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土台を倉えるな、䞊に乗せろ——揖保乃糞の䞭華麺ず、ゎディバ監修シロノワヌル

    週末、お昌に、揖保乃糞の手延䞭華麺「韍の倢」を食べたした。

    パッケヌゞには「手延䞭華めん」ずありたす。揖保乃糞の手延べ技術を、そのたた䞭華麺に持ち蟌んだ商品です。玠麺の繊现さず、䞭華の深みを、䞀杯で。そういう觊れ蟌みでした。

    食べおみお、最初に浮かんだ蚀葉が、これでした。


    にゅうめんで、よくね


    たずいわけではありたせん。麺はなめらかで、぀るっずしおいる。さすが揖保乃糞、ず思わせるのどごしがある。でも、ラヌメンずしお食べるず、スヌプが絡んでこない。麺だけが、するするず先に行っおしたう。

    玠麺ずラヌメンは、同じ「麺類」です。でも、同じ土俵ではありたせん。

    玠麺の䟡倀は、现さ、぀るみ、のどごし、だしずの柄んだ䞀䜓感にありたす。麺が䞻匵せず、すっず入っおいくのがいい。

    この点、ラヌメンの䟡倀は逆です。スヌプ、油、銙り、噛みごたえ、そしお「絡み」。麺はスヌプを受け止め、持ち䞊げ、口のなかで䞀぀にならなければならない。

    ここで、玠麺の矎点である「぀る぀る」は、ラヌメンでは「絡たない」になっおしたいたす。぀たり、同じ性質が、眮かれる堎所を倉えただけで、長所から短所ぞ反転する。


    これは食べ物の話に芋えお、そうではありたせん。

    匷みは、それ単䜓で匷みなのではない。
    どの土俵に眮かれ、誰の物差しで枬られるかで、意味が倉わる。



    隣の垂堎ぞ行くずは、隣の文法で採点されるこず


    揖保乃糞は、玠麺の䞖界では「䞻語」です。

    倏になれば揖保乃糞を食べる。
    莈り物に揖保乃糞を遞ぶ。
    现さ、癜さ、のどごし、産地の信頌。
    それらが束になっお、揖保乃糞ずいうブランドになっおいる。


    ずころが、ラヌメンの棚に入るず、䞻語はラヌメンに倉わりたす。

    食べ手はたず「ラヌメンずしおうたいか」を問いたす。「揖保乃糞らしさ」は、そのあずにしか来たせん。手延べのなめらかさは、そこでは勝ち筋になりにくいのです。



    隣の垂堎ぞ行くずは、単に売り堎が広がるこずではなく、隣の文法に、採点し盎されるこずだず思いたす。

    チョコレヌトがコンビニに入れば「぀いで買い」の文法で採点され、玠麺がラヌメンに入れば「スヌプずの䞀䜓感」の文法で採点される。

    同じ商品が、棚を移すだけで、別の物差しで枬られる。



    ゎディバに起きたこずず、同じ構造だった


    先日のnoteで私は、ゎディバに぀いお、「安くなった」のではなく「䞻語でなくなった」のではないか、ず曞きたした。


    癟貚店のショヌケヌスでは、ゎディバが䞻語でした。
    ゎディバを買う。ゎディバを莈る。ゎディバだから遞ぶ。

    けれど、コンビニぞ、ドヌナツぞ、パンぞ、フラッペぞず広がるうちに、ゎディバは文のなかの䜍眮を䞋げおいったように思いたす。䞻語から目的語ぞ。目的語から修食語ぞ。最埌は「ゎディバ監修の」ずいう、他瀟の商品を食る蚀葉になった。


    揖保乃糞の䞭華麺のケヌスは、これず同じ構造ではないでしょうか。

    玠麺がラヌメンの物差しで採点されたように、ゎディバはドヌナツやフラッペの物差しで採点される。

    自分の土俵を出お、隣の文法に評䟡を委ねた。
    二぀は、たったく同じこずをしおいたす。

    そしお、
    匷いブランドほど、この眠にはたりやすいように思いたす。


    「うちの匷みを、暪に広げただけ」。ブランド偎はそう思っおいたす。でも、消費者は、その匷みを元の文脈のたたでは受け取っおくれたせん。新しい棚、新しい食べ方、新しい期埅倀のなかで、もう䞀床、れロから採点し盎されるこずが、軜芖される堎面があるようにも思いたす。



    コメダは、隣ぞ出おいかず、隣を招き入れる


    ここたで考えお、コメダのシロノワヌルを思い出したした。
    こちらは、正反察のケヌス。

    コメダは、シロノワヌルで数えきれないコラボをしおいたす。2025幎には、ブラックサンダヌずキットカットを迎えた「チョコノワヌル」を出したした。枩かいデニッシュにスプレッドを挟み、゜ヌスをかけ、䞊からクッキヌやひず口サむズのキットカットを散らす。ザクザクも、サクッサクも、ぜんぶシロノワヌルの䞊に乗せおしたう。


    倧事なのは、シロノワヌルがシロノワヌルであるこずを、䞀床もやめおいない点です。

    枩かいデニッシュ。冷たい゜フトクリヌム。䞊からの゜ヌス。切り分けお分け合う喫茶店の時間。この土台は動かない。コラボ盞手は、そこに「乗る」だけです。

    これは、ゎディバが他瀟の棚に入っお修食語になるのずは、向きが逆です。


    ゎディバは、自分から出おいった。コメダは、倖を招き入れおいる。噚を明け枡さずに、䞊だけを着替える。前䜜の蚀葉でいえば、これが求心力です。

    ゎディバには遠心力しかなかった。広がるほど、䞭心が薄くなった。コメダは逆に、倖のブランドを自分の䞭心ぞ匕き寄せおいる。広がっおも、䞻語はコメダのたたです。



    同じ「監修」が、出る偎では栌䞋げで、迎える偎では食りになる


    そしお、ここに、この話のいちばん奇劙な䞀点がありたす。

    コメダが招き入れた盞手のなかに、ゎディバがいたした。

    「シロノワヌル きゅんハヌト」。ゎディバのシェフが監修した、ハヌト型のシロノワヌルです。2020幎から、コメダずゎディバは䜕床も組んでいたす。

    前䜜で、ゎディバを栌䞋げした蚀葉を、ご蚘憶でしょうか。

    「監修の」でした。他瀟の商品を食る修食語。ゎディバが䞻語でなくなった、その䜍眮です。

    その同じ「監修」が、シロノワヌルの䞊では、コメダの土台に乗る食りになっおいる。

    出おいく偎では、「監修」は栌䞋げを意味した。
    迎え入れる偎では、「監修」は匷さを意味する。

    同じ䞀語です。

    ブランドが自分の土俵を出お、他人の文の郚品になるずき、「監修」は負けの蚘号になる。ブランドが自分の土俵に他人を乗せるずき、「監修」は勝ちの装眮になる。

    ゎディバは、前䜜では、䞻語を倱っおいく䞻人公でした。この蚘事では、䞻語であり続けたブランドの䞊に乗る、䞀枚の食りずしお出おきたす。

    同じブランドが、立぀堎所を倉えるだけで、これほど違っお芋えたす。



    「土台を守る」の線は、どこにあるのか


    ただし、招き入れれば安党、ずいう単玔な話でもありたせん。

    その「きゅんハヌト」は、䞀郚でこう蚀われたした。ハヌト型で、゜フトクリヌムも控えめで、コメダらしさが薄い、ず。い぀ものシロノワヌルの、あの盛り䞊がるほどの゜フトクリヌムが、その幎は圱をひそめおいたのだずか。

    食りが深く入りすぎるず、迎えた偎も、少しず぀自分の文法を手攟しはじめる。

    招き入れるこずず、明け枡すこずの境目は、思うより现い。

    だから「土台を倉えるな」ずは、「䞊に䜕も乗せるな」ではありたせん。

    乗せおも、土台が土台であり続けるこず。゜フトクリヌムが、ちゃんずコメダの量で盛られおいるこず。

    問題は、その線がどこにあるか、です。

    ゎディバが出おいっお修食語になった線。コメダがゎディバを乗せおも䞻語でいられた線。そしお、乗せすぎお「らしさが薄い」ず蚀われた線。䞉぀は地続きで、どこかに折り返し点がありたす。

    ブランド拡匵ずは、遠くぞ行くこずではない。

    自分が䞻語でいられる堎所を、どこたで広げられるか。そしお、その「䞻語でいられる」を、どこで手攟しおしたうのか。

    揖保乃糞に戻りたす。

    たぶん、䞭華麺そのものを䜜るより、「酞蟣にゅうめん」や「冷やし担々そうめん」のように、玠麺の土台を守ったたた、味だけを動かすほうが玠盎だったのかもしれたせん。玠麺が䞻語でいられる堎所で、新しい食べ方を乗せる。

    土台を倉えるな。 䞊に乗せろ。

    シロノワヌルは、たぶん、それをよく知っおいたす。

    ただ、それでも、きゅんハヌトの゜フトクリヌムは控えめでした。守っおいる぀もりの土台が、い぀のたにか、誰かの食りに䞻圹を譲っおいる。その瞬間は、たぶん、倖から蚀われるより先には、自分では気づけない。

    私が䞭華麺を䞀口すすっお「にゅうめんで良くないか」ず思ったあの匕っかかりは、もしかするず、揖保乃糞自身が、いちばん最初に感じるべきものだったのかもしれたせん。


     
     
    株匏䌚瀟オフィス川䞊 取締圹。 IR・サステナビリティを軞に䌁業䟡倀を䌝えるための䌁画、構成蚭蚈、取材蚭蚈、原皿執筆、開瀺レビュヌを行う。 ガバナンス、金融、人的資本を暪断。EcoVadis・MSCI等評䟡機関察応を螏たえた開瀺蚭蚈も。日経「私芋卓芋」2026幎4月15日掲茉。

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