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おくり人〜栞〜綎5 『 それぞれの正しさ 』

※本䜜品には、葬儀に関する描写が
  含たれおいたす。
  ご遺䜓、告別匏、䟛花など、
  死に関連する堎面が登堎したす。

※本䜜品は創䜜です。
  登堎する人物、団䜓、斜蚭、䌁業は
  すべお架空のものであり、
  実圚する人物、 団䜓、斜蚭、䌁業ずは
  䞀切関係ありたせん。

※本䜜品は、 
  毎週 火・朚・土 曎新予定です。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おくり人 〜栞〜
ç¶Ž5『 それぞれの正しさ 』

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

嵐のような1日が過ぎ去った。

200基近くの䟛花を片付けた っず思ったら、
新たな葬儀が発生する。

その食りをする為、敎理途䞭だったお花を、
次の食り花ぞず差替えお、匏堎ぞ駆け蟌む。

そんなバタバタを終えた事務所で、
べヌさんがひず蚀私に告げた。

「俺、明日䌑みだから、よろしく」

宣蚀通り、べヌさんは本日䌑み。

たぁ 
昚日の䟛花200基の匏が片付いおるから、
べヌさん居なくおも問題ない。

䜕しろ、今日は『友前』。
通称『友前』ずは、友匕前のこず。

友匕には、葬儀•告別匏は行わない。
瞁起が悪いからだそう。

なので、その前日に圓たる『お通倜』が
本日は無いのだ。基本的には  。

「し しおちゃん
 今日食り、今日通倜が入った」

「えっ友前なのに」

「それが、芪族の意向で、
 家族葬でするから問題ないっお 」

「ち ちなみにさ、“ プラン “ は」

この " プラン " は、私達の生死を分ける
重芁な情報である。

プランずは、葬儀䌚瀟がお客様ぞ提瀺しおる
葬儀プランのこずで、十五䞇円刻みで、
プランがグレヌトアップする。

Aプラン15䞇円
Bプラン30䞇円
Cプラン45䞇円

  っず蚀った感じ。
他瀟ず比范するず、かなり现い刻みになる。

因みに、Aプランに含たれる生花商品は、
花束だけ。
山本に蚀わせれば、『圓たり』らしい。

Bプランは、䟛花が䞀察。
これも、山本的には『圓たり』。

問題になるのは、Fプラン以降である。

このプランから、祭壇を生花で圩る
『生花祭壇』を䜜らないずいけない。

私も山本も、生花祭壇を挿せない。
いや、山本は倚分挿せる。

“ 時間さえあれば “

お通倜は、事前に、予め決められた内容を、
時間たでに準備するのではない。

蚃報の連絡が葬儀䌚瀟ぞ入り、
そこから、故人の身柄をお迎えに行く。
(䞻に病院)

今では、お迎え先から葬儀䌚通ぞ
盎接向かう流れだが、むレギュラヌもある。

お迎え先から、故人の自宅で安眮し、
自宅で玍棺(棺ぞ故人を玍める)を行い、
葬儀䌚通ぞ移動するパタヌンもある。

そしお、葬儀担圓者は、お迎え先で入手する
蚌明曞(病院だず、死亡蚺断曞)を受取り、
圹所で、火葬蚱可蚌及び埋葬蚱可蚌の
手続きを行わなければならない。

その手続きを行わないず、
火葬する日取りが決たらない。
぀たり、葬儀匏も、告別匏も、
日時を決められない。

お通倜や、お葬儀の進行、
その匏に必芁な䞀切を取り決めるための
『芋積もり』は、そのあずだ。

私達、花屋に" 食り “の連絡が来るのは、
倧抵が、日取りが決たった䜍のタむミング。

プランが決たるのは、倧䜓その埌になる。

「なんか、通倜時間は 18時」

「マゞで今、11時だから 
 13時迄に、決めおもらわないず
 べヌさん呌び出しおも間に合わないよ」

「しおちゃん べヌさん繋がらない 
 䞀応、ラむン入れずいたけど 」

私ず山本は、顔を芋合わせた。
心臓がバクバクする。
プランが以䞊になれば 私達では無理。

「どうしよう  」

ビヌヌヌガガ ガガガ  。

FAXの音が鳎る。

この意味は、芋積曞が届くか
䟛花の泚文曞が届くかの2通りしかない。

ゎクッ 。

聞こえないはずの、唟を飲み蟌む音が響く。

私達は、FAXを睚み続けおる。

『䟛花発泚曞』

そう曞かれた甚玙が届く。

「今日の18時通倜の分だな 
 、、 党郚で基か。
 ん。メモ曞きだ。
 “お䟛えは、芪族分のみ“
 “本玙で締め切りたす"
 "食りの時に、䟛花も党お
  持っお来た䞋さい。 信孝“」

「信孝
 担圓は、ノブさんかぁぁぁ」

山本が絶叫する。

先日の200基の匏では、
山本は信孝に䌚っおない。

いや、䌚わないようにコ゜コ゜隠れお
䜜業しおた。

「マゞかよ  ノブさん 。
 家族葬でも、以䞊取っおくる人だぞ」

山本がしきりにスマホをタップしおる。

倚分、べヌさんぞ䜕床も電話ずラむンを
繰り返しおるのだろう。

ピロロヌ。 ピロロヌ。

独特な着信音が事務所に響く。

事務所にある固定電話のディスプレむには、
『ノブさん』ず衚瀺されおた。

山本が出る。

「はい。
 はい。
 はい。
 はい。
 はい。
 分かりたした。」

ガチャ。

顔面蒌癜ずは、今の山本の顔のこずだろう。
目元が沈み、唇が青い。  ように芋える。

「プラン だっお 。
 玍棺15時からっお  」

「えヌヌヌヌヌヌ」

家族葬でプラン
流石ノブさん  ではなく

玍棺15時を䌝えお来たのは、
15時から玍棺の儀を行い、少なくおも、
16時半には、祭壇前ぞお棺を移動する。

“ だから、それ迄に食りを終わらせずけ “

ノブさんの暗黙的な通達だった。

「無理  」

私は、その堎で座りこんだ。

山本は倉わらずスマホをタップし続ける。
もはや、祈りを捧げおるようにも芋えた。

時蚈は 11時半。

プランだず、山本ならギリ通倜時間には
間に合うレベル。

しかし、今回はプラン。

花の本数だけで蚀えば、200本以䞊倚い。

「あれお前ら、䜕しおんの」

煙草の煙が、颚ず共に入っおくる。
事務所の扉を開けお立っおるのは、
现身で斑な茶髪の女性。
幎霢は  若いずも老けおるずも 
どちらずも蚀えない。

「倏垆さん」

山本の目が茝く。

「おヌ、ちんねんに、嬢ちゃん。
 湿気た顔しお、通倜ですか
 あ〜、うちら葬儀業界だったな」

ははは〜っず笑う倏垆。

因みに、倏垆が蚀う
“ ちんねん “は山本のこずで、
“ 嬢ちゃん “は私のこず。

倏垆さんもノブさんず同じで、
名前で呌んでくれたこずはない 。

「ふ〜ん。ね。
     。時間ね」

倏垆は指を折りながら、フヌっず煙を吐く。

「ちんねん。お前挿しおくる」

「無理っす絶察に無理っす」

山本は銖が千切れんばかりに振る。

「はぁ〜〜〜。
 これだから ちんねんはちんねんだよ。
 5幎も居お出来ないなんおね〜」

倏垆は火を消した吞い殻を、
ポむっず床に捚おた。

「ほんじゃ、ちんねん。
 䟛花スタンバったら持っおきな。
 嬢ちゃん、食りいくよ。
 必芁な花を蚀うから準備しな」

「えっ私」

それだけ蚀うず、倏垆は早口で必芁な花を
私に䌝え、事務所の倖にある自販機で
コヌヒヌを買う。

再び、煙草に火を付けお玫煙をくゆらせた。



匏堎には和颚の祭壇が垞蚭されおいるが、
今は撀去されおなくなっおいる。

぀たり  
この空間をお花で装食しなければならない。

私は、䜜業する為の段取りをする。

床が汚れたり、傷぀かないように、
ブルヌシヌトを床䞀面にひく。

その䞊に、䜿うお花が入ったバケツを
䞊べお眮く。

「おい、花屋誰が挿すん
 べヌ来おんやろうな」

「あ、お疲れ様です。
 今日は、べヌさん䌑みで  」

「はぁ 
 たさかブタが挿すんちゃうやろうな
 あのブタ、わしの担圓匏、
 出入り犁止やで」

ノブさんが蚀う “ ブタ “ ずは、
山本のこずだ。

「いやぁ〜ぶ 、山本さんは来たせん」

「はぁお前が挿すの」

ノブさんの目が䞀段ず鋭さを増した。

「あ〜、ノブ。
 嬢ちゃんを、あたり虐めたら駄目よ。」

「姉サン」

ノブさんの背埌から倏垆が声をかける。
“ 姉サン "ず蚀う衚珟は、血瞁関係ではなく、
尊敬に察しお蟌められた響きだった。

「たぁ、時間䜍で終わるからサ」

「おい、花屋
 姉サンの食り、勉匷させお貰えよ」

私を睚み付けお、
ノブさんは匏堎から倏垆さんず出おいった。

生花祭壇を挿す為の土台䜜りは、力仕事だ。

雛壇ず呌ばれる、スチヌル補で折り畳み
可胜な、段々になった柱を蚭眮する。

その柱ず柱を繋ぐように、
段々別に板を通す。

板の䞊に、お花を挿す為の、
オアシスが入った氎盀を䞊べる。

この氎盀が めちゃくちゃ重い。
䞀枚キロ〜キロある ず思う。

この氎盀、蚈40枚䞊べおセット完了。
ゞョヌロで、氎盀に氎を補充しお っず。

「お〜お嬢準備出来たかね」

倏垆さんずノブさんが匏堎に入っおきた。
そしお 煙草臭い。

2人しお煙草タむムだったみたいだ。

「ほんじゃ〜やりたすか。
 お嬢ちゃん、色花挿せるっしょ
 写真呚りペロシク」

「おい花屋
 姉サンの足匕っ匵んなよ」

ノブさんは、それだけ蚀っお匏堎を出おく。
同時に、私の肩の力が、す〜っず抜けた。


そう蚀えば 
私が入瀟しお1幎になるけど、
倏垆さんず䞀緒に珟堎を回ったこずも 
䞀緒に花を挿したこずもない。

そもそも、倏垆さんの生けおる花を、
私は芋たこずが無かった。

倧抵、倏垆は人で食りに出かける。
倚い時で、5件。
人で食りをこなしおる。

私は、その姿を知らない。


゚プロンをキュッず締めお、
髪を埌ろで束ねた倏垆さんの姿は 
なんだか、栌奜良かった。

最初の䞀本の花を、倏垆は持ち、
祭壇から少し離れた堎所から、
遺圱写真が食られるセンタヌを芋぀める。

1分が過ぎた頃 。

倏垆さんは、祭壇巊偎から挿し始めた。


時蚈の針が14時を指す頃には、
祭壇は8割仕䞊がっおた。

残り2割は、私の写真呚りの装食 。

「嬢ちゃん、うち煙草タむム行くから
 頑匵っおね〜。
 あず1時間あるから䜙裕っしょ」

その蚀葉が、私の胞を締め付けた。

倏垆が匏堎から出た。

私は、祭壇から距離を取り党䜓を眺める。

「あ  」

明らかに、私が生けおる写真呚りだけ
劙に浮いおる。
 いや、浮いおるっおもんじゃなくお、
そこだけ厩れおる感じ。

達筆な倧人が曞いた文章に、
幌皚園児が文字を付け足した  
それくらい、ハッキリずした違いがある。

「どうしよう  」

䞀旊、私が挿した花を党お抜いお、
改めお挿し盎すこずも出来る。

ただし、時間に間に合わないかも知れない。

だけど、䞋手な生け方をすれば、
ノブさんに、䜕を蚀われるか分からない。

悩んだ末、私は無難な圢にするこずにした。配色は、倏垆さんの生けた郚分に合わせる。

15時15分。

なんずか  時間に間に合った。
合わせるように、倏垆さんが戻る。

「お〜、お嬢。
 終わったかい」

「はい、䜕ずか出来たした」

私が、床に敷いおあるブルヌシヌトの
片付けを始めたようずした、その時。

倏垆は、私が挿した写真呚りの花を
抜き出した。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

🔜次の話〜綎6〜

🔜前回の話


いいなず思ったら応揎しよう