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となりのトップランカー #26 | チップはエール?


    ◯◯プレイじゃないと抜けない

    お店でのお仕事にも慣れてきた頃、
    こんなお客様に出会いました。

    私よりも若く、20代後半くらいでしょうか。
    金髪に派手な服装、
    高級そうな時計やアクセサリーを
    じゃらじゃらと身に着けたお兄さんでした。

    お部屋に入ると、テーブルの上には
    ブランド物のショッピングバッグがたくさん。
    何気なく視線を向けていると、
    「知り合いの女の子に配るんだ」と教えてくれました。

    60分の短いコースだったので、
    お話もそこそこにシャワーに向かいます。
    お互い身体をきれいに整えてベッドに向かうと、
    バスタオルを巻いた姿でこう言われました。


    「俺さ、凌辱プレイじゃないと抜けないんだ。
    追加で1万5千円払うから、そういう演技してくれる?」


    初めてのお申し出だったので驚いてしまいましたが、
    私は顔には出さないように留め、
    「わかりました」と答えました。
    するとお兄さんはすぐにお財布から
    約束のお金を取り出し、私に渡してくれました。

    私は凌辱プレイは見ていてあまり
    いい気持ちがしないので詳しくありませんが、
    自分のありったけの知識を呼び起こして
    懸命に演技しました。

    そして、きちんと放たれた後、
    別れ際にこう言われました。

    「俺はこういう特殊な性癖だから、
    普段は俺のことわかってくれてる女の子に
    相手してもらってて風俗にはあまり来ないんだ。
    でも、今日は来てよかったよ。ありがとう」

    そう言って、たくさんのショッピングバッグを
    抱えて去って行きました。

    はじめはどうなることかと思いましたが、
    きちんとご満足いただけたようで安心しました。
    追加でいただいた1万5千円は、
    有難く頂戴しました。


    嬉しいチップと、嬉しくないチップ

    このように、普段よりテクニックを要する際に
    いただくチップは、満足していただいた証として
    快く受け取ることができます。
    でも、これは稀なケースです。

    私はいただいた時間の中で、
    自分ができる限りのサービスをした上で
    チップをいただくことが、
    実はあまり嬉しくありませんでした。

    もちろん、お金をいただくことは単純に
    有難いことではあるのですが、
    所謂「通行料」として、
    私がお願いしたわけでもないのに
    チップを渡されることが、
    どうにも納得できずにいました。

    とはいえ、断って突き返したりはしないのだから、
    現金なものなのですが……。

    私は私なりにこのお仕事を
    円滑に進めるために精一杯のサービスをしていて、
    それが認められることはもちろん嬉しいです。
    けれど、私はそれが過剰なサービスだとは
    思っていなくて、また次も来ていただくために、
    お客様に精一杯悦んでいただきたいと
    思っているだけなのです。

    そんな想いで捧げた時間を、
    チップというお金で価値づけされてしまうと、
    途端に虚しさに襲われます。

    私は、お金が欲しくてしたわけじゃないのに。
    そんな思いが込み上げてくるのです。

    お客様としては、本当に楽しい時間の
    お礼の気持ちだったのかもしれません。
    それをお金という、
    誰にとっても価値のあるもので
    表現してくれただけかもしれない。

    でも、ほんの少し
    罪悪感があるのではないでしょうか。
    お客様からも、どこか後ろめたさを
    お金で隠しているような雰囲気が
    感じられることがあります。

    私はお金で失敗したからこそ、
    お金の大切さがよくわかっているつもりです。
    「そんな使い方をしてほしくない」
    そんな風に思います。

    そして、おざなりにいただいたお金は
    不思議とすぐに流れてしまいます。

    だから、いいのです。
    お店でお約束した通りの代金だけで。
    私は自分の値段に納得してお仕事をしているし、
    足りないと思うのなら
    そこまでのサービスをしなければいい。
    または、相応の努力をして
    値段を上げてもらうべきなのです。

    あなただから特別だということもない。
    チップをくれるから好きになるわけでもない。

    お金に魔力があるのはその通りです。
    だからこそ、使い方を誤ってはいけません。
    せっかく対等でいられた関係が、
    お金という魔物によって崩れてしまいます。

    最高のサービスタイムは、
    上下関係の中では生まれません。


    ただ、「今日は楽しかった」の一言でいい。
    それだけで特別な力があるのに。
    そして聞きたいのは、「また来たよ」だけ。

    あなたのその一言に勝る力なんて、
    お金にはないのです。
    どうか、自信を持ってください。


    2026年6月10日
    KANA



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    表と裏、ふたつが合わさって初めてこの物語は完成します。

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    お金という盾

    お客様とキャスト。
    お金を払う側と、受け取る側。

    一歩間違えれば、そこに生まれるのは
    「支配と被支配」の上下関係です。

    もし私がお金に執着し、
    少しでも多く貰おうと貪欲になれば、
    その瞬間にただの主従関係に成り下がってしまいます。

     
     
    36歳未経験から、副業として2年半で総売上1,000万円を達成した元トップランカー👑 「最高のサービスタイムはキャストお客様、二人で創り上げるもの」 信念と成長、再生を綴るオートフィクション✍️ 【全100話連載 毎週水・日曜日21時更新】 (有料記事 累計230回超購入/感謝)

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