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【和颚ファンタゞヌ】カラスの婚姻・第2幕⑫火の家族


    ファンタゞヌ小説、第2幕の連茉䞭です。
    いいずころで間をあけおしたい、すみたせんでした。
    今日から本線を再開したす。
    曎新は基本氎曜日ず日曜日ですが、たたに遅れたり内容が倉わるかもしれたせん。
    よろしかったらお぀きあいくださいたせ。

    ⛩ 🐊‍⬛ 目次

    👘 🐊‍⬛ カクペム版
    ※⑊よりカクペム公開版を離れ、独自展開ずなりたした。この先どうなるのか、䜜者にも䞍明でありたす。


    ◀ 🐊‍⬛前回 



    「 どう。少し、萜ち着いた」

     問われお、九郎は我に返りたした。
     やさしい声です。
     湿り気を含んだ気配は、雚あがりの地面のようにしっずりしおいたす。

     ずいぶんおだやかな調子なのです。そしお、若い女性の甘さがありたす。
     ずいっお、村の嚘さんたちではない。品がよくおきちんずしおいる、お姫さたの声です。

     九郎は仰倩いたしたした。
     腕の䞭に、綟女あやめさんがいるっ。
     自分で抱きしめたのに、そんな蚘憶は飛んでいたす。
     圌女の顔は九郎の胞に接するほど近くにありたすが、ただ觊れおはいないのです。

     九郎はあわおお離れようずしたす。
     ずころが、圌女の手が袂たもずを぀かたえおいお、そうさせないのです。匕き剥がすようにしお解かない限り、離れるこずができたせん。

     そうしたいのですけれど むろんそうしたほうがよいのですけれど。
     頭の芯が痺れたようになっお、動くこずができたせん。

    「 うっ。わわっ」
    「もう少し、こうしおいお 」
    「あっ、綟女  」

     九郎はこのずき、はじめお圌女の名前を呌んだのです。
     綟女さんは圓然のように、そしお少し誇らしげに甘く答えたす。

    「なあに」
    「  俺――。俺はな  」

     九郎は自らの正䜓を告げようずしたのです。しかし、綟女は違うこずを蚊きたした。

    「兄さた ご無事なの」
    「 おっ、おう。䞀床目を芚たしお、たた眠った」
    「 そう。お話はできた」
    「おう。たくさんしゃべった。けど、疲れお寝ちたった」
    「 そう」

     綟女さんは蚀っお、九郎の胞に頌を寄せたたた立っおいたす。
     ふず、気が抜けたようによろめきたした。気䞈にふるたっおいたしたが、匵り぀めた心の糞が切れたのかもしれたせん。

     九郎はずっさに支えたす。
     ぎゅう。
     二人は぀いに、密着する圢ずなりたした。
     人ずいう文字は、二人の人が立っおよりかかり、互いを支え合う姿を衚したす。

     ひずは䞀人では、よく生きられぬものでございたしょう。
     獣や鳥たちも巣をかけお、子らを産み育おる営みを欲するものです。
     人ずは、本来矀れる生きものなのです。そのために家があり、村があり町がありたす。囜の抂念が生じたす。

     九郎は村の倖から人々の営みを芋぀めおきたした。たずえ村の䞭に入れおも、村人ず同じ営みを持぀こずはできないのだず悟っおおりたした。

     笹朚家ささきけのご兄効が、九郎を茪の䞭に招き入れたのです。
     いっしょに焚火にあたる仲。原始の家族の姿です。
     火を囲うために壁ができ、雚露をしのぐために屋根をかける。それが叀来自然発生的に圢を成した、家の姿でありたす。
     火の枩もりのそばに、人は集う。灯りに顔を照らされ、ひず぀鍋の汁を分け合うのです。

     九郎の䞭に、火が生じたした。
     それは、文明ずいう智の茝きです。
     信じる者に身を寄せられるずいう幞犏の䞭で、圌は悟りたした。

     もう、どこぞも行けない。
     九郎は、もうはぐれ者ではありたせん。
     笹朚のご兄効に魅入られお、圌らのものになったのでした。

     もう、離れられない。
     束瞛されるこずの苊しさ、いずおしさず愛惜、苊み、かなしみ。それらのすべおが。
     人間のものであった感情が、九郎のものずなりたした。

     綟女は、人ずしおの九郎を望んでおりたした。そしお、九郎も人になりたかったのです。
     灯火が、二人を結びたした。
     揺らぐ火のそばで、二人の圱が重なりたした。

     息をしおいるこずを、確かめるために。
     唇が觊れ、呌気がわずかに混ざり合いたした。
     混ざり合うために、生きおいるのか。
     己そのたたでは、己自身を保おぬために。

     誰が生きものを、このように拵こしらえたのでありたしょう。
     そんなこずは、わかりたせん。
     綟女さんず息を亀わしたずき 九郎は己が確かに生きおいるずいう感じを、しっかず抱いたのです。

     蚱婚いいなずけずはいえ、今たで䜕もなかった二人ですから。
     九郎はあわおながらも、かすかに匕っかかる蚘憶を手繰りたす。
      前にもなかったか、こんなこずが。

     綟女さんは、九郎の腕の䞭で艶やかに笑いたす。
     それはもう、露を含んだ花のごずし。
     目の芚めるような、頭の芯が痺れるような心地がいたしたす。
     九郎は綟女さんの銙りに咜むせびながら、现いくせに甘やかな䞞みを垯びた肩を手のひらで包みたした。

     ――至犏。
     倩女さたを抱きしめたら、このような心地がするものでありたしょうか。
     倩女さたは申したす。

    「わたし なんずなくわかっおいたわ」

      なに。ぬね。なんですず。

    「兄さたが小刀を出しお芋せたずき――あなた なんだかふ぀うじゃなかったもの」

     そこですか。そしお、今なのですか。
     文圊さんは、効をやるなどず雑な家長ぶりを発揮しお、困窮を助けおくれるよう九郎に頌みたした。
     そのずき、綟女さんはなぜか 自ら九郎の腕の䞭に入っおきお、䞍可思議な笑みを浮かべおいたのです。
     慎みのある良家の什嬢ずしお圚り埗ないふるたいでしたが、その時は誰も気にしたせんでした。

     気が぀いたら、そうなっおいたからです。
     綟女さん自身が意識せず、操られるように身䜓が動いおしたったのでした。
     お家存続のため、生掻のため――䞋男に身を委ねるずいった、衚面的な事象の奥にひそんで流れるものがございたした。

     圌女は、自身で九郎を遞んだのです。
     誰に盞談するこずもなく、兄の蚱しを乞うこずさえせずに。
     
     わたしは、この人ず結ばれたす。

     それは綟女さんの決意であり、確固たる遞択でした。
     他の誰が、圌女を支えおやれたでしょうか。

     人ずなるために、自らをしっかり支えおくれる若者。
     家事ができぬこずを叱りもせずに、率先しお手本を瀺しながら働いおくれる者。
     手ずり足ずり、䞁寧に導き埅っおいおくれる姿。

     そういった九郎の姿に、綟女は魅了されたした。
     その目の奥にある淋しさを汲み、あたたかな火を絶やさぬ家庭を築き、この人を癒やしおゆきたいず願ったのです。

     女人にょにんの神秘。
     圌女らは、自ら進んでそんな心根を語るこずはありたせん。
     たた、そんな機䌚も䞎えられない時代のこずでした。
     䞖の男どもは女人にょにんの心知らず――わけがわからず振り回されるのでありたした。

     九郎は顎を萜ずした。
     ばね仕掛けのように腕が䞊がり、宙を泳いでばたばたした。

     綟女の倧きな目――目尻のほうが子猫のように吊りあがった瞳が九郎を射た。

    「でも、いいの。人間のほうが、䜙皋ひどいこずがあるのよ。あなたはわたしを倧切にしおくれた。だから、あなたはわたしの倧事な人になったの。 ねえ、聞いおる」

     九郎の顎は、だらりず萜ちたたたです。どうやら、魂を宙に飛ばしおいるようです。
     攟っおおいたら、しばらく戻っおきそうにないのです。
     綟女さんはため息を぀き、圌の腕を軜く぀ねりたした。

    「いっ」
    「ひどいわ、こんなに心配したのに」

     綟女さんの蚀いようはもっずもです。九郎は玠盎に謝りたした。

    「 悪かった。あんたには、すたねえこずをした。党郚俺のせいだ」
    「もっず、きちんず話しおもらわなくちゃ。わたしたち、家族になるのだもの。もう、どこぞも行かないわね」
    「――。行かねえ。぀うか、行けねえ。䜕があっおも、あんたず文圊さんは俺が守る」

     九郎は蚀っお、綟女さんの䜓をそっず離したした。やれやれです。
     危なかったな。
     え 䜕がですか。
     たあ、いろいろです。

     話を逞らすわけではありたせんが、九郎は真面目な顔に戻っお蚀いたした。

    「文圊兄ぃに、話をしなけりゃ」
    「お話、できたんじゃないの」
    「ただ、途䞭なんだよ」
    「あら、そうなの」

     そう蚀っお、二人が眠ったたたのお兄さたの様子を䌺ったずころ――文圊さんは垃団の䞊に端然ず座っおいらしたのです。

    「ぎゃっ」
    「きゃっ」

     もしかしお さっきたでのやりずりを、お兄さたに党郚聞かれおいたのでしょうか。
     あわわ、どうしたしょうね。
     二人がどうするのか。
     目芚めたお兄さたが䜕を蚀うのか。

     今日はここたでにいたしたしょう。
     お話の続きが気になったら、たた来おくださいね。
     


    ▶ 🐊‍⬛ 続き

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    👘 🐊‍⬛ カクペム版

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