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となりのトップランカー #46 | わたしのため、あなたのため


    2025年の半ば。
    この頃の私は、昼の保険営業をベースに、
    夜の時間はお店と、あるアルバイトを
    交互に入れるという、
    過酷なトリプルワークをこなしていました。

    以前の記事(#40)で、
    リスクとメンタルのバランスを保つために
    「時給制の一般的なアルバイト」をしていた
    と綴りました。
    実はそのアルバイトというのが、
    放課後学習支援の施設で子どもたちを見る
    お仕事でした。

    社会との繋がりを保つための、
    ごく一般的な時給制のアルバイト。
    私は子どもと接することも、
    勉強することも好きだったので、
    その場所でなら少し肩の力を抜いて息継ぎができる
    と思って選びました。

    しかし実際には、お店ではお客様と、
    放課後支援では子どもたちの心と深く接する中で、
    常に気を張り詰める日々となっていました。

    当時の私は、体力も気力も極限まで
    追い詰められていたのです。

    その限界の中で気づいた反省と後悔は、
    私がこの物語を通して伝えたい
    「自分を大切にすること」の原点でもあります。

    今回は、その時の出来事を綴りたいと思います。


    危ない橋の上で


    仕事というのは総じて、

    『誰かのために、自分の何かを差し出して、
    何かをしてあげること』

    その対価としてお金をいただくものだ
    と思っています。

    そういう意味では、
    夜の華としてのお仕事も、
    放課後支援のアルバイトも、
    本質的な部分はそう変わらないはずです。

    出勤日でない日の夜、
    私は学習支援施設に通う子どもたちと
    付きっきりで過ごしていました。
    家庭に事情を抱える子、
    学校に馴染めない子。
    小さな背中に様々なものを背負った彼ら・彼女らは、
    見ているこちらが胸を締め付けられるほどに
    儚い存在でした。

    一介のアルバイト支援員が関われる範囲など
    たかが知れていて、
    歯痒く思うことも多々ありました。
    けれど、子どもたちは不器用ながらも、
    置かれた状況に必死に向き合いながら、
    ちゃんと自分の足で前に進もうとしています。
    言葉を上手くまとめられない子が、
    一生懸命に自分の気持ちを伝えようと
    してくれる姿に、
    私は何度も心を打たれました。

    ある一人の女の子と、
    長い時間を一緒に過ごしました。
    その子はお母さんとの間に確執があり、
    家に居場所がなく、
    その施設が唯一の逃げ場所になっている子でした。
    ありがたいことに、
    私にはとても懐いてくれていました。

    ある日、その子が私に言ってくれました。

    「私の内面をちゃんと見てくれる大人に
    初めて会った。先生、大好き!
    私も将来は、
    先生みたいなカウンセラーになりたい!」

    子どもとはいえ、一人の人間です。
    子どもだからと誤魔化さず、
    一人の人間として真正面から接してきたことが、
    彼女にとって「初めて自分を見てくれた大人」
    として映ったようでした。

    私はカウンセラーでもなんでもないけれど、
    そんな風に彼女の人生の大切な1ページに
    私を書き込んでもらえたことが嬉しくて、
    一緒に抱き合って泣きました。

    そんな尊く、胸が温かくなるような時間を
    過ごしながら、ふと頭をよぎったことがあります。


    もし私が風俗嬢だと知ったら、
    彼女や保護者の方は、どんな顔をするだろう……。


    きっとその瞬間に、今まで築いてきた信頼も、
    もしかしたら彼女が抱いてくれた夢すらも、
    ガラガラと音を立てて崩れ去って
    しまうかもしれない。

    私はそんな、ひどく危うい橋の上に
    立っているのだと、改めて思い知らされました。

    崩れたプライド

    とはいえ、そのアルバイトだけでは
    借金を背負った私の生活は成り立ちません。

    現実は甘くはなく、待ってはくれないから、
    私は次の日の夜になれば『かなちゃん』として
    お金を稼ぐために働いていました。

    学習支援の仕事はとても楽しく、
    やりがいを感じるものでしたが、
    同時に子どもたちの心に深く寄り添うことは、
    私自身の体力と気力を限界まで削っていたようです。
    夜のベッドの上で、私は『かなちゃん』として
    決して納得のいくお仕事ができませんでした。

    ある一人の本指名様との時間。
    アフターコールが鳴ってもなかなか終わってくれず、
    こう言われてしまったのです。

    「どうしたらいい?
    かなさんの好きにしていいから、なんでも言って」

    時間を超過してしまっている中での、
    この言葉。
    私の好きにしていいと言うのなら
    「もう終わってほしい」の一択なのですが、
    まさかそう口にするわけにはいきません。

    そもそも、私がお客様を好きにできる場所では
    ないのですから。
    言葉の裏にある期待を読んでしまうからこそ、
    「どうしたらいい?」と委ねられることは
    本当に困るのです。

    疲労が溜まって心に余裕がなかった当時の私は、
    時間が過ぎても尚あきらめず
    私に判断をゆだねられたことにイライラしてしまい、
    お客様にも気を遣わせてしまいました。

    普段の私なら、
    うまく流して笑顔で対応できたはずです。
    自分のイライラを隠しきれなかったことへの
    猛烈な自己嫌悪が、後になって押し寄せました。

    悔しさの中の真実

    誰かを癒すお仕事をするからには、
    自分自身の体調管理やメンタルケアが
    何より大切です。

    吹けば飛ぶような夜の世界。
    何がきっかけで自分の居場所を失うか
    わかりません。
    もしあのお客様が、掲示板か何かに
    悪いように書き込んでしまったら、
    私は一貫の終わりです。

    そんな危ない世界でしか、
    当時の私には生きる術がなくて。
    そんな自分が子どもたちと接していることを、
    情けなく思いました。

    お金を稼ぐということは、
    とても大切なことです。
    しかし、そのために何を失ってもいい
    というわけではありません。

    私は、良い仕事をすることに
    生き甲斐を感じるタイプの人間です。
    しかしそれは、
    最重要事項にしてはいけないことでした。

    生きるためにお金を稼ぎ、
    お金を稼ぐために仕事をする。

    良い仕事とは、その上に成り立つものです。
    この順番は決して間違ってはいけない
    と感じました。

    お金を稼ぐための夜のお仕事で悔しいと感じたのは、
    私がこの仕事を大切に思っている証拠です。

    誰が受け入れてくれなくても、
    私だけは認めてあげようと思いました。

    私が、夜の街でトップランカーとして輝く
    『かな』であることを。


    2026年8月19日
    KANA



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    源氏名の自分を、本来の自分とは別人と
    定義することもまた、
    自分を守る方法のひとつです。

    素性を偽ることは身バレの防止にもなりますし、
    心無い言葉を真正面から受けていては
    身が持ちません。
    好きでしているわけではないのなら、
    そうやって切り離すことで
    自己嫌悪にも陥らずに済みます。

    けれど私は、その方法を選びませんでした。

     
     
     
    36歳未経験から、副業として2年半で総売上1,000万円を達成した元トップランカー👑 「最高のサービスタイムはキャストお客様、二人で創り上げるもの」 信念と成長、再生を綴るオートフィクション✍️ 【全100話連載 毎週水・日曜日21時更新】 (有料記事 累計230回超購入/感謝)

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