これだけWi-Fiが発展しているのに、なぜLANケーブルは無くならない?|ITの再入門 #6
「パソコンをインターネットにつなぐとき、
LANケーブルを使っていますか?」
こう聞かれたら、今では「Wi-Fiです」と
答える人も多いのではないでしょうか。
スマートフォンはもちろん、ノートパソコンも
カフェや会議室でWi-Fiにつなぐのが
当たり前になりました。MacBookのように、
有線LANの差込口自体がないノートパソコンも珍しくありません。
ここまで無線の技術が発展すると、
「LANケーブルって、もういらないんじゃない?」
と思ってしまうかもしれません。
ところが、会社などのたくさんのIT現場を見ると、
今でもLANケーブルは使われています。
パソコンだけではありません。
ネットワーク機器、プリンター、
サーバーなど、さまざまな機器がケーブルでつながっています。
さらに面白いのは、私たちが
「Wi-Fiでつながっている」と思っている場所でも、
その裏側ではLANケーブルや光ファイバーなどの
有線ネットワークが使われていることです。
では、なぜこれだけWi-Fiが発展しても、
LANケーブルはなくならないのでしょうか。
今回は、IT初心者の方にも分かるように、その理由を見ていきます。
そもそもLANケーブルって何?
LANケーブルをものすごく簡単に説明すると、
「ネットワーク機器同士を、
ケーブルでつなぐためのもの」
です。
例えば、会社のパソコンをネットワークにつなぐ場合、
パソコン
↓
LANケーブル
↓
ネットワーク機器
というように、物理的なケーブルを使って接続できます。
ここで一つ、初心者の方が勘違いしやすいことがあります。
LANケーブル=インターネットそのもの
ではありません。
LANは「Local Area Network」の略で、家庭や会社など、限られた範囲のネットワークを指します。
LANケーブルは、そのネットワークの中で機器同士をつなぐための通信手段の一つです。
つまり、
「ネットワークをつなぐための物理的な道」
くらいに考えると分かりやすいと思います。
Wi-Fiと何が違うの?
では、LANケーブルを使った有線LANとWi-Fiでは、
何が違うのでしょうか。
一番簡単に言えば、
有線LANはケーブルでつなぐ。
Wi-Fiは電波でつなぐ。
という違いです。
Wi-Fiなら、ノートパソコンを持って
会議室へ移動しても、そのままネットワークを利用できます。
ケーブルを抜き差しする必要がない。
これは大きなメリットです。
一方、有線LANではケーブルを使って機器をネットワークに接続します。
そのため、Wi-Fiのように電波を使うことに
よる影響を受けにくいという特徴があります。
Wi-Fiは電波を利用するため、周囲の電波環境や障害物、
接続している機器の数などによって、通信品質が変化することがあります。
一方、有線LANでは、物理的なケーブルで接続することで、
無線特有の電波干渉を避けやすく、安定した通信を確保しやすくなります。
もちろん、「有線なら必ず速い」「Wi-Fiなら遅い」
という単純な話ではありません。
現在のWi-Fiも非常に高速です。
大切なのは、
有線と無線には、それぞれ得意な場面がある
ということです。
実は、自宅のWi-Fiの先にも「有線」がある
ここからが、今回の記事で一番伝えたいところです。
私たちが「Wi-Fiでインターネットを使っている」と
思っている場合でも、その通信のすべてが無線とは限りません。
例えば、自宅でスマートフォンをWi-Fiにつないで、
このnoteを読んでいるとします。
イメージすると、
スマートフォン
↓ Wi-Fi
Wi-Fiルーター
↓
光回線など
↓
インターネット
という流れです。

スマートフォンからWi-Fiルーターまでは無線です。
しかし、その先では光ファイバーなどの有線回線を使ってインターネットにつながっている場合がほとんどです。
つまり、
「無線でインターネットを使っている」と思っていても、
その先ではケーブルが働いている。
ということです。
これは会社でも同じです。
会社のWi-Fiも、裏側では有線につながっている
会社でノートパソコンをWi-Fiにつないで仕事をしているとします。
私たちはパソコンを持って移動するだけなので、
「会社のネットワークも全部無線なのかな?」
と思うかもしれません。
しかし、一般的な企業ネットワークでは、Wi-Fiの電波を
提供する無線LANアクセスポイントが、LANケーブルで
ネットワーク機器につながっている構成があります。
無線LANアクセスポイントとは、簡単に言えば、
「Wi-Fiの電波を飛ばして、端末をネットワークにつなぐ機械」
です。
イメージすると、
ノートパソコン
↓ Wi-Fi
無線LANアクセスポイント
↓ LANケーブル
ネットワーク機器
↓
社内ネットワーク
という構成です。

もちろん、すべてのネットワークがこの構成というわけではありません。
ただ、会社の天井などに設置されているアクセスポイントを見てみると、その先にはLANケーブルがつながっていることがあります。
私たちが見ているのは「Wi-Fi」。
でも、そのWi-Fiをネットワークにつなぐために、壁の中や天井裏、床下などではLANケーブルが働いている。
手元は無線。
その先は有線。
こう考えると、LANケーブルがなくならない理由が少し見えてきます。
LANケーブルは「通信」だけでなく「電気」も運べる
さらに、LANケーブルには面白い役割があります。
それが、
PoE(Power over Ethernet)
です。
簡単に言えば、対応した機器やネットワーク環境では、LANケーブルを使ってデータ通信と電力供給を同時に行うことができます。
例えば、会社の天井に設置されている無線LANアクセスポイントを考えてみましょう。
アクセスポイントは電気がなければ動きません。
普通なら、ネットワーク用のケーブルとは別に、電源を用意する必要があります。
しかし、PoEに対応した構成なら、LANケーブルを使って通信と電力の両方を供給できます。
天井に設置する機器にとって、これは大きなメリットです。
無線LANアクセスポイントだけでなく、PoEはIPカメラやIP電話など、対応するさまざまな機器でも利用されています。
つまり、
「無線が発展したから、有線が不要になった」
という単純な関係ではありません。
むしろ、
無線を便利に使うために、その裏側で有線が活躍している
場面もあるのです。
だからLANケーブルはなくならない
ここまでを整理すると、LANケーブルが今でも使われ続けている理由が見えてきます。
Wi-Fiには、ケーブルがいらないという大きなメリットがあります。
スマートフォンやノートパソコンなど、
持ち運んで使う機器には非常に便利です。
一方、有線LANには、電波の影響を受けにくい
物理的な接続ができることや、固定して使う
機器との相性がよいことなどのメリットがあります。
さらにPoEを使えば、対応する機器には通信と
電力をLANケーブル一本で届けることもできます。
だから、
「Wi-FiかLANケーブルか」
ではありません。
実際には、
「Wi-Fiと有線LANを、それぞれ得意なところで使う」
という考え方になります。
「新しいから、古いものはいらない」とは限らない
ここは、仕事にも少し似ていると思います。
新しい技術が登場すると、
「もう古いものはいらないのでは?」
と考えたくなります。
でも、実際の仕事では、そう単純ではありません。
大切なのは、
新しいか、古いか。
ではなく、
その仕事や環境に合っているか。
ではないでしょうか。
Wi-Fiは便利です。
だからといって、すべてをWi-Fiにすればいいわけではありません。
反対に、LANケーブルが昔からあるからといって、
何でも有線にすればいいわけでもありません。
「何が新しいか」ではなく、
「何が適しているか」
を見る。
ITの仕事をしていると、こうした使い分けの
重要性を感じる場面があります。
見えているのはWi-Fi。でも、支えているのは有線かもしれない
普段、私たちが目にするのは「Wi-Fiにつながった」という結果です。
スマートフォンを開けばインターネットが使える。
ノートパソコンを開けば仕事ができる。
その裏側で、LANケーブルや光ファイバー、
ネットワーク機器などが動いています。
しかも、その多くは普段目にすることがありません。
壁の中。
天井裏。
床下。
サーバー室。
そうした場所にあるネットワークが、
私たちの「当たり前」を支えています。
LANケーブルは、決してWi-Fiに負けた古い技術ではありません。
Wi-Fiと有線LANは、競争相手というより、
それぞれの役割を持ってネットワークを支えている。
そう考えると、普段何気なく見ていた一本のLANケーブルも、
少し違って見えてくるかもしれません。
おわりに
これだけWi-Fiが発展しても、LANケーブルはなくなりません。
それは、有線LANが時代遅れだからではありません。
無線には無線の得意分野があり、有線には有線の得意分野があるからです。
そして何より、
私たちが無線で使っているように見えるネットワークの
裏側でも、有線のネットワークが活躍しています。
次にオフィスでWi-Fiを使ったとき、少しだけ周りを見てみてください。
天井にあるアクセスポイント。
その先につながるLANケーブル。
さらにその先にあるネットワーク機器。
普段は見えないところにも、ネットワークを支えている仕組みがあります。
「Wi-Fiだから、全部無線なんだ」
と思っていた人にとって、この記事がその裏側を
知るきっかけになれば嬉しいです。
そして仕事でも、
「新しいから正解」ではなく、「その場面に合っているから正解」
という視点を持っておきたい。
LANケーブルを見ながら、そんなことを考えます。
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高校野球での経験と、IT技術者としての経験を、誰かの仕事や人生を
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