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となりのトップランカー #17 | シュークリームはおいしいけれど


    今回はパパ活タナカ様との連絡が
    途絶えていた間の、
    特に印象に残ったお客様とのお話です。


    今回登場するヤマモト様のプロフィールはこちら↓

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    ヤマモト様はお店の常連さんで、
    スタッフさんとも気心が知れた仲でした。
    初めて私を指名してくださったときも、
    「いい子が入ったんで、ぜひ!」と、
    スタッフさんから強くお勧めされたのだそうです。

    こうした、「スタッフの太鼓判を推されて」という
    シチュエーションはよくありますが、
    その度に私は思います。

    (スタッフさんは、
    私の何を知っているんだろう……?)

    私の接客の内容など知るはずないのに、
    紹介される際のハードルは大抵、
    これ以上ないほどに上げられています。

    「No.1なんだってね」
    「すごくエロくて、感度がいいと聞いた」
    「優しいし、丁寧。話も上手。
    でもベッドではギャップがすごいって言ってたよ」

    恐らく想像とリップサービスなのでしょうが、
    私としてはどこかで見られているのか、
    あるいは後でお客様に感想を調査しているのかと、ヒヤヒヤしてしまいます。


    甘いお遊び

    ヤマモト様は私くらいの年代の女性が
    お好みなようで、私の体を触るたび、

    「う〜ん、30代いいねぇ。最高〜!」

    と、まるで粘土をこねるかのように、
    胸やお尻、お腹周りの柔らかいところを
    執拗に触っていました。

    肌質や弾力が20代の若い女の子とは
    また違っていて、
    「熟し始めた絶妙な質感」がいいのだそうです。

    女性側としては、いつまでもピンとした
    ハリのある肌を求めてしまいますが、
    この世界に入って初めて
    年齢に応じた価値があり、
    需要があることを知りました。

    「いいねぇ、最高〜!」

    これが、ヤマモト様の口癖でした。


    ヤマモト様とお会いしたのは、2回だけ。

    それでも、私はヤマモト様との
    2回目に起こったある出来事が忘れられません。

    ヤマモト様は初めましてのときから、
    事前にコンビニで飲み物とデザートを
    買って来てくれていました。

    ヤマモト様はお酒、私はお茶。
    デザートもいくつかある中から
    好きなものを選ばせてもらって、
    一緒にいただきます。

    2回目のその日は、
    前回伝えていた私の好きなスイーツと、
    ヤマモト様はシュークリームを買ってきていました。
    私はすぐにスイーツを食べてしまいましたが、
    ヤマモト様はお酒を飲むばかりで
    シュークリームには手を出しません。

    そのままシャワーを済ませ、
    裸になって、ベッドへ。

    唇を重ねながら、
    大きな手のひらで私の身体を探り、
    吐息の合間に
    「いいねぇ、いいねぇ。最高〜!」
    と呟く、ヤマモト様。

    私の全身を愛撫し堪能した後、
    ヤマモト様はおもむろにベッドから立ち上がり、
    先ほどのシュークリームを手に取って
    戻って来ました。

    (食べるのかな?)

    不思議に思った私が問いかける間もなく、
    バリッと袋を引き裂きました。
    そして半分に割ったシュークリームから
    溢れ出したクリームを、
    私の体に塗り付けたのです。

    まだ冷たいクリームの感触と、甘い匂い。
    それを追いかけるように、
    ヤマモト様の舌が私の肌を舐め回します。

    「いいねぇ〜、美味しい〜。最高〜!」

    冷たい感触に縮む肌を温めるような、舌の動き。
    気持ちいいような、くすぐったいような、
    あるいは非日常に追い立てられるような、
    不思議な感情が渦を巻きました。

    ひとしきり私の肌を掃除すると、
    ヤマモト様は残ったもう片方のシュークリームを
    見やりました。

    (どうするんだろう?)

    と、私が思っていると、

    「ほい!」

    威勢のいい掛け声とともに、
    ヤマモト様がシュークリームを
    ご自身の立ち上がった一物に突き刺しました。


    「わはは!見てみて!
    シュークリーム刺さってる!!」

    豪快に笑い飛ばすヤマモト様。
    つられて私も笑いましたが、
    あまりの出来事に心はついていきません。
    そして次の瞬間、私は完全に凍りつきました。

    ヤマモト様は自身に突き刺した
    シュークリームを外し、
    それをそのままぱくりと食べてしまったのです。

    「ん〜!美味しい!」

    この時、私は完全に《ドン引き》していましたが、
    顔に出さないよう必死でした。

    すぐに「舐めて」とクリームまみれになった
    それを差し出されたため、
    顔を隠せることに安堵したほどでした。

    クリームのついたそれを舐めることは、
    「体臭がするより甘くなっていいな」
    くらいにしか思いません。
    問題は、ヤマモト様ご自身が
    自分に突き刺したそれを躊躇いなく食べたことです。

    もし私が、自身に触れたシュークリームを
    自分で食べてと言われたら、
    いくらお仕事でも断固としてお断りします。

    一度自分の粘液の付いた指や
    それを舐めることにも、かなり抵抗があります。
    ある程度は場の雰囲気を壊さないために
    我慢しますが、生理的な境界線には逆らえません。

    しかし、ヤマモト様は躊躇わず食されました。
    自己肯定感の高さがなせる技でしょうか。
    それとも、衛生観念の違いでしょうか。
    私には、到底できるとは思えません。
    特にしたいとは思いませんが。


    そうして『シュークリームプレイ』を楽しんだ後、
    ヤマモト様はこう締め括りました。

    「こんなんで興奮するなんて、俺ら変態だね!」

    私は、乾いた笑顔でお返事しました。

    あくまでお仕事として、
    『お客様から与えられた時間を
    楽しく過ごしてもらうこと』
    をゴールとしていたつもりなのですが、
    シュークリームプレイすら受け入れてしまった
    おかげで変態仲間にされてしまいました。

    悲しいような、釈然としないけど反論もできない、
    なんとも言えない気持ちです。

    でも、そんな風に使われるとは
    思っていなかったはずのシュークリームの
    無念を思えば、
    私の悲しさなど取るに足らないかも知れません。

    次はどんな遊びを提案されるだろうと
    一抹の不安を感じていましたが、
    ヤマモト様とはそれきり
    お会いすることはありませんでした。

    少しだけ、ホッとしています。
    そしてシュークリームが苦手になることもなく、
    今も美味しくいただいています。


    2026年5月10日
    KANA



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    ヤマモト様のあの奔放な振る舞いには
    衝撃を受けましたが、
    同時にある種の清々しさを感じてしまいました。

    「ああ、こんなにも堂々と、
    自分をさらけ出していいのだ」

    と。
    そしてこの夜の世界は、
    それが許される場所なのだと。

     
     
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