サーバって何? パソコンとは違うの?|ITの再入門 #3「サーバに資料入れておいて」の意味説明できますか?
ITの再入門 第三弾の記事です。1と2を読んでいない方はぜひ以下の
リンクから読んでいただいて本記事を読んでいただければ幸いです。
「あの資料、サーバの共有フォルダに入れておいて」
職場で、日常茶飯事のように聞く言葉です。 言われた側も、
特に深く考えることなくエクスプローラーを開き、
「~ドライブ」や社内の共有フォルダにExcelやPDFを保存する。
多くの会社員にとって、ごく当たり前の光景だと思います。
では、少しだけ立ち止まってみます。
「サーバって、そもそも何ですか?」
「パソコンとは何が違うんですか?」
こう聞かれると、「大きなパソコン?」「会社のデータを保存しておく
機械?」「クラウドみたいなもの?」と、イメージは浮かんでも言葉で
説明するのは意外と難しいのではないでしょうか。
今回は、そんな「サーバ」の正体を、IT初心者向けにできるだけ
シンプルに解き明かします。
サーバは「特別な機械」ではない
まず、一番大切なことからお伝えします。 サーバとは、
「何かのサービスを提供する役割を担うコンピュータ」のことです。
ここが最大のポイントです。
「サーバ」という名前の特別な機械が最初から存在しているわけではありません。
誰かに何かのサービスを提供する「役割」に回っているコンピュータを、
私たちはサーバと呼んでいます。
レストランで料理を給仕する人を「サーバー(給仕人)」と呼び、注文して料理を受け取る人を「客(クライアント)」と呼ぶのと同じです。
「このファイルを見せて」「このデータを保存して」と注文を出すのが
クライアント(あなたのパソコン)であり、
その注文に応じるのがサーバです。
私たちが普段使っているパソコンも、サーバも、中に入っている部品は
基本的に同じです。 CPUがあり、メモリがあり、ストレージがあり、
OSが入っています。
では、何が決定的に違うのか。 簡単に言えば、「目的」が違います。
パソコン: 「自分が使う」ことを中心に作られている
サーバ: 「誰かに使ってもらう」ことを中心に動いている
手元のパソコンは、目の前に座っているあなた一人のためのものです。
一方のサーバは、ネットワークの向こう側にいる何十人、何百人という
社員からの要求を同時に受け止め、サービスを提供し続けるために
動いています。
高校野球で考えると、見えてくるもの
この関係を、高校野球に置き換えてみます。
球児一人ひとりは、自分のグローブやスパイク、ユニフォームを入れる
個人用の「エナメルバッグ」を持っています。
これは、あなたの手元にある「パソコン」です。
自分だけが使うものなら、自分のバッグに入れて持ち歩けば
問題ありません。
では、バットやボール、ヘルメットなど、チーム全員で使う道具は
どうでしょうか。 一人ひとりが自分のバッグに入れていたら
、練習のたびに「誰がボールを持っているんだ?」と大混乱になります。
そこで、グラウンドには必ず「用具室」があります。
部員が「バットを使いたい」「ボールを持って行きたい」
と用具室に取りに行き、使い終わったらまた戻す。
この関係こそが、サーバとパソコンの関係です。
自分のバッグ = 自分のパソコン(クライアント)
チームの用具室 = サーバ
そして、「ファイルを保存したい」「ファイルを取り出したい」という要求に応えているのが、サーバの中でも「ファイルサーバ」という役割です。
ここで注意したいのは、「サーバ = ファイルを保存する機械」
ではないということです。 用具室のようなファイルサーバのほかにも、
Webサイトを表示する「Webサーバ」、メールを相手に届ける
「メールサーバ」、大量のデータを管理する「データベースサーバ」
など、サーバには担うサービスごとに様々な種類があります。
「誰かに何かのサービスを提供する役割」を持っていれば、それはすべてサーバなのです。
なぜ会社のサーバは大きくて頑丈なのか?
ここで、「でも、会社のサーバ室にある機械は、パソコンとは比べものにならないくらい大きくてゴツいですよね?」と疑問に思うかもしれません。
確かに、企業で使われるサーバ機は、一般的なノートPCとは見た目も
中身の耐久性も大きく異なります。
その理由はシンプルで、「絶対に止まってはいけない環境で、
長時間動き続ける必要があるから」です。
個人のパソコンなら、仕事が終わればシャットダウンできますし、
万が一調子が悪くなっても困るのは自分一人です。
しかし、会社のサーバはそうはいきません。
業務時間中は全社員からのアクセスを休みなく処理し続けなければ
なりません。
そのため、
壊れにくい高耐久のパーツを使う
電源やファンを2重にして、片方が壊れても動き続けるようにする(冗長化)
膨大な要求をさばくために、大量のメモリや大容量ストレージを積む
といった設計がされています。 ただし、これも「止まらずにサービスを
提供し続ける」という目的を果たした結果であり、「大きいからサーバ」
なのではありません。 極論を言えば、あなたのノートパソコンであっても、他の人にファイルを提供する設定にすれば、その瞬間から立派な
サーバになります。
サーバが止まると、なぜ仕事まで止まるのか
ここからが、私の専門であるITシステム運用保守の現場につながってきます。
ある朝突然、社内から問い合わせが殺到することがあります。
「共有フォルダが開けません!」 「ファイルが保存できません!」
「いつもの社内システムにログインできません!」
慌てて自分のパソコンを確認しても、Excelは開くし、マウスも動くし、画面も正常に映っている。パソコン本体には何の問題もありません。 それなのに、仕事が一切進まない。
なぜか。原因がパソコンではなく、その先にある「サーバ」にあるからです。
高校野球で言えば、「部員の体は万全でグラウンドに立っているのに、用具室の扉の鍵が壊れて開かない」という状態です。 ボールもバットも取り出せない。これでは、どれだけ選手が元気でも練習を始めることができません。
パソコンが正常でも、サービスを提供する側のサーバが止まれば、そこに
依存している業務はすべてストップします。だからこそサーバは、
普段は何事もなく動いていて誰も意識しないのに、ひとたび止まった
瞬間にその存在の大きさを思い知らされるのです。
「何も起きない」を守る裏側の仕事
私が日々携わっているシステム運用保守の仕事では、こうした事態を防ぐ
ために、画面の向こう側のサーバを常に監視しています。
ユーザーから見れば、「昨日と同じようにファイルが開けた」という
当たり前の日常に過ぎません。 しかしその裏側では、
ディスクの空き容量が逼迫していないか
CPUやメモリに異常な負荷がかかっていないか
サービスが正常に稼働し続けているか
怪しいエラーログが吐き出されていないか
エラーランプが点灯していないか
といった項目を、異常が出る前に点検し続けています。
障害が起きてから慌てて復旧作業をするよりも、誰も気づかないうちに
異常の芽を摘み取り、「今日も何事も起きなかった日常」を守ること。
スコアボードに数字は残りませんが、この見えない安定を支えることに、
運用保守という仕事のプライドがあります。
会社の仕事も「サーバ」と似ている
このサーバの構造は、私たちの普段の仕事の進め方にもよく似ています。
例えば、チームの中で「あの業務の手順は、Aさんしか分からない」
「トラブルが起きたら、全部Bさんに聞く」という状態はないでしょうか。
これは、ある特定の人物が「サーバ」になり、業務や情報が
その人に集中しすぎている状態です。
もしその人が体調を崩して休んでしまったらどうなるか。
まさに「サーバダウン」と同じで、チーム全体の仕事がピタッと
止まってしまいます。
ITの世界では、ここが止まると全体が止まってしまうポイントを「単一障害点(SPOF)」と呼びます。 仕事を特定の人に依存させず、マニュアルを残して情報を共有し、誰でも対応できるようにしておくこと。これは、システムを安定稼働させるための冗長化の考え方と、まったく同じなのです。
ちなみに「クラウド」とは何なのか?
冒頭の疑問にあった「クラウドみたいなもの?」についても、
簡単に整理しておきます。
「クラウド」と「サーバ」は別物ではありません。 クラウドとは、
自社の中にサーバの機械を置く代わりに、インターネットを通じて遠くの
データセンターにあるサーバの機能を利用する仕組みのことです。
「クラウドだからサーバが存在しない」のではなく、見えない遠くの
場所で、ものすごい数のサーバがあなたの代わりに動いてくれています。
明日からの仕事の視点
明日、職場で「あの資料、サーバに入れておいて」と言われたら、エクスプローラーの向こう側を少しだけ思い出してみてください。
「自分のパソコンは、誰かに使ってもらうために動いている別の
コンピュータ(サーバ)と通信しているんだな」
「この用具室が当たり前に開くように、見えないところで誰かが点検
しているんだな」
サーバは、ただの無機質な箱ではありません。 「自分の手元」と
「みんなの仕事」をつなぐ、チームプレーの土台そのものなのです。
【次回予告】
パソコンの仕組みを知り(#1)、OSという土台を知り(#2)、サーバという役割を知りました。 (#3)では、あなたのパソコンは、どうやって遠くにあるサーバを見つけて通信しているのでしょうか?
次回は、「IPアドレスって何? パソコンにも住所があるの?|ITの再入門 #4」をお届けします。ぜひ以下のリンクからご覧ください。
▼ kaiの原点となる仕事論はこちら 『全力の残像|高校野球を全力でやった。その経験が、会社員人生で役に立っている。』
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高校野球での経験と、IT技術者としての経験を、誰かの仕事や人生を
少し前向きにする言葉に変えていきます。
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