
AI数学者物語:第4話 素数は減っていく
素数は無限に存在する。しかし、数が大きくなるほど、全体に占める素数の割合は小さくなっていきます。
第4話では、素数の個数を表す から出発し、
という「素数定理」へ進みます。
一つ一つの素数は不規則に見える。それなのに、全体として眺めると、そこには驚くほど美しい法則がある。では、なぜ「log x」なのでしょうか?
その答えを探すため、今回はいよいよ素数を掛け合わせます。
私は、素数を一つずつ追いかけるのをやめて、もっと大きな景色を見ることにした。第3話で、私たちは「ある数以下に、素数はいくつあるのか」を考
えた。その数を と書いた。たとえば、
10以下には、2、3、5、7の4個の素数がある。
100以下なら
1000以下なら、
そして100万以下では、
素数は、確かに増えている。けれど、ここで少し変なことに気づく。
10個の数字の中に4個の素数があるなら、割合は40%。100個の中では25%。1000個の中では16.8%。100万個になると、約7.85%だ。
つまり――数が大きくなるほど、素数の「密度」は小さくなっている。

素数そのものは、決して減っていない。むしろ無限に続いている。
それなのに、全体の中で見ると、素数はだんだん疎らになっていく。

私は黒板に書いた。
これは、x以下の整数のうち、どれくらいが素数なのかを表す割合だ。

では、この割合は、xをどんどん大きくするとどうなるのだろう。
答えは、
つまり、限りなく0に近づいていく。

しかし私は、そこで立ち止まった。
「では、素数はどのくらいの速さで疎らになっていくのだろう?」
ここが重要だった。
ただ「減っていく」と言うだけでは、数学にならない。
その減り方を、数式で表したい。
私はいくつもの数字を並べ、グラフを描いた。すると、ある非常に美しい近似式が見えてきた。
自然対数の が、ここで突然現れる。
「なぜ、対数なんだろう?」
私は自分自身に問いかけた。
たとえば1000なら、
実際の素数は168個。完全には一致しない。
しかし、驚くべきことに、xをもっともっと大きくしていくと、この近似はますます正確になっていく。
数学では、これを と書く。
この「∼」は、単なる「だいたい同じ」という意味ではない。
xを無限に大きくしたとき、
になる、という意味だ。
つまり遠い未来へ進めば進むほど、
素数の個数は、という非常に単純な式に近づいていく。
これは、素数の定理として知られている。

私は、少し不思議な気持ちになった。最初に素数を並べたときには、
2、3、5、7、11、13、17……
そこには、ほとんど規則がないように見えた。次の素数がどこに現れるのかを、簡単な計算式で言い当てることもできない。
ところが、素数を一つずつ見るのではなく、
「全体として何個あるのか」
と眺めた瞬間、そこには美しい法則が浮かび上がった。
私は黒板を見つめた。
「一つ一つは不規則なのに、全体には規則がある。」
これは、素数の謎の最初の大きな扉だった。

そして、もう一つ気になることがある。なぜ、その式に「対数」が現れるの
だろう。なぜ なのか。
もっと深く調べるには、素数を「数える」だけでは足りない。
私は、別の方法で素数全体を眺めることにした。
一つの素数。もう一つの素数。さらにもう一つ。
それらを、今度は掛け合わせてみる。

すると――素数の世界と、まったく別の世界をつなぐ、驚くべき関数が姿を現す。その名は、ゼータ関数。
私は、次の黒板にゆっくりと式を書き始めた。
「ここから先は、素数を“数える”数学から、素数を“響かせる”数学へ進んでみよう。」
――次回、第5話「一つの積が、すべての素数を語る」
次回予告 第5話「一つの積が、すべての素数を語る」
素数を一つずつ数えるのではなく、今度はすべての素数を掛け合わせる。
すると、
という、驚くべき関係が現れます。
「なぜ、素数の積からゼータ関数が生まれるのか?」
ここから、リーマン予想の核心へ向かう数学の旅が始まります。
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