『ファントム・ブラボー:SBU第1小隊』第5話:『裏切りの波紋 — インサイド・リーク —』
『ファントム・ブラボー:SBU第1小隊』
■ 『ファントム・ブラボー』部隊編成(SBU第1小隊)
基本は【6名1個班(エレメント)】で行動。作戦時は3名ずつの「アルファ班」「ブラボー班」に分かれて互いの背中を預け合います。
【前線戦闘要員:5名】
真壁 一等海尉(まかべ)/ 小隊長(チームリーダー)役割:前線指揮官(アルファ班リーダー)特徴:圧倒的なカリスマと戦闘技術を持つ。作戦の全責任を背負う。私生活では一女の父親だが、戦場のトラウマ(PTSD)を隠し持っている。
東 二等海曹(あずま)/ 副隊長 兼 狙撃手(スナイパー)役割:副指揮官(ブラボー班リーダー)/ 長距離狙撃・戦術予測特徴:真壁の長年の相棒であり、チームの精神的支柱。暴走しがちな真壁を冷静に止めるストッパー。
阿部 三等海曹(あべ)/ 電子戦・ポイントマン役割:先頭偵察(ポイントマン)/ ハッキング・爆発物処理(EOD)特徴:チーム最年少の天才肌。メカに強く、罠の解除などを。実戦経験が浅く、先輩たちに揉まれながら成長中。
西川 二等海曹(にしかわ)/ 重火器・ブリーチャー役割:機関銃運用/ 障害物・扉の爆破突破(ブリーチャー)特徴:チームイチのタフガイ。近接戦闘(CQC)の鬼。普段は陽気なムードメーカーだが、戦場では最も冷徹になる。
前田 三等海曹(まえだ)/ 衛生兵(メディック)役割:戦闘衛生兵/ 負傷者の応急処置・人質の健康管理特徴:どんなパニック状態でも手がブレない鉄のメンタルを持つ。アルファ班の後方支援として真壁・阿部を支える。
【前線指揮・管理:1名】
古賀 先任海曹(こが)/ 作戦先任(マスターチーフ)役割:現場の統括・装備管理・司令部との連絡調整特徴:チーム最年長のベテラン。全員の父親的存在。作戦時は潜水艦やヘリ内の前線指揮所に残り、現場の後方支援を行う。
【市ヶ谷・司令部バックアップ:1名】
一ノ瀬 三等海佐(いちのせ)/ 情報分析官(インテリジェンス)役割:防衛省情報本部からの専属派遣/ 情報分析・ドローン誘導特徴:市ヶ谷の作戦室からハッキングや衛星画像を駆使し、現場の6名にリアルタイムで「神の目」を提供するチームの頭脳。
第5話:『裏切りの波紋 — インサイド・リーク —』
1.

漆黒の強襲午前1時30分。大雨の京都府・舞鶴港。
第1小隊(ファースト・プラトーン)の5名は、海外から武器を密輸している武装組織のアジトである臨海倉庫へ向け、ゴムボートで音もなく接近していた。
「アルファ、ブラボー、配置についた。突入10秒前」
真壁隊長が無線で囁く。いつも通り、真壁の隣には最年少の阿部と衛生兵の前田(アルファ班)。少し離れたコンテナの影には、東と重火器担当の西川(ブラボー班)が潜んでいる。市ヶ谷の作戦室から見守る一ノ瀬三佐が、Go-Proの映像を確認して告げた。
『一ノ瀬から各員へ。赤外線センサーのデータでは、倉庫内の敵は3名のみ。サクッと終わらせて帰ってきてね』
「了解(コピー)。突入(イン、イン、イン)!」
西川がショットガンでドアの鍵を吹き飛ばし、5名が一斉に雪崩れ込んだ。
2.

完璧な罠だが、暗視ゴーグル(NVG)を下げた真壁の目に飛び込んできたのは、予想外の光景だった。
「……誰もいない?」
阿部が部屋中央のデスクを見て息を呑む。そこには、自分たち「ファントム・ブラボー」の顔写真と、今回の侵入ルートが書かれた作戦計画書が置かれていた。
「罠だ! 退避——!」
真壁が叫んだ瞬間、倉庫のキャットウォークから、一斉に自動小銃のフラッシュが激しく明滅した。3名どころではない。30名以上の完全武装したプロの兵士たちが、彼らを完全に待ち伏せていた。
「クソがっ! 話が違うぞ一ノ瀬!」
西川が機関銃を狂ったように連射し、敵の猛射を食い止める。だが、敵の放った銃弾が西川の肩をかすめた。
「西川、動くな!」
衛生兵の前田が、銃撃の嵐の中で素早く西川の体を物陰に引きずり込み、止血帯を締め上げる。前田の顔は怒りで引きつっていた。
3.

市ヶ谷の戦慄
『そんな……あり得ない! 作戦コードは完全に暗号化されていたはずよ!』
市ヶ谷の作戦室で、一ノ瀬は血の気が引くのを感じていた。彼女がハッキングされた形跡はない。つまり、防衛省の「内部の人間」が、意図的に作戦データを敵に流したのだ。
『真壁隊長、直ちに退避して! 敵はあなたたちの退路も塞ごうとしてる!』
「退路はない! 古賀、聞こえるか!?」
真壁が遮蔽物に身を隠しながら、前線指揮所の古賀先任海曹へ無線を飛ばした。潜水艦内で待機していた古賀は、状況を察知してすでに動いていた。港に待機させていた重装甲の輸送車に飛び乗り、アクセルを限界まで踏み込む。
「お迎えの時間だ、若造ども! 頭を下げてろ!」
古賀の操る装甲車が、倉庫の鉄扉を派手に突き破って突入してきた。敵の銃弾が車体にカンカンと弾ける。
「乗れ! 早くしろ!」
東と阿部が負傷した西川を担ぎ込み、真壁が殿(しんがり)を務めて車内に飛び乗った。装甲車は激しい銃撃を受けながら、夜の闇へと脱出した。
4.

敵は内にあり数時間後。横須賀基地の地下ブリーフィング室。命からがら帰還した隊員たちの顔に、いつもの達成感はなかった。西川は肩に包帯を巻き、悔しさから机を拳で叩いた。
「俺たちの情報が漏れてた。身内に裏切り者がいるってことだろ」
東が冷たい目で一ノ瀬のモニターを見つめる。
「一ノ瀬、お前を疑いたくはないが……この作戦を知っていたのは誰だ?」
一ノ瀬は青ざめた顔のまま、しかし強い意志を宿した目でカメラを見返した。
『このデータにアクセスできたのは、防衛省の防衛政策局の高官3名だけ。……私が必ず、内部に潜む裏切り者の尻尾を掴むわ。みんなの命を売った奴を、絶対に許さない』
真壁は静かに小銃のメンテナンスを始めながら、チームに告げた。
「これからは、誰も信じるな。信じられるのは、ここにいる仲間だけだ」
ファントム・ブラボーの敵は、海の向こうではなく、自分たちの背後にいた。見えない身内の敵との、最も危険な戦いが幕を開けた。
終

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