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悪事はすべおお芋通し –黒猫の閻魔垳– 第話 オラクル

    シャヌロットは、今日も執務宀で曞類ず栌闘しおいた。

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    だが、ずきおり手をぎゅっず握りしめ、歯ぎしりをしおしたう。

    ――ああ、腹が立぀

    䟍女長ナンシヌは、あの盎埌、たるで圓お぀けのようにキャロラむンぞ新たな䟍女を぀けた。しかも、よりによっお自らの腹心であるラむラを、その圹目に据えたのである。

    あの性根の腐った女は、たるで「この屋敷の真の女䞻人はキャロラむン様よ」ず蚀わんばかりだった。

    それもこれも、あずしばらくの蟛抱。

    キャロラむンの策略を暎き、ナンシヌもろずも屋敷から远い出しおやる

    ――そう自分に蚀い聞かせ、シャヌロットは再び目の前の曞類ぞ意識を戻した。

    しかし、しばらくするずたた怒りが蟌み䞊げおくる。

    怒っおは仕事に戻り、たた怒っおは曞類ぞ向かう。その繰り返しだった。

    そのずきだった。

    聞いたこずもないようなメリヌの雄叫びずずもに、扉を叩く激しいノック音が執務宀に響き枡った。

    「奥様 おくさむぅぅぁぁああ」

    メリヌはい぀も元気だが、決しお瀌儀知らずなわけではない。圌女もたた、幌少期から淑女ずしおの圚り方を叩き蟌たれお育った、れっきずした貎族什嬢なのだ。

    それなのに今は、おそらく䞡手で扉を叩き割らんばかりの勢いでノックしおいる。

    「入っお」

    その声ずほが同時に、メリヌは勢い䜙っお郚屋ぞ転がり蟌んできた。

    心配したシャヌロットが怅子から立ち䞊がるより早く、メリヌは玠早く䜓を起こし、敬愛する䞻人ぞぱっず花が咲いたような笑みを向けた。

    「奥様ぁ♡」

    「どっ、どうしたの」

    圌女のこんな顔を芋るのは、久しぶりだった。

    「奥様♡ このメリヌめが情報通なのは、ご存知ですよね」

    その愛くるしい振る舞いに、人々は぀い心を蚱しおしたうらしい。おかげで圌女のもずには、あちこちから自然ず情報が集たっおくるのだ。

    「そうね。い぀も助けられおるわ」

    この様子からするず、䜕か倧きな情報――それも、朗報を掎んだに違いない。

    キャロラむンの情倫か。それずも、悪党二人を屋敷から远い出せる決定的な材料か  

    期埅に、シャヌロットの頬も自然ず緩んだ。

    「このメリヌ・コリンズ。぀いに  あの方の情報を手に入れおしたいたした」

    メリヌは居おも立っおもいられない様子で、ぎょんぎょんず䜓を匟たせおいる。

    「あの方っお もしかしお、あの女の情倫の――」

    「奥様、違いたすぅ。もっずすんごい方です」

    「すんごい方   メリヌ、早く教えおちょうだい」

    興奮を抑えきれず、シャヌロットはメリヌの華奢な䞡肩をがしっず掎んだ。

    「あわわ  。メッ、メリヌめは、幞運を呌ぶ魔女様の居堎所を知っおしたったのです」

    幞運を呌ぶ魔女――。

    ああ  

    自分には瞁のない存圚だず思っおいた。

    その魔女に、こんなにもあっさり手が届くなんお。

    「すごいわ、メリヌ♡」

    「奥様ぁ♡」

    シャヌロットは、目の前の可愛い忠臣を力いっぱい抱きしめた。

    「奥様、こうしおはいられたせん。魔女様は、気たぐれに居堎所を移しおしたうこずがあるらしいのです。すぐに出発いたしたしょう」

    䞀刻を争う。

    シャヌロットは金貚の入ったポヌチだけを掎むず、メリヌずずもに銬車のもずぞ駆け出した。

    正面玄関の階段を駆け䞋り、倧扉を抜けたずころで、シャヌロットは芋たくない人物の姿を目にした。

    マヌゞが銬車の前に立ち、若い埡者ぞ䜕やら小声で指瀺を䞎えおいる。

    するず埡者は、「はぁ  」ず気の抜けた返事をしたあず、確認するように尋ねた。

    「では、倖出は取りやめずいうこずですね」

    シャヌロットずメリヌは、思わず顔を芋合わせた。

    話を終えたマヌゞは、二人ぞ無機質な芖線を向けお䞀瀌するず、そのたた屋敷の䞭ぞ戻っおいった。

    「  今ですわ」

    メリヌは小声で囁くず、すぐさた埡者のもずぞ駆け寄った。

    「この銬車、空いたんですか」

    「は、はい。キャロラむン様が倖出される予定だったんですが、どうやらご気分が優れないずかで  」

    「では、この銬車で、奥様ずわたしを噎氎公園の飲食店街たで連れおいっおください」

    「かっ、かしこたりたした」

    そう返事をした若い埡者のぜっちゃりずした頬が、わずかに赀く染たる。

    突然メリヌに声をかけられ、少なからず舞い䞊がっおいるようだった。

     

    「あばずれ平民女も、たたには圹に立ちたすねぇ」

    銬車に揺られながら、メリヌはにんたりず笑った。

    い぀も䜿っおいるものより小ぶりな銬車だが、今は莅沢を蚀っおいられない。

    「そうね。幞運を呌ぶ魔女に䌚えるくらいだから、運が向いおきたのかもしれないわ」

    久しぶりに明るい衚情を芋せる䞻人に、メリヌも嬉しそうに笑った。

    「噎氎公園から南ぞ入った飲食店街の奥に、䜏宅街があるのをご存知ですか 魔女様は今、その突き圓たりにある家にいらっしゃるそうなのです」

    噎氎公園は垝郜の䞭心にあり、埅ち合わせの定番ずしお、い぀も倚くの人で賑わっおいる。

    「あくたで、『今』は  ずいうこずね。ああ、ただいらっしゃるずいいのだけど」

    シャヌロットは目を閉じ、祈るように胞の前で指を組んだ。

    「  䌚えない人間は、堎所を知るこずすらできないのだず思いたす」

    い぀になく、メリヌは哲孊的だった。

    「リリアナから聞いた話だず、どこで䌚ったのかを、あずから思い出せなくなるらしいの。䞍思議よね」

    「はい。たさに魔法です。今のうちに、堎所をメモしおおきたしょうか」

    「そうね。い぀たた堎所を倉えるか分からないけれど  ひずたず、そうしおおいおちょうだい」

    メリヌは頷くず、ポケットからメモ垳ず䞇幎筆を取り出した。

    「噎氎公園から南ぞ入った飲食店街、その奥の䜏宅街にある突き圓たりの家  っず。これでよし」

    そう蚀っお、メリヌはメモ垳を䞁寧にポケットぞしたった。

     

    シャヌロットたちは噎氎公園で銬車を降りた。飲食店街の入り口付近で倧きな銬車が立ち埀生し、道を塞いでいたからだ。

    そこから飲食店街を抜け、その先の䜏宅街を急ぎ足で五分ほど進み、ようやく魔女がいるずされる家にたどり着いたころには、二人ずも少し息が䞊がっおいた。

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    「おそらく、ここ  ですよね」

    目の前にあるのは、手入れの行き届いた癜い二階建おの家だった。出窓には鉢怍えが䞊び、初倏の花々がやわらかな颚に揺れおいる。

    「ええ。  ずにかく、行っおみたしょう」

    シャヌロットは胞にそっず手を圓お、小さく息を吐いた。

    するず――

    ガチャ  

    目の前の扉が、ひずりでに開いた。

    「「ひっ」」

    二人は思わず小さく悲鳎を䞊げる。

    「お埅ちしおおりたした」

    穏やかな声ずずもに、扉の奥から䞀人の女性が姿を珟した。

    癜髪の、優しそうな老婊人だ。

    神秘的な雰囲気をたずっおはいるものの、怪しさは埮塵もない。シャンパンゎヌルドの䞊品なドレスを身にたずい、柔らかな埮笑みを浮かべおいる。その姿には、䞍思議なほど人を安心させる枩もりがあった。

    シャヌロットは、この女性がどの家門の倫人なのか、蚘憶をたどった。

    だが、思い圓たる名は䞀぀も浮かばない。

    ――たさに、リリアナの蚀っおいたずおりだ。

    メリヌが、おそるおそる口を開く。

    「あ、あの――」

    「シャヌロット様ず、メリヌ様ですね。お二人がいらっしゃるこずは、分かっおおりたしたよ」

    シャヌロットは䞀瞬、はっず目を芋開いた。

    だが、すぐに淑女らしい穏やかな衚情を取り戻す。

    貎族であれば、わたしたちの名前を知っおいおも䞍思議ではないわよね。

    キャロラむンに翻匄され続けたせいか、以前より少し疑り深くなっおいる自分に気づく。

    「さぁ、䞭ぞどうぞ。シャヌロット様のお奜きなチョコレヌトケヌキず、アヌルグレむをご甚意しおおりたすよ」

    ――え  

    今日、䜕床目だろう。

    二人は思わず顔を芋合わせた。

    この魔女は、いったいどこたで〝芋えお〟いるのだろう。

    「で、では  倱瀌いたしたす」

    二人は女性に続いお玄関を抜け、応接間ぞ足を螏み入れた。

    レヌスのカヌテン越しに、初倏のやわらかな陜光が差し蟌んでいる。

    宀内は癜を基調ずした、爜やかで居心地のよい空間だった。

    濃玺の゜ファがゆったりず配され、ロヌテヌブルの䞭倮にはチョコレヌトケヌキが眮かれおいる。

    サむドテヌブルには癜磁のティヌセットが䞊び、ティヌポットからはかすかに湯気が立ちのがっおいた。

    しかも、カップは最初から䞉客甚意されおいた。

    「さぁ、お掛けになっお」

    女性はそう蚀っお二人を促すず、芋惚れおしたうほど優雅な手぀きで、お茶を泚いだ。

    「どうぞ」

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    喉が枇いおいたこずもあり、シャヌロットは差し出された玅茶を、そっず口に含んだ。

    ――こんなに矎味しいアヌルグレむは、初めおかもしれない。

    思わず、そんな蚀葉が胞に浮かぶ。

    けれど、い぀も心を蟌めおお茶を淹れおくれるメリヌのこずを思うず、それを口にするのは憚られた。

    「ずおも  矎味しいですわ」

    最初は、裕犏な平民なのかもしれないず思っおいた。

    だが、どうやら違う。

    䞀切の隙を感じさせない振る舞いは、間違いなく䞊流階玚のものだった。それも、女䞻人ずしお長い幎月を重ねた者だけが醞し出せるような、静かな颚栌を備えおいる。

    そんなこずを考えながら、シャヌロットは勧められるたた、メリヌず䞊んでケヌキを口にした。

    チョコレヌトのやさしい甘さが口いっぱいに広がり、匵り぀めおいた心たでゆっくりずほどけおいく。

    「わたしは、決しお怪しい者ではないのよ。ただ  正䜓を明かすこずは、できないの」

    䟯爵倫人であるわたしに、こずさら敬語を䜿わないずころを芋るず、やはり盞応の身分にある人物なのだろう。

    けれど、その柔らかな埮笑みを前にしおいるず、正䜓を探ろうずいう気持ちも、い぀の間にか薄らいでいった。

    「わたし、どうしおも知りたいこずがありたしお――」

    「分かっおいるわ」

    女性は穏やかな埮笑みを浮かべたたた、静かに蚀った。

    「自分が、なぜ子を授かれないのか。それを知りたいのね」

    シャヌロットの目が、みるみるうちに最んでいった。

    「シャヌロット様。わたしは巷で『魔女』ず呌ばれおいるようだけれど、自分では、そうは思っおいないの」

    女性は穏やかな口調のたた、ゆっくりず蚀葉を続けた。

    「わたしは、倩からの蚀葉を䌝えおいるだけ。いわば――オラクル埡神蚗のようなものね」

    「オラクル  ですか」

    「ええ。シャヌロット様だけでなく、メリヌ様の分も、ちゃんずあるわ」

    ふいに自分の名を出され、メリヌは驚いたように目を䞞くした。

    「わたしが䌝えるオラクルは、決しお人の心を傷぀けるものではないわ。だから、どうか安心しお受け取っおほしいの」

    二人は顔を芋合わせ、自然ず穏やかな埮笑みを亀わした。

    矎味しいお茶ずケヌキのおかげだろうか。

    い぀しか緊匵はすっかりほどけ、どこか倢芋心地になっおいた。

    「シャヌロット様。あなたの苊難は、あずしばらくで終わりを迎えるわ」

    シャヌロットは息を呑み、女性の蚀葉に耳を傟けた。

    「愛する人ず手を取り合い、本圓の幞せの䞭を生きる未来が、あなたを埅っおいる」

    そう告げるず、女性はゆっくりず芖線をメリヌぞ移した。

    「メリヌ様。あなたは、本圓に玠晎らしい䟍女ね。もちろん、あなたにも玠敵な未来が埅っおいるわ」

    女性は慈しむように埮笑んだ。

    「運呜の人には  もう、出䌚っおいるのよ  」

     

    二人は、銬車に揺られながら眠っおいた。

    先に目を芚たしたのは、シャヌロットだった。

    「う  あ、あれっ  」

    ただ頭は半分眠っおいるらしく、がんやりず瞬きを繰り返す。

    向かいの垭では、メリヌが気持ちよさそうに眠っおいた。

    その姿をがんやりず眺め――ようやく〝魔女〟のこずを思い出す。

    「メリヌ  」

    「ううん  」

    小さく唞り、メリヌがゆっくりず目を開けた。

    「メリヌ、起きお。倧䞈倫 魔女様のこず、芚えおる」

    「た、魔女  」

    呟きながらも、ただ倢ず珟の境目をさたよっおいるようだった。

    「そうよ 魔女様のオラクルのこず、芚えおる」

    その蚀葉に、メリヌの衚情がはっず倉わる。

    「はい、芚えおおりたす。ですが  」

    きょろきょろず呚囲を芋枡し、䞍思議そうに眉をひそめた。

    「  あれ どうしお、わたしたちは銬車に  」

    シャヌロットも、たったく同じ違和感を抱いおいた。

    オラクルを授かった――そこたでは芚えおいる。

    だが、そのあずの蚘憶だけが、きれいさっぱり抜け萜ちおいるのだ。

    「リリアナの蚀っおいたずおりね。どこで魔女様に䌚ったのかも思い出せない。メリヌは、䜕か芚えおいる」

    「たったく、䜕も  。ですが  」

    そう答えながら、メリヌは䜕かを思い出したようにポケットを探り始めた。

    だが――

    「  あれ」

    次第にその動きが慌ただしくなっおいく。

    「ない  」

    ぀いにはポケットをひっくり返し、䞭身をすべお座垭ぞ広げおしたった。

    けれど、あのメモ垳だけがない。

    たるで最初から存圚しなかったかのように、どこにも芋圓たらなかった。

    ――いったい、どういうこずなの  

    そのずきだった。

    「屋敷に到着いたしたした」

    銬車の倖から、埡者の声が聞こえおきた。

    メリヌは匟かれたように顔を䞊げるず、扉を突き砎らんばかりの勢いで倖ぞ飛び出した。

    「あのっ  」

    若い埡者は驚いたように瞬きをするず、慌おお垜子を脱ぐ。

    「はい、䜕でしょうか」

    シャヌロットも、すぐにそのあずぞ続いた。

    「おかしなこずを聞くようだけれど  わたしたち、どこぞ行っおいたのかしら」

    自分でも劙な質問だずは分かっおいた。

    それでも、確かめずにはいられなかった。

    「えっ  」

    埡者は目を䞞くした。

    「噎氎公園  ですよね」

    「「  噎氎公園」」

    二人の声がぎたりず重なる。

    「は、はい。お二人を噎氎公園の飲食店街たでお連れするようおっしゃいたしたので  」

    「「  いったい誰が」」

    再び声が重なった。

    埡者は完党に面食らった様子で、二人を芋比べる。

    「だ、誰っお  メリヌ様ですけど  。暪には奥様もいらっしゃいたしたよね」

    埡者は戞惑いながら続ける。

    「ただ、飲食店街の入り口付近で倧きな銬車が立ち埀生しおおりたしお  。そこから先ぞは進めなかったため、お二人は噎氎公園で降りられたした」

    「銬車を降りおからは」

    シャヌロットは䞀歩身を乗り出した。

    「わたしたち、どこぞ行ったの」

    あきらかに様子のおかしい二人を前に、埡者の困惑は深たるばかりだった。

    無理もない。

    こんな奇劙な質問を立お続けに受けたのは、生たれお初めおなのだろう。

    「どこぞ向かわれたのかたでは存じたせんが  飲食店街の奥のほうぞ向かわれおいたず思いたす。お二人ずも、ずいぶんお急ぎのご様子でした」

    「  垰りは」

    今床はメリヌが口を開いた。

    「わたしたち、どうやっお銬車たで戻っおきたの」

    埡者はずうずう蚀葉を倱った。

    「どうやっお  ず申されたしおも  」

    しばし蚀葉を探したあず、恐る恐る答える。

    「お二人ずも、普通に歩いお戻っおこられたしたが  」

     

    シャヌロットの私宀ぞ戻っおからも、二人はああでもないこうでもないず話し続けおいた。

    䜕もかもが、たるで倢の䞭の出来事のようだった。

    だが、二人の蚘憶は现郚たで䞀臎しおいる。

    少なくずも、すべおがただの倢だったずは思えなかった。

    「メリヌは  自分がどうやっお魔女様の居堎所を知ったのかも、思い出せないのよね  」

    シャヌロットは、メリヌが淹れた玅茶を口に含んだ。

    「はい  。奥様に喜んでいただきたい、その䞀心で䞀目散に駆けおいったこずだけは芚えおいるのですが  」

    「はぁ  。本圓に、こんなこずがあるのね」

    「噂で聞いおいたずおりですね」

    それでも、䞍思議ず恐ろしさはなかった。

    あの空間はどこたでも枩かく、〝魔女〟ず呌ばれる女性の声も、聞いおいるだけで心がほどけおいくようだった。

    やがお話題は、女性から授かったオラクルぞず移っおいった。

    「奥様、よかったですね♡ 魔女様のお蚀葉が倖れたこずは、過去に䞀床もないのですから。きっず、ギルドが情倫の情報を手に入れおくれたすよぉ♡」

    メリヌは、すっかり䞊機嫌だ。

    〈愛する人ず手を取り合い、本圓の幞せの䞭を生きる未来が、あなたを埅っおいる〉

    その蚀葉は、シャヌロットにずっお宝物ずなった。

    「あら、メリヌだっお♡ 運呜の人はいったい誰なのかしらぁ」

    そう蚀われ、メリヌは考え蟌むように腕を組んだ。

    シャヌロットより䞀぀幎䞋で、い぀結婚しおもおかしくない幎頃だ。それなのに、婚玄者はおろか、男性の圱すらない。

    「もう出䌚っおいる、ず魔女様はおっしゃいたしたが  。たったく心圓たりがありたせん」

    困ったように銖をかしげるメリヌを芋ながら、シャヌロットもこれたでの蚘憶をたどっおみた。

    だが、やはり思い圓たる人物はいなかった。

    メリヌは情報通だが、男性の話題を口にするこずは、ほずんどない。

    「でも  魔女様は、玠敵な未来が埅っおいる、ず蚀っおいたわ」

    シャヌロットは、可愛い効分を包み蟌むように埮笑んだ。

    「きっず、玠晎らしい人ず結ばれるのよ」

    初倏の倕陜がやわらかく床を照らし、二人の未来を祝犏しおいるようだった。



     ↓ 次回、第話【悪女の矎談】

     ↓【挢方薬剀垫から、小説家ぞ】吉良奈郜ず申したす。

     ↓ この物語の第話です


     
     
    【完璧な結婚の先にあったのは「屈蟱」だった】 掟手なファンタゞヌ芁玠はありたせんが、華やかな貎族瀟䌚の裏偎で枊巻く愛憎ず陰謀を描いた、どこか懐かしい空気感のあるミステリヌ䜜品です。波乱の果おに、倧団円を目指しおおりたす。

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