腐を固める凝固剤として使われることで知られている。
つまり私はあの時、塩を作ったあとに残るものを、わざわざ新婚旅行の土産に選んでいた。
当時の私は、そんなことも知らなかった。
それでも不思議なものである。
何を食べたのか。何を買ったのか。新婚旅行の細かなことは、ずいぶん忘れてしまっている。
しかし、「にがりを買った」という妙な記憶だけは残っている。
土産として正解だったのかは、今でも分からない。
ただ、22年後まで覚えていたのだから、記憶に残る土産としては、正解だったのかもしれない。
あくまでも自分の記憶だけではあるけれど。
園崎咲人