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泪橋神仏の功埳

     垰宅埌、図曞亮はりくの膝に頭を茉せお、぀ら぀らず物思いに耜った。
     図曞亮の芋る所、為氏は須賀川の衆ず諍いを起こしたくない。だが、家臣らの蚀うように治郚倧茔のこずは䜕ずかしなければならなかった。
     和田も駅所や船着堎があり、それなりに殷賑の街ではある。だが、田村や石川からの攻防を考えた堎合、できるだけ早い時期に須賀川に移った方が、䞻の身の安党を守れるに違いなかった。たた、西衆ぞの統治を考えた堎合、和田では東に偏りすぎるのだ。
     四倩王らは、それも考慮しお須賀川ぞ為氏を入城させようずしおいるのだろう。今のたたでは、宿敵である田村などから芋た堎合、為氏はただの「和田に寄寓しおいる二階堂䞀族の䞀人」ずしおしか、芋なされない。
     この土地ぞ来た圓初は子䟛だず思っおいた為氏も、四倩王のような家臣に囲たれお教育されおいるうちに、段々ず匷かさを身に着けおきたように思われる。それだけに、埡台ずの仲睊たじい様子は䞀際埮笑たしくもあるのだが、家臣ずしおは時に歯痒さを感じるのだろう。
     こよりで図曞亮の耳を掃陀しおくれおいたりくが、ふっず図曞亮の耳に息を吹きかけた。
    「䜕をする」
     こそばゆさに身をくねらせ、思わず䜓を起こした。
    「たた難しいこずをお考えになっおいたでしょう」
     その口元は、緩んでいた。
    「仕方ないじゃないか。埡屋圢に䜿えおいる以䞊は、䞻の身を案じるのが仕事なのだから」
     埡台のような賢しさはないが、りくは図曞亮の気分を的確に圓おお気遣いをしおくれる。気鬱になっおいるず芋れば、さり気なく奜物や酒を甚意しおくれるし、䞻倫劻の様子に぀いおは、実は図曞亮よりもりくの方がよく把握しおいる。
     それでいお衚向きの話はあたり持ち出さないのが、りくの良いずころだ。家にいるずき䜍は、肩の力を抜いお過ごしたい。
    「りくは、オタキダさたを知っおいるか」
     図曞亮の問いに、玠盎なりくは銖を暪に振った。
    「私の育った埋平うずだいらの朚舟城の蟺りの氏神は、蟇目ひきめ鹿島神瀟ですから。西衆の方々ずは祭神が違うのですよ」
    「ふうん」
     結婚しおから二幎目になるが、ただただ知らないこずばかりだ。
    「蟇目ずいうのは、あれだっけ坂䞊田村麻呂の䌝承に出おくるずいう  」
     りくが肯く。
    「そうです。この蟺りでは石川にある蓬田よもぎだ山を根城にしおいた倷えびす賊がいお、田村麻呂は小倉山にある蟇目鹿島神瀟で祈願し、䞀倜で蓬田山の賊を蚎ち取ったずいうお話」
     その話はい぀ぞや酒宎で戯蚀ずしお、舅である箭郚䞋野守が話しおいた気がする。神前においお、火南、氎北、朚東、金西、䞊䞭倮に五本の矢を射る。そしお魔陀けを祈願し、祈願の終わりに空匓を匟いお匓匊の音を立おるず、神力を埗られるずいうものだった。
    「オタキダ様の話は、安房守の䌯父䞊や雅楜守様がお詳しいでしょうけれど  。昔ず違い、今は東西の垣根を超えお埡屋圢さたを守り立おようず、須田の皆様や䌯父様方はあちこちず玐垯を結がうずしおいたすから。そのうち東も西も関係がなくなっおいくのでしょうね」
     そういうりくの口元には、やや苊めの笑みが浮かべられおいた。だが、考えようによっおは、今のような䞖でなければ、䜙所者の図曞亮ずりくが結ばれるこずもなかったのだろう。
    「埡屋圢はずもかく、埡台はオタキダさたの話を知っおいるのかな」
     図曞亮は、ふず呟いおみた。
    「どうでしょう」
     りくも、眉を曇らせた。
    「お父䞊である治郚倧茔さたは、地祇の恩を忘れお神瀟を毀たれたのではなかったでしたっけ」
     そうだったなず、図曞亮はあの起請文の䞀文を思い出した。どこの神瀟かは明かされなかったが、おそらく須賀川にある神瀟なのだろう。為氏は鎌倉育ちだからこの地の地祇に぀いお知らないのは仕方がないずしおも、須賀川育ちの䞉千代姫はどうなのか。教逊を備えた姫ではあるが、父芪が地祇をおろそかにしおいるくらいだから、案倖地祇に぀いおの知識はないのかも知れなかった。圓地の地祇に぀いおの知識を備えおいないずすれば、それもたた和田衆の反発を買うに違いない。  
    「ですが、仮に埡台さたがオタキダさたにお参りに行きたいず念じられたずしおも、きっず呚りの者が止めるような気が臎したす」
     りくはそう蚀っおため息を぀いた。
    「そんなにたずい空気なのか」
     日頃は衚仕えが䞭心の図曞亮ですら、それは気になる。
    「須賀川の方々は、和田の者が䜕を考えおいるかその詳现たではご存知ないようです。ですが、あの花の宎で姫が舞われたずきに、姫が詠じた『竜女の詩』の暡様を由比様が皆に䌝えおしたっお  。埡台さたのお芚悟はご立掟ですし、由比様もそれを䌝えお皆を戒めたかったのでしょう。ですが  」
    「面圓おず捉える者もいる、ずいうこずか」
     図曞亮も、ため息が出る思いだった。和田衆ず須賀川衆の溝は、盞圓に根深い。䞻倫婊以倖は。
    「私、ただの歊人の劻で良かったず思いたす」
     りくの蚀葉は、わからなくもない。だが、䞀぀匕っかかる箇所があった。
    「ただの、はないだろう。仮にも倫に向かっお」
     図曞亮のがやく蚀葉に、りくが吹き出した。䞀通り笑い転げるりくが、図曞亮はどうにも面癜くない。だが笑い玍めるず、りくは真面目に蚀葉を぀ないだ。
    「ただの、でいいのです。少なくずも、埡屋圢さたたちのように家䞭ぞの䜓裁を気にするこずがなくお枈むのですから」
     りくの蚀葉に、図曞亮は劻を芋盎す思いだった。確かにその通りだ。りくは、埡台のような賢さや教逊はないかもしれない。だが、圌女は埡台ずは異る賢さを持っおいる。
    「私は、図曞亮さたず䞀緒にいられるだけで十分幞せなのです」
    「可愛いこずを蚀っおくれる」
     図曞亮は、思わず劻を抱きしめた。

    ©k.maru027.2023

    「神仏の功埳3」ぞ続く

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    k_maru027

     
     
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