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『ファントム・ブラボー:SBU第1小隊』第4話:『氷下の不協和音 — ディープ・フリージング —』


『ファントム・ブラボー:SBU第1小隊』
第4話:『氷下の不協和音 — ディープ・フリージング —』


■ 『ファントム・ブラボー』
部隊編成(SBU第1小隊)
基本は【6名1個班(エレメント)】で行動。作戦時は3名ずつの「アルファ班」「ブラボー班」に分かれて互いの背中を預け合います。
【前線戦闘要員:5名】
真壁 一等海尉(まかべ)/ 小隊長(チームリーダー)役割:前線指揮官(アルファ班リーダー)特徴:圧倒的なカリスマと戦闘技術を持つ。作戦の全責任を背負う。私生活では一女の父親だが、戦場のトラウマ(PTSD)を隠し持っている。
東 二等海曹(あずま)/ 副隊長 兼 狙撃手(スナイパー)役割:副指揮官(ブラボー班リーダー)/ 長距離狙撃・戦術予測特徴:真壁の長年の相棒であり、チームの精神的支柱。暴走しがちな真壁を冷静に止めるストッパー。
阿部 三等海曹(あべ)/ 電子戦・ポイントマン役割:先頭偵察(ポイントマン)/ ハッキング・爆発物処理(EOD)特徴:チーム最年少の天才肌。メカに強く、罠の解除などを。実戦経験が浅く、先輩たちに揉まれながら成長中。
西川 二等海曹(にしかわ)/ 重火器・ブリーチャー役割:機関銃運用/ 障害物・扉の爆破突破(ブリーチャー)特徴:チームイチのタフガイ。近接戦闘(CQC)の鬼。普段は陽気なムードメーカーだが、戦場では最も冷徹になる。
前田 三等海曹(まえだ)/ 衛生兵(メディック)役割:戦闘衛生兵/ 負傷者の応急処置・人質の健康管理特徴:どんなパニック状態でも手がブレない鉄のメンタルを持つ。アルファ班の後方支援として真壁・阿部を支える。
【前線指揮・管理:1名】
古賀 先任海曹(こが)/ 作戦先任(マスターチーフ)役割:現場の統括・装備管理・司令部との連絡調整特徴:チーム最年長のベテラン。全員の父親的存在。作戦時は潜水艦やヘリ内の前線指揮所に残り、現場の後方支援を行う。
【市ヶ谷・司令部バックアップ:1名】
一ノ瀬 三等海佐(いちのせ)/ 情報分析官(インテリジェンス)役割:防衛省情報本部からの専属派遣/ 情報分析・ドローン誘導特徴:市ヶ谷の作戦室からハッキングや衛星画像を駆使し、現場の6名にリアルタイムで「神の目」を提供するチームの頭脳。


1.


衝突の火種「……作戦の目的は『対話』だ。発砲は厳禁とする」ブリーフィング室の大型モニターを背に、真壁隊長が冷徹に告げた。だがその言葉が終わる前に、狙撃手の東が乾いた声を上げる。

「対話、ですか。相手は北方領土周辺の領海で、我が国の漁船を拿捕(だほ)し続けている武装不審船だ。言葉が通じる相手じゃないことは、現場が一番知っているはずですが」

部屋の空気が凍りつく。前回の海外任務以来、PTSDの兆候を抱える真壁と、その精神状態を危惧する東の間には、目に見えない亀裂が生じていた。東の反論は、隊長への不信感の表れでもあった。

「東、これは政府の最高レベルでの決定だ」

情報分析官の一ノ瀬が割って入るが、東は視線を外さない。

「現場を殺すのは、いつだってその『最高レベルの決定』ですよ、一ノ瀬三佐」

若手の阿部がオロオロと二人の顔を見比べる中、真壁は静かに東を見据えた。

「東、命令に従えないなら、この作戦から外れろ」

「……了解しました、隊長」

東は皮肉な笑みを浮かべ、部屋を後にした。チームの二大巨頭の衝突。ファントム・ブラボーは、かつてない危機を迎えていた。

2.



極寒の海、狂う方位磁針午前3時45分。オホーツク海。流氷が漂うマイナス15度の極寒の海を、SBUの潜水艦が密かに進んでいた。今回の任務は、拿捕された日本人漁師が囚われているとみられる、偽装された洋上拠点のレーダー施設へ潜入し、証拠のデータを盗み出すこと。

「水温マイナス1.8度。これ以上浸かれば、ドライスーツを着ていても30分で低体温症になります」

阿部が震える声で計器を確認する。不協和音を抱えたまま、真壁、東、阿部の3人は水中から施設の下部へと潜入した。だが、不運は重なる。施設の強力な妨害電波により、市ヶ谷の一ノ瀬との通信が途絶。

さらに、急激な天候悪化で周囲の流氷が動き出し、退路となる潜水艦との合流地点が塞がれてしまった。

「通信不能! 隊長、どうしますか!?」

阿部が焦燥の声を上げる。視界ゼロの吹雪の中、施設内から武装した男たちの足音が近づいてきた。

3.


命を預ける背中「……阿部、データを抜け。東、俺と来い。敵を引きつける」真壁が小銃を構える。東は一瞬ためらったが、プロとして銃口を闇へ向けた。

「隊長、あんたのその『自分が盾になればいい』って引き際、気に入らないんですよ」

「黙って撃て、東!」

激しい銃撃戦が始まった。極寒の金属音が響き渡る。その時、真壁の背後から敵の影が肉薄した。真壁の視界が、寒さと疲労、そして脳裏にフラッシュバックする過去の硝煙で一瞬歪む。(しまっ——)パァン!鋭い破裂音が響き、真壁を狙っていた敵が倒れた。暗闇の奥、東の小銃から硝煙が上がっている。東はスコープから目を離さないまま、ボソリと呟いた。

「……言ったはずです。あんたを死なせねえって」

真壁は深く息を吐き、ブレる視界を無理やり固定した。

「感謝する。……阿部、まだか!」

「抜けました! 撤収します!」

4.


氷点下の絆決死の覚悟で極寒の海へ飛び込んだ3人は、間一髪で流氷の隙間をぬって浮上した潜水艦へと収容された。帰還中の艦内。毛布に包まり、熱いお茶をすする隊員たち。真壁は東の前に歩み寄り、静かに右手を差し出した。

「東。……すまなかった。俺の焦りが、チームを危険に晒した」

東はその手を見つめ、少し呆れたように笑ってその手を握り返した。

「隊長。あんたが一人で背負う必要はないんです。俺たちはそのためにいる」

その様子をモニターで見守っていた市ヶ谷の一ノ瀬は、ようやく深く椅子に背を預けた。

「……本当に、人騒がせな男たちね」

肉体も精神も限界の極限状態。しかし、傷つき、ぶつかり合うからこそ、彼らの絆はより深く、強固なものになっていく。ファントム・ブラボーの本当の戦いは、ここから始まる。

終





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