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暮らしの森|遺跡から帰って|ハヤト

ハヤトがキキとの冒険を終えてから、数日が過ぎた。あの日のことを思い出すと、今でも胸がわくわくする。

キキと歩いた知らない道。
首飾りだと思っていたコンパス。
そして、森の奥で見つけた地下遺跡。

あの日見たものは、どれも宝物だった。

目を閉じると、あの日の景色が鮮明によみがえる。

🐾
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キキの後をついて行ったら石碑があった
風の強い日に首飾りを見つけた
首飾りが教えてくれた不思議なコンパス
コンパスに導かれてすごいところまで来た
地下には不思議な仕掛けがあった
入口はボロボロだったのに、奥へ行くほどすごい
一番びっくりしたのはこの部屋
右も左も、どこを見ても楽しかった
キキが気にしてた木箱

今思えば、本当に大冒険だった。
家に帰って来た時、家族にも話したかった。

でも、「またそんな危ない場所へ行って」と怒られそうな気がして、まだ誰にも話していない。

黒猫のキキも、あれから姿を見せなくなった。

最後まで木箱のそばを離れようとしなかったことが、今でも少し気になっている。

「もう。キキのために持って帰ってきたのに」

ハヤトはベッドの下へ手を伸ばし、布で大事に包んだ木箱を取り出した。

膝に乗せると、ズシっとした重みがある。

せめてモコにだけは見せたい。
あの日の続きも話したい。

蓋いっぱいに彫られた歯車のような模様を、
指でゆっくりなぞる。

「やっぱり開かないか……」

遺跡のいちばん奥で見つけた箱だ。
きっと、すごい物に違いない。

「早く……モコにも見せたいな」

きっと目を輝かせる。二人なら、この箱の秘密も見つけられるかもしれない。

そんなことを思いながら、毎日木箱を眺めるのが、ハヤトの楽しみになっていた。

◆

その夜。
ベッドに入ってもなかなか寝付けなかった。
気付けばまた、木箱のことを考えていた。

(ちょっとだけ見よう)

ベッドの下をのぞき込み、木箱を引き寄せる。

蓋を押したり、ひっくり返したりしてみる。

カタ。コト。
ガサガサ……。

「ハヤト!」

突然、部屋のドアが開いた。

「さっきから何をガサゴソやってるの?」

ハヤトはびくっと肩を震わせた。
慌てて後ろへ隠そうとするが、遅かった。

「……それ、何?」

お母さんの視線が木箱へ向く。

「あ……」

「また森で拾ってきたの?」

「拾ったんじゃなくて……」

言いかけたところで、お母さんは木箱を見つめたまま眉をひそめた。

「ハヤト」

少し低い声になる。

「知らない場所から、勝手に物を持ち帰っちゃダメでしょう」

「でも……」

「でも、じゃありません!誰かの大事な物かもしれないし、危ない物かもしれないでしょ」

ハヤトは木箱をぎゅっと抱きしめた。

「違うんだ。これ、ただの箱じゃないんだ」
「鍵も開かないし、遺跡で見つけて……」

「遺跡?」

お母さんは困ったように息をつく。

「またそんなこと言って。
そんなもの、この森のどこにあるの」

「嘘なんてついてないで、
ちゃんと元の場所へ返してきなさい」

その一言で、胸の奥がずしんと重くなった。

嘘なんかじゃない。
本当にあったのに。

中身すら見てないのに返したくない。

「待ってよ。まだモコにも見せてないし……」

ハヤトの言葉を遮るように、お母さんは首を横に振る。

「ダメなものはダメ。今度の休みの日に返して来なさい。分かった?」

ハヤトはしばらく黙ったまま木箱を見つめていた。

やがて、小さくうなずく。

「……うん。わかったよ……」

それからバタンとドアが閉まり、部屋はまた静かになった。

遠ざかる足音を聞きながら、ハヤトは木箱をそっと布で包み直す。

「ごめん」

あと少しだけ、この箱のことを調べたい。

ハヤトは木箱を段ボール箱の奥へしまい、ベッドの下へゆっくり押し込んだ。


(続く)


🐾 この森をもう少し歩く

「どうしてハヤトは木箱を持ち帰ったの?」
「キキとは何があったの?」

▶ ハヤトの冒険はこちら(全13話)


ハヤトに新しいナップサックを見せに行ったモコ。でも、その日は思いがけない一日になりました。

▶ モコががっかりした日の出来事


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