メインコンテンツへスキップ
見出し画像

となりのトップランカー #27 | 優しい顔の裏側


    パパ活もひと段落。
    やはり私は、お店での接客サービスに
    精を出すことを決意しました。

    しかし、お客様の中にも
    本当にいろいろな方がいらっしゃいます。
    何をもって“良いお客様”と“悪いお客様”を
    判断するのか。
    今回は、それを考えるきっかけとなった
    お客様のお話です。


    “悪いお客様”と聞いて真っ先に浮かんでくるのは、

    ・あまりにも清潔感がない
    ・態度が横柄
    ・本番行為の強要

    と、こんなところだと思います。
    それでは、こんなお客様はどうでしょうか?

    画像

    ひどく優しいあなた


    初めてお会いしたのは、
    お仕事を始めて3ヶ月目のことでした。
    その間にも様々な方に出会いましたが、
    ある意味では一番驚かされたお客様かもしれません。

    カタヤマ様は、初めから90分コースで
    ご予約をいただきました。
    私は90分コースが一番好きです。
    お話しする時間も十分に取れて、
    慌てずに過ごせる時間だからです。

    ホテルの部屋のベルを鳴らし、
    扉が開いて顔を合わせる瞬間は
    やはり緊張するものですが、
    カタヤマ様はその緊張を
    一瞬で取り払ってくれました。

    「こんにちは」

    とても素敵な柔和な笑顔と、
    穏やかな声で私を包み込んでくれたのです。
    私も思わず表情が緩むのがわかりました。

    「さ、どうぞ」

    カタヤマ様はそう言って私の腰にそっと手を添え、
    部屋の中へエスコートしてくださいました。
    そんな扱いを受けたのは初めてだったので
    私は内心驚きつつ、
    「女性の扱いに慣れた方だな」と思いました。

    廊下を抜けて部屋に入るまでのわずかな道中で、
    本来ならもてなす側の私が、
    まるで大切にもてなされているような
    感覚になりながら、お部屋に入りました。

    インコールを済ませると、
    ペットボトルのお茶が二つ、
    テーブルの上に置かれていました。

    「それとこれ、よかったら」

    そう言って手渡されたのは、
    かわいい箱に入ったチョコレートでした。

    「コーヒーによく合って、おすすめなんだ。
    お家でゆっくりコーヒーでも飲む時に食べてね」

    私はその場で食べるようなスイーツなども、
    大体はお客様と一緒にいただきます。

    それはそれで嬉しいのですが、
    「好きなときに食べて」と言っていただけると
    やっぱりどこか安心しますし、
    そのお気遣いが嬉しいものです。
    チョコレートも大好きなので、有難く頂戴しました。

    ソファに並んで座って、しばらく語り合いました。
    カタヤマ様はご自分のことを
    よく話してくださいました。
    ずっと独身で一人暮らしをしていること、
    ご家族のこと、お仕事のこと。
    初対面の私にこんなに話してくれていいのかと、
    こちらが恐縮してしまうほどでした。

    「いつもはこんなに話さないんだけどな」

    カタヤマ様も、無意識に会話が進んでいることに
    気づき、はにかんで笑いました。

    ちょうどいいタイミングで
    話の区切りがついたので、
    シャワーに向かいました。
    カタヤマ様は身長こそ
    それほど高くはありませんが、
    柔道をされていたらしく、
    逞しい胸板をされています。

    「仕事が変わって座り仕事になったから、
    太ってしまったんだ」

    と、お腹を触りながら
    恥ずかしそうにされていましたが、
    私としては気になるほどではありませんでした。


    優しい触れ合い


    シャワーを済ませて私が部屋に戻ると
    すでに灯りは暗く整えられており、
    カタヤマ様はベッドから私を呼びました。

    「おいで」

    腕を差し伸べられて、私はバスタオルを横に置き、
    その腕の中に潜り込みました。
    そこから先は、言葉のない語らいが始まります。

    私が顔を見上げると、カタヤマ様が私を見下ろし、
    どちらからともなく唇を寄せ、やがて触れ合う。
    柔らかな感触が薄く触れ合い、一度離れ、
    それが夢ではないことを確かめるように、
    もう一度唇を重ねます。

    今度はさっきより長く、
    お互いの唇の柔らかさや形を確かめるように
    ずらしながら、キスを楽しみます。
    そうするうちに段々と、もっともっと、
    と欲が出てきて、男と女の自然な欲が唇を開かせ、
    空いた隙間から舌を覗かせ、
    今度はその感触を確かめ合う。

    いつの間にか、
    夢中になって舌を絡ませていました。
    先端をチロチロとくすぐられるとこそばゆく、
    大胆に舌を吸われるとお腹の奥が
    じんじんと疼いてきます。
    歯の裏側をなぞられるのが恥ずかしくて
    身を捩ると、そんな私の反応を
    愛おしそうに笑って、ちゅ、と鼻にキスをひとつ。

    しっかり堪能したはずでも、
    まだどこか名残惜しいような視線を唇に残しつつ、
    カタヤマ様の唇が私の首筋に触れました。

    「あっ……」

    耳の辺りに触れられると、私の声が漏れ出します。
    もしかしたら、キスの段階で
    すでに漏れていたかもしれませんが、
    夢中になっていて意識していませんでした。

    手が背中や腰のラインをなぞりながら、
    次第に胸へと。
    大きくはない私の胸の、
    ピンと何かを主張するように立っている
    突起が恥ずかしく、私は手で顔を隠しました。

    まるであやすようにカタヤマ様の口が
    私の突起を包み込むと、もう我慢ができません。

    「んんんぅ…っ」

    隠して覆った手のひらから漏れる吐息が、
    その快感を歌うように響きます。
    舐められて、咥えられて、ときに弾かれて。
    胸を遊ばれているだけなのに、
    全身が翻弄されているかのよう。

    けれど、まだ更なる刺激が待っていることを
    頭の片隅ではわかっていて。

    それが恋しい気持ちと、
    求めてはいけない理性が戦って、
    私は脚をぎゅっと絞りました。

    力を込めた私の太ももを、
    カタヤマ様は優しく撫でてほぐしていきました。
    恥ずかしくないよ、と諭されているように。
    従順になった私の身体はゆるりと力を抜き始め、
    秘めていた部分が露わになります。

    それは触るまでもなく、私自身でもわかるほどに、
    溢れんばかりの蜜を蓄えていました。

    指を滑らせるとなめらかに通り過ぎ、
    その上の小さな突起まで潤わせます。
    敏感なそこに触れられて、
    私の体がびくんっと跳ねました。

    それもさることながら、
    愛液で火照る内部の方が
    カタヤマ様の興味を惹いたのでしょう。
    指が、ゆっくりと差し入れられました。

    「あぁぁぁ〜〜……っ!」

    待っていましたと言わんばかりの声が漏れ、
    私は身を捩りますが、
    もうどうしようもないのです。
    何の抵抗も与えずに指の根元まで咥え込み、
    さらに絡みつくようにお腹の奥がうねり出す。
    それを止める理性などもう残ってはいなくて、
    そこには裸の男と女しかいません。

    そう思えば、これから先のことも、
    自然なことだと片付けてしまえるのかもしれませんが――。


    ***

    多くの場合、お客様との間には
    様々な駆け引きがあります。
    本番行為はOKなのか、NGなのか。
    ゴムはつけるのか、そのままでダメなのか。
    最後はどこに出すのか。

    しかし、これほどまでに「駆け引きがない」ことは、
    私はこの時が初めてでした。

    いくら自衛のためにピルを飲んでいるとはいえ、
    頭にはやはりその恐怖がよぎります。
    普通ならそうだと思うのです。
    見ず知らずの女にその危険性を孕ませることを、
    こんなにも何とも思わないなんて。

    カタヤマ様はわざわざお店の前まで私を送ってくださり、
    来たときと変わらない微笑みで「またね」と言って別れました。

    『途中でやめてって言えなくて』
    『私はいいって言ってないし、聞かれてもいない』

    そう言えば、私は被害者になれたのかもしれません。
    けれど、お店に戻っても私は何も言いませんでした。
    駆け引きがないということは、
    “許される”ということが当たり前になるほど、
    これまでも“許されて”きたのでしょう。

    それを咎める資格は、私にはありません。

    カタヤマ様をNGにもしていません。
    そして、そんなお客様はカタヤマ様だけではないのです。

    何を守り、何のために微笑むのか。
    キャストはみんな、そんな引き返せない瀬戸際に立ちながら、
    今日も笑顔を作っているのだと思います。

    2026年6月14日
    KANA



    ▶夜の華の役割を綴った、次の記事はこちら


    ◁チップに対する思いを綴った、前の記事はこちら


    📖 オートフィクションエッセイ
    『となりのトップランカー』目次にもどる



    ↓以下は、有料の執筆後記です。
    表の本編では語れないリアルや、心のさらに内側を公開しています。
    表と裏、ふたつが合わさって初めてこの物語は完成します。

    ※月に4記事以上お読みになる方は、過去分も含めすべて読み放題となるメンバーシップ(月額1,000円〜)へのご加入がお得です。

    ※以下の記事には一部に性的な描写や、
    成人向けの表現を含みます。
    18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

    画像


    欲望を掻き立てたのは、ベッドが濡れるほど滴った愛液だったのか。
    それとも、指に絡みつく内壁の蠢きだったのか。

    あるいは、どれでもなかったのかもしれません。

     
     
     
    36歳未経験から、副業として2年半で総売上1,000万円を達成した元トップランカー👑 「最高のサービスタイムはキャストお客様、二人で創り上げるもの」 信念と成長、再生を綴るオートフィクション✍️ 【全100話連載 毎週水・日曜日21時更新】 (有料記事 累計230回超購入/感謝)

    あなたへのおすすめ