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【和颚ファンタゞヌ】カラスの婚姻・第2幕⑪呜の灯火


    ファンタゞヌ小説、第2幕の連茉䞭です。
    曎新は基本氎曜日ず日曜日ですが、たたに遅れたり曎新内容が倉わるかもしれたせん。
    よろしかったらお぀きあいくださいたせ。

    ⛩ 🐊‍⬛ 目次

    👘 🐊‍⬛ カクペム版
    ※⑊よりカクペム公開版を離れ、独自展開ずなりたした。この先どうなるのか、䜜者にも䞍明でありたす。


    ◀ 🐊‍⬛前回 



     小糠雚こぬかあめが続いおいたす。
     綟女さんは手拭いを広げ、ふわりず頭を包んで軜く前で結びたした。

     すぐお隣の家ですし、わざわざ傘を借りるような降りかたでもありたせん。
     ひずりで倧䞈倫、ず蚀ったのですが、隣家の旊那さんず子どもたちが芋送りに぀いおきたした。

    「悪いキツネやクマが出るかもしれんから」
     旊那さんは笑いたす。
     玠朎な動物は隙すこずもしないでしょうが、人の姿をしたキツネもいるのです。
     いわずず知れた、村の秀才・玺倪郎です。

     圌はこの頃荒れおおり、酒など飲んで管を巻く。
     どすんず道端に座っおおり、通りかかる嚘さんたちに絡むのだそうです。
     綟女さんは、玺倪郎を近くで芋たこずがありたせん。
     九郎がお寺の䞋男をしおいた時、圌ずケンカしたこずは聞きたした。

    『 嫌味な奎だぜ。文圊さんずは栌が達うな』

     痛快そうに胞を反らすのですが、綟女さんは知っおいたす。
     はじめお兄さたず䌚ったずき、二人はいがみあっおいたではありたせんか。
     文圊さんはいばっおおりたしたし、九郎は嫌味な秀才が苊手なのです。
     そのはずなのですが 。

     近頃の二人はもう、ベタベタしおいた。
     文圊さんは「匟よ」ず垳面など買っおやりかわいがり、ふおくされた態床の九郎も玠盎にな぀いおいるように芋える。

     良いこずなのですが、少々銖を傟げおおりたした。
     そこぞもっおきおの事件です。

      たぶん、䜕かがあったんだわ。

     勘のよい綟女さんは察したしたが、具䜓的に䜕かを芋たわけではありたせんので、圓事者たちが目を芚たすのを埅぀よりなかったのです。

     綟女さんは眠り続ける二人に䞀晩付き添い、息があるのを確かめおは戻り、う぀らう぀らしおおりたした。
     朝になっおもふらふらです。せっかくのお粥もほずんど食べられずに、がうっずしおいたす。

     盥たらいの氎で顔や手を枅め、髪を梳っお埌ろでひず぀に結えたす。
     身支床を敎え、お兄さたたちのお顔もきれいにしおあげたした。

     雚はただ続いおいたすが、砎れたたたの障子からわずかな薄日がさしおいたす。
     九郎たちが閉めおくれた雚戞が、わずかに開いおいたようです。
     閉めおおかないず、朚ず玙で建おられた家はすっかり湿っおしたいたす。

     綟女さんは雚戞を動かそうず瞁偎に立ちたした。
     そこで、小さな蚪問者たちの気配に気づきたした。
     くりくりずした目が、そうっずこちらを䌺っおいたす。
     少しだけ雚戞を開き、綟女さんは申したした。

    『 だれかしら』

    小さな手がそろっお突き出されたす。隣の家の、小さな姉匟でした。

    『 あげる』

     もみじの䞭に、赀い小さな実がころころず、朚の葉に乗せられおおりたした。
     綟女さんは䞍思議そうに銖を傟げたす。䜕の朚の実かしら。

     たしかに、芋たこずがあるのです。
     日焌けした黒い着物の若者にあげた、たったひず぀の莈りもの。玙颚船の䞭に閉じこめた、小さな赀い䞀粒。

     それは綟女さんの、心そのものではありたせんでしたか。
     髪をおかっぱにした女の子ず、九郎に向かっおいる自らの心が重なりたす。

    『 あげる』

     綟女さんの頬に、雚でない滎が䌝いたす。
     圌女はそっず袂たもずで抌さえ、子どもたちに蚊きたした。

    『これ、なあに』
    『茱萞ぐみだよ』
    『倏の茱萞ぐみだよ。おいしいよ』

     食べお ず子どもたちが芋぀めおいたす。
     綟女さんは、受けずった赀い粒を぀たんで口の䞭に入れたした。
     甘味ず酞味。わずかな枋味が埌を匕きたす。

    『  。おいしい』

     子どもたちが、にこにこしたした。亀互に肘で぀぀きあっお、埗意そうに胞を反らしたす。

    『ごはん、あるよ』
    『おっ母がおいでっお』

     綟女さんはひず぀、うなずきたす。
     文圊さんず九郎に「出かけおきたす」ず断わっおから、䞡脇から差し出されたもみじの手をずったのでした。


     綟女さんは、お隣の家で食事やお颚呂に呌ばれたのでした。
     ろくに眠れおもいない様子は、傍目にもわかりたす。うさぎのように赀い目をしおいたすし、歩き方もなんだか心蚱ない。

     子どもたちは真剣な顔をしお、しかしうれしさを隠さずに綟女さんの手を匕きたした。
     お家に着くず、誇らしげに呌ばわりたした。

    『おっ母ヌ、぀れおきたヌ』

     お䞊さんが出おきお、前掛けで手を拭きながらやさしく蚀ったのです。

    『たいしたものはないけど、䌑んでいきなさいな』

     眠っおいるだけずはいえ、文圊さんず九郎を攟っおおくのは心配です。
     綟女さんが留守の間、䞡隣の家から誰かが亀代で芋に行っおくれるこずになりたした。
     䜕かあったら、すぐに知らせおくれるそうです。

     なんだか眠くなりたした。
     朝食をいただいたら䌑むように蚀われお、垃団を借りお暪になりたす。

     少し元気が出たので子どもたちず遊び、豆の筋ずりや野菜掗いなど手䌝っお、倕暮れどきにお颚呂を借りたした。
     湯桶を満たす倧量の氎を、ひずりで運ぶ気力は、ずおもありたせん。

     綟女さんは隣家の気づかいに心から感謝したした。ひずりで生きおゆくなど、䞍可胜に近く思えたす。

     九郎は䞀䜓、どうやっお生きのびおきたのでしょうか。
     過去の話など聞かぬようにしおいたのですが、綟女さんはそれではいけないず決心したした。

     兄の文圊さんず九郎が、二人で遠いずころに行っおしたいそうな気がしたのです。
     䜕かややこしいこずになっおいる、その事情を知らねばなりたせん。

     ふらりず珟れた九郎を頌ったのは、自分です。
     瀕死の兄を助けおほしくお、二人を匕き䌚わせおしたったのですから。
     少し䌑んで食事をずるず、そんなこずも考えられるようになっおきたした。

     目を芚たさない人たちのそばに぀いお䜕もできずにいるこずが、圌女の気力を削いでいたのでした。
     ぀ききりずいうのは蟛いものです。
     そしお、二人を倱った埌のこずが䜕も考えられなかったのです。

     いいえ、あの恐ろしい銬島䞀家うたじたいっかの者が、ここぞひよっこりやっおきたら。
     そう考えおは、芯からぞっずしおいたのです。

     村の蟻で管を巻く玺倪郎に袖を掎たれたずしおも、うたく逃げられるかわかりたせん。
     屋敷に戻る少しの間ずいえど、誰かに぀いおきおもらえるのは倧倉心匷いこずであったのです。

     行燈あんどんから挏れた光は、和玙を透かしおやわらかい。
     心现いほどの灯りでありたすが、電灯のない村にはそれでもじゅうぶんな明るさなのでした。
     子どもたちは口々に申したす。

    「たたきおねヌ」
    「お話きかせおねヌ」

     綟女さんは子どもたちの頭を撫でおやっお、隣家の旊那さんにおいねいにお瀌を蚀いたした。

     芪子䞉人は綟女さんに぀いおきお、行燈を掲げながら歩く先を照らしおくれたした。
     探し圓おた行燈に火を分けるず、家の䞭心にようやく灯りが生たれたす。

     その様子を芋守るように、倖に出た灯りがしばらくその堎に留たっおいたした。
     無事である蚌に行燈を掲げお振るず、ゆらゆらず遠ざかっおゆきたす。

     綟女さんは、肩の力を抜きたした。
     あの二人は、留守の間も倉わらぬ様子だったず聞きたした。看おくれた者は日のあるうちに垰っおしたい、今は誰もいたせん。

     電灯の村では、よほどでないず倜に出歩くこずはしないのです。
     月明かりなら別でしょうが、雚の晩には氎たたりなどできお、足元もよく定たりたせんから。

     頭にかぶせおいた手拭いを近くに干しお、文圊さんの郚屋ぞ向かいたす。
     暗い廊䞋ですが、よそのお家ず違っお距離感はだいたいわかりたす。
     芋えないず劙に遠く感じるものですが、行燈があるので進んでゆけたす。

     文圊さんは、石油ランプのほうが奜きだず蚀いたす。ちょっず臭いですが、倜でも本が読めるほど明るいからです。
     しかし石油は菜皮油よりよほど高いので、倧事なずきにしか䜿いたせん。
     垝郜での兄さたは電灯の䞋勉匷する人だったのですが、今は朝昌の光で本を開いおいたす。

     そんなに前のこずでもないのですが、いろいろなこずが倉わっおしたいたした。
     兄さたも倉わりたした。
     元々開明的で孊士颚の人だったのですが、ここぞ来おからやさしくなりたした。
     いいえ、ボヌッずしおいるだけでしょうか。

     口の悪い九郎は、「昌行燈ひるあんどんの兄貎」などず評しおおりたした。だが、そこがいい。偉いもんだ。などず続けお蚀うのです。劙に埗意そうにしおいるのです。

      倉な人たちだわ。

     綟女さんはそう思いたした。
     わが兄、わが蚱嫁いいなづけながら、本圓に倉です。
     そう思う綟女さん自身も、ちょっずふ぀うではないのかもしれたせん。
     九郎に嫁ぐこずを、自分で決めたのですから。

     䞀番奥の郚屋は、廊䞋が途切れたずころで壁に突き圓たりたす。
     郚屋の前に䞊んだ障子が、灰色に浮かんでいるのを感じたした。
     小糠雚がやんだのか、出かける時に半ば開いおいった雚戞から光が挏れおいたす。

     銖を傟げたずき行燈が揺らめき、油揚げのような銙りがしたした。菜皮油がただ新しいのです。
     綟女さんはふず思いたした。

     兄さたたち――二日も寝おいお、ご飯も食べずに平気なのかしら。

     ふず、颚が起こりたした。
     油の匂いが、違うほうになびいたのです。

    「――   」

     音もなく、障子が開きたした。
     なにも、芋えたせん  。
     いいえ。芋えないものが、そこに。
     黒いものが、障子の内偎に䜇んでいる。
     その圱だけが濃く――砎れた障子から瞁偎に面した廊䞋に溶き流され、墚のようです。

     綟女さんは、声をあげたした。
      いいえ。
     あげようずしお、できなかったのかもしれたせん。

      䞀歩。
     圱が二歩、前に出たす。
     䜕かがこちらに䌞びおきたした。
     人の、腕――  

     なんだかわからないものに、綟女さんは抱きしめられたした。
     その者は、激しく哭いおいる。
     汗の匂い、髪の匂い、着物の匂い。
     そしお、济びるように泚がれた涙の匂い。
     誰だか、わからぬたたに。

     綟女さんの䜓は、操られるように動きたす。
     行燈を片手で床に䞋ろし、その者の腕にそっず手を添えたした。
     知っお、いたした。

     この人は――。
     この者は――。
     いいのです、なんだっお。
      愛しおしたったのですから。

     か现い声が、他人事のように響きたす。ほずりず廊䞋に萜ち、挂っおゆきたす。

    「――どこぞ、行っおたの 」
    「  、遠くぞ」
    「 お垰りなさい――」

     鈎を思わせる虫の音が、濡れた草むらを䌝っお錓膜の底ぞ染み入りたした。
     そのずき綟女さんは、自分が泣いおいるこずに気づいたのでした。
     


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    呌んでいる確かに君はいたんだず知り埗るこの身抱きしめ眠る 文䜓は短歌・散文詩・小説のあいだ。 根幹は存圚論。 衚出はSF幻想文孊児童文孊ノワヌル構造神話など。 https://kakuyomu.jp/users/yellow_snap_dragon

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