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泪橋須賀川城攻防

     再び叀町たでたどり着くず、前日の䜙燌がただ燻っおいた。県の前には、須賀川城をぐるりず囲んだ土塀、そしお深緑色の䞍気味な堀がある。堀には無数の塵芥が浮かんでいた。その氎面には、昚日城壁の䞊からも確認した、竹を尖らせたものが芋える。それを遠目に芋お、昚日の光景が脳裏を過り、図曞亮はぞっずした。
     城䞋ず城䞭を぀なぐ倧手門のずころには、確かに、報告にあったように橋が架けられおいる。奥に芋える橋桁が癜朚であるずころを芋るず、ただ新しいようだ。須賀川方も、籠城に備えたものだろう。堀に沿うように巡らされた柵の前には掻楯が立おられ、その陰に人圱らしき姿が袖を連ねお䞊んでいるのが芋える。掻楯かきたおの隙間から芋える限りでは甲冑も纏っおおり、匓や槍、倪刀、薙刀なぎなたなどを手にしおいた。さらに倧手門の右手の方には物芋櫓が組たれおおり、柵の奥や櫓の䞊から、時折匓矢が飛んできた。ただし、県の前に芋えおいる人数の割に、鬚の声すら聞こえおこないのが、䞍気味である。
    「安房守様。どのように芋られたす」
     偵察がおら、倧手門に向かっお匓を射掛けさせおいた源五郎が、陣䞭ぞ戻っおきた。須賀川方の兵を目の前にしお、気が逞っおいる。
     安房守が、䞀぀肯き指揮杖を手にした。
    「城䞭の兵は尜きかけおおるのだろう。鬚ずきの声すら聞こえおこないのは、そのために違いない。この時を逃すな。掛かれ」
     源五郎らが率いる尖兵が、突撃を開始した。源五郎の率いる兵らは楯で匓矢を防ぎながら、橋を目指しお前進しおいく。須賀川方の兵はそれを恐れたか、匓矢を射掛けおきおいた兵らが門から退くのが芋えた。
     狭い橋の䞡偎には、六、䞃尺ほどもある蘆や萱が、䟵入者の芖界を遮るかの劂く垣根を成しおいた。源五郎らの郚隊が、橋の半ばを枡り終えた頃だろうか。
     突劂、須賀川方から数倚の火矢が飛来した。四、五〇本も䞀床に射掛けられたのだから、たたったものではない。火矢はたちたち橋の䞡脇に巡らされた蘆や萱に燃え移る。
    「あれは倩接児屋根呜あめのこやねのみこずから䞀子盞䌝ずしお継いできた千金莫傳せんきんばくでんの火矢ではないか。どうしお治郚殿の兵が秘法を我が物にしおいる」
     玀䌊守が、舌打ちした。圌の蚀葉からするず、二階堂家の秘術䞭の秘術なのだろう。さらに火矢は、なぜか自陣方の掻楯やそれに隠れおいる人圱を目掛けおも攟たれおいる。射手の手腕からするず、倖しおいるわけではなさそうだ。
     図曞亮の県の前で、掻楯の陰にいた人圱に火が燃え移った。するず、人圱は炎を纏いながら螊り狂い始めた。いや、人圱ではない。ただの藁人圢だった。その藁人圢が指しおいた色ずりどりの旗指し物にも、火が燃え移る。昚日ず同じ様に蟺りは煙が倩地に満ち、今日も颚が激しく唞っおいた。その颚に煜られお猛火は盛んに倩を嘗め、藁人圢が焌けお螊り回っおいる様子は、さながら䞍動明王像のようだ。
     やがお、炎を纏った藁人圢は颚に乗っお、その身を舞い螊らせながら橋の䞊にいる和田方の方ぞ飛来し始めた。
     このたたでは、箭郚䞀族は再び倧損害を蒙る――。
    「玀䌊守殿。銬を拝借する」
     ずうずう居おも立っおもいられず、図曞亮は偎にいた玀䌊守に䞀声残し、銬に跚った。
    「婿殿」
     止める玀䌊守を振り切り、図曞亮は橋を目指しお砂埃を撒き䞊げながら、銬を駆けさせた。背埌では、䞋野守が䜕か怒鳎っおいる気もするが、䞀刻の猶予もならない。
     既に、先觊れずしお倧手門に取り付こうずしおいた源五郎の兵らは、倧混乱に陥っおいた。
    「火から逃れるには、この門を砎るしかない。進め」
     橋の䞭皋で、目を血走らせた源五郎が怒鳎っおいるのが、目に入った。
    「源五郎殿、急ぎ兵を退かれよあの兵らしき者の倚くは、須賀川方の謀略だ」
     図曞亮の声に、源五郎がきっずこちらを睚んだ。
    「銬鹿な。これだけの人数を、どうやっお退かせるずいうのだ」
     䞊手く連携が取れおいないのだろうか。背埌から、新たな和田兵がこちらぞ回っおきおいる。旗印を芋るず、揎軍に駆け぀ける玄束を亀わしおいた、守屋筑埌守の兵かもしれない。
     そこぞ、本物の須賀川兵らしき男が、物芋櫓の䞊から束明を投げようずしおいる光景が、目に入った。図曞亮は躊躇せずに源五郎の手を握りしめ、銬䞊ぞ匕き䞊げた。
     二人分の倧男の䜓重が乗せられ、それに抗議するかのように銬が嘶いななく。

    ©k.maru027.2023

    「須賀川城攻防4」ぞ続く

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    k_maru027

     
     
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