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暮らしの森|モコの部屋

この話は一話で読めますが、実はハヤトの冒険・遺跡編の、その後のお話です。

ハヤトの冒険
01|選んでしまった一歩
    ︙
14|遺跡から帰って
15|早く見せたい
16|モコの部屋← 今ここ

穏やかな昼下がり。
黄色い蝶がひらひらと舞っていた。

「わーい」

モコはぴょんぴょん跳ねながら追いかける。

蝶はふわりと向きを変え、その先へ。
モコもそのまま駆けていく。
すると、小道の向こうから誰かが歩いてきた。

「あっ!」

モコの耳がぴんと立つ。

「ハヤトーー!!」

モコは一目散に駆け寄る。

「ハヤト! 会いたかったモコ!」

「え?」

「見せたいモコ!」

「え、なにを? 」

モコはハヤトの手を引っ張る。

「家に来るモコ!」

「い、今? ちょっと待っ……」

ハヤトは久しぶりの外出だった。
先日親に怒られたこともあり、まだ少し元気がない。

たけど、モコはそんなことお構いなしに、
元気よく走り出す。

「はは……モコはいつも元気だなぁ」

ハヤトは苦笑いしながらそのあとを追った。

◆

森の奥にあるモコの家。
丸い窓から差し込む光が、
石畳の床をやさしく照らしている。

「モコの部屋ってさ、なんか森の続きみたい」

「ぜんぶモコが見つけたモコ」

モコは得意げに言う。

床には、何に使うのかわからないものまで転がっている。ハヤトはそれを見て、くすっと笑った。

その時、壁に掛けられたリュックが目についた。

「あれ? モコ、それって……」

「あー!そうだモコ!」

モコはぱっと顔を上げ、壁まで駆けていった。

「これずっと見せたかったモコ!」

「いいじゃん!」
「どうしたの、それ?」

「アツコに作ってもらったモコ!」

「へぇ。モコにすごく似合ってるよ」

「やったモコ〜!」

モコはその場で背負って見せた。

「ずっと見せたかったモコ」

「でもハヤト、いなかったモコ」

「いや、それは……」

言いながら少しうつむく。
見せたいものは、自分にもあった。

「あ……」

ハヤトは思い出したように顔を上げる。

「モコ、あのさ──」

「アツコはすごいモコ!」

そう言って、モコは嬉しそうにリュックを抱きしめる。ハヤトの言葉はまた飲み込まれてしまった。

それでも、モコを見ていると自然と笑みがこぼれる。

「いいなぁ……」

ハヤトはリュックを眺めながらつぶやく。

「僕も何か欲しいなぁ。
雨でも濡れない地図とか、リュックを開けなくても取り出せるライトとか」

モコの耳がぴくっと動いた。

「アツコに言ってみるモコ!」

「えっ? 」

「アツコは何でも作れるモコ!」

「……何でも、か。」

ハヤトは思わず笑った。

「ダメ元で相談してみようかな」

モコはもう一度、嬉しそうにリュックを背負うと、肩ひもをぎゅっと握る。

「ハヤトとおそろいだモコ」

「これで探検に行けるモコ!」

「探検……」

その一言で、この間見つけた木箱が頭をよぎった。

──「今度、返してきなさい。」
親の言葉がふとよみがえる。

ハヤトはポケットにそっと手を当てた。

「ねぇ、モコ。あのさ……」


(続)


この日につながる物語

ハヤトに会えなかった日⬇︎

アツコが作ってくれた日⬇︎

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