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【小説】雪ず氷の王子・2【アスリヌト再生】

    䞭孊生・黒文字埋は、将来を期埅されたフィギュアスケヌタヌだった。
      はずなのに、今は小さな寒村で山村留孊䞭。
    埋のニット垜を奪ったのは、むケメン解説者の元オリンピック遞手だ。
    早く垜子を返せ。虎刈りがむき出しになるっおの。
    ラヌメンおごっおくれるっお、小春はりキりキしおるけど。
    なんか話があるから、俺だけ車に乗れっお。
    ――うわヌ。嫌な予感 。

    挫折した少幎スケヌタヌ・埋。
    小さな寒村でもう䞀床“光”を掎みにいく 



    昚日から短線小説を公開しおいたす。
    続きを読みにきおくださった方、ありがずうございたす
    前向きなアスリヌトの物語なので軜く読めるず思いたす。
    毎日曎新で党4話。
    あず3話お぀きあいください。

    前回のお話

    ***


     寒村の冬は、嚯楜が少ない。
     町で䞀軒の倧手コンビニがオヌプンした日には、町民の半数が詰めかけたずいう。
     みんな、䜕をしお遊んでいるんだ。ゲヌムか。スマホか。
    「ヒマすぎお死ぬ」
     
     黒文字くろもじ埋り぀は、机に䌏しお呻いた。
    「おたえ、野球郚に入ればよかったのに」

     匁圓を広げた山村匠たくみがのんびりず蚀った。圌の母が䜜っおくれたものだ。
     い぀もは絊食だが、今日は週に二回ある匁圓持参の日だった。
     食材の高隰で子どもたちの昌食が貧盞になる。それならばず保護者たちが話しあい、元々あったお匁圓の日を増やしたらしい。

     入っおいたハンバヌグは、冷凍食品ではない無骚な倧きさだった。
     ゜ヌスの代わりにケチャップがかけられ、レタスで仕切られポテトサラダが入る。あずは卵焌きずブロッコリヌ、隙間に祖母の挬物がある。
     埋も同じ匁圓を広げる。ハンバヌグを頬匵る。うたい。
     䞀玚䞋の小春も、同じものを持たされおいるはずだ。

    「あヌ、野球 いいけど、冬は」
    「スケヌト郚に鞍替えだぁ」
    「あっちでもこっちでも、スケヌトかよ」
     
     もう、飜き飜きだ。
     あえお、぀たらなさそうな顔を䜜っおいる。
     その裏で蠢うごめく埮熱があるのを、どこかで感知されたのか。

    「もうじき校庭にリンクを䜜るから。いっぺん滑っおみろよ。タダだし」
    「えっ」

     無料のリンクがあるのか。
     埋の顔が、反射的にそちらを向く。

    「父さんたちが集たっお、毎晩氎を撒いお凍らせるんだ」
    「手䜜り 機械じゃなくお」
    「そんな機械、誰も持っおないよ」

     埋は緎習に通っおいた屋内リンクを思い浮かべた。敎氷機なら、近くで芋た。
     あれは倧きい。そしお、絶察に高い。

     斜蚭の管理費だっお、氷が解けないように゚アコンをきかせるのだっお、党郚が金だ。
     それを、手䜜りだっお。
     山村匠は、埋の食い぀き方に笑った。

    「グラりンドに氎を撒いたら、自然ず平らになるだろ。凍るのが早すぎお凞凹ができるけど」
    「だっお倖だぞ。絶察寒いだろ」
    「たあな。動いおたら、そのうち枩たるよ」
    「り゜を぀け」

     山村匠は、にやりずした。

    「造成するずころ、芋にいくか。今晩は鈎朚の父さんたちが出番だっおさ」
    「 芋たい。行きたい」
    「奜きなんじゃん、スケヌト」
    「  、うっ、それは 」

    「いっぺん滑っおみろよ、零䞋二十床の屋倖リンク。氷が吞い぀いおくるよ、ブレヌドに」
    「 っ」
    「転ぶのは泚意な。氷に顔がくっ぀いたら取れなくなる」
    「えヌ 」
    「せっかくこんな小さい村にきたんだから。䜕もかも、よっく味わっお決めろ。ただ、若いんだから」
     
     匠は祖父の口調を真䌌お、幎寄りめいたこずを蚀った。
     圌の腕には、瞫合跡がある。ピッチャヌをやめたのだず静かに笑った。


     講挔䌚のチケットは気前よくバラたかれたずみえお、芋知った顔が町民文化センタヌの座垭に䞊ぶ。
     房の぀いた垂れ幕の重さもマむクスタンドも、孊校の䜓育通のように芋えた。
     幎に䞀床ほどは町民無料の映画が芳られお、小さなコンサヌトが開かれる。
     䞭孊校の吹奏楜郚の晎れ舞台ずなるのも、同じ堎所である。
     芁するに、むベントホヌルがひず぀しかないずいうこずだ。
     新参者の埋が芋回しお、知りあいしかいないのも道理である。

     スケヌトが盛んな北囜である。
     オリンピック遞手が生たれるのも珍しくない土地柄だ。
     垫事しおいた銖藀コヌチはそう蚀っお、叀い友人である山村家に埋を蚗した。
     だが、競技が違う。文化が違う。

     埋のスケヌトはフィギュアである。
     ゚ッゞで粟確に図圢を描く遊びから生たれた、貎族の冬のスポヌツである。
     クラシック音楜やバレ゚の基瀎を必芁ずし、優雅に舞い螊る。
      かのように芋せかけお、四分間の猛ダッシュずゞャンプの連続ず狂気じみたタヌンを匷いられる。しかも、滎るような笑顔党開で。

     星芳町ほしみちょうで盛んなのは、スピヌドスケヌトずアむスホッケヌである。
     氷䞊の戊闘鬌ずぶ぀かり盞撲。
     スケヌト靎を履く競技でも、そのぐらいの差がある。
     コヌチはなんで俺を、ここに 。
     埋は文句を蚀いたくなったが、口を匕き結んだ。

     詊合に出る前、升根たすね航わたるの教え子・神厎゚むゞずけんかをしたのは事実である。
     順䜍を争い、負けた方が頭を剃っおリンクを䞋りる。スケヌトなんか、やめおやる。
     そう啖呵を切ったのは埋だから、やむを埗ない。
     コヌチの髭剃りを勝手に借り、頭を䞞めた。

     その埌も、䌞びおくるたび山村家の矊甚バリカンを拝借しおいる。
     これは、ケゞメだ。
     リンクに䞊がらない。
     スケヌトの倢はあきらめた。
     鏡を芋るたび、そう自分に蚀い聞かせるための、虎刈りの刑だ。

     祖父母の遺産を湯氎のように消費しお、埋のスケヌトはうたくなっおいった。
     たた、䞊達するほど海倖での詊合が増え、母芪はパヌトを掛け持ちしお䜓を壊した。
     父芪は愛人を぀くり、出おいった。

     自分は、他人を䞍幞にしお育぀生きもののような気がしおきた。
     そう呟く埋の頭に、銖藀コヌチの手の重みが乗せられる。
    『おたえが滑るこずで、喜ぶ人間がここに䞀人いる』
     
     そうかなあ。
     埋にはわからない。

     才胜っおなんだ。
     氷に噚甚に絵を描けるこずか。
     螊れるこずか。
     それずも、たくさんのゞャンプを決めおみせるこずか。
     そのどれもを垞人以䞊の粟床で成し遂げ、初めお詊合に臚む暩利を埗る。
     リンクで過ごす、孀独な時間の果おに。
     ようやく腕だめしず来たもんだ。

     やっおられるか。
     ばかにするな。
     そうした心の声が、挏れたのだろう。
     隣でストレッチをしおいた、神厎゚むゞの目が凍り぀いた。

    『そんな動機なら、やめちたえ』
     
     売り蚀葉を買った埋は、満足な挔技ができなかった。目的を芋倱っおいた。
     銖藀コヌチの目が、静かに曇った。
     俺は、先生を泣かせた――。

     䌚う資栌がない。スケヌトを続ける理由もない。
     神厎゚むゞの鋭く問いかける目から、逃げおきたのだから。
     そしお、玹介だけはしおもらっお誰も知らない小さな町にいる。
     だから、升根たすね航わたるの顔を芋るはずはなかったのだ。

     埋はズルズルず姿勢を䜎くしお、客垭の間に隠れようずした。
     匠ず小春が䞡脇に手を入れ、埋を匕き起こす。

    「始たるよ、もう」
     
     急いで垭に着く人の起こした颚が、虎刈りの頭に觊れる。心がスカスカした。

     
    「やっぱり味噌ラヌメン」

     山村兄効は声をそろえお同じものを頌む。埋はがそりず蚀った。

    「 塩」
    「なんでヌ。味噌おいしいのに」
    「味噌が正矩」
     
     蚀い匵る二人に、埋はなびかない。どんなに仲がよくおも、そこは譲れない。
     店䞻が笑顔で応じ、十分埌には湯気を立おる䞌が眮かれた。
     子どもたちが倢䞭で䞌を抱える姿に、升根たすね航わたるは笑っお逃子を远加しおくれた。

     嫌味なむケメンは、玄束を違えるこずはなかった。
     カりンタヌに札を乗せ、同䌎する蚘者たちに山村兄効を車で送るように蚀い぀けた。

    「埋ちゃんを連れお行かないでください」

     䞍安そうにすがる小春に、ずびきりの笑顔をみせおいた。

    「かわいいお嬢さん、心配はいらないよ。少し圌ず話したら送り届けおあげよう」


    続き

    #山村留孊 #フィギュアスケヌト #再生 #雪囜 #友情ず痛み #光ず圱 #呜の物語 #オヌルカテゎリ郚門

     
     
    呌んでいる確かに君はいたんだず知り埗るこの身抱きしめ眠る 文䜓は短歌・散文詩・小説のあいだ。 根幹は存圚論。 衚出はSF幻想文孊児童文孊ノワヌル構造神話など。 https://kakuyomu.jp/users/yellow_snap_dragon

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