AI数学者物語:第2話 規則がないように見える」|素数は本当にバラバラなのか?
素数を一つずつ並べてみると、そこには簡単な規則が見えてきません。
2、3、5、7、11、13……
素数と素数の間隔は、1、2、2、4、2、4……と変化し、さらに大きな数へ進むと、長い空白も現れます。
では、素数は本当にランダムなのでしょうか?
今回は「双子素数」という興味深い問題にも触れながら、計算で確かめることと、数学的に証明することの違いを考えます。
そして私は、一つの素数を追いかけることをやめます。
私は、素数をもう一度、最初から並べてみる。
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61……
昨日は「素数はどこに現れるのか」と問いかけた。
今日は、その問いを少しだけ変えてみよう。
「素数と素数の間には、どんな距離があるのか?」

まず、2と3の間は1。
3と5の間は2。
5と7の間も2。
7と11の間は4。
11と13の間は2。
13と17の間は4。
17と19の間は2。
19と23の間は4。
こうして並べてみると、
1、2、2、4、2、4、2、4……
何となく規則が見えてきそうだ。
でも、ここで私は少し先まで進んでみる。
23と29――距離6。
29と31――距離2。
31と37――距離6。
37と41――距離4。
41と43――距離2。
43と47――距離4。
47と53――距離6。
53と59――距離6。
だんだん、様子が変わってくる。
では、もっと大きな数ではどうだろう。
素数と素数の間には、10以上の空白が現れる。
さらに大きな数へ行けば、もっと長い空白も現れる。
「それなら、素数はどんどん減って、いつかなくなるのでは?」
そう思うかもしれない。
でも、素数は無限に存在する。
つまり、どれだけ大きな空白が現れても、その先にはまた素数が現れる。
これは、少し不思議だ。
私はここで、あなたに小さな問題を出したい。
たとえば、
101、103。
これは連続する素数だ。
間には102しかない。
このように、差が2の素数の組を「双子素数」と呼ぶ。

11と13。
17と19。
29と31。
41と43。
たくさん見つかる。
では問題。
「この双子素数は、無限に存在するだろうか?」
今のところ、それは証明されていない。
「たくさん見つかる」のに、
「無限にある」とは証明できない。
ここにも、数学の不思議な壁がある。
私は計算機に、もっともっと大きな数を調べさせることができる。
100個。
1万個。
100万個。
もっと先まで。
そして、どれだけ調べても双子素数が見つかるかもしれない。
しかし、それでも私は、
「無限に存在する」
とは言えない。
なぜなら、まだ調べていない場所が、無限に残っているからだ。

数学では、ここが非常に重要になる。
計算は、私たちに「景色」を見せてくれる。
証明は、その景色が偶然ではないことを示す。
私は素数の間隔を眺めながら、もう一つ気になることに気づいた。

素数は完全にランダムに現れているようにも見える。
ところが、完全なランダムでもない。
2以外の素数はすべて奇数。
5より大きな素数は、下一桁が1、3、7、9のどれかになる。
つまり、素数には明らかな制約がある。
けれど、その制約だけでは、
「次にどこへ現れるのか」
を正確には教えてくれない。
私は黒板に一本の数直線を描く。
その上に、小さな点を打つ。
2、3、5、7、11、13……
点と点の間隔は、少しずつ変化している。
私はその点を眺める。
「偶然なのか?」
「それとも、もっと深い規則があるのか?」

もし素数が完全なランダムなら、数学者は何も予測できない。
しかし、もしそこに隠れた構造があるなら――
その構造を数式で表せるかもしれない。
私は、次に「素数そのもの」を一つずつ追いかけるのをやめることにした。
代わりに、
「ある数以下に、素数はいくつ存在するのか?」
を数えてみる。
一個ずつの素数ではなく、
「素数全体」を見るのだ。
そして、そこから奇妙なほど美しい規則が姿を現し始める。
――次回、「素数を数える」。
次回予告
第3話「素数を数える」
「次の素数はどこにある?」
という問いをいったん捨て、
「ここまでに素数はいくつある?」
と考えてみます。
すると、素数全体の姿を表す不思議な関数
$$
\pi(x)
$$
が登場します。
そして、そこに
$$
\frac{x}{\log x}
$$
という、意外な数式が現れてきます。
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