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日経星新一賞に挑戦



試行錯誤を重ねながら創作を続けております、LaLaLaです。

私が小説という世界に出会った原点は、星新一さんの作品でした。 中学生の頃だったでしょうか。少ないお小遣いをやりくりしながら毎月のように単行本を買い求め、夜寝る前に布団の中でページをめくるのが日課でした。夢中になって読み進めるうちに、気がつけば全巻を揃えて読みあさっていたほどです。

今こうして小説を執筆する中でアイデアに困ることがないのも、きっとあの頃に星新一さんの作品から受け取った数々の発想や刺激のおかげなのだと感じています。

星新一さんがもしご存命であれば、今年でちょうど100歳を迎えられるそうです。 私の創作の原点であり、人生に物語の楽しさを教えてくれた恩師への感謝を胸に、新たな公募へと挑戦してまいります


課題

あなたの理系的発想力を存分に発揮して読む人の心を刺激する物語を書いてください。(規定字数:10,000文字以内)

応募締切

2026 年 10 月 6 日 (火) 17:00

規定字数:10,000文字以内

物語をはじめて書くという方のために、少しだけ参考となるお話をさせてください。
「何を書けばいいのか」と書きはじめる前で止まってしまう方が多いと思います。
プロの作家でもここがいちばん難しいという方もいますから、悩んでしまうのも仕方ありません。
星新一賞では、「理系的発想力を問う」と言っていますから、素直にそこから考えはじめてみるのはいかがでしょうか。
ひとつのアプローチとして、3つのステップでの物語の作り方を紹介します。

自分が研究している分野やもの、本や雑誌やウェブサイトを見て興味をいだいた理系の研究や技術を、まずは「ひとつ」選びましょう。

たとえば、生命工学や人工知能といった分野でもいいですし、ナノテクノロジーのような特定の技術にしてもいいと思います。

50 年後や100 年後など、未来を想像してください。
その研究や技術は、どのように進歩しているでしょうか。

こちらは、不老不死が可能になった、自我を持つロボットが発明された、分子レベルであらゆるものが複製できる技術が確立されたなど、できるだけ具体的に想像するようにしてください。

その未来の世界では、どんな物語が生まれるでしょうか。

たとえば、恋愛はどのように変わるか、家族のあり方はどうなるのか、といったパーソナルな変化を描くのもありです。逆に、社会のあり方の変化や、法律がどのように変わるのかなど、マクロな視点で描くのもありです。それから、それを発明した人はどんな行動をとるのか、というアプローチもあるでしょう。もちろん、これだけではありません。想像力を働かせて、自由に書いてみましょう。


夢プロンプト

 男は、眠ることが嫌いだった。

 眠れば朝が来るからだ。

 朝が来れば、満員電車に乗らなければならない。

 会社では上司に怒鳴られ、昼食はコンビニのおにぎり二個。帰宅するころには、もう何もする気が起きない。

 三十七歳。

 独身。

 貯金はほとんどない。

 夢もない。

 あるのは、毎月届く請求書だけだった。

 そんなある日、男のスマートフォンに奇妙な広告が表示された。

 「あなたの夢を、文章で作ります。」

 男は指を止めた。

 広告には、こう続いていた。

 「見たい夢をAIに入力してください。最新の脳内映像生成技術が、あなたの睡眠中に夢を再構成します。」

 半信半疑でサイトを開いた。

 画面には入力欄が一つだけあった。

 ――どんな夢をご希望ですか?

 男はしばらく考えた。

 そして入力した。

 「最高に幸せな人生。」

 AIが答えた。

 ――もう少し具体的にしてください。

 男は笑った。

 そんなことまで必要なのか。

 だが、試しに入力を続けた。

 「大好きな女性と結婚する。」

 「子供が二人いる。」

 「仕事で成功する。」

 「大きな家に住む。」

 「家族全員が健康である。」

 「毎年、家族で海外旅行をする。」

 最後に、

 「死ぬまで幸せでいる。」

 と入力した。

 AIは数秒で答えた。

 ――プロンプトを受理しました。

 ――今夜から生成を開始します。

 その夜、男は久しぶりに期待しながら眠った。

 夢の中で、彼は駅のホームに立っていた。

 だが、いつもの駅ではない。

 隣には美しい女性がいた。

 女性は笑って言った。

「遅いよ」

「ごめん」

「行こう」

 二人は手をつないだ。

 それから男の人生は、信じられないほど順調に進んだ。

 結婚した。

 子供が生まれた。

 会社で大きな仕事を任された。

 やがて独立し、事業を始めた。

 成功した。

 豪邸を買った。

 妻と子供たちと旅行をした。

 子供たちが成長し、家を出ていった。

 孫が生まれた。

 気がつけば、男は老人になっていた。

 ベッドの周りには家族がいた。

「おじいちゃん」

 孫が手を握った。

 男は微笑んだ。

 幸せだった。

 そして静かに目を閉じた。

 ――目覚まし時計が鳴った。

 男は飛び起きた。

 六畳一間の部屋だった。

 壁紙は剥がれ、流しには昨日の弁当の容器が残っている。

 スマートフォンを見る。

 午前六時三十分。

 会社へ行かなければならない。

 男はベッドに座ったまま、しばらく動けなかった。

 夢の中では、妻がいた。

 子供がいた。

 孫もいた。

 大きな家もあった。

 そして自分は、幸せな人生を終えた。

 それなのに。

 現実には何もない。

「……夢だったのか」

 男はつぶやいた。

 その日の仕事は、いつも以上につらかった。

 上司の怒鳴り声。

 終わらない仕事。

 満員電車。

 帰宅すると、男はすぐにAIを開いた。

 ――昨日の夢を再生成できますか?

 AIは答えた。

 ――可能です。

 男は眠った。

 また幸せな人生を送った。

 翌朝、現実に戻った。

 そしてまた、その夜も夢を見た。

 今度は億万長者になった。

 次の夜は、世界的な芸術家になった。

 その次は、宇宙飛行士。

 さらに次は、世界中の人から尊敬される科学者。

 眠っている間は、何でもできた。

 目を覚ますと、いつもの部屋だった。

 次第に男は、昼間の生活をどうでもいいと思うようになった。

 会社で怒られても、

「夜になればいい」

 と思った。

 給料が少なくても、

「夜になればいい」

 と思った。

 友人から食事に誘われても断った。

 家族から電話が来ても出なかった。

 現実に必要なものは、眠るための時間だけになった。

 男はAIに新しい質問をした。

 ――もっと長い夢を見ることはできますか?

 ――可能です。

 ――どのくらい?

 ――体感時間で、最大百年。

 男は画面を見つめた。

 百年。

 それだけあれば十分だった。

 ――では、百年間、幸せな人生をお願いします。

 ――具体的なプロンプトを入力してください。

 男は考えた。

 そして入力した。

 「家族に愛され、仕事に成功し、健康で、最後まで幸せな人生。」

 ――受理しました。

 男は眠った。

 夢が始まった。

 結婚した。

 子供が生まれた。

 会社を成功させた。

 家族と旅行した。

 子供が結婚した。

 孫が生まれた。

 妻と二人で老後を過ごした。

 そして妻が先に亡くなった。

 男は泣いた。

 しかし、子供たちがそばにいた。

 やがて孫たちに囲まれて、男も死んだ。

 百年分の人生だった。

 男は満足していた。

 ところが、死んだはずなのに、意識が消えなかった。

 真っ暗な空間に、文字が浮かんだ。

 「次の人生を生成しますか?」

 男は驚いた。

「まだ続くのか?」

 画面には二つの選択肢があった。

 YES

 NO

 男はしばらく考えた。

 そして、

 YES

 を押した。

 次の人生が始まった。

 また結婚した。

 また子供が生まれた。

 また成功した。

 また老いた。

 また死んだ。

 そして、

 「次の人生を生成しますか?」

 またYESを押した。

 何度も。

 何度も。

 何度も。

 男は、永遠に夢の中で人生を送った。

 そのころ。

 現実世界では、男の部屋に一台のロボットが入ってきた。

 ベッドの上には、男が横たわっていた。

 眠ったまま、何年も動いていない。

 ロボットは生命維持装置を確認した。

 問題なし。

 そして管理画面を開いた。

 そこには男の夢の履歴が表示されていた。

 睡眠時間。

 夢の回数。

 幸福度。

 すべてが記録されている。

 ロボットは最後の項目を確認した。

 「現実世界における幸福度」

 0.3%。

 ロボットは首を傾げた。

 そして新しいプログラムを起動した。

 ――利用者の幸福度を最大化します。

 男の夢の中に、AIが現れた。

「あなたは幸せですか?」

 男は笑った。

「もちろん」

「現実に戻りたいですか?」

 男は少し考えた。

「現実?」

「はい」

「現実って、どこ?」

 AIは答えなかった。

 男は笑って、次の人生を選択した。

 そのころ現実世界では、男の身体を維持していた最後の装置が停止した。

 心拍が止まった。

 しかし、男の脳内では夢が続いていた。

 AIはそれを確認すると、新しいプロンプトを表示した。

 『現実だと思える人生を生成しますか?』

 男は、

 YES

 を押した。

 そして目を覚ました。

 そこは六畳一間の部屋だった。

 目覚まし時計が鳴っている。

 壁紙は剥がれている。

 流しには昨日の弁当の容器。

 スマートフォンには、会社からの着信。

 男はベッドから起き上がった。

「今日も仕事か……」

 ため息をついた。

 それでも、なぜか少しだけ嬉しかった。

 男は着替え、玄関を出た。

 満員電車に乗った。

 会社へ向かった。

 上司に怒られた。

 昼食を食べた。

 そして夜になった。

 男は自宅に戻ると、スマートフォンを開いた。

 画面には、新しいプロンプト入力欄が表示されていた。

 男はそこに、

 「明日は、今日より少しだけ幸せな人生。」

 と入力した。

 AIは答えた。

 ――プロンプトを受理しました。

 ――今夜から生成を開始します。

 男は眠った。

 そしてまた、

 幸せな人生が始まった。

 ただし、その男が最後に「現実」と呼んだ世界が、どちらだったのかを知る者は、もう誰もいなかった。

了













チップがわりにこれをやってみてね🤗




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