
となりのトップランカー #45 | 風俗嬢もセラピストと呼ばれたい
このエッセイを再始動する際、
なぜ私が「風俗嬢」という表現を避けて
「夜の華」と名乗るようにしたかというと、
やはり名前がもたらす影響は重要だから
と思ったからです。
私は自分を「風俗嬢」と呼ぶことに、
どこか抵抗があるのです。
名前が与える役割
例えば、女性用風俗やメンズエステで
働くキャストは、多くの場合
「セラピスト」と呼ばれています。
専門的な知識や技術を持ち、心身を癒す人。
その響きには、どこか柔らかく、
相手を包み込むような温かさがあります。
一方で、私のようなヘルスで働く人間は、
直球で「風俗嬢」や「ヘルス嬢」と呼ばれます。
そこに優劣をつけるつもりはありませんし、
どちらも需要のある立派な職業です。
しかし、私はこの「セラピスト」という言葉に、
少しだけ羨ましさを感じてしまうのです。
なぜなら、私自身が日々のホテルの一室で、
お客様に深い「癒し」を提供している
と自負しているからです。
風俗嬢が施す「癒し」
客層や私の年齢もあるかもしれませんが、
私のところへいらっしゃるお客様の多くは、
ただ単に性欲を満たしたいというよりも、
その奥にある「癒し」を求めて扉を叩かれます。
ただ触って、触れられて、イッてヌイて終わり。
もしそれだけで満足していただけるなら、
このお仕事はどれほど楽でしょうか。
しかし、現実はそうではありません。
現在は風俗嬢と呼ばれる女性が
全国に数十万人いると言われています。
その供給過多な世界の中で生き残るため、
私たちは日々工夫を凝らし、
お客様の心の微細な動きを読み取り、
選ばれる存在になるために悪戦苦闘しています。
極端な話、ただ本番行為を許せば
人気が出るというほど、
この世界もお客様の心も単純ではないのです。
今の世の中は、
誰もが重い鎧を着て闘うストレス社会です。
お客様の中には、
定期的に私たちに会いに来ることを
生きていく上で必要だと感じてくださっている方も
多くいらっしゃいます。
「俺はこういうお店がなかったら、
どうやって自分を保てばいいかわからない。
お姉さんたちには本当に感謝している」
そんな方々にとって、ここで使うお金と時間は、
社会で生き抜くための必要経費であり、
精神のバランスを保つための
大切な命綱なのでしょう。
この言葉を聞いたとき、私は自分の仕事が、
見えないところで社会の澱を受け止め、
表立っては言えない素直な心を救い上げているのだ
と深く実感しました。
だからこそ、私は「セラピスト」と呼ばれたい
と願うのかもしれません。
性という言葉の裏に
世の男性たちは、
「癒されたい」
「誰かに甘えたい」
という弱音を吐くことが苦手だと感じます。
本当は心底疲れ切って癒しを求めているのに、
それを「エッチなことがしたい」という
わかりやすい欲望の言葉で隠して、
強がってしまう方がとても多い。
性的欲求は男性の本能ですから、
弱音を吐くことよりも言いやすいのでしょう。
もし、私たちも「セラピスト」と呼ばれる
世界線があったなら。
お客様も少しだけ、
素直に「癒されたい」という本音を
口にしやすくなるのではないでしょうか。
恋人同士の営みも、
見知らぬ関係で肌を重ねることも、
人と人が触れ合う行為は、
決して単純な欲求の処理ではありません。
言葉の裏に隠された本当のSOSを受け止め、
心身を解きほぐすこと。
それこそが、究極のホスピタリティであり、
私が目指す「最高のサービスタイム」の形です。
2026年8月16日
KANA
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言葉が必要でないとき
誤解をされたくはないのですが、
私は弱音を吐いてほしいわけではありません。
もちろん、言葉にすることが発散になるのなら
いくらでもしていただいて構わないのですが、
無理にしていただく必要はありません。
私も弱音を吐くことが苦手ですから、
そのお気持ちはとてもよくわかるのです。
「嫌なことがあったらなんでも話を聞くよ」
「俺には気を遣わずなんでも話してくれていいよ」
私もよくお客様にそう言われるのですが、
はっきり言ってそれは、
聞きたい側のエゴだと思います。
弱音を吐くことが苦手な人間にとって、