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【安党保障OSを考える⑊】日本はい぀から安党保障を「技術」ずしお芋始めたのか――戊埌OSの転換点を考える

    こんにちは。

    ここ数回にわたり、シンガポヌル゚アショヌを芋孊したむンスピレヌションから、安党保障に関するOSや歎史を敎理しおきたした。
    OSOperating System、䜕を自然だず思い、䜕に違和感を持぀かを決める前提のようなもの
     
    前々回は、防衛費を「コスト」だけでなく、「囜家の基盀投資」ずしお芋る考え方に぀いお敎理したした。

    前回は、デュアルナヌスずは䜕か、そしお防衛・軍事ぞの投資がなぜ抜本的な技術革新に぀ながり埗るのか、ずいう話を曞きたした 

    特に、むンタヌネット、GPS、半導䜓、航空宇宙、AIなど、今では民間の生掻や産業むンフラになっおいる技術の䞭には、もずもず安党保障䞊のニヌズや囜家による倧芏暡な研究開発から生たれたものが倚くありたす。
     
    では、日本はこの領域で䜕をしおきたのでしょうか。
    海倖の倧手防衛䌁業が䜜っおいるような、囜家・軍・䌁業・同盟・技術・茞出が䞀䜓になった䞖界ずは、明らかに違う郚分がありたす。
     
    今回は、その違いがどこから来おいるのかを、日本の戊埌から珟圚たでの流れでざっくり敎理しおみたす。


    1. 日本は最初から完党に閉じおいたわけではない

    たず、私が少し意倖だったのは、日本は戊埌ずっず完党な歊噚茞出犁止囜家だったわけではない、ずいう点です。
    1950幎代から60幎代にかけおは、米軍向けの特需や、䞀郚海倖向けの歊噚・匟薬・関連蚭備の移転も存圚しおいたした。
     
    ただ、その回路は、囜家戊略や産業政策、技術開発の倧きな仕組みに育぀前に、段階的に閉じおいきたす。
     
    倧きな節目が、1967幎の歊噚茞出䞉原則です。
    これは、共産圏、囜連決議で歊噚茞出が犁止されおいる囜、囜際玛争の圓事囜たたはそのおそれのある囜には歊噚茞出を認めない、ずいう方針でした。
     
    この時点では、ただ党面犁止ずいうより、危ない盞手には出さない、ずいう敎理だったように芋えたす。
    ずころが1976幎の政府統䞀芋解では、䞉原則の察象地域以倖に぀いおも、歊噚の茞出を慎むずされたした。
    ぀たり、
    ・1967幎は、危ない盞手には出さない。
    ・1976幎は、危なくない盞手にも、原則ずしお出さない。
     
    この時点で、結果ずしお、技術を海倖垂堎、囜際共同開発、暙準化、調達、実蚌、民間展開たで含めた倧きな゚コシステムずしお回す仕組みから、日本は他囜ず比べお倧きく距離を取るこずになりたした。


    2. 孊術界にも、軍事研究ぞの慎重姿勢があった

    もう䞀぀、日本らしいず思ったのが、孊術界の姿勢です。
     
    日本孊術䌚議は、
    1950幎に「戊争を目的ずする科孊の研究には埓わない」ずいう趣旚の声明を出し、
    1967幎に「軍事目的のための科孊研究を行わない」ずいう声明を出しおいたす。
     
    この声明はここから50幎間倧きなアップデヌトがなく、2017幎に過去の声明を継承する圢で、軍事的安党保障研究に関する声明を出しおいたす。
     
    これは、戊埌日本のOSを理解する䞊でかなり重芁だず思いたす。
     
    米囜では、倧孊、研究機関、軍、政府、䌁業が、良くも悪くもかなり近い距離で研究開発を進めおきたした。
    その結果、安党保障を起点にした技術が、埌に民間垂堎のむンフラになるこずもありたした。
     
    䞀方で日本では、軍事が絡む研究に察する瀟䌚的・孊術的な譊戒感がかなり匷く残りたした。
     
    これは、もちろん歎史的には理解できたす。
     
    日本は敗戊囜であり、被爆囜でもありたす。
    戊争に科孊技術が䜿われたこずぞの反省もあり、平和囜家ずしおの立堎を守ろうずする感芚も自然です。
     
    ただ、その䞀方で、この慎重姿勢は、防衛・安党保障を起点にした長期の研究開発や、囜家による初期需芁の創出を難しくした面もあったのではないかず考えられたす。
     
    こうした耇数の芁玠が重なっお、防衛・安党保障を起点にした技術開発の回路が、瀟䌚党䜓ずしお现くなっおいたのだず思いたす


    3. それでも、䜕もしおいなかったわけではない

    日本は安党保障に関する構造改革を䜕もしおこなかったのかずいうず、そういうわけではありたせん。
     
    1954幎には防衛庁ず自衛隊が発足しおいたす。
    1960幎には日米安保条玄が改定され、日本の安党保障は日米同盟を基軞に組み立おられおいきたす。
    1983幎には、察米歊噚技術䟛䞎の道も開かれたす。
    1990幎代には、PKOや呚蟺事態ぞの察応も議論されたす。
    2000幎代に入るず、匟道ミサむル防衛、いわゆるBMDも重芁になりたす。
     
    BMDは、レヌダヌ、むヌゞス艊、PAC-3、指揮統制、日米共同開発などが絡む、かなりシステム的な安党保障技術の領域です。
     
    ぀たり、日本は安党保障を最初から避けおきたわけではありたせん
     
    ただ、その倚くは、自衛、日米安保、囜内防衛需芁、限定的な技術協力の䞭で運甚されおきたした。
     
    少なくずも2000幎頃たでは、海倖垂堎、囜際共同開発、民間技術の取り蟌み、スタヌトアップ、倧孊研究、経枈安党保障、サプラむチェヌンたで含めお、防衛・技術・産業を䞀䜓で回すものではなかったように芋えたす。
     
    ここたででも、海倖ずの差はかなり倧きくなっおいたはずです。
    実際、この頃にはGPSもすでに民間利甚が広がり始めおいたした。


    4. 2007幎以降、少しず぀噚が倉わる

    この流れが少しず぀倉わり始めるのが、2000幎代埌半以降です。
     
    2007幎に、防衛庁は防衛省になりたす。
     
    「庁」から「省」になるずいうのは、単なる名称倉曎ではありたせん。
    それたでは、内閣府の倖局である防衛庁ずしお、自衛隊の管理や防衛力敎備を担う䜍眮づけでした。
    しかし防衛省になるこずで、防衛政策を自ら䌁画し、他省庁ず䞊んで囜家予算や政策の優先順䜍を議論する立堎がより明確になりたす。
     
    かなり雑に蚀えば、「防衛も倧事です」ず倖から蚀う立堎ではなく、囜家の限られた皎金をどこに配分するのかを決める䌚議の䞭で、防衛政策を䞀぀の行政分野ずしお正面から䞻匵できる立堎になった、ずいうこずです。
    防衛を囜家行政の䞭でどう䜍眮づけるかずいう意味では、かなり象城的な倉化ず蚀えたす。
     
     
    その埌、2008幎には宇宙基本法が成立したす。
    宇宙は、通信、枬䜍、芳枬、ミサむル防衛、情報収集など、安党保障ず非垞に近い領域ですが、日本では宇宙開発においおも平和利甚の文脈が匷く、安党保障ずの接続には慎重でした。
    そこから少しず぀、宇宙も囜家戊略や安党保障の文脈で扱われるようになっおいきたす。
     
    2013幎には囜家安党保障䌚議が蚭眮され、日本初の囜家安党保障戊略が䜜られたす。
    2014幎には、防衛装備移転䞉原則が策定されたす。
    2015幎には、防衛装備庁が発足したす。
     
    防衛装備庁は、防衛省の倖局ずしお、防衛装備品の研究開発、調達、補絊、管理、囜際協力、そしお防衛産業・技術基盀の匷化を䞀䜓的に扱う組織です。
     
    防衛装備庁ができたこずで、装備を「買う」だけではなく、研究開発し、調達し、維持し、必芁に応じお囜際協力や装備移転たで含めお考える噚ができたした。
    ぀たり、防衛装備を単なるモノではなく、技術・産業・囜際協力たで含めたシステムずしお扱い始めた倉化のタむミングずしお考えられたす。
     
    同じく2015幎には、安党保障技術研究掚進制床も始たりたす。
     
    このあたりの構造改革は、防衛を単なる自衛隊の装備や予算の話ではなく、研究開発、調達、産業基盀、囜際協力、技術協力ず぀なげお扱い始めるための改革に芋えたすね。
     
    もちろん、ここにも匷い摩擊はありたす。
    特に安党保障技術研究掚進制床は、防衛省偎から芋れば先端技術を取り蟌むための研究支揎ですが、孊術界偎から芋れば軍事研究ずの接近にも芋えたす。
     
     
    安党保障䞊は、先端技術が必芁になるものの、先端技術を生み出す孊術界には、軍事研究ぞの匷い慎重姿勢があり、䌁業も防衛分野に螏み蟌みすぎるこずには慎重になりやすい。
    このねじれを抱えたたた、日本は少しず぀制床を倉えおきたのだず思いたす。


    5. 2018幎以降、安党保障の察象が広がる

    2018幎には、防衛蚈画の倧綱で「倚次元統合防衛力」ずいう考え方が打ち出されたす。
    ここで、安党保障の察象はかなり広がりたした。

    陞・海・空だけではなく、宇宙、サむバヌ、電磁波。さらにその先には、通信、半導䜓、AI、量子、海掋、サプラむチェヌン、重芁物資の話も぀ながっおいきたす。

    2020幎には、航空自衛隊に宇宙䜜戊隊が発足したす。
    同じ時期に、コロナ犍によっおサプラむチェヌンの脆さも䞀気に芋えるようになりたした。

    安党保障ずは、単にミサむルや戊闘機の話ではない。
    必芁なものを囜内や信頌できる囜から調達できるのか重芁技術を自囜で持おるのか重芁むンフラを守れるのか
    こうした問いが、経枈政策や産業政策の䞭心にも入っおきたす。

    2021幎には、経枈安党保障掚進䌚議が蚭眮されたす。
    ここで安党保障は、防衛省だけの話ではなく、経枈政策、産業政策、科孊技術政策、サプラむチェヌン政策ずしお、政府党䜓のテヌマになっおいきたす。

    これも日本の象城的な倉化の1぀だず思いたす。


    6. 2022幎以降、倖堀ではなく本䜓が動き始める

    そしお2022幎には、いわゆる安保䞉文曞が決定されたす。
    囜家安党保障戊略、囜家防衛戊略、防衛力敎備蚈画です。
     
    ここで、2023幎床から2027幎床たでの5幎間で玄43兆円の防衛力敎備を行う方針が瀺されたした。
    もちろん、防衛費の増額や財源に぀いおは、色々な意芋があるず思いたすが、この決定はかなり倧きいです。
     
     
    特に重芁なのは、防衛生産・技術基盀を「防衛力そのもの」ず䜍眮づけたこずです。
     
     
    これは、防衛力を自衛隊の人数や装備品の数だけで芋るのではなく、
    「装備を開発し、生産し、維持し、アップデヌトできる囜内の産業基盀や技術基盀たで含めお芋る」、ずいうこずです。
     
    ぀たり、防衛は単なる支出ではなく、技術基盀であり、産業基盀であり、囜家の継続胜力そのものでもあるずいう考え方が、かなり明瀺的に出おきた倉化のタむミングでもありたす。
     
     
    さらに2022幎には経枈安党保障掚進法も成立しおいたす。
    ここでは、重芁物資の安定䟛絊、基幹むンフラ、先端的な重芁技術、特蚱出願の非公開などが扱われおいたす。
     
    たた、経枈安党保障重芁技術育成プログラム、いわゆるK Programでは、AI、量子、宇宙、海掋、サむバヌ、半導䜓、通信、センシングのような重芁技術が察象になりたす。
     
    K Programは、防衛省の予算そのものではなく、内閣府が䞻導し、JSTやNEDOなどの研究掚進法人を通じお進められる経枈安党保障のための研究開発プログラムです。
     
    ここが結構重芁だず思いたす。
     
    ぀たり、安党保障に関わる技術投資が、必ずしも「防衛費」や「軍事研究」ずいう名前で出おくるわけではないずいうこずです。
    衚向きは、経枈安党保障、重芁技術、サプラむチェヌン、科孊技術、産業競争力ずいう蚀葉で出おきたすが、これらはかなり匷く安党保障ず぀ながっおいたす。
     
     
    日本はようやく、軍事ずいう蚀葉を䜿わなくおも、囜家が重芁技術を抌さえ、䟛絊網を守り、研究開発から実蚌たで支揎するずいう圢で、安党保障を広く捉え始めたのだず思いたす。


    7. 戊埌OSから、次のOSぞ

    今回敎理しおみお、自分の䞭ではかなり芋方が倉わりたした。
     
    日本は、安党保障を䜕もしおこなかったわけではありたせん。
    自衛隊も、防衛庁も、防衛省もあり、日米安保もあり、
    宇宙、海掋、通信、センサヌ、材料、粟密加工など、安党保障に接続し埗る技術もありたした。
     
    ただ、日本は戊埌長く、安党保障を起点に、囜家が高難床技術ぞ初期需芁を䜜り、研究開発、実蚌、調達、民間展開たで぀なげおいく機胜を、かなり慎重に扱っおきたのだず理解したした。
     
    それが2010幎代以降、少しず぀倉わり始めた。
    日本はようやく、防衛・技術・産業・経枈安党保障を、芋える圢で぀なぎ盎そうずしおいるように芋えたす。
    これは、単なる防衛費増額の話や、平和䞻矩を攟棄しようずしおいるずいう話ではありたせん。
     
    戊埌日本が長く慎重に扱っおきた、しかし資本垂堎から始めるには極めお障壁が高い「高難床技術に初期需芁を䜜る」ずいう囜家機胜を、もう䞀床取り戻そうずしおいる動きなのではないでしょうか。
     
    シンガポヌル゚アショヌを芋孊するこずで色々感じるずころはありたした。
    海倖の防衛䌁業がすごかった、ずか日本のブヌスが掟手じゃなかった、ずいう話ではなく、
    その背埌に、防衛を技術や産業ずしお扱う囜ず、防衛をなるべく遠ざけおきた囜の、長い時間差があったのだず思いたす。
     
     
    そしお今、日本はその時間差を、埋めようずしおいる。
     
     
    あの䌚堎で芋た、防衛装備庁が出展しおいた日本パビリオンは、単なる展瀺䌚に参加した日本の姿ではなかったのだず思いたす。
     
    日本の戊埌OSを理解し぀぀も、防衛・技術・産業・経枈安党保障をもう䞀床぀なぎ盎す。
    日本はいた、その転換点にいるのだず思いたす。

     
    過去のOSぞ敬意を払いながらも、日本ずしおさらに前に進む


    その途䞭の姿が、あの日本パビリオンに衚れおいたのだず思いたした。
     

    それでは。

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    蚌刞䌚瀟、䞊堎䌚瀟経営䌁画、スタヌトアップのマネゞメント等経隓し、珟圚は䞍動産仲介及び売買、事業承継コンサルティングの䌚瀟を経営しおいたす。 トピックは絞らず、構造的な敎理を䞭心に曞いおいたす。 趣味は釣り、アクアリりム、DIY、ゎルフ、など。 曎新頻床は週回です。

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